北山ただお 議員
04年12月16日(木)
個人情報保護条例改正についての賛成討論 04年11月定例市会 閉会本会議討論
ただいま上程されおります「議第175号個人情報保護条例の改正案」につきまして、日本共産党市会議員団を代表いたしまして賛成の討論を行います。
今回の条例改正は、国におきまして昨年2003年5月に個人情報保護関連5法が成立し、来年5月に施行されることに伴いまして、京都市個人情報保護条例を改正するものです。 高度情報社会、いわゆるIT社会の進展で、企業や団体などから個人情報の漏洩事件が多発するなど、個人情報をいかに保護するのか、はきわめて重要な課題であります。
今回の改正の主な内容は、委員長報告でも述べられましたように次のとおりです。すなわち、国等の実施機関に対して、個人情報の収集の制限を強化したことにあります。公益上特に必要があり、本人の利益を不当に侵害する恐れがない場合に限定し、本人以外から個人情報を収集するときはあらかじめ審議会の意見を聞くこととしています。
さらに、実施機関が収集してはならない思想、信条及び宗教等の特定の機微に係る個人情報・いわゆるセンシテブ情報に、新たに病歴、遺伝子、身体的特徴などを追加すること、例外的に収集する場合は審議会の意見を聞くことになりました。
また、個人情報が適法に利用されていないとき、個人情報の消去、利用停止、提供停止の請求ができること、となりました。
改善すべき課題について
委員会審議の中でも明らかになりましたが、今回の改正案は個人コントロールの仕組みができたことや、実施機関が個人情報を収集する際に審議会の意見を聞くことなどの面は評価できるものです。
しかし、改善すべき課題もいくつか残されています。
第一は、事業者の区別であります。
情報を持つ報道機関と情報を利用して利益を上げようとする事業者の区別が明確ではありません。このことは国の法案審議におきましても「事業者の取り扱う個人情報が報道目的なのか著述目的なのか、判断は主務大臣にゆだねられ公権力がマスメデイアに介入する余地がある」との指摘もされています。日本ペンクラブの言論表現委員会でも指摘していますが、「言論表現・報道を目的とした個人情報を保有し、公表することと、民間企業が実利目的でそれらを保有・利用・公表すること」とを区別することが重要です。事業者の「適用除外規定」が盛り込まれるよう求めておきます。
第二は、個人情報の目的外利用については厳格な対応が必要でありその改善が求められます。たとえば防衛庁が37年にわたって822もの自治体から住所・氏名・年齢・性別という個人の4情報を入隊適格者名簿として提供させ、その内441自治体からは健康や職業、続柄など募集に無関係の情報まで提供させていたこと、さらに応募者の情報は警察に提供され、思想信条まで含めた調査に利用されていることまで明らかになっています。
京都市でも、2001年公安調査庁の求めに応じて在日韓国人、朝鮮人の外国人登録原票87人分の写しが提供されていた事件もありました。外国人登録原票には本人の顔写真、職業、家族、居住歴など重要な個人情報が記載されていますから取り扱いは慎重に行われなければなりません。
本来この条例の目的は、突然見知らぬ相手から手紙や電話などがあって被害に巻き込まれる詐欺行為や悪徳商法、人権侵害などの対策にこそ当てられるべきものであることを述べまして、賛成の討論といたします。