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市会報告

加藤あい 議員

05年3月18日(金)

2005年度予算関連議案について討論 05年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党議員団は、2005年度一般会計予算案他、予算関連議案31件には反対の立場を表明し、その他の議案については賛成の立場を表明しております。私は、議員団を代表して、その理由を述べ、討論を行います。

 反対する理由の第一は、提案された予算案が、巨額の市民負担増と市民サービスの削減を行うものだからです。

 予算案は、敬老乗車証有料化、保育料値上げ、各種文化・スポーツ施設の使用料の値上げ、更生医療の市独自事業切捨て、市営葬儀の廃止等、赤ちゃんからお年よりまで値上げと負担増のオンパレードとなっています。値上げ・負担増反対、予算案の撤回を求める請願は300をこえ、批判の声がかつてなく大きく広がりました。

 まず、敬老乗車証の有料化です。有料化反対・現行制度継続を求める129の請願が提出されています。市長の地元、桂坂学区の4つの老人クラブ会長さんも存続を求める署名に賛同され、そのうち3つの老人クラブの会長さんが請願を提出されています。「現行制度の継続を」が市民の声です。

 市長は有料化について、市長総括質疑で「一括して3000円出せないというのは、わが国の常識からは考えられない」と答弁されました。市民の生活実態がまったく見えておられないのではないでしょうか。国の連続する制度改悪で高齢者世帯にかかる負担増は大変なものです。配偶者特別控除の廃止、老年者控除の廃止、公的年金控除の縮小など、目白押しです。「3千円あれば4、5日、うまくいけば1週間食べられる」との切実な声も寄せられています。国の制度改悪の上に、新たに敬老乗車証の有料化もかぶせるわけですから、大変、冷たい仕打ちです。

 そもそも、敬老乗車証は、「高齢者の社会参加促進と敬老の意を込めたもの」ではなかったのでしょうか。有料化とはその思いをお金に変える行為であり、ひいては、負担できない高齢者については社会参加することを奪ってしまう制度に大きく変質するではありませんか。有料化は、絶対に許されません。

 国保料の値上げについても提案されています。当局が出された、総所得100万円の2人世帯給与所得者のモデル世帯でも、保険料が7万6千円から、12万7千円へ跳ね上がります。予算委員会で、副市長は、2年間の激変緩和措置で3割減額し「1・6倍にとどめた」と胸を張られました。しかし、突然、5万円もの負担が増え、二年後には更なる負担増もありえるというのは、ひどい痛みです。ここでも市民生活の実態が直視されていません。国保会計が赤字であることや中間所得者層の負担軽減を理由にされていますが、文字通り京都市の一般会計からの繰入を大きく増やすことこそ行うべきで、低所得者に負担をかぶせるようなことはすべきではありません。

 次に、保育料ついてです。今回の提案では、最高で月7000円の値上げとなっています。今でも「保育料を稼ぐために働いているようだ」との声が多く出されている中で、多大な負担です。さらに、7000円は激変緩和措置で、2006年度にはこれが1万100円にも跳ね上がるというのですから、受け入れられるような中身ではありません。しかも、特例保育の対象となる児童が増えているにもかかわらず、民間保育園への支援は伸びていません。民間保育園の涙ぐましい努力によって何とか維持されているのが現実です。「3人目生もうと思っていたけれど保育料が上がるのであればあきらめます」との声も寄せられています。京都市の男女共同参画プランでは、「保育料など子育てに伴う費用の軽減をはかります」とあります。子育て支援都市を掲げながら少子化に拍車をかけるような矛盾したやり方は撤回すべきです。

 本市独自事業として行ってきた小児慢性特定疾患の無料制度の廃止は、文字通り命に関わる問題です。一ヶ月以上入院の対象者は市の現行制度を継続するとされましたが、6600人のうち、これで救済されるのは200人です。予算委員会で「市単費の中で人数も多く経費もかかるのが通院の喘息」「通院喘息が増えた」との答弁がありましたが、増えるから救うのではなく、お金がかかるので減らそうと切り捨てるものです。「子どもの命に関わる予算をなぜ削るのか、他に削るところがあるんじゃないか」とつめたい市政に怒りも続出しています。絶対に許されません。

 市民生活の実態を直視せず、市民の暮らしを守るどころか、さらに、負担をかぶせて、追い討ちをかけるというのは、「福祉を後退させない」とした市長の公約と照らしても、明確な公約違反です。

反対の第二の理由は、公の施設の管理運営等にかかる費用を施設利用者にかぶせる新しいしくみがつくられた点です。

 今回の予算案では「統一的な考え方に基づく公の施設の使用料改定」と称して、文化・スポーツ施設の使用料・利用料の総額1億535万円の値上げが提案されています。先の文教委員会で局長は値上げについて、「できることなら無料で自由に使ってもらうのがよい、心苦しい」と述べられました。自主的な活動に携わる市民や、また、鑑賞する側に大きな負担がかかることになることが理解できれば、こういう値上げは実行できないのではありませんか。

 本市の「芸術文化の都づくりプラン」の策定にあたって市長は「パートナーシップのもと自主的な芸術文化活動が地域から京都のまち全体へ広がっていくことを念願している」と述べておられます。市民スポーツ振興計画では「だれもが、いつでも、どこでも、いろんなかたちでスポーツに親しめる環境を、みんなで支え合うことを基本理念とする」とも述べておられます。理念に大きく反しているのではないですか。いかにも客観的な指標に基づく値上げかのように言っておられますが、実際は、値上げの口実に新たな仕組みをつくったということに他なりません。「周期的見直し」がなされるとのことです。更なる連続的値上げも行うようなしくみは今、撤回すべきです。

 反対する第三の理由は、京都経済の中心である中小企業・伝統産業対策が不充分であることです。

国の中小企業対策予算は、1730億、昨年比、8億円減。四年連続の減少で、全体の一割に当たる218億円も減っています。そのもとで、思い切った対策が求められているのに、中小企業センターの融資業務をなくし、職員を削減、「行政区別地域経済活性化等支援事業」「商店街支援事業」「販路開拓・産地商品宣伝」伝統産業関係予算など軒並み予算が削減されています。

 予算説明では「景気は踊り場にある」という発言もされていますが、最新の中小企業景況調査でも改善傾向にかげりが見られるといわれており、厳しい現状認識をまず持つべきです。そして、抜本的に中小企業対策、伝統産業対策を強めるべきです。

 理由の第四は、厳しい財政事情を強調しながらも、不要不急、無駄な公共事業に固執し、それを前提とした市民負担増となっていることです。

 市民に負担増を求める一方で、不要不急の公共事業にはメスが入っていません。高速道路建設について、市長は、新たに、百数十億円の負担増の恐れがあることを認められましたが、引続く建設、残る3路線は推進の立場を崩しておられません。阪神道路公団は3路線の事業主体となるのは無理だといっています。引き続き建設をすすめるとなると負担は際限なく膨れあがるのは間違いありません。焼却灰溶融炉も230億の建設費、年18億の経費がかかります。しかも、副市長も「安全神話はない」と認めているように、安全性の担保はありません。

 市長は、市政改革に凛とした姿勢で取り組んできたといいますが、市債残高は毎年増加し、公債償還基金からの借り入れまで行っています。財政状況は好転していません。結局のところ、財政難を口実に必要な市民サービスをカットしてきたというのが実際のところではないでしょうか。このような路線を続けることは、財政健全化に逆行するものに他なりません。本気で財政健全化をいうなら、不要不急の公共事業こそ見直しをすべきです。

 不要不急の公共事業に市民サービスの削減分をそのまま注ぎ込むようなことをやっているかぎり、市民の理解は到底得られません。

 第五に、返済不要の進路支援事業など同和特別扱いを継続している点も重大です。

 特別対策としての「同和行政」は終結したと言いながら、予算案には、自立促進援助金2億6600万円が計上されています。今後24年間に50億にものぼる支出予定ということになります。87年12月以降、同和行政の完全終結を求める市会決議があげられ、改善が求められているのに継続しているのはどういうことでしょうか。2月24日の京都地裁判決では「同和地域住民というだけで、なんら審査もせず、自立促進援助金の支給を継続していることは法令上許されるものではない」との厳しい指摘もされています。さらに、部落解放同盟が中心になって行う集会等にだす補助金も継続されています。到底市民理解が得られるものではありません。すぐにでも、特別扱いを改めるべきです。

 また、京北町合併に関連して一言述べておきます。市長は、「合併してよかった」と思われるようにしたいと言われています。しかし、合併に伴って、4月から京北町の94事業が廃止されます。子どもの医療費については、通院・入院分が中学校卒業まで無料という進んだ制度が京都市の水準にまで下げられます。また、経過措置があるとはいえ、介護保険料も国保料も大幅な値上げが行われるなど、市民生活が大きく損なわれる内容が多く含まれています。暮らし守るという点では課題が山積で、京都市の市民サービス水準を引き上げることなしに問題を解決することは不可能な事態です。

 議題16号基金特別会計予算についても、全体としては賛成ですが、平安建都1200年記念事業基金については事業終結後もなお、残されており、昨年に続いて、国が運営に責任をもつべき世界人権問題研究センター運営に1千万円活用されていることは問題です。

 地方自治体は本来「住民の福祉の増進をはかる」ことが責務です。国が悪政を押し付けている今こそ本来の役割を発揮し、悪政の防波堤となりがんばるべきです。以上、市民の生活実態を直視し、本来の自治体にふさわしく、市民の暮らしをまもることを中心においた予算案に組みかえられるよう、強く求めて、討論とします。