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市会報告

倉林明子 議員

06年2月24日(金)

2005年度補正予算に対する賛成討論 06年2月定例市会 本会議討論

 日本共産党市会議員団を代表し、議第591号平成17年度一般会計補正予算に対し賛成討論を行います。この補正予算には特別養護老人ホームや保育所運営費、アスベスト対策など市民生活に欠かせない必要な予算が盛り込まれていることから賛成します。その一方、いくつかの問題点を含んでいますので指摘をしておきます。

 第一に、05年度予算は市民に対する負担押し付け先にありきだったことが改めて明らかになったという点です。市民負担増は国民健康保険料引き上げで8億円、敬老乗車証の有料化で6億円、保育料値上げの2億円、各種文化・スポーツ施設の使用料・利用料の値上げなど総額24億円という未曾有の負担増となりました。当初、財政健全化プランで見込まれた税収は2,337億円、財源不足額は325億円となることから、安定的で持続可能な財政の確立をめざすために必要な負担増だと説明されていたものです。ところが今回の補正でみれば、納税義務者が3万人増加し市民税個人分が30億円の増収となり、財源不足額は財政健全化プランの中期財政収支見通しより164億円も減額できているのです。結果をみれば、市民負担増は避けられたということです。値上げの直後から国民健康保険料の引き下げを求める要望署名が京都市に寄せられており、すでに2万人に達する勢いです。市民生活を守ることを最優先に考えるならば、増収分を公債償還基金に戻すのではなく、負担増を元に戻すためにこそ使うべきではありませんか。

 第二に、伏見区総合庁舎整備は区民が長年求めていたものであり、賛成です。問題は利潤追求を目的とする民間事業者が参入するPFI手法を取ることを前提とした債務負担行為が盛り込まれている点です。土地購入費を含めれば80億円という高額な公共事業が市債発行を伴わない、つまり借金せずに実施できるのがPFI事業の特徴です。後年度負担は公債費ではなく、毎年の普通建設事業費として計上されるために、市財政を圧迫する要因となるものです。すでに完成した御池中学は65億円、今後、小学校冷房化事業が46億円、市立音楽学校は40億円、総計151億円に加えて、市立病院もPFIで実施するとのことです。これらの後年度負担は実質的に公債費を引き上げることと同様のものであり、隠れ借金を増やすものに他なりません。不要不急の公共事業を見直すこと、必要最小限の施設整備とする観点からも、安易にPFI手法に頼るのは問題です。必要な事業についても、財政の身の丈に応じた見直しが求められます。補正に計上されている伏見区総合庁舎建設事業のPFI事業手法の導入については見直すべきです。同時に、議会に対してあまりにも説明が不十分だという点です。経過も含め予算計上まで、所管する常任委員会に対し一切の報告がなかった事は議会軽視と言わざるを得ません。改善を求めるものです。

 第三に、勧奨退職による職員の大量退職についてです。162人の退職者増の結果47億円の増額補正が盛り込まれています。必要な退職金の補正は当然のことですが、大量退職による市民サービスの低下が懸念されます。今回の退職者には保育士19人を含んでいますが、子どもをあずかる保育現場で、経験豊富な保育士の存在はかけがえのないものです。理事者は「サービスは低下しない」と答弁しましたが、十分な検証が必要です。病院事業特別会計でも13人の看護師の退職分が計上されていますが、市民の命と安全にかかわる問題です。定数割れで月8日夜勤も守られず長時間勤務も常態化している現場でさらに退職を促進するようなやり方は、市民サービスよりも人減らし、公務員削減先にありきではありませんか。市民サービスの向上、質を担保するためにも必要な人員の確保を強く求めるものです。以上、問題点を指摘し私の討論といたします。