赤阪 仁 議員
04年12月16日(木)
2003年度決算についての反対討論 04年11月定例市会 閉会本会議討論
2003年度一般会計決算は、認定できない
日本共産党市会議員団は、2003年度の各決算のうち、報第8号の一般会計決算、報第10号国民健康保険特別会計決算、報第11号介護保険事業特別会計決算、および、報第17号駐車場事業特別会計決算については、認定せず。その他の各決算については、認定するとの態度を表明しています。私は、議員団を代表して、その理由を述べ、討論を行います。
財政非常事態を理由に市民に痛みを押しつけた決算
認定をしない第一の理由は、前年度につづき、深刻な730億円の財源不足を口実に、財政非常事態を生んだ真の要因にメスを入れず、市民と市職員に痛みと犠牲を押しつけた決算となっているからです。
緊急対策の内容は、全職員給与のカット、公営企業繰出し金の休止、各種イベント見なおし、新規施設建設の一時凍結、財政健全化債の活用、市庁舎整備基金からの借り入れ、などが実施されました。しかし、結果は好転するどころか雪だるま式で財政赤字を増やし、市債現在高は、前年度比でも約220億円も増加し、一般会計だけでも1兆260億2900万円を超しています。
総括質疑で、市長は「小泉内閣の三位一体改革の全体像は受け入れる」と答弁し、「これからは地方の時代」といいつつ、実際には国の責任放棄、地方の負担増のおしつけと切捨てを認める姿勢を示したことは重大です。
さらに、来年度から、4年間で事務事業を見直し、400億円の削減と市職員の1000人削減を進める「財政健全化プラン」を軸とした、3つのプランをすすめるとしていますが、いっそうの痛みを市民に求めるものにほかなりません。
地方自治体は、本来「住民の福祉の増進をはかる」ことが責務です。国が住民に悪政を押し付けている今こそ、京都市は本来の役割を発揮し、悪政の防波堤となりがんばるべきです。
国民保険料の値上げはおこなうな
報第10号、11号の認定をしない第二の理由は、市長は「福祉教育重点、使用料の値上げは見送る」と言いながら、今回の決算では、介護保険料は大幅値上げ、国民健康保険料は値下げせず、という市民に冷たい市政を継続しているからです。
「京都市の国民健康保険料は高すぎて払えない」と市民の多くは悲鳴を上げています。
その原因は、国の負担率が45%から38.5%に減額された上に、京都市の一般会計からの、繰り入れは146億円確保したものの、独自の保険給付費等繰り入れが、前年度比6億円の大幅減額になったからです。市民のいのちを守るために必要な任意の繰り入れ金を確保せず、高い保険料を市民におしつけているため、国保料・滞納世帯が増加するのは当然です。
その結果、短期証や資格証明書の発行が年々増加、03年度では前年度比2550人も増え、18237人に上っています。そのため医療機関にかかれず病状を悪化させ、将来を案じて自殺者まででています。「すべて国民は健康で文化的な生活を営む権利を有する」という憲法25条に違反し、「市民の医療を受ける権利を侵害している状態」と言わざるを得ません。来年度、国の調整交付金のうち80億円が減らされ、府に移行されることがあきらかになるなか、京都市は、京都府に対して予算確保を求めるとともに、これによる国民健康保険料の値上げなどは、決してすべきではありません。
さらに、市長は、高齢化社会に対応する持続する社会の形成と言いつつ、その担い手である高齢者の介護保険料を、平均2585円も引き上げ、政令市で2番目に高い水準まで引き上げました。
保険料の減額措置の制度拡充はされたものの、まだまだ不十分です。
代表質問で、現状のケアマネージャーの多忙さと、緊急ショートステイが市民要望に応じ切れていない実態を明らかにしましたが、独自の対策を強め、早期に改善を求めるものです。
来年度の介護保険制度の見直しに当たり、京都市は、国に対して、国庫負担分を当面30%に引き上げること。そして、高い保険料、利用料の減免拡充、基盤整備の充実をもとめ、市民負担の増額をさける努力をすべきです。
税金のムダ使いと環境破壊の市内高速道路計画は、中止・凍結を
認定をしない第三の理由は、最大のむだ遣いであり、計画破綻が明らかな、市内高速道路建設には、出資金だけで前年度より5億円増、の18億円計上、PFI手法や呼び込み型の新たな開発計画が盛り込まれたからです。
市長総括質疑で、税金のムダ使いと環境破壊の典型である、京都高速道路計画の破綻がいっそう明白になりました。阪神高速道路公団を来年、民営化させるため、あらたな負担増が余儀なくされます。
総括質疑の中で、市長自身が「百数十億円の巨額の新たな負担が生まれる」と認められました。市長は、当初「90億円しか負担はない」と公約しましたが、舌の根が乾かないうちに、さらなる財政負担に突き進むことは言語道断であります。高速道路の建設中止、凍結をいまこそ、決断すべきときです。
さらに、財政危機といいながら、巨額の負担を必要とする焼却灰溶融炉建設のために230億円も支出する計画も、もりこまれています。
政府・環境省が「15年以上の最終処分地場が確保できれば、必ずしも作らなくても良い」としている施設でありながら、政府の補助金誘導策に乗せられて建設するものです。
灰溶融炉の維持費だけでも、毎年20億円は必要で、耐用年数も安全性も不確定なものに、財政負担を増やすだけです。
市民の協力を得て、ごみの分別収集、リサイクルの徹底により、ごみの量を減らすことこそ直ちにやるべきです。
京都市経済の活性化を
認定をしない第4の理由は、京都市の経済にとって個人消費の回復が必要なときに、中小企業や個人商店をはじめとした商店街対策の本格的な支援が不十分だからです。
京都の経済を担う、事業所の99%が中小企業です。03年度に京都市が実施した「ものづくり事業調査」によると、事業所の64.8%が従業員4人以下との調査結果が判明し、売り上げも減少したのが60.3%も占めています。
総括質問で、副市長は、「個人消費が伸びないと中小企業のまち、特に伝統産業が多くを占めているので販売が伸びていかないといけない。」と、京都経済の特徴を答弁されました。
ここ6年連続、市税収入の個人分が落ち込んでいることは、市民の所得が低下をしていることを示しています。
にもかかわらず、京都市は、長年伝統産業に従事してきた方への、功労者表彰金、20万円を切り捨てるなど、冷たい仕打ちを行っています。また、中小企業支援センターでは、制度融資の窓口あっせんを金融機関にまかせて、その役割を後退させるなど、中小・零細事業者の要求とは逆行した施策となっています。
中小企業の町、京都だからこそ、大型店の出店規制をはかり、全事業所調査に基づいた行政支援の抜本的な具体化とともに、融資制度の保証料の補給など、公的支援の拡大を求めるものです。
また、特に、緊急雇用創出交付金を活用した事業は、今年度末で終了予定となっています。伝統産業「京の職人さん」やスクールサポーター、放置自転車防止啓発指導員など取り組みの内容は多彩で、市民の雇用と、生活守る上で不可欠なものです。国の制度が打ち切られても、京都市独自で継続することをあらためて求めます。
同和行政の継続と職員不祥事は許されない
認定しない第5の理由は、特別施策としての同和行政が継続され、市職員の不祥事問題になんらメスが入っていないからです。
2001年度に国も京都市も特別施策としての同和行政は廃止しました。しかし「逆差別問題」として市民の批判が高い、同和奨学金と自立促進援助金等が、03年度にも、のべ4000名あまりに、約5億円も費やされ、事実上、継続しているではありませんか。
特に、03年度は、同和対策補助金の不正支出事件が発覚し、不適正な公金の取り扱いが日常化していたことが明らかになりました。
同和施策だから、運動団体との関係があるからと、不正常な関係がまかりとおる体質そのものにメスを入れないで、再発防止にはなりません。あらためて、同和行政の継続および同和優先施策の終結を求めるものです。
さらに、東山福祉事務所で生活保護費、中京区役所長寿福祉課の郵便切手の紛失など職員の不祥事が続いています。長期間不正が放置され、発見されてから5ヶ月以上もたつのに、使途不明金さえあきらかにならず、その詳細と防止策、責任が明らかにされていません。
発覚以来、いまだに警察への届けも行わず、議会と市民に報告できない状態で長期に放置することは、与党議員から、「京都市政は、隠蔽体質」との批判が出たように、市民の批判はまぬがれません。
不祥事については、早急に原因を徹底解明し、議会と市民に説明することを求めます。
以上認定できない理由を表明し、私の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。