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市会報告

山中 渡 議員

05年2月24日(木)

山中渡議員の代表質問と答弁の大要 05年2月定例市会 本会議代表質問

17年度予算について
巨額の市民負担増は撤回を

 下京区選出の山中渡でございます。私は日本共産党京都市会議員団を代表して2005年度予算案について質問いたします。

 最初に予算案に対する市長の基本姿勢について伺います。

 第一は巨額の市民負担増の問題です。

 予算案ですが、保育料、敬老乗車証の有料化、公共施設の使用料など31項目、総額14億円をこえる値上げ、負担増をはじめ国民健康保険料では値上げ総額八億円、障害者医療の有料化で総額二億円など市民に巨額の負担増を押し付けるものとなっています。

 さらに、2004年度で100億円の市民サービス予算が削減されましたが、今予算についても同じやり方で市営葬儀の廃止など総額56億円もの市民サービス予算を削減しているのであります。内容についても例えば国民健康保険料では中間層の負担を軽減したと言っています。しかしその中身は府市民税非課税世帯への新たな負担増や低所得者層の保険料大幅値上げなど所得の低い世帯への極端なしわ寄せがされているのであります。まさに、子育て世代、高齢者、障害者、低所得者世帯直撃の本当にひどいものです。

 この予算案を押し通すなら国の本格的大増税のうえに市の大負担がのしかかることになり、市民生活に計り知れない悪影響をあたえることは必至です。

 市長に伺います。今、国において、年金保険料の引き上げに加えて介護利用料の負担増、生活保護費の老齢加算の廃止、定率減税の縮小廃止、国公立大学授業料の値上げ等々すでに決まっているものやこれからのものを含めると2年間で7兆円もの国民負担増の計画がすすめられようとしています。このことは市長もご承知でしょう。国の大負担計画についてマスコミ各紙は本格的増税路線と報道し、財界の中からも橋本内閣の失政の再現との声がだされたほどのひどさです。国民の堪忍袋の緒が切れる日も近いと書いた新聞もありましたが市長はこうした国の国民負担増、大増税路線が市民生活に与える影響についてどのように認識されていますか。

 市民生活の実態はどうでしょう。市民所得の減少傾向に歯止めがかからない。国民健康保険料を払えない世帯は増加を続け、引き下げを求める声は日々大きくなっています。保育料についても保護者の中には夫婦ともフリーターという世帯も生まれるなど、子育て世代の収入と雇用の不安定が拡大する中での値上げです。高齢者の方をとりまく環境についても医療、社会保障の高負担など深刻さが拡大しています。国の負担増だけでも耐え難いというのが市民生活の現状ではありませんか。こうしたうえに本市の巨額の市民負担増を押しつけ、それも子育て世代や高齢者、障害者など生活弱者をねらい打ちするやり方に何の痛みも感じないのかという問題です。市民生活の実態を本当に理解しているならこのような負担増をかぶせることはとてもできないことです。市長いかがですか。

 市長はこの予算案を「マニフェスト実現の有言実行予算」とされています。低所得者への新たな負担増や市民サービス削減の内容がマニフェストのどこでしめされたのでしょうか。市長はこの1年で学校管理費や保育所運営費の削減など公約違反の市政運営で市民不安を広げました。そして今回、公平さを入り口に新たに幼稚園入園料の負担の仕組みを作りました。また、利益に応じた負担だといって公共施設の使用料などの軒並み値上を当然としたのであります。先ほどのべたように国保料では非課税世帯にあらたな負担を課しました。市民負担増のやり方を広げたのであります。公約違反にとどまらない行政の役割をさらに変質させたと言えます。市長は常々「福祉を後退させない」と述べておられますが本当にそう考えているのならこんなことはできません。市民負担増とサービス切捨ての計画を一旦撤回するのが筋ではありませんか。

〈桝本市長〉国の改革は給付と税など負担のバランスをどう保つか議論がなされて出た結論と認識している。受益者負担適正化を中心とした改革は、利用者が満足できる水準の行政サービスを持続可能にするため、また、サービスを受けている方と受けていない方や世代間の公平性を確保する観点から提案している。市民に新たな負担をお願いするだけに、経費節減の徹底や負担増抑制、低所得者への配慮もしている。いま財政健全化に取り組まなければ京都の将来の発展はない。

敬老乗車証の有料化はするべきではない

 敬老乗車証の有料化について伺います。七〇才以上の方に総額六億円を負担させようとするものです。敬老と高齢者の社会参加を目的に創設された制度であることは市長も承知のはず。楽しみにされ元気の源とおっしゃっている方、七〇才を心待ちにされている方が本当に多くおられます。厚生労働省もバス乗車は高齢者の「閉じこもり予防になる」と公共交通料金の助成を推奨しているではありませんか。市長は老人ホームなどボランテイァ活動をされている高齢者の方をご存知ですか。健康な間はできることはしたいと敬老乗車証の無料制度を最大限生かして参加されています。有料化はこうした高齢者の方の生きがいや楽しみをもお金に換えようとするものであり、積極的な社会参加に水をさすものです。今、さまざまな負担増のもとで高齢者の方の生活環境は日々深刻になっています。敬老と社会参加のさまたげになり、さらなる負担増となる敬老乗車証の有料化についてはいかなる理由をつけても行うべきではありません。市長いかがですか。

〈桝本市長〉社会参加や生きがいづくりに大きく寄与している重要な制度。社会福祉審議会や市民アンケートなど開かれた議論の上で提案している。所得に応じた無理のない額としている。一部負担は制度が持続できるようにしていくためのもの。

京都市「三つのプラン」は、市民に痛みを押しつけるもの

 次に、3つのプランなどリストラ計画について伺います。

 昨年、京都市は市政改革実行プラン、財政健全化プランなど3プランを公表しました。職員削減、民間活力導入の推進、4年間で総額400億円の市民サービス予算削減、都市再生法の活用などの方向がしめされています。そこからは第一に行政の仕事の民間開放の促進。第二に、市民への自立、自助の強要と本市の公的役割の後退、公共サービスの削減、市民負担増の推進。第三に民間投資の呼び込みによる開発推進の方向が見えてきます。

 市長に伺います。市政改革や財政健全化プランはいったい誰の目線のプランかという問題です。この間、日本の大手企業は海外生産と大量の人減らしをすすめる一方、財界団体を通じて地方自治体のあり方にまで言及。公的仕事の民間開放、地方自治体の自立、自助の促進、国庫補助負担金、地方交付税の削減、都市再生法の活用を求める提言を繰り返しおこなっています。

 こうしたもとで昨年9月、京都市は「法の定めのあるもの。公権力行使、企画立案以外のものはすべて民間委託の対象」と全面的な民間開放を内容とする公民協働の考え方を発表しました。ここでは財界の意向がそのまま採用されています。昨年委員会でキリンビール工場跡地の大商業施設について自民党の議員の方から「既存の商業が脅かされることがないのか」のと計画を懸念する質問がありましたが財界提言はそういう声に対しても「空洞化の懸念に圧されてはならない」としているのであります。プランが京都市民の目線でつくられたものではない一例です。このようにプラン全体の示す方向は国民に痛みを強要する国や財界の目線であり、住民の暮らしを守るという自治体の本来の役割を失わせ変質させるものでしかないと考えますが。市長いかがですか。

 市長は、「行財政改革に不退転で取り組む」とされていますが改革には「身を切るような痛みを伴う」ともされています。本市において今の自治体リストラにつながる市政改革がはじまったのは10年前です。今日まで4回の改革計画が出されましたが結果はどうでしょう。市民サービスは低下の一途をたどり、市民の負担は増え続け、所得は下がり続けています。痛みの先にさらに新しい身を切るような痛みが待っていただけではありませんか。事態好転の展望をまったく語れず、市民の痛みと不安だけを大きくしたといえます。さらに財政計画の問題です。市長のかかげる戦略的予算編成システムのもとで2004年度に続いて2005年度も市民サービス56億円の削減です。今後2008年度まで毎年80億円。120億円、160億円と削減額が拡大されることになっています。市長は先進的手法と自画自賛されていますが、国の財政削減計画の枠の中に市の財政運営をはめただけのものです。今予算案でも公債償還基金からの借り入れや市債の活用など借金と負担の後年へのつけ回しを拡大させています。本市財政基盤をさらにほり崩し、さらに財政危機をすすめる道でしかありません。民間の格付け機関の評価でも本市の信用力は政令指定都市中最低ランクです。あなたのすすめた「改革」は行政サービスの低下と本市の信用力の低下をもたらしただけではありませんか。市長いかがですか。

〈桝本市長〉これまで市政改革に凛とした姿勢で取り組み、1000億円の財政効果をあげてきた。この財源で基本計画推進、全国トップクラスの福祉・教育水準を確保した。しかし、予想を上回る市税収入の減など市財政は非常事態である。事業のいっそうの選択と集中、民間活力の導入など、今後とも三つのプラン実現に不退転の決意で取り組む。

無駄な大型公共事業-京都高速道路は凍結・中止を

 次に、ムダな大型公共事業の問題について伺います。

 今年秋、阪神高速道路公団は民営化されます。同公団の通行料金収入の減少率は公団の中でも筆頭です。また、民営化後45年で借金の返済をすることとなり、新会社では今まで通りの高速道路の建設ができないとして関係自治体に出資率の引き上げと事業区分の見直しを求めています。昨年市長は出資率の引き上げは「やむなし」とされ、また、事業区分の見直しによりさらに百数十億円の新たな負担が生じるとの答弁をされました。市長は、今年と来年度の二年間で市民サービス予算を140億円以上削る提案をされていますがこのやり方でいけば、市民サービスを削った分がそっくり京都高速道路建設の新たな負担分に注ぎ込まれることになります。ランプの工事では他都市にほとんど例のない市負担の手法を率先して採用、160億円規模の市税投入をすでにやっているのであります。負担につぐ負担です。市民の負担増と痛みで捻出した財源をこれからも高速道路計画に次々と注ぎ込むおつもりですか。市長お答え下さい。

 現在、京都市と公団は油小路線、新十条通の2路線について民営後を想定した事業見直しの協議を続けています。ところが公団の民営化という高速道路建設の仕組みが根本的に変り事業や財政計画が大きく変わろうとしているのにその全体像は明らかにされていません。わかっているのは公団が本市に対し出資率の嵩上げと280億円分の区間を一般街路事業としてやるように求めていることだけです。本市が事業主体となって建設をすすめた場合は費用の半額負担だけでは済みません。今後の高速道路の維持管理も本市負担となり巨額の費用を要します。事業決定がされていない西大路線や久世橋線、堀川線については今回の百数十億円の市負担増にとどまらない深刻な問題があります。そういうもとで市長は3路線についても進めるとしていますが、油小路線、新十条通ですでに財政破綻となっているのであります。未着工の3路線の総事業費は2900億円と試算されていますがすでに阪神道路公団は、民営化後新会社が事業主体になるのは困難としています。京都市が事業をひきとるしか道はありませんがそうすれば本市財政はたちまち破綻です。完全に事業破綻につきあたっているのであります。決断が遅くなればなるほど市民犠牲が拡大するだけです。事業破綻を認め、計画全体の凍結中止の決断を直ちにすべきです。市長お答えください。

 京都迎賓館問題について一言申し述べておきます。まもなくオープンとされています。今後巨額の維持管理費が発生するとされています。地元負担について、先月京都新聞が、元京都府知事の「地元の応分の負担」の約束を交わしていたとする声や自民党国会議員の「地元が運営費をだす」から国がこの施設の建設を認めたなどの声を紹介しました。また、同記事は計画を渋る国に対して当時の金丸信自民党副総裁が「交通事故にあったと思ってつけてやれよ」といって予算をつけさせたことも紹介しています。こうした施設に二〇〇億円を超える国費が注ぎ込まれたこと。地元利用については極めて危うく、負担については具体化されかねないそして。市民不在の施設であったことの一端がうかがえるのではないでしょうか。

〈中島建設局長〉出資率の嵩上げは、償還期間短縮、他団体の状況を勘案すると、事業の進捗を図るためにはやむを得ない。事業区分見直しは、協議中であり予算案では特段の対応はしていない。必要不可欠な都市基盤施設であり、新十条通および油小路線は早期完成に全力をあげる。残る3路線は、社会経済情勢を勘案し事業化に向けた取り組みを推進していく。

「三位一体改革」について

 次に、三位一体改革について伺います。

 市長は地方への税源移譲など地方分権の流れをつくるものとして「三位一体改革の理念は賛成」との表明をされています。ところが三位一体改革の実態はどうでしょう。昨年に示された全体像では例えば、本市会で問題となった生活保護負担金の補助率見直しについては先送りされただけで2006年に実施するという問題を内在したままです。市長も昨年の議会で「あるべき財源の移譲。これがほとんど顧みられていないところに大変な苛立ちと強い危機感をもっている」と答弁されたように三位一体改革で実際におこなわれていることは自治体の首を絞めることだけです。改革とは名ばかり、地方の財源を削ることだけが三位一体改革の目的であることははっきりしています。こうした実態に市長が本当に「苛立ちと危機感」をもつなら、国に対して真の権限委譲を要求する行動を起こすべきではありませんか。

 今国が削ろうとしているのは教育や福祉の補助金であり地方の裁量の余地がほとんどないものです。本当に地方の裁量を発揮するのであれば、ひもつきと批判の高い大型公共事業の国庫補助負担金を廃止・縮減してその分の税源移譲を求めるべきではありませんか。そうしてこそ地方の権限で自由に使える財源を増やす道が開かれると考えますが、市長いかがですか。

 地方交付税削減についても国への強い対応が必要です。三位一体改革の全体像で「地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税、地方税などの一般財源総額は確保する」としていますが信頼できますか。昨年市長は財務大臣の大幅削減案について「地方の財源需要については一顧だにされていない。噴飯もの」とされましたが、三位一体改革の全体像は国の「歳出削減に努める」ことや「地方財政計画の合理化」を掲げるなどさらなる地方交付税削減をすすめるとしています。国の中期地方財政ビジョンでは地方交付税の大幅削減に2007年度以降本格的に取り組むとしています。交付税削減を許さない取り組みを思い切って強化することが必要ではありませんか。市長の見解を求めます。

〈小池理財局長〉公共事業の国庫補助負担金は、地方6団体の改革案にあるように、税源移譲の対象とするよう市としても求めている。地方交付税は、国の動向を注視しつつ、行政サービスの安定的提供のため必要な総額の確保など、真の三位一体改革実現へ国に働きかける。

市長先頭に憲法遵守と擁護の行動を

 次に憲法問題について伺います。

 党議員団はこれまでも憲法に対する市長の基本認識を伺ってきました。憲法調査会が設置されて以降、改憲論議はいっそうさかんになりましたが、昨年、一昨年の議事録を見ましても市長がこの問題で直接答弁されたことはありません。最近では副市長答弁がありますがここでは「日本国憲法が希求する平和は日本国民のみならず人類共通の願いであることは論をまたない。」としています。いまおこっている改憲論議の中心はどこにあるのか。自民党が昨年に一旦出した案では自衛隊の武力行使が明記され、民主党も集団的自衛権問題にふれています。集団的自衛権の行使や海外での自衛隊の武力行使を求める改憲の動きは現行憲法が求める平和の希求に明らかに違反することではありませんか。また、制定後半世紀以上立ち憲法改正をめぐって様々な意見が出され広く議論がすすめられるべきとの副市長答弁がありますが改憲の流れに同調するものでしかありません。

 憲法第99条はすべての公務員に憲法を尊重し擁護する義務を負うとしています。本市においてもすべての職員が憲法を尊重し擁護することを誓う宣誓書に署名し仕事についています。市長を先頭に職員が職責を全うする上でも憲法の尊重と擁護の行動が今求められていることではありませんか。市長の見解をお示し下さい。

〈高木副市長〉憲法が希求する平和については、国民のみならず人類共通の願い。徹底した情報開示のもと国民全体で議論されると期待している。公務員の憲法擁護は当然と考える。

危機管理基本計画と安心安全ネット戦略プランについて

 次に危機管理計画と安心安全ネット戦略プランについて伺います。

 市民の社会不安や生活不安の解決は市民共通の願いです。また住民による防犯の知恵集めなど自主的取り組みも広がっています。木屋町通りなど中京区、下京区の繁華街では長年にわたり市民参加の防犯パトロールが取り組まれ、念願であった移動交番の設置など安全確保策が進みつつあります。社会全体において地震、台風被害、犯罪、テロなど市民の生命や財産、安全を脅かす事態に対しそれぞれの原因と背景に応じた有効な対応策が必要なことは論を待ちません。

 ところが昨年12月と今年1月に発表された京都市の危機管理基本計画と安心安全ネット戦略プランがこうした市民の望む方向とかみ合っているかという問題です。

 まず、安全、安心プランです。そこでは地震、風水害、犯罪、食品の安全からミサイル攻撃、大規模名テロなど市民の安全を脅かす様々な事態が一括して危機あるいは危険として扱われ、そのための住民組織づくりなどが提起されています。これでは個々の事象に応じた対策に結びつきません。

 市長に伺います。本市の安心安全戦略プランで今後の安全対策について「行政施策によって安全を確保しようとする体制から地域の自助、共助の活動を重視しようとする動き」へとやり方を変えるとありますが安全確保の行政体制をなくすおつもりですか。さらにプランは住民による犯罪をおこさない地域づくりの方向をめざすとしていますが先に例にあげたように木屋町通での交番設置など警察本来の仕事の強化こそ住民の願う安全確保の基本です。行政施策を後退させ住民の活動に安全確保の責任があるかにようにもとめることは住民の願いへの逆行ではないでしょうか。不安の内容に応じた個々の対策強化こそ必要と考えますがいかがですか。

〈高木副市長〉住民活動の重視は、住民と行政との一致協力で施策効果を高めるためであり、責任を転嫁するものではない。安心安全に関する施策を横断的に点検し関係機関との連携も含め取り組みを強化する。地域の力を発揮できるネットワークづくりを進める。

 危機管理計画ですが、この計画はテロや犯罪など本来、警察の仕事として対応するものとそうでない自然災害などを同列に扱い区別をつけさせないようにして制定された国民保護法の具体化です。国民保護法は武力事態等の際の住民避難計画です。自衛隊に避難誘導の要請ができること。また警察官などは立ち入り制限地域を指定やその地域からの退去命令ができるとしています。住民が従わない場合は罰則を適用するなど強制力を伴うものです。危機管理計画は今市民の中にある様々な不安や安全を求める声をくみ取る形で一挙に有事の体制をつくろうとするものです。さらに住民組織づくりについても自衛隊や警察の指揮、命令の系統に住民組織を組み込もうとする方向が示されていますが、現在、住民が行っている自主的な防犯パトロールや地域の勉強会などの住民組織とはまったく性格の違うものです。市民のなかにある様々な不安解決や安全もとめる声を逆手にとって有事体制づくりをすすめ住民の相互監視に結びつきかねず、このような住民組織づくりは行うべきではないと考えますがいかがですか。

〈毛利副市長〉緊急事態の未然防止、発生時に迅速・的確な対応をするために策定した。有事を想定した住民組織づくりは求めていない。

震災対策-木造住宅耐震改修対策の抜本的強化を

 次に震災対策について伺います。

 今年一月、台風、新潟、中越大地震、スマトラ沖地震と大津波による大被害の傷跡が大きくのこる下で、6400名の命を奪った阪神大震災から10年を迎えました。被災地の皆さんに心からお見舞い申し上げます。

 今日において、阪神大震災の教訓をどう生かすのかがあらためて問われています。本市においても耐震性貯水槽の設置拡大、災害情報処理機能の向上など消防力強化や地域ごとのハザードマップ公表などの対策がすすめられてきました。阪神大震災のおこったその年の議会で私はハザードマップの作成と公表を求めましたが、当時の答弁は「市民生活にも大きな影響を与える」ので「慎重に検討してまいりたい」としていましたからその変化は大きいものがあります。

 その上で3点伺います。

 第一は住宅の耐震改修の支援です。緊急性と切実性があるとして共産党議員団は昨年の11月定例市会に木造住宅の耐震改修工事費助成条例と住宅改修工事費助成条例の提案を行いました。ここでも指摘をしましたが本市の木造住宅に対する耐震支援対策が市民からまったく相手にされなかった極めて問題のある制度でした。根本からその見直しが求められています。そもそもこの施策に対する予算はいくらであったのか。600万円、対象戸数はわずかに10戸。はじめからやる気のない施策でした。ところが来年度も六〇〇万円しか予算化されていない。本当にやる気があるのかという問題です。本気で市民の不安に応えようとすれば地域限定や助成率や助成額の低さなど使いにくさの垣根を取り払い誰もが安心して気軽に利用できる制度に改善すること。それを保証する予算拡充を行うなど制度の抜本改善です。いかがですか。

 第2に公共施設や市立の学校の耐震対策も遅れたままです。もともと老朽校舎が多く他の都市に比べても特別の対策が求められていたのが本市です。遅れた事態が改善されていません。公共施設の耐震補強対策など計画の目標を前倒して取り組むべきではありませんか。

 第3に住宅再建問題に対する本市の対応の基本を今の時期に明確にしておくことも急務と考えます。被災者生活再建支援法はできましたが、住宅の再建には使えません。台風に被災地、中越地震の被災地でも大問題になっています。鳥取県は住宅再建の助成策を全国の自治体のトップを切って実施しましたが、こうした点にも学ぶ必要があります。京都市として独自の支援策を練るとともに国に対し真の住宅再建策につながる法整備を求めていくべきと考えます。いかがですか。

〈毛利副市長〉木造住宅の耐震診断士派遣など取り組んでいる。耐震改修促進助成制度はH17年度から要件を緩和し適用地域を拡大する。予算額は本年度実績と次年度要件を勘案したもの。公共施設の耐震化は防災・避難の拠点として重要であり、学校施設はH22年度完了へ実施している。耐震基準(S56)以前の市有建築物にも対策を進めている。被災時の住宅再建助成は他都市等の状況を参考に研究したい。

同和の特別扱いの中止を-返済免除の奨学金制度(自立促進援助金)継続中止を

 次に同和問題について伺います。

 「平成13年度をもって特別施策としての同和対策事業はすでに終結しております。」くり返される答弁です。ところが来年予算案にはたとえば自立促進援助金ですが2億6000万円が計上されています。自立促進援助の制度は国が奨学金制度を給付から貸与に変更した際、京都市が1984年に創設したものです。この自立促進援助金制度ができたことにより貸与された奨学金は返済しなくてもよいという仕組みができあがりました。1985年にはじめて適用されましたがこの人たちの援助は2005年度でようやく終了です。奨学金制度が2006年度まで延長されたことによって、自立促進の援助が終了するのは実に24年後の2029年です。本市の中で貸し付けたものをかえさなくても良いとする制度はこれだけです。特別対策そのものではありませんか。この制度のもとで今後総額50億円規模の財政が費やされることになります。財政危機を叫び巨額の市民負担増を求めておきながら、こうした特別扱いを残していることはいかなる理由をつけても説明のつくことではありません。市民の間に不信と不公平を広げるだけではありませんか。市長いかがですか。

 また、この制度を続ける理由として教育の機会の保障、就職の機会の保障、学力の向上をあげていますがこれらのことは市民全体に共通する問題です。こうした時に特別対策をこれから24年も続け、50億円もの税金を費やすことに市民の納得が得られるしょうか。

 さらに「自立促進援助金の見直しの遡及はできない」としてこれまでの支出を合理化し施策を続ける理由にされていますが、国が貸与にきり変えたとき京都市が給付を継続させたことにもともとの問題がありました。その反省もなく、今後は日本育英会の基準を超えるものついては返還を求めるとしていますが特別対策を続けようとする言い分でしかありません。直ちに中止すべきです。お答えください。

〈柴田文化市民局長〉同和地区の生徒が、市から貸与を受けた地域改善対策就学奨励金等を20年分割で返還することを支援する制度。そのため、返還金として同額が本市の歳入になるため、実質的に新たな支出を伴うものではない。H16年度以降は、新たな要綱に基づき所得証明書等により客観的に判定して支給している。

京北町の編入合併問題について-雪害、治山治水対策など

 最後に京北町の編入合併問題について伺います。

 今年1月京北町の編入合併の大臣告示がされました。その直後に京北町長が収賄容疑で逮捕され、再逮捕にも広がりました。町民の皆さんをはじめ関係者の皆さんから怒りと真相究明を求める声があがったのは当然です。編入合併を前に京北町の住民の皆さんは様々な不安を抱えておられます。また、町長の事件が不安を大きくもしました。市長は「合併してよかった」と思われるようにしたいと発言されていますがそのためには何が必要か。京北町の基幹産業である農林業の抜本的強化。また、高すぎる国民健康保険料問題の解決など住民の暮らしを守る立場が市政と区政運営の基本にすわるべきと考えます。強く求めておきます。

 ここでは緊急を要する問題のみ質問致します。

 その第一は農林業対策です。合併で本市の林業面積は4万ヘクタールから6万ヘクタールへと格段に広がります。基幹産業としての位置づけが一段と高まりました。市内と京北町の林業支援策の底上げをはかるなど施策の根本強化が必要です。また、昨年からの積雪による倒木被害は市内と京北町で総額3億1千万円と推定されています。倒木の引き出し費用すら捻出できないというのが地元の実態です。緊急を要します。支援の決意をお示し下さい。

 第二は治山治水対策です。栗尾峠付近において市内の民間会社が所有していた山林が広範囲にわたって伐採される事態がおこっています。党議員団としても現地調査を行いましたが伐採地域は幹線道路、上桂川、人家の直近まで伐採されているなどきわめて危険な状態となっていました。地元の皆さんはこのままでは数年で根腐れがおこり地滑りなどがおこりやすくなると不安の声をあげておられました。府や町ともよく連携をとり調査と対策に直ちにのりだすべきと考えます。以上についての見解を求めまして第一質問を終わります。

〈高木副市長〉事業者は極めて厳しい林業経営を強いられており、森林所有者の再植林の意欲低下を懸念している。今回の雪害対策は再植林への支援を中心に積極的に行いたい。

栗尾峠付近については森林法に基づき跡地植林の指導を徹底するとともに、市の森林総合整備事業を活用して再植林を支援する。本年度中に京北町が当該地の地質調査等を実施し、それを踏まえて対策を進める。

第2質問

 国と市の巨額の負担増について市長は「持続可能な仕組みづくりのため」という認識を示したが、市役所の上から市民をみた目線だ。市民生活は持続可能どころか、子育て世代から高齢者まで各層にわたって所得が下がり続けて不安が広がっている。健康維持や生きるためには欠かせない補助金も削減し、敬老乗車証など高齢者の社会参加や生きがいも財源の対象にしている。予算案の撤回を改めて求める。