かとう広太郎 議員
05年3月18日(金)
2005年度国保、介護保険予算案についての反対討論 05年2月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党京都市会議員団は、提案されています議第三号「京都市国民健康保険事業特別会計」、議第4号「京都市介護保険事業特別会計」、議第66号「国民健康保険条例の一部改正」に反対を表明しておりますので、討論をおこない、日本共産党の考えを明確にするものであります。
まず、国民健康保険事業です。
本予算に市長は、国民健康保険料を新たに8億円も市民負担とする値上げを提案しました。国保は市民の3人に1人、50万7千人が加入するもので、しかも加入者の7割が非課税世帯と低所得者が大部分を占めています。今回の値上げ案は、この低所得者を狙いうちする内容であり、断じて認めることができません。今議会にも市民から「値上げ反対」の請願が153件も提出されており、値上げをやめてほしいと言う市民の声が示されています。
市長は、「これ以上累積赤字を増やせない」「収支均衡予算とする」と、一般会計から8億円、保険料で8億円を増額する。そして「これ以上中間層の負担を増やすことができない」と、保険料の賦課方式を、従来続けてきた住民税方式から、旧但し書き方式の所得割方式への変更を提案しています。市長は「過去最高の154億円を一般会計から繰り出しをした」と説明していますが、この内訳は、保険基盤安定繰入が85億円と、保険給付費等繰入金が69億円となっています。即ち、増やしたと言う保険基盤安定繰入は、国と府で4分の3を負担し、残り4分の1の京都市負担分も地方財政措置がされますから、5億4千8百万円の増加は法律による保険料軽減に伴うもので、市独自の繰入分ではありません。他方、保険給付費等繰入はどうでしょうか。一般会計からの純粋な繰入となる予算69億円は、平成15年度並みであり、その前の年の75億円に比べても大幅に減額になったままで、その前年の13年度並の79億円を繰り入れれば今回の値上げの必要はないのであります。市長の言う「過去最高の繰り入れ」にはこのような、国が法に基づいて支出するものをあたかも京都市からの持ち出しのように言うカラクリがあるのであって、威張れるものではありません。保険給付費等の繰入額の一人あたり額を他都市と比較しても、さいたま市が16,107円、京都市が16,120円と、下のさいたま市よりわずか13円の差だけの下から2番目。最高は札幌市の39,742円であり、札幌市は京都の2.46倍の繰入をしていて、札幌市の半分以下の京都市が「最大の努力」をしているとは到底言えるものではありません。全国国保課長会議で、厚生労働省の国保課長が「高い負担水準で徴収していただいている。保険料負担水準を低くしていくことが基本」と言い、国自身も自治体の努力を求めているのです。
8億円の値上げに伴う賦課方式の変更は、低所得者に大幅な負担がかかってきます。20万世帯が値上げとなり、子どもふたりでお母さんが障害者の母子家庭の例では、がんばっているお母さんの所得は247万円、この人の保険料は14万円から42万5000円と2.95倍となり、激変緩和による申請をしても34万円と2.4倍にもなってしまいます。市の説明資料によるモデル世帯では、今回の保険料値上げに、国による今後の分も含めた増税や跳ね返り分等を加えると、総負担額は20万円が2.7倍の55万円と実に35万円も増加することになるのです。
市長は、「広く薄く、多少の負担」「ご理解をお願いします」と言いますが、低所得世帯ほど重くのしかかる実態を直視して、こんな状況をなくすためにも、一般会計からの繰り入れを増やすべきであります。高い保険料を支払えない世帯が、さらに増加するのは確実です。局の説明でも値上げ後の徴収率が、現在の93%から90.5%になると見込んでいます。これだけでも保険料収入の減少が5億円から6億円となり、払えない世帯には容赦なく「資格証明書」「短期証」が発行されます。2000年に比べても04年には、このような世帯が約2倍ともなる19,868世帯、全体の7.4%の世帯へと増加しているのに、その上さらに増加することになるのです。これで市民の健康が守れるのですか。
未更新世帯の3、100世帯も高い保険料が支払えない故の世帯が多いのです。市長の「福祉は後退させない」との公約は、どこに行ったのですか。市民への背信行為ではありませんか。
質疑の中でも理事者は、賦課方式への変更に伴う保険料増加世帯に対して「2年間3割の緩和措置をとる」と言っておりますが、納付通知は大幅値上げされた料金で届きます。党議員団は、通知の段階で職権によって減額して通知すべきと求めましたが、これに対しても理事者は「6月の通知のあと、2割減免の方を中心に相談、申請等に来られるので一緒にやる」と冷たく拒否したのであります。
今回のように20万世帯に及ぶ大幅な値上げ通知に、市民の怒り、問い合わせが保険年金課の窓口に集中する事が予想されます。窓口の混乱、職員の苦労を考えた時に、先ほどの答弁は市民や職員の立場を考えない、あまりにも現実を無視したものと言わざるをえません。
また、このやり方は4月より京都市民となる京北町域の1,432世帯、3、058人にも大きな影響を与えます。平成16年度予算ベースでも、京都市と京北町では、一人当たり保険料に25,486円の差があり、今回の値上げ分との差を、申請した人だけに、新年度は8割減額を行うとしていますが、ここでも職権減免をしないと言うのですから、このような京都市の値上げのプレゼントを、京北町民がどのように受け止められるのか心配でなりません。改めて職権による減免を行い通知する事を求めておきます。
次に、介護保険であります。
この予算に於いても「要介護の軽度認定者が減少し、要介護3以上が上回っている」こと、居宅サービス利用対象者や施設サービス利用対象者が減少しています。高齢者の重度化とともに、軽度者の方のサービス料の10%の支払い負担の重さが原因と見られます。
今回の予算では、国が平成18年度から実施をねらっている「施設入居者の食費と居住費の負担増を前倒しして、今年10月から実施」する問題です。国で一定の軽減措置があり、介護1、2段階では現行と変わらないとされているが、第3段階以上の老人は年40万円の負担が増加すると言われています。入居者のこのような負担増は、これで終わらず、各種税控除の廃止や縮小、そして国保料、介護保険料の負担増など、実質収入が年々減少する中で行われるものです。京都市独自の軽減措置の拡充は全くありません。
2000年度の高齢者実態調査の収入実態を見ても明らかなように、利用料負担の重さが、必要な介護サービスを受ける妨げとなっていること。利用料の全国一律応益負担というやり方を改め、負担能力に応じた利用料にすべきです。そして、必要な人に必要なサービスを提供出来るようになるように、介護保険導入時の原点に戻って検討すべきです。利用サービズ量が増加するだけ、保険料や利用料の負担増となる仕組みに原因があり、制度実施に伴い国の負担が2分の1から4分の1に後退したのが最大の要因であり、この点を元に戻さねば解決しません。当面、国の責任に於いて、調整交付金5%を、国負担の25%の枠にプラスすれば、市民の利用減や保険料の値上げにつながらないのであり、市長に、国に対してのさらなる取り組みを求めておきます。
以上、国民健康保険事業、介護保険事業予算に対する日本共産党京都市会議員団の基本的な見解を述べました。市民のくらしの目線に立って、根本的な見直しを求めて、反対討論といたします。