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市会報告

井坂博文 議員

05年11月21日(月)

井坂博文議員の質問と答弁の大要 05年11月定例市会 本会議代表質問

市民生活に影響を与える大増税おしつけにきっぱり反対を

 日本共産党京都市会議員団を代表しまして市長ならびに理事者に質問いたします。

 最初に桝本市長の政治姿勢にかかわって五点お聞きします。

先月末に第三次小泉改造内閣が発足しました。内閣の要所に「ポスト小泉」候補と目される人物を配置し、庶民大増税、憲法改悪をはじめ反国民的な構造改革路線を競わせるシフトとなっており、一言で言えば「悪政推進の適材適所内閣」であります。また総選挙の結果、自民・公明両党が衆議院で三分の二をこえる議席をしめたことによって日本の政治に新たな危険がもたらされています。特別国会においても数の力におごり、郵政民営化法案、障害者「自立支援」法案を問答無用に強行し、サラリーマン増税と消費税増税・医療制度の大改悪への本格的な踏み出しを公言し、憲法改悪の国民投票法案を審議する特別委員会設置を強行するなど、まさに反動的な暴走を加速させています。

 同時に、政府および与党がたくらむ大増税計画の全貌が明らかとなりました。第一に〇七年をめどに消費税税率を二桁に引き上げるために年明けから議論を始める。第二に所得税・住民税の定率減税を〇七年に全面廃止する。同時並行で配偶者控除・扶養控除の廃止、給与所得控除の縮小など行う。第三に税率が低くて低価格で庶民のささやかな楽しみである「第三のビール」まで増税など、サラリーマンをはじめ庶民への増税にふみきる方向を示しました。実施されれば定率減税の全廃だけで、年収七百万円で妻が専業主婦という四人家庭で年間八万二千円の負担増です。これに諸々の控除が廃止・縮小されれば年間六十九万円の大増税となり、実に年収の一割の増税というとんでもない国民生活破壊の負担増であります。

 自民・公明の両党はそのことをひた隠しかくして、総選挙の政権公約では「サラリーマン増税はやらない、許さない」と言い続けていました。ところが、選挙が終わったとたんに一気に増税を打ち出したのです。選挙で「やらない」と言った約束を選挙後に守らないということは、国民をあざむく明白な公約違反ではありませんか。一方で定率減税と同時に「恒久的減税」として引き下げた法人税率は、大企業が過去最高の利益を更新し業績を回復させているにもかかわらず聖域にしてそのままです。こんな不公平があるでしょうか。

 そこで、市長にお尋ねします。市民生活に多大な影響をあたえる公約違反の大増税のおしつけに対して「住民の福祉の増進を図る」という自治体本来の立場を堅持し、反対の姿勢を明確に示すべきではありませんか。いかがですか。

〈毛利副市長〉税制度の改革は、国と地方の歳出改革とあわせ、国民負担のありかたを巾広く検討することが不可欠。今後、社会経済状況をふまえた国民的議論が必要だ。

「海外で戦争をする国」へと日本を変える憲法改悪に反対を

次に今、政治の大きな焦点になっている「憲法問題」についてお聞きします。自民党、民主党の両党は具体的な改悪案づくりの動きを加速させ、その焦点は憲法九条二項の改悪にあてられています。自民党が「新憲法草案」を発表しました。その中で、憲法前文を全面的に書き換え「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意する」という部分を削除し、侵略戦争の反省を消し去ろうとしています。さらに九条二項も完全削除し、「自衛軍を保持する」と明記しています。民主党の新しい代表が就任記者会見で「私の従来の意見は九条二項を削除して自衛権を明記すること」と公言し、先月末には自民党と競いあうように「憲法提言」なるものを発表しました。「提言」では九条について「自衛権を明確にする」として集団的自衛権を憲法に盛り込み、国連を通じた軍事活動への参加を明記し、その活動には武力の行使を含む、としています。 そもそも憲法九条二項は「戦力保持の禁止」と「交戦権は認めない」ことを規定し、侵略戦争の反省にたって二度と戦争を起こさない国として歩むことを決意した世界に誇る平和原則です。九条二項を改悪し自衛軍もしくは自衛隊の保持を明記することは、戦後六〇年間「海外で武力行使はできない」としてきた歯止めをとりはらい「海外で戦争をする国」へと日本を変えることになることは明らかであります。

 さて市長は、先月韓国慶州市で開かれた第九回世界歴史都市会議において、議長として「世界歴史都市連盟平和行動宣言」を提案し、採択されました。宣言は「世界平和を願い、国境を越え世界の人々と連帯することをここに宣言する」と結んでいます。

 そこで市長にお聞きします。平和行動宣言にある「世界平和を願い…世界の人々と連帯する」ことを真に望むのであれば、日本が海外で戦争をする国へと変える動きには断固反対すべきではありませんか。明確な意思表明を求めるものであります。

〈市長〉憲法の平和理念は人類普遍であり変えてはならないと考える。本市は世界歴史都市宣言、世界文化自由都市宣言で平和へのとりくみを進めている。理想とする文化自由都市実現をめざしていく。

家庭ごみ有料化方針の撤回を

 つぎに、市民生活を守ることに対する市長の基本姿勢をうかがいます。

 市長は、この間「財政赤字」を口実に市民や市職員に負担と犠牲を転嫁し、市民生活への負担を雪だるま式に増やしてきました。先の九月市会でも、市民生活を直撃する十五億円もの地下鉄運賃値上げを押しつけたばかりです。その上に今度は、有料指定袋制による家庭ごみ有料化で二十億円もの新たな市民負担の提案です。ごみ処理はすべての市民の生活にかかわるものであります。暮らしが大変なときに、家庭ごみ有料化を平気で提案する市長には市民生活を守る姿勢はないのですか。市長の心は少しも痛まないのですか。

 そもそも昨年の「市長マニフェスト」では「有料指定袋制」とか「家庭ごみ有料化の導入」とは一言もなかったではありませんか。本市の環境行政の根幹に関わり、市民生活全般に影響を与える重大な政策を選挙の場ではまったく語らず、終われば提案する。明確な公約違反であるとともに、市民に対する二重三重の背信行為ではありませんか。有料化先にありき、有料化を前提にした提案や言い訳を市民は期待しておりません。

 今からでも遅くはありません。有料化方針を撤回し、改めて市民への徹底した情報公開とごみ減量へむけた市民的討論をおこなうべきであります。明確な市長の答弁をお聞かせください。

〈市長〉次世代に引き継ぐ地球環境には「脱温暖化社会」「循環型社会」構築が大事。この認識のもとでごみ減量化めざす「有料化指定袋制」導入は効果的施策だ。「基本指針」への763通の意見の多数が肯定的。全学区での「意見交換会」踏まえ最終方針を決定する。

学校運営費削減分の回復と増額を

 続いて、京都の教育に関して伺います。昨年度から執行されている学校運営費削減の問題です。二年連続して二〇~三〇%の削減によって、現場では「夏休みのプール日程を削減し、二学期の水泳学習は中止」「トイレの清掃を週一回から月一回に縮小」「運動会の白線ラインを水で引いている。雨が降ったら大変」という事態が起きています。しかも、予算配当総額を大幅に削減し、「校長裁量権を拡大する」と称して編成・執行は学校長と現場に委ね、教育委員会の責任を回避するという姑息なやり方までとっています。その一方で「中高一貫教育」実施校や一部の学校改築には巨額の予算を投入する、「研究指定校」に名乗りを上げれば予算をつける、「特色ある学校づくり」として学校を競争させて格差をつける、スーパーティチャー制度など個々の教職員を序列化する、など子ども不在の教育行政にますます拍車をかけています。

 そこでお聞きします。市長はマニフェストで「どんなに財政が厳しくとも福祉と教育は後退させない」とおっしゃった。また、市長や教育長は常々「教育先進都市京都」を標榜しておられます。そうならば、学校教育現場に格差をつける今のやり方を是正し、何よりもすべての学校と子どもたちに教育予算を等しく投入すべきではありませんか。そして削減した学校運営費を回復して、増額すべきであります。答弁を求めます。

〈門川教育長〉「選択と集中」の観点から、昨年学校運営費を削減した。しかし10年前の2割増額となっている。学校裁量を拡大し事業に重点執行制度を導入している。

ポンポン山住民訴訟への全容解明を

 政治姿勢の最後に、ポンポン山住民訴訟の最高裁判決確定をうけて市長の決意をお聞きします。九月十五日の最高裁第一小法廷は、大阪高裁が今年二月に言い渡したいわゆる「ポンポン山住民訴訟」において、申立人からの上告にたいして不受理を決定し、前市長に約26億の損害賠償を京都市に支払うように命じた大阪高裁判決が確定しました。判決では前市長について「議会への十分な説明や資料の提出を怠った」と厳しく指摘していますが、はたして問われるのは前市長個人の責任だけでしょうか。行政組織としての京都市の真摯な反省が必要ではありませんか。全容解明に協力しないばかりか、住民側と敵対する立場で訴訟参加してきた現市長の責任は極めて重大であります。

 市長は、判決直後の市長訓辞において「司法の最終判断が下されたものであり、これを真摯に受けとめる必要がある」と発言されました。文字通り「真摯に受けとめる」と言うのであれば、市民に対して謝罪するとともに、「買い取り価格および一社のみの鑑定という不合理さ」など高裁判決で指摘された問題や金の流れなど一連の疑惑に関して全容を解明し、議会と市民に報告すべきではありませんか。明確な答弁を求めます。

〈星川副市長〉住民訴訟への資料を提供し、買収の経過、事実を裁判で明らかにした。司法の最終判断を真摯に受け止め今後も情報公開と説明責任を果たし、透明性への市政運営に努力する。

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市民生活と本市財政への負担おしつける「府市強調」について

 次に「府市協調」についてうかがいます。市長は「マニフェスト」のなかで「府市協調を推進する」ことをうたっていますが、何をどう協調するというのでしょうか。

京都府は、行政機構に経営戦略会議や経営戦略室を設置し、経営の視点で府政を運営するとしています。京都市も市政運営の基本に,都市経営の視点に立った京都市都市経営戦略会議と経営戦略推進チームを設置しています。今の府政・市政に共通しているのは洛東病院廃止や高校つぶし、市民負担増をおしつけるなど「住民の福祉と健康を守る」役割の放棄であり「経営の視点による経済効率優先」の行政運営でしかありません。

 その府市協調路線がどれだけ市民生活と本市財政に耐え難い負担をおしつけているか、市長の見解と対応をお聞きします。

高速道路計画の凍結・撤回を求める 

 まず第一に、高速道路建設の問題です。京都府・市ともに「財政非常事態」の中でも、高速道路の建設事業は聖域として財政支出を続け、財政を一層破綻させ、破綻のツケを府民市民生活のあらゆる分野に押しつけてきました。その上に、阪神道路公団の民営化による事業区分の見直しを行い、斜久世橋区間の一.四キロメートルを公団の肩代わりに京都市の街路事業とし、本市が約百億円の負担を負うことになると言われております。今後、府市でその負担額を協議するといいますが、とんでもない府市協調ではありませんか。これ以上際限ない財政負担への道をきっぱりと断ち切り、建設計画を凍結し撤回するよう強く求めます。

〈市長〉京阪神都市圏の道路ネットワーク形成、国際文化観光都市・京都の発展に必要。市内の慢性的交通渋滞の緩和、定時走行、交通円滑化をはかる。災害発生時の緊急輸送道路として機能する。国・府と新会社と連携はかり早期完成へとりくむ。

就学前までの子どもの医療費助成制度の拡充を

 第二に、子どもの医療費助成制度の問題です。現行制度が始まって二年が経過しました。多くの父母の願いは、「せめて就学前まで医療費の心配をしなくても子育てができるように」ということです。制度の拡充を求める世論と運動で、いまや京都府内の三八自治体のうち三十自治体が府の制度に上乗せして実施しています。ところが、京都市は制度の拡充を求める声をかたくなに拒否し、府と同じ内容の制度にとどまっています。そこで何が起きているでしょうか。昨年度の実績で見れば、通院の場合の八千円を超える分の償還払いの活用が本市は三〇三九件でした。ところが本市と比べて就学前の子どもの人口が二十分の一の京丹後市では二五一六件も活用されているのです。違いの理由は簡単です。京丹後市のように府の制度に上乗せしている自治体は、行政が償還払いの事務手続きを行っているからであります。この事実は、制度を利用できる京都市民が活用できていない実態を示しており、府市一体による遅れの典型ではありませんか。京都府に償還払いをやめ就学前まで制度の対象とするよう求めること、そして本市独自でも入院も通院も無条件に就学前まで制度の対象とするよう強く求めます。

〈松井副市長〉H15年9月に対象年齢拡充し、受給者交付は毎月千名増加61000人に。3才以上の外来分の償還払いは月平均約300軒。平均支払額約5000円と高額であり、経済負担軽減に役立っている。更なる制度拡充は受診動向を見極め府と協議する。

府・市一体で進められる高校再編計画の撤回を

 第三に、高校教育の問題です。教育の分野にも「経営の視点」が持ち込まれ、京都府では「一学年八クラスが適正規模」として高校再編がすすめられ、今後は京都市内の府立高校にも及ぶといわれております。同時に、京都市教育委員会も「工業高校改革基本方針」として伏見・洛陽工業高校の夜間定時制の統合・再編方針を打ち出し、〇七年以降の募集を計画しないとしています。この動きに対して、両校の存続を求める請願署名が一万人を越えて提出されるなど反対運動が大きく広がっています。生徒や保護者の声を聞かず、住民の合意のないまま、府市一体で進められる高校再編計画を撤回することを強く求めるものです。

 また通学圏が拡大されるなかで、京都市域外の高校の専門学科に通う生徒の通学費が大きな負担となり、家計を圧迫しています。ところが、府の通学費補助基準は従来のままであり、例えば伏見区向島から須知高校に通う生徒の場合、府の助成をうけても年間三十九万円を超える負担になるといいます。府立高校授業料が全日制で年間十一万円ですから、この通学費の負担は限界と常識を超えています。しかも週五日制になって以降、通学定期から回数券を利用する生徒がふえていますが、今の府の制度では回数券は補助の対象になっておりません。「府市協調」というのであれば、きちんと府教育委員会に申し入れ、補助制度の拡充を求めるべきであります。同時に本市独自の支援策を講じるべきではありませんか。

 以上、「府市協調」の実態を申し上げました。文字どおり「府政が変われば、市政が変わる、市民の暮らしが変わる」と実感いたします。三点についての答弁を求めます。

〈教育長〉市域の公立高校改革は、府市合意のもと、中学・PTAの意見をふまえ協議する。工業高校改革は社会の変化の中、中学、産業界、学校現場と共に準備を進めている。通学費補助は本市独自の制度の予定はない。

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深刻な京都経済への景気対策と中小企業への支援策を

 続いて、深刻な京都経済の実態に即した景気対策と中小企業への支援策にかんしてお聞きします。長引く不況に追い打ちをかけている重油価格高騰による事態への緊急対策を求めます。重油価格高騰によって、重油を大量に使用する、蒸し・水洗、黒染め、張り・ゆのし、糸染め、精錬などの京都の地場産業である繊維産業をはじめ、運輸業、クリーニング業、などが大きな影響をうけています。

 「人件費の削減などで何とかやっているが、このままでは廃業だ」「仕事は減る一方、石油価格は右肩上がり、あきらめるしかないのか」など切実な声が多く寄せられています。

 関連する繊維業界は和装不況の中で、重油価格高騰の影響を加工賃に転嫁できず、赤字状態のまま収益が圧迫されるという深刻な事態に立ち至っています。このままでは、自助努力も限界を超え、転・廃業に追い込まれる業者が相次ぎ、まさに存亡の危機にさらされていると言っても過言ではありません。そういう中、本市は中小企業支援センターに「特別経営相談窓口」を開設し、融資制度の紹介や「セーフティネット貸し付け」の情報提供など経営相談に応じる、としています。

 しかし、今年もあと一ヶ月あまりとなり、現場は「今年の冬が越せるのだろうか」という不安の声が広がっています。そこで、現在の相談業務と融資制度の活用を周知徹底するとともに、さらに踏み込んだ緊急の支援策が必要であります。

 まず、現場からは少なからず「比較的影響を受けにくいガス機器への設備更新したい」という要望が出されています。しかし、ボイラー燃料を重油からガスへ変更した場合、燃料費が約二割節減できるものの、蒸し・水洗の場合ボイラー一台あたり三百万から四百万円必要といわれております。そこで、現在、国の「天然ガス化推進補助事業」が実施されていますが、この事業は経費節約とともに二酸化炭素排出を抑制する地球温暖化対策として導入されたものであります。京都議定書発祥の本市こそ国の補助事業に上乗せして、独自の助成制度など効果的な支援策を実施するよう強く求めます。いかがですか。

 また中小企業庁は九月に、関係親事業者や団体あてに「下請中小企業振興法に基づく振興基準の周知徹底等の適切な措置を講ずるよう要請する」文書を送付しました。「振興基準」というものは、下請中小企業振興法にもとづき、親事業者と下請業者との適正な取引価格を定めた基準であり、価格高騰の影響を転嫁できずに苦しむ中小業者を応援するものであります。この「振興基準」を徹底するよう行政指導を強めるとともに、具体的な支援策をおこなうよう求めるものであります。答弁を求めます。

〈中野産観局長〉国に金融セーフネット保障拡充を要望し制度改正が実現した。あんしん借換融資制度適用の準備を進めている。染色業者のエネルギーコスト軽減のために「省エネの手引き」を作成し配布した。天然ガスへのエネルギー転換を推進する補助制度の充実は、下請け取り引き円滑化への指導強化を国に要望していく。

伝統産業活性化推進条例を活かした支援策を

 つぎに伝統産業活性化に関してお聞きします。先日、恒例の「京都・西陣夢まつり」が西陣織会館を中心に開催され、私も参加しました。今年のまつりは「職人文化のほこり」をテーマに、伝統工芸士や職人の技に光をあて、従来の表彰についても織物会社や団体にではなく、職人個人を対象に変更したとのことです。私も拝見しましたが、作品には製作者の名前が添えられていましたので、作品ひとつひとつの製作者の顔がうかんでくる気がしました。とりわけても「知事賞」を受賞されたつづれ織りの作品は圧巻でした、時代祭りの行列をテーマにして、実に4年の歳月をかけて織り上げた大作でした。製作者は86歳の高齢の方です。金糸・銀糸の使い方、斜めの線と曲線の織り上げ方の工夫など説明していただきました。まつり事務局の方にお聞きしましても、選考審査委員からもかつてない支持を集めての知事賞受賞であった、とのことでした。「この技をこのまま途絶えさせてはならない」と痛感したしだいです。そこで、若手後継者が職人の技を引き継いでいくためには行政の支援策が急務です。条例にもとづいて策定される推進計画において、実践的な後継者育成制度策の確立など年次目標、プログラムを作成するよう求めます。

 また、まつり会場では「西陣織額」が展示、披露されていました。「織額」は二年前の九月市会本会議質問でとりあげ、西陣対策協議会の職人さんが作成された実物をこの場で紹介し、西陣活性化に向けて普及と活用を求めました(本日も最新の作品を持ってきました)。今年の会場では、金閣寺、清水寺などの京都の名所旧跡から、アフガン遺跡、万里の長城、バチカン宮殿、ニューヨークツインタワービルなど世界遺跡などを題材に、リアルで迫力ある「西陣織額」が展示されていました。事務局の方によると「西陣対策協議会のアイデアと技術があったからこそできた」「本来、市長賞に値する価値がある」と語っておられました。業界の努力に行政も応えて、たとえば「京の職人さん」事業での活用など具体的な支援策を求めます。

 「伝統産業活性化推進条例」が制定されたわけですが、条例を活用して「職人の技と文化」を支える具体的な手だてを打つよう求めます。答弁をお願いいたします。

〈星川副市長〉条例の基本施策に技術の継承や後継者育成などを規定している。審議会で現行施策を検証し、具体的効果的施策を推進計画にもりこむ。

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本市の同和行政・人権行政について

 質問の最後に本市の同和行政・人権行政に関してお聞きします。

国の人権擁護法案はさすがの小泉暴走内閣も先の特別国会において提出できず、先送りとなりました。本来人権救済機関とは、公権力などによる人権侵害に対し、政府から独立し、裁判所とは別に救済機関をつくって迅速・的確に対処することが目的であります。しかし、〇三年に提案された人権擁護法案は、報道による過剰取材やプライバシー侵害への対処を口実に、政治家の疑惑の追及など取材・報道の自由、国民の知る権利が奪われること。「人権」や「差別」についての明確な規定なしに「差別言動へ対処する」として、国民の表現の自由を侵害する危険がある、など国民の強い反対で廃案になりました。その後、政府・与党は法案の再提出を検討していましたが、一部手直しをしただけで危険な本質はまったく変わっておりません。日本共産党は法案そのものに断固反対であることをあらためて表明いたします。

 さて、鳥取県が全国に先駆けて「人権救済条例」を制定しましたが、専門家や弁護士会から「人権救済の名の下で人権侵害が行われる」「憲法違反の恐れすらある」と厳しい批判を受け、マスコミからも「拙速であり、他の自治体は、こんな動きに追従すべきでない」と指摘されています。従って、本市においては独自条例など制定しないように強く求めておきます。

 つぎに同和関連人権研修への市職員派遣に関してお聞きします。内外の強い批判をうけて、京都市集会、きたけん集会など市内研修について、総務局職員研修所が人数を各局に割り振り、局が参加費負担するという従来の仕組みを廃止し、今年度から「適正に対処する」という九月市会での副市長答弁がありました。ところが文字通りの自主的参加になると思いきや、先月開催された「きたけん集会」では、文化市民局の人権文化部が「仕事の業務の一環」としてとりまとめ、市職員二三八人が参加し、参加費用も公費負担されていたことが発覚しました。これのどこが「適正な対処」なのですか。窓口を変えただけで派遣の中身はまったく変わっていないではありませんか。このような同和関連人権研修における「参加費補助・動員型」の職員派遣はきっぱりとやめるべきであります。いかがですか。

 最後に、同和奨学金と自立促進援助金にかんしてお聞きします。奨学金はいよいよ来年度がその期限切れとなります。現在係争中の裁判においても京都地裁判決は、返還を求めない本市の奨学金制度そのものを、厳しく断罪しました。長引く不況のなかで進学をあきらめざるを得ない家庭が増えているなか、これ以上の逆差別、特別施策を続けることはあってはならないことであります。同和奨学金は期限切れを待つまでもなく来年度予算に計上しないこと、自立促進援助金については制度そのものを廃止し、卒業後の所得に応じて公正に返還を請求するよう強く求めます。その上で、昨年答弁された「貸付をうける奨学生のうち高校・大学を卒業する生徒については制度を説明して返還を求める」との方針について、どう実行されたのですか。経過報告を求めます。

 以上で、私の第一質問を終わります。

〈柴田文化市民局長〉 市会の指摘で見直しをおこなったところである。集会は「人権尊重のまちづくり」をテーマとし、調査・研究の場として今年度から人権行政担当職員が参加したが、今後参加のありかたを引き続き検討していく。奨学金は同和問題解決へ残された課題の一つ。経過措置として18年の新規貸与者が卒業する21年まで継続する。自立促進援助金は16年3月に改定。援助金支給基準を満たさない者からは返還を受ける。

<第二質問>

 同和行政はきっぱりとやめよ。市民生活の実態を見ず要望に応えようとしない市長の姿勢がはっきりした。民主府政の会「府民アンケート」に2万5千通の返事が返ってきている。11月の「三位一体改革」への評価では、全国の知事アンケートで、長野・高知・鳥取の知事が「評価できない」と答えているのに、京都府知事は「自治体の裁量が広がった」と肯定的だ。生活保護費の国庫負担率引き下げの動きで地方が猛反発しているのに、市長は「自治体の裁量が広がる」と答える知事と何を協調するのか。これでは府市共犯であり財政破綻をすることは明らかだ。