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市会報告

かとう広太郎 議員

05年10月13日(木)

ポンポン山買収疑惑の解明を求める決議案の提案説明 05年9月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党京都市会議員団は、お手元に配布しておりますように、「ポンポン山買収疑惑の解明を求める決議」(案)を提案しておりますので、共産党議員団を代表して、説明をいたします。

 9月15日に最高裁判所第一小法廷は、大阪高裁がH15年2月6日に言い渡した、H13年行政第41号損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件のいわゆる「ポンポン山ゴルフ場予定地にかかわる田辺前市長に対する住民訴訟」について、前市長など申し立て人からの上告に対して、不受理を決定しました。田辺前市長に26億1257万7972円を京都市に損害賠償を命じた二審大阪高裁判決が確定しました。

 1992年3月、京都市ゴルフ場等建設審査委員会が、「ポンポン山でのゴルフ場建設計画を認めないことが相当」との意見具申を出し、京都市が開発企業である池尻興産株式会社に対して事前協議をおこなわない旨を表明しました。これに対して池尻興産と(株)北摂カントリー倶楽部の二社が、京都市に対して80億円の損害賠償を求める調停を京都簡易裁判所に申し立てをしたことから始まりました。

 5月に開かれた臨時市議会で、田辺市長より「約47億5600万円で買い取る」との議案が提出され、議会で審議がおこなわれました。日本共産党議員団は買い取り議案に対して、国土法の手続きからも「1平方メートルあたり1515円で買収したいとの届出に、市長名で不勧告通知書を出しており、この買収価格を知っていながら不動産鑑定士に高額の評価をさせて、簡易裁判所を巻き込んで『正当性』があるかのように裏付けさせた高額の買収は認められない」「なぜ京都市不動産評価委員会に諮問しないで、今回が初めての鑑定所の一社鑑定の手法を用いたのか」「あくまで裁判で争うことをしないで、簡易裁判所の調停に持ち込んだのは、どのような理屈をつけても金額の合意などが表に出て、他の一切が闇の中で処理できるとした、みえみえの謀略ではないのか」などと反対討論で主張しました。他方、自民党、公明、当時の社会党および新進党・市民クラブ議員団が高すぎる価格の買い取りに賛成したのであります。

 日本共産党議員団は、住民側勝訴となった京都地裁の判決後も、また、大阪高裁の判決後にも、議会に100条委員会である特別委員会を設置して、一連の事件の解明を求めてきた経過があります。残念ながら他会派の反対によって、行政に対するチェック機能を発揮できないまま今日に至っています。

 大阪高裁は前市長の「議会への十分な説明や資料の提出を怠った」など厳しく指摘していますが、前市長個人の責任だけでしょうか。組織としての京都市の反省が必要ではありませんか。全容解明に協力しないばかりか、住民側と対決する立場で訴訟参加してきた桝本市長の責任は極めて重大です。

 9月21日、「ポンポン山ゴルフ場予定地買収疑惑を追及する市民の会」が桝本市長に対して、1. 約47億円余の金の流れ、いつ、どこで、誰が、どの様に関与したのか。2. 当時の担当者であった幹部職員の責任の明確化と処分、退職した職員については退職金の返還も含めた処分を行うこと。3. あり得ない高額な鑑定書を作成し、京都市に損害を与えた細見正博鑑定士に対して損害賠償を求めること。4. 確定した賠償額の回収を最大限に行うこと、を文書で提出されています。

 多くの市民の声を代表しているものと思います。前市長の個人的な責任に終わらせてはならない立場からも調査すべき点をあらためて指摘します。

 高裁判決は次のように述べ、原告側の主張を裏付けています。

  1. 土地の具体的な利用計画もないのに買い取りを急ぎ、高く買い取るために公有財産規則の土地評価委員会に諮問をせず、一度も取引実績のない(株)関西総合鑑定所(細見正博鑑定士)になぜ依頼したのか。
  2. 細見鑑定書における本件土地の評価額は、「土地評価の基本的な事項に重大な誤りがあり、評価額も極めて高い」と判断して、適正価格を大幅に上まわり、これを採用することは到底できない。即ち、鑑定評価を48億円もの高めにするように依頼をしたのは誰なのか。
  3. 土地評価委員会に諮問しなかったのは、「判決、和解、調停等で土地価格が確定した場合」の項によるとの理事者の議会説明に、判決は、「調停裁判所に対しては、本件土地の適正価格算定の書類を一切出さず、しかも、京都市側代理人の要望にもとづく価格で、本件価格を出したもの」と指摘しています。即ち、「鑑定額を高く吊り上げ、その高い価格で市が買い取るといった上での和解で、裁判所側から価格を検討したものでないこと。そのこと自身が京都市側の一人芝居の結果であり、「評価委員会に諮問することなく本件議決を行ったことは、規則に違反する」と明確に指摘しています。
  4. また議会に対しては、「本件土地の買取価格が適正かについて、当然なすべき実体的な調査や審議を尽くさず、手続きでも内規に違反した上で、高値での買い取りを議決したものであり、この点でも違法がある」と厳しく指摘しています。
  5. また判決が「議会への十分な説明を怠った」と指摘する市側の異常な対応も指摘せざるを得ません。買い取り議案の審議で、委員会で求めた「調停申立書の決定文書の申立人側の代理人の山梨県弁護士会所属の平出馨弁護士名をわざと削除」して提出したのであります。日刊ゲンダイの93年8月5日号は「この買収劇をまとめたとされる市の幹部は、京都に来る前に山梨県で議事調査課長などをやった経歴の持ち主。その当時、元山梨県会議員だった丸金コーポレーションの現社長と知り合ったのではないか」と書いています。平出氏が今回事件の資金源の(株)丸金コーポレーションの取締役をしているのを市が知られるのを恐れて、当初から議会をあざむく意図で空白にして、わが党委員が質疑を通じてその氏名を要求しても隠し通してきた事件もあるのです。担当助役をさしおいて、行動した当時の佐藤達三助役が、共産党議員の本会議質問に「価格は裁判所の指導で決めた」との答弁は、全く事実に反したものと、判決は厳しく批判をしているのです。このことは、日本共産党議員団の指摘が正しかったことを如実に示しているのです。

 調停にかかわる件でも、適用されない条文を知っている者が悪知恵を働かせて利用するなど、シナリオを誰がつくり、動き、動かされたのか、関係した職員や退職した職員からも聞き取り調査をするのは組織として当然ではありませんか。

 桝本市長は大阪高裁判決文を読みましたか。

 判決文を読めば、市長として「なぜこんなことになったのか」と調べ直すことになるのではありませんか。自治体トップの責任は重みを増しています。市民の注目度も高くなってきています。政策立案から支出先、価格の決定に至る全ての過程での情報と説明責任が求められているのです。

 桝本市長、ポンポン山買収住民訴訟の住民側勝訴の確定にあたって、日本共産党市会議員団長の談話と「買収疑惑を追及する市民の会」の申し入れ書にどの様にこたえ、行動されますか。市長は、9月20日の市長訓示において、「本市の主張が認められずに誠に残念ですが、司法の最終判断が下されたもので、、これを真摯に受けとめる必要があると考えております」と発言されていますが、その「真摯にうけとめる内容」とはなんでしょうか。

 最高裁の「上告審として受理しない」の決定を受けて、市長も私たち議会側も、「前市長や行政側がおこなったもので、自分たちは関係ない」とすまされるのかが問われています。市長が、一連の疑惑を解明しないならば、同じ誤りを犯す体質を持ちつづけることになってしまいます。もちろん、判決で「当然なすべき調査や審議を尽くさなかった」と指摘された議会の責任もいうまでもありません。

ある市民は、「前市長だけがやったわけではない。一人で賠償金を負うことには違和感がある」と言われましたが、市役所という組織とともに「賛成した議員にも連帯責任があるのでは」という市民の声も多くあります。

 13年を経過しましたが、当時、賛成した市会議員が28名もおられます。どの様にその責任を市民の前に取られるのでしょうか。行政をチェックする姿勢が甘くなっていなかったか、議員一人一人が自らに厳しく問い直してほしいとマスコミも指摘しています。

 本来なら最高裁での大阪高裁判決の確定を受けて議会で100条委員会を設置して解明すべき事件だとあらためて指摘するものです。市長は判決を真摯に受け止め、市民に対して謝罪するとともに、事件の全容を自らの責任で解明し、市民に報告すべきであります。

 同僚議員の賛同を期待して、提案説明といたします。