井坂博文 議員
05年5月31日(火)
「地方交付税制度の堅持と国庫負担金確保を求める意見書」についての賛成討論 05年5月定例市会 閉会本会議討論
上程されております与党三会派提案の「地方六団体改革案の早期実現に関する意見書案」は、「分権」とは名ばかり、地方財政も圧迫する「三位一体改革」の促進をはかるという「地方六団体改革案」を前提としており、その早期実現を迫るものであり、到底賛成できるものではありません。
まず、改革案の中にある「義務教育費国庫負担金の税源移譲」に関して、「地域間格差を生むことになり教育の標準化からみて問題が多い。よって現行の制度を守るべき」という全国の知事の中からも反対や異論の声が上がるなど、内部でもまとまっていないにもかかわらず「六団体の総意」としていることは現実を無視したものであります。
そもそも、地方六団体の提案を受けて昨年11月の政府・与党合意によって「三位一体の改革について」がまとめられ、その税源移譲案は、05年、06年度で国庫補助負担金を3兆円程度廃止・縮小し、税源移譲を概ね3兆円規模をめざすとしました。その主な内容は、義務教育費負担金8500億円、国民健康保険負担金7000億円、その他2100億円などです。しかし、3兆円の税源移譲額のうち2割の6000億円の対象が決まらず、その候補として生活保護と児童扶養手当の負担金が検討対象とされています。同時に、義務教育費国庫負担金に関しても8500億円の額が決定されただけで、どういう内容と方法で縮減するのかは合意には至っていません。だからこそ知事の中から、「現行制度を守るべき」という声が上がっているのであります。
ところが、与党提案の意見書案ではこの政府・与党合意を前提にして「国庫負担金の個別事項の最終的な取り扱いを、国と地方の協議の場において協議・決定する」こういうことを求めるという大変大きな矛盾を抱えています。なぜならば、地方六団体は生活保護費負担金の削減には反対しつつも義務教育費国庫負担金削減については政府の方針には従っているのです。そこで「国と地方の協議において決定する」となれば、義務教育費については削減の方向で決まってしまうではありませんか。
また、地方財政にとって一番大事な地方交付税制度は「三位一体改革」の中で、財源保障の機能が縮小され、総額が減らされ、さまざまな仕事と住民サービスの後退が余儀なくされることは明らかであります。このことを端的に示したのが、昨年度の公立保育所運営費の削減でした。地方六団体も求めていた国庫補助負担金の一般財源化によって国の財政責任があいまいにされたまま国庫負担金が削減され、本市においても公立保育所の予算が削減されるという大きな影響をうけたではありませんか。
このように、国庫補助負担金の制度であれば国の責任で自治体に財源を保障し支出しなければなりませんが、税源移譲に切り替えられればその後は地方交付税を縮小することによって国の支出を抑えることができる。これが政府の言う「三位一体改革推進」の本当の狙いであります。
したがって、「基本方針2004」および「政府・与党合意」に基づくことを前提にして、「地方公共団体の財政運営に支障が生じないように」もとめること自身、明らかな矛盾であります
以上が、与党三会派提案の意見書案に賛成できない理由であります。その上で国の「三位一体改革」路線に対して、地方議会・地方自治体として地方交付税の財源保障と財政調整の機能の充実強化、国庫負担制度における国の責任を果たすことをもとめるわが党議員団提案の意見書に賛同されることを強くもとめまして私の討論といたします。