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市会報告

倉林明子 議員

05年5月31日(火)

市税条例の一部改正に対する反対討論 05年5月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党京都市会議員団は、議第137号市税条例の一部改正には反対、報第2号は承認しないとの態度を表明していますのでその理由を述べます。

 二つの議案はいずれも、2005年度地方税法「改正」に伴い条例を規定整備するものですが、「改正」の中心は定率減税の縮減や高齢者の非課税措置の廃止など、大幅な市民負担増を伴うものであり、到底容認できません。

 反対の第一の理由は、老いも若きも負担増を市民に強いる「改正」だからです。まず定率減税の縮減です。段階的廃止の初年度となり低所得、中間所得の市民に大きな負担を負わせるものです。負担増となる市民は約55万人、市民税分で26億円の市民負担が増えることになります。政府が1999年から実施してきた定率減税を廃止する根拠は「経済状況が改善」とされていますが、京都市民の実態はどうでしょうか。定率減税が開始された99年度当初718億円あった市民税の税収が、毎年減少し04年度は604億円と110億円をこえ大幅に落ち込んでいます。市民の懐は改善どころか悪化していることは明らかです。ここで増税に踏み込むことは、市民生活に打撃を与えるだけでなく、景気そのものに悪影響をもたらすものです。そもそも定率減税は、法人税率の引き下げと大金持ちの最高税率の引き下げとあわせて恒久的な減税措置としておこなわれたものです。大企業と大金持ちの税負担はかつてなく軽くなっているのに、ここには手をつけず、庶民に対する減税だけをやめて増税するなどあまりにも庶民いじめであり許せるものではありません。

 高齢者には今年度の老年者控除廃止に続き、65歳以上の高齢者に対する現行の125万円以下の所得の場合に実施されている住民税の非課税措置を段階的に廃止するとしています。全国で100万人が影響を受け、171億円の増税となる見込で、相次ぐ高齢者いじめの増税です。負担増は税にとどまらず、これまで非課税だった高齢者が今年から課税となることで、介護保険料や敬老乗車証などにも連動するだけでなく、非課税だから利用できた老人医療費の助成なども受けられなくなります。高齢者の負担増は雪だるま式に増える過酷なやり方です。

 さらに、いわゆるフリーター課税の強化で担税力の低い市民に課税対象を広げるものです。全国400万人ともいわれるフリーターだけでなくアルバイトやパートなどからも、あまねく負担を求める内容です。こうした働き方をされている方は、年末調整がありませんので、確定申告をしなければ税の還付が受けられない人が続出するといわれており、結局弱い者いじめになるものです。

 第二の理由は、こうした市民への大増税の一方、担税力のある大企業、大規模土地所有者には優遇措置が延長・拡充されているからです。大企業への非課税措置の拡充に加え、株取引を促進する優遇措置の拡充が盛り込まれました。今回も特別土地保有税の徴収猶予の条件緩和が盛り込まれましたが、現在京都市が徴収猶予している特別土地保有税は157件42億円にものぼっています。

 能力のあるものには優遇措置を、担税力の脆弱な市民には増税をすすめるやり方は税制の民主主義を大きくゆがめるものに他なりません。負担増を求めるべきは、過去最高の利益を上げている大企業ではないでしょうか。

 政府は引き続き「三位一体の改革」で、地方自治体には生活保護費の負担率の引き下げや大幅な交付税の削減を押し付けようとしています。市民にも自治体にもさらなる負担増の方向がいよいよ明らかとなっています。市民生活と景気回復に深刻な打撃を与える条例「改正」には反対することを重ねて申し上げ討論とします。