北山ただお 議員
05年10月13日(木)
04年度公営企業決算にたいする討論 05年9月定例市会 閉会本会議討論
ただ今井上けんじ公営企業決算特別委員長からご報告がありましたように、日本共産党議員団は報第14号市バス事業決算については「認定せず」、他の決算議案8件については「認定する」との態度を表明していますので、私は日本共産党議員団を代表してその理由の主旨とその他の議案についてもいくつかの問題点を指摘するものであります。
今議会に京都市は、地下鉄運賃値上げ条例を提案して市民生活に多大な負担を押し付けることになったのですが、このことは公営企業における問題点を示したのであります。
つまり公営企業は市立病院、水道、下水道、市バス、地下鉄、地域水道、それに合併された京北町の関連事業など市民生活に極めて密着した事業であります。とりわけ地下鉄は、、安心して目的地につけること、そして安くして安全に移動できることがその目的であるにもかかわらず、地下鉄建設や設備投資、運営は基本的に料金によってまかなわれる独立採算制を押し付けられていること、地下鉄建設に関わる国の補助制度がこれも劣悪なため、自治体と利用者に負担が定期的に押し付けられるシステムになっているのです。市長も、総括質疑で私の質問に対して「地下鉄建設は1地方自治体でできるものではなく、国家的事業とすべき」と、答弁されています。どの事業も補助制度の改善と独立採算制打破なしには、市民の期待にこたえる事業となりえないのでありますから、京都市が他都市とも協調して、国への要望をあらゆる機会を通じて努力することが求められるのです。
市長は、「国に対してもしっかりものを言う」と、時折口にされますが、もしそうであるならば、独立採算制の撤廃と、公共交通の要となる地下鉄建設や運営に対する補助制度の抜本的改善に全力をあげるべきであることを重ねて求めるものです。今なすべきことは、運賃の値上げではなく、地下鉄へのアクセスを確保し、バリアフリー化を一層前進させ、乗り継ぎ運賃の一層の改善などの乗客サービスを向上させて、乗客の増加対策に全力を挙げるべきであることを指摘しておきます。
更に、公営企業における市民への公的責任を果たすためには、一般会計からの繰り入れは必要不可欠でありまして、この努力なくしては市民生活に責任を持つことになりません。
市立病院への補助金は削ったままです。公共下水道会計への汚水資本費補助金は、復活したとはいえ3年分の予定額35億円を、5年に分割して7億円ずつにしてしまいました。公営企業事業に責任を持つためには、削った補助金を全額回復して市民への責任を果たすべきであることを強く求めるものです。
市バス事業決算を認定しない理由を申し述べます。
第一は、市バスを限りなく民営化に導く「管理の受委託」をいっそう推し進め、市バスの「縮小・廃止・民営化」の道をつきすすもものだからであります。市バスの役割は、乗客・利用者を安全に移動させることにあることは当然でありまして、この事は理事者の答弁からも確認されています。京都市交通局は、効率性や経営の観点から、「管理の受委託」を前倒しで強行していますが、このような方向は、これまで赤字を口実にした路線の廃止や中断を行い、走行距離を減らし、ダイヤを減らし、そして限りなく乗客を減らしてきた悪しき道を走るものでしかありません。効率的な運営は、公営を維持してもできることであり、効率性は一路民間へ、というのでは、理事者の資質が問われかねないのではありませんか。
「管理の銃委託」は、委託会社の労働者の賃金引下げとイコールといっても過言ではありません。「受委託」を民間会社に競わせて、一層の給与の引き下げばかりさせていくことは結局乗客の安全を確保しないことにつながります。更に交通局労働者の負担を増やして労働条件の悪化につながります。過日、30歳の運転手の方が、走行中に突然死のようにお亡くなりになりましたが、5年嘱託などの無理な雇用が負担をかけてしまったのではないかと思うのも私だけではないでしょう。
認定しない第二の理由は、乗客増加に全力を挙げない消極的な姿勢だからであります。
この年度は8億6千万円余の純利益を出して、2年連続の黒字決算です。ところが内容を見ると、乗客は減少し、営業規模は縮小しているのですから、この黒字は今でも日本一高い運賃と、人件費や経費の削減というリストラ効果によるものでしかありません。「市長は観光客が着実に増えた、と胸を張りますが、ならばなぜ市バスのお客が増えないのか」という意見が多数出されたのも今委員会の特徴でした。乗客増加対策が不十分だったことが明らかになったわけです。
ノンステップバスの導入や停留所の改善など一定の努力はされていますが、走行環境の改善で定時性を確保することや行政区の基本計画で求められたコミュニテイバスの導入・支援などが不十分でありました。京都市は2年前、「あるいて楽しむまちづくり」「公共交通の確保」といったスローガンを掲げてまちづくりを進めるということでした。市バスは、京都市総体として走らせなくてはならないのに、良かったのはスローガンだけで、市バスはその犠牲にされたといっても過言ではありません。積極的な乗客増対策を真剣に取り組むこと、そのためにも市民・利用者の声を恒常的に聴取する「交通懇談会」などを設置して、利用者の声をしっかり聞くことを求めておきます。京都市内のアクセスにおける市バス地下鉄のシェアーは約25%であり、他都市に比べても大きな役割を果たしているのですから、真剣な取り組みが必要です。以上が認定しない理由であります。
次に上下水道事業につきましては、給水量の低下などにより浄水施設の統廃合が検討されている旨の発言がありました。市民の命の水が、清浄で安全・豊富、そして安価に提供されるよう、公的責任を果たされることを強く求めておきます。
鉛管の取替えにつきまして、理事者は「従来の計画に、年間2千件上乗せして3年間実施する」とのことでありました。市民の健康に影響することですから、3年間の特別体制にとどまらず早急な改善をすべきです。更に、上下水道料金の福祉減免制度は、他の政令市では実施されているのに、京都市だけ実現されていません。生活困難な世帯に対する施策をためらうことは許せません。早急な制度創設を求めます。
地域水道事業につきましても、過疎地での市民の暮らし向上に向けて一層の努力や未給水地域の早期解消に全力を挙げるよう求めておきます。
市立病院決算について申し述べます。市立病院の医師の確保と処遇の改善が、予算議会で全会派一致で付帯決議とされましたが、いまだに改善の見通しは立っていません。わが党は「医師の宿日直問題」では、医師の勤務が労働基準法違反の実態にあるとの指摘をし、理事者は「医師の増員については検討する」とのことでありましたから、早急な解決を求めます。
又、市立病院整備計画に関して、理事者はPFI手法を導入することを答弁されました。
20年先の経済動向も不確かな上に、今後の医療保険制度の見通しもまったく成り立たないのに、民間業者に今後の方向を任せてしまうかの運営は、公的医療を営利目的の民間資本に開放することにつながる恐れがあります。理事者は、市立病院は「政策医療、高度救急医療、災害拠点病院、安全安心の医療提供‥など自治体病院としての役割を発揮する」と決意を述べられたのですから、安易な民間手法に組することは避けるべきではありませんか。
今年度編入合併しました京北町の「簡易水道」と「下水道事業」、「京北病院」の決算も審議されましたが、市民サービスの低下が起こらないように求めておきます。
最後に、全国的に問題となっております「アスベスト健康被害対策」についても、今委員会でも論議となりました。私どもは早急な調査と安全対策を求め、理事者は「全ての施設や備品について検査・分析をしている」とのことでしたが、事は市民・職員の健康と命に関わることでありますから、緊張感を持って厳密な調査・分析を早急に完了するよう求めまして、私の討論といたします。