岩橋ちよみ 議員
05年12月16日(金)
意見書案 「地方交付税に関する意見書」に対する賛成討論 05年11月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党議員団は、与党会派提案の意見書案「真の地方分権改革の確実な実現を求める意見書」には反対し、「地方交付税に関する意見書」を提案しておりますので、討論を行います。
与党案は、住民サービスの低下につながる
まず、与党案に反対する理由です。
政府・与党によって合意された国と地方の「三位一体改革」の内容は、3兆円の税源を地方に移すと同時に、国庫補助負担金の削減は追加の6540億円と合わせて計4兆円を削減、するというものです。
その内容は、生活保護の国庫負担の引き下げについては地方の反対によって見送られましたが、児童扶養手当・児童手当の国庫負担率の引き下げ、介護施設整備補助金・介護給付費補助金の削減と合わせ、義務教育費国庫負担金の割合を2分の1から3分の1に引き下げることになっています。
与党案では、義務教育費・施設整備費国庫補助負担金は税源移譲の立場ですが、これらは、本来国が財政的に責任をもつべきものであって、その削減は地方自治体に負担を転嫁し、住民サービスの低下につながるものです。とうてい認めることはできません。さらに、「第2期改革」についても推進の立場ですが、そもそも小泉内閣の「三位一体改革」は、実際には国庫補助負担金の削減に見合う税財源が地方に保障されず、さらに国から地方への地方交付税も大幅な削減がねらわれており、国の責任で行うべき福祉・教育・保育など住民サービスの水準を引き下げるものです。「改革」の名に値しない「第2期改革」は認めることはできません。以上が反対する理由です。
地方交付税の削減は、認められない
つぎに、わが党提案の「地方交付税に関する意見書案」についてです。
経済財政諮問会議では、2007年にむけて「第2期改革」をすすめるとし、地方交付税をさらに削減することを示し、2006年度には、4兆3千億円の地方交付税の削減をすすめることが議論されています。地方からも、財政調整機能をもつ地方交付税の削減に反対する、所用総額を確保せよ、との声があがっているように、この削減は、地方財政をいっそう困難にし、住民サービスの低下につながるものです。地方交付税の削減は認めることはできません。
本市でもこの間、市民に痛みが押しつけられてきました。国は2004年、地方交付税等の削減で生活保護費の老齢加算を引き下げる等、本市は125億円の減収となりました。また、この年、本市は「戦略的予算編成システム」を導入し、44事業の休廃止を含む430事業を見直し、100億円の事業費を削減しました。生活保護世帯に対する夏季歳末見舞金、ちびっこプール、保育バスなどの廃止、民間社会福祉施設の補助金の削減など、市民のくらし・福祉に係る予算を大幅に削減してきました。その後も、国保料や保育料の引き上げ、敬老乗車証の有料化、地下鉄運賃の値上げ等、市民負担は増え続けています。さらに国は、公設保育所の一般財源化を強行し、また民間保育園についても運営費の一般財源化をすすめる動きもあり、保育園連盟からも反対の声があがっています。
与党の財政改革大綱は、市民に痛みを押しつけるもの
大企業や大資産家への減税をすすめ、公共事業のムダにメスを入れず、国が地方への予算をどんどん減らし続ける、そのうえに本市でもくらしに係る予算を削り市民負担を増やして、市民のくらしに大きな影響を与えてきたのです。その上、昨日明らかになった与党の税制改革大綱では、2007年度に定率減税の全廃、消費税を引き上げること、タバコ、第三のビール、ワインの税率の引き上げで、2兆円を越える増税が計画され、とりやすいところからとるという、まさに市民への痛みのおしつけはとどまることはありません。地方が住民のくらしを守る、公的な責任を果たすことが必要で、そのためにも、国がしっかり財源を保障することは当然です。
真の地方分権をすすめるためには、国が地方に対しての補助金を減らすことではなく、税源移譲をしっかり行い、地方が自立して住民サービスに責任をもち、公的責任を果たせるよう、財政措置を行うことこそ必要です。そのためにも、地方交付税の所要額を確保することは当然ではないでしょうか。これがわが党の提案です。
以上、申し述べまして討論とします。
地方交付税に関する意見書(共産党提案ー賛成少数で否決されました)