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市会報告

西野さち子 議員

04年12月16日(木)

木造住宅耐震改修、住宅改修工事費助成条例についての賛成討論 04年11月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、市会第28号「京都市住宅改修工事費助成条例」と市会第29号「京都市木造住宅耐震改修工事費助成条例」を提案し、市民のいのちと財産を守る京都市の制度にしたいと考えておりますので、日本共産党を代表して、賛成討論をいたします。

京都市会の歴史に残る、活発な委員会審議

 今回の条例提案は京都市議会の歴史に残るもので、戦後初めて議員提案が委員会付託され、建設委員会において活発な審議がなされました。これはいま進められています議会改革の流れの中で日本共産党の提案が議会活性化にむけて大きな役割を果たしたと確信しています。

 1999年7月の地方分権一括法による自治法改正で、議員の提案権が、従来の「8分の1以上の賛成」から「12分の1以上の賛成」に緩和されましたように、地方の時代と言われる中で、議員の提案権拡大は全国の流れになっています。自民党議員より「予算を伴う議案は提案できない」との質問がありましたが、各地で議員提案による予算を伴う条例などの提案が旺盛に行われ、大いに活用されており、今議会を機に京都市議会もいっそう活性化されるものと期待いたします。

 今年の異常なまでの台風や地震災害を通して、「被災者生活再建支援法」を改正して、住宅本体の再建や改善に補助を求める全国知事会の改正要望がだされていますし、鳥取県や京都府が自宅を再建する世帯に、無条件で最高300万円を補助した「住宅復興補助金制度」は、その後多くの自治体でも実施されています。これまでの「個人資産への助成はいかがなものか」としてきた考えがどんどん崩れてきています。地震に強い京都市をつくり市民のいのちと財産を守るためにも、京都市経済の活性化のためにも、ご賛同いただきますことをまずお願いいたします。

木造住宅耐震改修工事費助成条例はタイムリーなもの
委員会審議でも制度への反対の声はなかった
耐震改修は地域の安全をつくる課題

 まず、「木造住宅耐震改修工事費助成条例」についてですが、委員会では、与党からも「議員提案されたことは評価する」「市民の気持ちを捉えている」とのお褒めをいただきましたし、「予算が少なすぎる」との積極的なご意見もいただきました。このことは、今回の提案は世論的にもタイムリーだったと思います。しかし、また、委員会では、「個人財産に税金を使ってどれだけの効果があるのか」「税金のばらまきだ」との意見もありました。しかし、国土交通省は来年度から、耐震改修に対して最高26万円を限度に、改修費の13%を所得税と個人住民税から控除することを決めました。マンションも居住者がまとまって共有部分を改修する場合には対象になります。そして、国交省は関連リフォーム需要の喚起も想定していると言うことです。自民党国土交通部会では「国民の生命を守る耐震改修を促進する税制を創設すべき」との声が高まっているとされていますし、経団連も「住宅政策の提言」で耐震改修費用の補助を求めています。公明党も住宅の耐震改修費の一部を所得税から差し引く減税案を提案しているとの報道がされていますのに、なぜ、反対されるのでしょうか。与党が15日に決定した来年度の税制改正大綱においても「耐震改修税制額控除制度は、地域の実情に応じた助成金のあり方との関係を含め、早急に検討」となっているではありませんか。

 委員会質疑でも、制度に対する反対の声は聞かれませんでした。しかし、申し込みの締め切りを10月22日から12月10日まで延長しても、3件しか申請が無かったことは、京都市の制度は市民にとって使いにくいものになっていると言うことをあらわしているのではないでしょうか。だからこそ京都市も改善の必要性を認めているのです。これでは防災対策にならないのは明らかです。京都市の制度改善を待つのではなく、「ややキケンです」「倒壊のキケンがあります」との診断をうけた住宅は、地域を限定することなく補助すべきです。今提案されています条例を採択していただいて、少しでも早く地震に強い京都市を作るために足を踏み出すことが急務です。「財政が大変だからもっと税収が増えてから実施すべき」と言う意見がありましたが、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。今のような財政難の折には特に後始末に多大な税金を使うよりも、事前の少額の対策で被害を少なく食い止める事が必要です。京都市は古い町並みが多い町です。耐震診断をうけた中で「ややキケン」「倒壊のキケンがあります」と診断されたのが97%になるわけですから、耐震補強の問題は、単に個人の問題ではなく、地域の安全をつくる課題として少しでも早い決断が議会と京都市に求められているのです。

住宅改修助成条例案は地域経済へ大きな波及効果がある

 つぎに「住宅改修工事費助成条例」です。

 この制度を実施する事で、建築関係の業種だけでなく、電気関係、畳、家具、カーテンなど、リフォームによる仕事おこしは、特定の業種の応援という事に留まらない大きな経済波及効果があります。国会では、「地域経済の活性化における自治体の役割は一層重要。自治体自らが主体的に取り組みを行うことは、極めて重要」と政府が答弁しています。仕事おこしが進めば、担税力が向上し、京都市の財政に取っても効果は大きいのではないでしょうか。日本共産党は今回の条例提案に留まらず、京都の地場産業の振興に関する提案はこれまでも行ってきましたし、これからも積極的に行っていきます。政府与党も耐震改修にあわせて関連リフォームの需要を呼び起こすことを想定していると言うことですから、京都市議会与党が反対する理由がありません。ぜひ、皆さんの積極的な賛成をお願いしまして私の賛成討論といたします。