倉林明子 議員
05年9月14日(水)
倉林明子議員の代表質問と答弁の大要 05年9月定例市会 本会議代表質問
日本共産党の倉林明子です。質問に先立ちまして、先の総選挙で日本共産党にお寄せいただいた大きなご支援に心から感謝申し上げるとともに、確かな野党として掲げた公約である増税反対、憲法9条守り抜くために全力をあげる決意を表明させていただきます。
私は、日本共産党京都市会議員団を代表し、市長ならび関係理事者に質問します。
構造改革と市民負担増について
今回の総選挙は小泉首相が誕生して四年間、小泉「構造改革」をすすめるのかどうかが大きく問われました。問題は改革の中身です。国民の立場から、この四年間をふりかえればすさまじい痛みの連続でした。年金、医療、介護と社会保障制度全体で負担を大きく増やし、大企業のリストラを支援し、大量の失業者と不安定雇用の拡大を一気にすすめました。さらに定率減税の廃止にもふみきりました。毎年の負担増を提案するたびに「痛みに耐えれば希望ある明日が見える」と首相は繰り返し叫びましたが、選挙後に用意されている改革は、サラリーマン増税に消費税増税と最悪の庶民大増税ではありませんか。一方で史上空前のもうけをあげる大企業の減税はそのままというのですから、構造改革の本質は「強きを助け、弱きをくじく」ものだということは明らかです。こうした構造改革をすすめる国の政治に対し、地方自治体はどう住民のくらしを守り、福祉の向上に努めていくのか、大きく自治体のあり方が問われています。
払える国保料に引き下げるべき
市長は、二月議会で国保料や保育料の値上げ、さらには敬老乗車証の有料化と市民負担を雪だるま式に増やす予算を提案し、与党議員の皆さんの賛成で可決しました。この負担増に対し、「水を飲んで生活しろというのか」「国保料が倍になって、その上敬老乗車証まで有料化とは」と悲鳴のような声があがっています。年金収入は変わらないのに国保料が二倍から三倍となり、現在の減免制度の対象とならない世帯が二万世帯を超えています。国と京都市による負担増は市民生活を破壊するような痛みになっているのです。二月議会で認識を問われた市長は、国の「改革」については「給付と税などのバランスをどう保つか議論がなされて出た結論」、京都市の市民負担増については「受益者負担の適正化を中心とした改革」と答弁されていますが、市民にとっては「給付は減る、負担は増える」という痛み以外のなにものでもありません。国民健康保険料は払える保険料に引き下げるべきです。とりわけ二倍、三倍と急激な国保料の引き上げとなった世帯に対する新たな減免制度の創設を緊急に求めるものですがいかがですか。
〈松井副市長〉100億円の累積赤字のもと、一般会計繰入金は過去最高の154億円とした。引き下げは困難。また、保険料の算定方式を変更したが、新たに所得割保険料がかかる非課税世帯の減額を2年間実施しており、さらなる減免制度の創設は困難。
地下鉄運賃の値上げは撤回を
さらに地下鉄運賃の値上げとは、もってのほかです。今回の値上げの提案にあたって、建設費の高騰やその返済金による経営赤字を理由にしていますが、赤字の根本原因である東西線建設費を大手ゼネコン会社の言いなりに、二倍に膨張させた責任には全くふれていません。また、値上げを誘導する国の財政措置に大きな問題があります。一般会計から経営健全化のための出資金を受ける条件として、計画的な運賃改定がおりこまれ、値上げしなければ、国は起債制限措置をおこない、経営健全化団体指定を取り消すというものです。これは国が地方自治体に運賃値上げを強要するもので、国の責任は重大です。市民に値上げを求める前に独立採算制と料金値上げを押し付ける国に対して、必要な財政措置を求めるべきではありませんか。名古屋、横浜、大阪など地下鉄を運営する大半の政令市の料金は据え置いたままであり、本市が値上げをすれば初乗りではまさに「日本一高い地下鉄運賃」ではありませんか。値上げ提案の撤回を求めるものです。お答えください。
〈市長〉決して日本一高くない。2区以上については政令市最高ではなく、初乗りも最小の10円増に抑え、京阪鴨東線と同じ210円。財政状況を悪化させることは市民の大切な足と財産である地下鉄の存続を危うくする。運賃改定は10%見込みを7. 4%に引き下げ、乗客負担の軽減を十分に考えたもの。
公務員削減計画について
小泉首相は小さな政府をめざすといいますが、そもそも日本は今、国際的に見て大きな政府なのかという問題です。社会保障給付費は国民所得との比較で見れば先進国では最も低い水準です。公務員をみても総務省の九八年度の統計資料では、人口千人あたり日本が三八人です。ドイツは六五人と一・七倍、アメリカ、イギリスは約二倍、フランスは二・五倍も日本より公務員が多いのです。もともと先進国の中で、社会保障や公務員数で見れば日本は小さな政府なのです。国際的な水準を無視し、やみくもに国民に負担を押し付けるやり方は明らかに間違っています。
そこで市長に質問します。政府はこうした方針に基づいて、地方自治体にさらに公務員を削減する計画を新たに策定するよう求めていますが、機械的な削減は市民サービスを後退させかねません。ムダがないのか、職場や業務の点検を徹底して行うことはもちろんですが、市民サービスを守り福祉の向上をはかるという立場を堅持し、新たな職員削減計画の提出に応ずる必要はないと考えますがいかがですか。さらに、現状でも市立病院での労働基準法違反の長時間労働や、サービス残業が常態化している職場も残されています。必要な人員の確保に努め、法を遵守する決意を求めるものですがいかがですか。
〈松井副市長〉国の新たな「指針」もふまえ、決して市民サービスの低下を来さないようさらなる適正化に努める。時間外勤務は健康管理、公務能率向上の観点から昨年9月に指針を改正し、これにもとづき時間外勤務の縮減に取り組む。
生活保護費の国庫負担率の引き下げは認められない
社会保障費で、大幅な削減を打ち出す政府ですが、京都市にとって来年度の予算で最も影響が心配されるのが、生活保護費の国庫負担の問題です。三位一体改革で削減の対象とされたものの、地方自治体の猛反発にあい先送りされていましたが、いよいよ正念場をむかえます。負担率が現在の四分の三から三分の二に削減されれば、京都市にとって六十二億円の負担増となるものです。負担率の引き下げは、憲法二五条に基づく生活保護行政に対する国の責任を放棄するもので断じて認められません。指定都市市長会としても七月に、事務返上も視野に入れた月次報告の中止にふみきられたところですが、改めて生活保護費の国庫負担率の引き下げは認めない、市長の決意をお聞かせください。
一方で指定都市市長会が要望の中で生活保護の改革として、生活保護基準を引き下げる改革を提案していることは重大な問題です。具体的に基礎年金生活者との比較で高齢者世帯の保護費が高いことや、母子世帯の一般家庭と比べて生活保護を受けている母子世帯の収入が多いことを紹介し、生活保護世帯の医療介護に一部負担の導入までふみこんでいますが、とんでもない提案です。老齢加算や母子加算が廃止され、元に戻してほしいという声が聞こえないのでしょうか。生活保護水準を切り下げることは、憲法で保障する健康で文化的な生活の水準を引き下げることに他ならず、国の生活保護行政の責任をあいまいにするものです。市長は指定都市市長会のこうした要望に対して水準の維持・拡充を盛り込むよう求めるべきですが、いかがですか。
〈松井副市長〉生存権保障から費用は本来全額国が負担すべきであり、国庫負担率引き下げは、国の責任放棄と地方への負担転嫁に他ならず認められない。やむを得ず政令市協調して月次報告停止を行うことにした。生活保護は制度疲労を起こしており、無差別平等の趣旨にのっとり、現状に適合したものとなるよう国に求めている。
ムダと不要不急の公共事業の見直し、同和特別扱いは、やめるべき
京都市内高速道路計画の凍結・撤回を
そもそも「小さな政府をつくる」「税金を節約する」というのなら、まず改めるべき大きなムダづかいがあります。一九九一年のソ連崩壊以後、米国とその同盟国が軍事費合計を二割減らしているのに日本だけは逆に二割り増しし、年間約五兆円と今や世界第二位です。相手が消えているのに旧ソ連との戦争を想定した一両八億円の戦車や一隻千三六五億円のイージス艦を買い続けているのです。関西国際空港二期工事など巨大事業は残されたままで、日本の公共事業費は政府の試算でもフランスの三倍、イギリスの十二倍です。異常に増大しているこんなムダづかいを、きっぱり見直すべきではないでしょうか。京都市が見直すべきムダづかい、その第一が市内高速道路です。道路公団が民営化される十月が目前に迫っています。公団の民営化とセットで地方自治体の負担も含め、ムダな高速道路を税金でつくる仕組みがつくられましたが、日本共産党京都市会議員団は京都市の財政負担が際限なく増えることを指摘し、凍結・撤回を求めてきました。先日発表された建設中の二路線の、協議内容と今後の進め方では、「本市の負担軽減」とありますが、その内容は、斜久世橋区間の一.四キロメートルを公団の肩代わりをして京都市の街路事業とするものです。民営化前と比較すれば結局、百三十五億円の大幅な負担増ではありませんか。国や京都府の財政支援があるというものの、新たな負担増が生じることは明らかです。この二路線の負担増の見込み額及び残る三路線や名神高速道路と油小路線を接続するジャンクションで新たな京都市の財政負担がどれだけ増えるのか明確にお答えください。道路公団民営化を前に、改めて凍結・撤回を求めるものですが市長の答弁を求めます。
さらに建設費二百三十億円の焼却灰溶融炉も建設を急ぐ必要は全くありません。現状のままでも三十年は埋立地の使用は可能だと京都市も認めています。さらにゴミ減量の取り組みを進めれば、まだまだ寿命を延ばすことが可能です。返済不要の進路支援事業など同和特別扱いもきっぱりとやめるべきですがいかがですか。市民には非常事態だと市民サービスの切り捨てをすすめながら、ムダと不要不急の公共事業や今や市民に説明のつかない同和特別扱いを続けることは許されません。
〈市長〉国等と強い姿勢で協議を重ねて、国と府の支援が得られ財政負担が大幅に軽減されることになり、総額約270億円分を本市街路事業として引き受けた。事業中の2路線の進捗に支障を来さないよう新会社と連携ししっかり意見も言いながら不退転の決意で取り組む。残る3路線や名神とのジャンクションも様々な要因を検討して事業化に向けた取組を推進したい。
伝統産業活性化条例について
次に経済対策について伺います。日本経済は長期の不況から回復の兆しが見えるといわれているものの、市民にその実感はほとんどありません。それもそのはずで、市民所得は、この二年間でみても一人当たり年間約二十万円も落ち込んでいます。全国的に回復していると言われる企業業績も京都市では法人税収入が平成十六年度決算は昨年度と比べても二十億円も減収見込みです。
全国ではどうでしょうか。小泉構造改革のこの四年間で国民所得は六兆円減少していますが、その内訳をみますと実態は深刻です。労働者の収入は十二兆円落ち込み、個人財産の六兆円減少と合わせて十八兆円も減少しているのです。その一方、企業部門とりわけトヨタなどの大企業を中心に十二兆円の増加です。強いところはますます強くなり、弱いところはさらに弱くなるという状況が拡大されています。結局、いくら大企業がもうかっても、地域経済や市民生活がよくならないことが明らかになったのではないでしょうか。
地方自治体に問われるのは、地域産業の担い手の圧倒的多数を占める中小企業、伝統地場産業、商業など、競争力だけでは東京や大阪資本には勝てない京都の産業をどう振興させていくかという点です。そこで、何点か質問します。
まず今議会に上程されています伝統産業活性化推進条例についてです。深刻で危機的な伝統産業の現場から、大きな期待が寄せられる中、検討委員会の提言をふまえたものとして提案されました。日本共産党市会議員団は一九九九年に伝統産業の振興のための提案を行っていますが、ようやく条例が制定されることについては歓迎するものです。
問題はその内容と条例の実効性がどう担保されるのかという点です。検討委員会の提言でも示された課題は四つ第一に「売り上げ低迷」、第二に「後継者問題」、第三に「原材料・用具確保難」第四が「海外生産の増加」です。これらを具体的に解決するものとなっているでしょうか。分業化による技術の高度化とその集積が特長である京都の伝統地場産業、その要は、つくり手である職人です。職人の賃金が低下の一途をたどり、仕事がくるまで副業でしのいでいる状況がますます広がっています。高齢化で廃業も後をたちません。後継者が育たないのも、生活できない賃金水準の問題がネックになっています。技を持った職人の極端な減少、伝統産業に欠かせない材料や用具のつくり手がいなくなり、このまま放置すれば、貴重な伝統産業が一つ一つ消えていくことが懸念されます。道具作りも含め、職人を伝統産業の担い手として条例で位置づけ、職人の労働環境及び賃金の改善を業界、行政の役割に明記すべきではありませんか。
また、西陣織にとどまらず、京友禅、京仏具など海外生産へ大きくシフトしたことが、京都市の伝統産業に打撃を与えていることを直視すべきです。業界だけでは、規制のルール化は極めて困難です。国にも働きかけ、海外生産の逆輸入を規制する内容を盛り込むべきではありませんか。同時に取引慣行・価格形成の見直しにむけて、監視や誘導に京都市が積極的に関与することも明記すべきです。いかがですか。答弁を求めます。
加えて、緊急に求められる伝統地場産業支援策の一つを提案します。友禅の蒸水洗、黒染めの業界では、大量の重油を使用します。重油高になる以前から、単価の引き下げでぎりぎりの状態でふんばってきたものの、ここにきて重油高が大打撃を与えています。価格が安定している都市ガスへの転換をしたいが、設備投資の余力がなく、これを機会に廃業を考えざるを得ないという声も出ており、たいへん厳しい状況です。伝統産業活性化推進条例制定の時だからこそ、国の天然ガス化推進補助事業も活用し京都市も補助を上乗せする、新たな助成制度を創設してはいかがでしょうか。関係者を激励するだけでなく、伝統産業支援に対する京都市の姿勢を示すことにもなると考えますがいかがですか。
〈産業観光局長〉職人以外にも卸・小売業者や消費者などにも支えられており、こうした人々が担い手である。伝統産業が活性化されれば、職人の雇用等の改善にもつながると考える。地方自治体が生産や輸入の規制を行うことは困難であり、毎年国に対して要望している。 取引慣行・価格形成の監視や誘導は出来ないが、「活性化検討委員会」から提言をいただいている。国の助成制度があり、自己負担分に充当できる中小企業融資制度の活用を促したい。
「まちづくり条例」、商業集積ガイドラインの撤回、見直しを
商業振興策で見直すべきは、すでに破たんが明らかなまちづくり三法です。大型店の出店は、大店法の廃止以後、さらに拍車がかかってきています。来年のビッグカメラに続いて、ヨドバシカメラが近鉄を買収し、カメラや家電業界に大打撃が予想されます。加えて京都市が誘導しているキリン工場跡地には八万平米の大型商業施設計画があります。周辺の商店街だけでなく、京都市全域への影響が懸念されます。百貨店や電気店街にとどまらず、市内全体の人の流れも大きく変わり、地域の商店街や小売店に与える影響は計り知れません。これら、京都駅周辺に出店を表明している大型店と、JR伊勢丹の巨大東京資本が一気に展開すれば、大手が地元の消費を吸い上げてしまい、地元の商店街はひとたまりもありません。こうした状況がまかり通るようになったのは、大店法が廃止され、それまでの不十分ながらも実施されてきた需給調整が全くできなくなったことが最大の要因です。加えて、京都市のまちづくり条例と商業集積ガイドプランが島津五条工場跡地のダイヤモンドシティハナをはじめ、大型店の出店を容認、推進する役割を果たしてきたからに他なりません。五月議会でわが党議員がその見直しを求めたのに対し、『本市「まちづくり条例」「商業集積ガイドプラン」は、その基準を遵守することによって過度の大型店出店が抑制され、都市づくりの目標と整合した商業配置の実現に大きな成果をおさめてきた。』との答弁がありましたが、とんでもない認識です。確かに現在でも他都市と比較して京都市における小売店にしめる大型店の割合は低いのですが、その理由は大店法廃止までに過度な出店をさせなかったからこそではありませんか。
まちづくり3法の抜本的見直しを国に求めよ
昭和五六年、市会でのスーパー凍結宣言にいたった商店街を中心とした市民の力が大型店と対抗し、過度な出店を抑制してきたというのが京都市の歴史ではなかったでしょうか。東京や大阪資本を中心とする大型店が商業配置の中核になれば商店街や小売店だけでなく、まち全体を疲弊させかねません。これでどうして華やぎや活気があるまちといえるのでしょうか。まちづくり条例と商業集積ガイドプランが効果をあげていないことは明らかです。撤回を求めるものですがいかがですか。また、七月には、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の四団体が国に対して、まちづくり三法の改正を提案されています。まちづくり三法の効果は得られず、中心市街地の衰退を地域全体の危機とも言える状況だと現状を厳しく指摘し、大型店を含むアミューズメント施設等も対象とした「大規模集客施設立地法」の制定を求めています。その特徴は地域の生活環境、社会環境にとどまらず経済環境に対する事前の評価と立地後のフォローアップのための社会的規制を目的としている点にあります。京都市はこの認識を共有すべきではありませんか。国に対して、大型店を規制する内容となるよう抜本的な見直しを求めるべきです。いかがですか、お答えください。
〈星川副市長〉全国に先駆けて条例とガイドプランを策定して、他都市と比べて大型店出店数が大幅に少なく郊外立地も抑制されているなど、商業集積の適正配置に大きな効果をあげている。国の3法見直しの議論のなかでも先進事例として評価されている。今後とも、この制度の的確な運用で市民生活とまちづくりに配慮した商業集積の適正配置に努め、京都らしい魅力的な店舗の創出をはかる。
京都市職員の処遇、職員不祥事根絶の取り組みについて
次に京都市職員の処遇および不祥事根絶の取り組みについて質問します。
市民の信頼を大きく損ねるのが、職員の不祥事です。中京区の切手横領事件、東山区の生活保護費の紛失事件、今年も暴力行為や職員が職員を脅迫するなど京都市職員の不祥事は相次いでいます。その上、先般発覚した京都市個人情報保護条例違反は、初の条例違反者が京都市職員だったというのですから事態は深刻です。さらに、水道局職員が不正に水道を使用していた事件も発覚しました。
繰り返される不祥事を市民はどう受け止めているでしょうか。事件を起こした職員の問題にとどまらず京都市全体の信用を失っている事実を重く受け止めるべきです。中京区の事件については、事件の背景も含めた分析と再発防止に向けた取り組みが明らかにされましたが、発覚から一年以上経過してもなお、事件の全容解明も再発防止策も出されていないのが東山区の生活保護費の紛失事件です。先日すでに警察に告発していたことを、ようやく明らかにされましたが、事件の全容と再発防止策は見えてきません。事件の当事者が部落解放同盟の幹部であることと全容解明の遅れは関係ないとの説明ですが、この対応の遅れは市民の不信をいっそう増すものと言わなければなりません。個人情報保護条例違反の再発防止策とともに徹底した事件の全容解明を求めるものですがいかがですか。
職員の処遇問題は大阪市で大問題となり、「市役所は大阪から出て行け」と市民の大きな怒りを買いました。全職員の十三%にも及ぶカラ残業、ヤミ年金にスーツ支給など今年度予算で削減した分だけでも一六六億円にもなる異常な厚遇に対する怒りは当然です。さらに職員団体である労働組合の活動でも、いわゆるヤミ専従が明らかになり、選挙活動を共にしてきた市当局と労働組合との癒着の根深さが指摘されています。
問題は京都市ではどうかという点です。いうまでもなく、議員も含め自治体職員の給与等は住民の税金でまかなわれているものであり、賃金や労働条件は市民の理解と支持が得られる適正なものでなければなりません。法や条例を逸脱する行為が許されないことはもちろん、変化する市民生活や地方自治体の状況も踏まえ適切に見直しが図られるべきものです。
京都市では法や条例に違反する事例はなかったのかどうか。調査結果を踏まえて明確にお答えください。あわせて、委員会審議でも職員処遇及び職務専念義務免除に関する情報公開と見直しを求めてきましたが、これまでの取り組みと到達を市民の前に明らかにすべきだと考えますがいかがですか。
〈松井副市長〉東山区の不祥事は昨年12月に業務上横領の疑いの事案を発見して刑事告発し捜査が進められている。特定団体に属しているからという指摘は憶測であり断じてそうではない。再発防止はマニュアル充実など徹底に努める。個人情報の適正管理は手引書作成や研修充実に努める。組合活動に係る職免については抜本的改革を実施した。
二条駅跡地の整備計画について
最後に中京区の問題を二点質問します。二条駅跡地の整備計画は計画制定から十五年が経過し、施設計画も二転三転してきました。今年ようやく六月末に複合型映画館が開業し、立命館法科大学院の建設も進んでいます。いよいよ残る未利用地は郵政公社所有分と京都市の五角形用地となり、五角形用地をどうするのか、計画の具体化が必要です。文化施設をつくるという、もともとの計画はありますが、大きく跡地の状況が変化し、財政状況も深刻になるもとで、当初計画にしばられずに改めて市民の声を生かした利用計画に見直すべきではないでしょうか。当初計画を白紙撤回することとあわせ、市民参加の利用を検討する機会をつくるべきだと考えますがいかがですか。
〈建設局長〉当該地に残る建物移転のめどがついたことを受け、市街地整備の交流結節点に位置することなどの特性や財政状況等を勘案しつつ活用を検討したい。
木屋町界隈のまちづくりと立誠小学校跡地の今後の活用について
もう一点は、木屋町界隈のまちづくりと立誠小学校跡地の今後の活用についてです。立誠小学校が廃校となって十二年、風俗営業の店が乱立し木屋町界隈は大きく変化しました。まちの風情と情緒を取り戻そうと、自治連を中心にパトロールや立誠小学校跡地でのイベントなど自主的な努力が重ねられてきました。今年、こうした取り組みに応え、立誠小学校のグランドが教育施設として位置づけられたことは、遅きに失したとはいえ、これ以上の風俗店の出店に歯止めをかけるという点で大きな意義があります。しかし教育施設としての位置づけは暫定的なものに過ぎず、小学校跡地活用計画では立誠小学校に観光施設をつくることとなっています。風俗営業の歯止めにならない施設でいいのか、新たな観光施設を京都市が今つくる必要があるのか計画を見直す時だと考えます。今年は小学校跡地活用計画策定から十年、既定の計画とせず、恒常的な教育施設の検討をすべきですがいかがですか。以上、私の第一質問といたします。
〈星川副市長〉都市観光の拠点施設として活用する方向付けがされている。引き続き地元のご意向、庁内プロジェクトも踏まえて検討したい。
第二質問
国と京都市の行っている負担増に対し、市民の痛みを全く感じておられない答弁でした。応分な負担を市民に求める前に、やるべきことがあると指摘しましたが、負担増となっても高速道路も焼却灰溶炉建設もすすめるというのでは、財政再建も市民生活を守ることも結局できないことになるとはっきり指摘するものです。引き続き地下鉄運賃の値上げ撤回をはじめ、市民のみなさんとともに暮らしを守る市政への転換をめざして全力を挙げる決意を表明して質問を終わります。