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市会報告

かとう広太郎 議員

04年12月 8日(水)

建設消防委員会で木造住宅耐震改修助成、住宅改修助成条例について提案説明 04年11月定例市会 建設消防委員会提案説明

 12月8日、市会建設消防委員会で二つの条例案の審議が始まりました。党議員団を代表して加藤広太郎議員が提案説明をおこないました。

 質疑では各会派の議員から、今回の提案を歓迎しつつ、実施規模や財源、経済波及効果などについて質問があり、党議員が答弁をおこないました。

 委員会には、14人の市民が「傍聴申請」をおこないましたが、自民党、公明党、民主・都みらいの各会派が反対したため不許可になりました。

 議員団では、委員でない議員が傍聴に入り、逐次審議内容を傍聴を希望された市民に報告しました

条例提案にあたっての、建設・消防委員会での提案説明

 最初に「京都市木造住宅耐震改修費助成条例案」について説明致します。

 古い、木造住宅に住む多くの市民の生命・財産を守る上でも緊急の課題とした、私たちの条例提案に、多くの市民のみなさんから共感の声が寄せられており、改めて議員として、また議会の役割りの重大性を感じている所です。

 京都市内の木造住宅が、約15万4千戸あり、最初に耐震基準が導入された昭和56年6月以前に建築着工された、いわゆる「既存不適格」の住宅が約10万戸と言われていますから、多くの方が、先日の新潟県中越大震災の被害を実感されていることもあり、市民の関心の度合いが高くなるのも当然です。しかしながら、京都市が今年から実施した「京都市耐震改修促進事業」は、申請〆切を10月22日から12月10日まで延長しているにも拘わらず、つい先日まで申請がゼロの状況にあり、昨日一件の申請がされたとの事ですが、なぜこの様な状況にあるのでしょうか。

 11月29日に開かれた決算特別委員会の都市計画局の質疑で理事者から「平成8年度から15年度に京都市の耐震診断を受けた住宅は627件あり、うち606件の97%が、総合評点0.7未満と1.0未満の『危険な住宅』の診断を受けた」こと。そして、「その内の10%~15%が改修を行っているのではないか」とのアンケートの結果を紹介していました。結局「危険な住宅」との診断を受けながら、85%~90%の住宅が耐震補強工事をしていないと言う事であり、この人たちが、なぜ申請し、制度を利用しないのかを考えることも大切と考えます。

 いろんな原因があるでしょうが、その一つの理由に京都市の制度は利用しにくい、メリットも少ないことが上げられます。京都市の制度は、国基準に沿ったものと説明されていますが、国基準の要件自体が厳しい為に、全国での利用がわずか一件しか利用されていない数字がそれを示しています。京都市の制度が、その国基準以上に厳しい条件をつけている所に、利用されない大きな原因があるのではないでしょうか。私たちが提案しています条例第一条では、「木造住宅等の安全性の向上を図り」「震災に強いまちづくりを推進」すること。そして、「市内中小工事業者の振興」を図るとしています。この立場から、多くの市民が住宅の耐震化をすすめることを目的としています。

 第二条の特徴は、京都市の制度のように、指定した地区だけが利用できる制度ではなく、地区を限定しないで、「やや危険です」「倒壊の危険があります」との診断を受けた全ての住宅を対象としている所にあります。先日の委員会では、自民党委員から、「阪神淡路大震災における樫原地域の被害状況」が紹介され、「その樫原の町内が市の助成対象となる『危険性の高い地区』に入っていない事」が指摘され、「京都市全部に断層があり、全てが対象になるようにすべきだ」と発言されました。「地震に強い安心・安全なまちづくりの推進」の立場から基本方針として策定された「防災都市づくり計画」が、現実との間に大きな矛盾がある事が、厳しく指摘されたのであります。この様な町内は山科区その他にも数多くあります。私たちの条例案は、その様な地域に住んでおられる市民にも歓迎されることを確信しています。

 第4条は、京都市の「助成事業要綱」と大きく違うところです。京都市は助成額について、「改修費用の15.4%を国と市が折半する。1平方メートル当り3万2千6百円かつ、一件当り60万円を上限」としている為に、改修工事に要する費用に対して、受けられる助成金額はごくわずかとなります。約400万円の工事を行って始めて60万円の助成を受けることになり、本人の負担は340万円にもなるのです。

 私たちの条例案では、低所得の方には工事額の9割を助成、高い所得の世帯には3分の1の助成をするなど、世帯の前年度の所得税額に応じて、横浜市と同様の四段階にして、それぞれ百万円を上限に助成することとしています。従って、少ない収入のご家庭の住宅は、110万円の改修工事高の場合、京都市の制度では93万円の自己負担を必要としますが、私たちの提案では11万円の負担で改修できる様になり、多くの市民が耐震改修を行う方向に動き出すことを目指しています。

 同様の制度を実施している全国の多くの自治体では、金額などの違いがあっても、大部分の自治体は国の補助をあてにしないで単費事業で実施しています。先程も紹介したように、国の制度への申請が全国でわずか一件であることをみてもわかります。他の自治体の実施状況は、各委員に資料を配付させていただいておりますので、ご覧になっていただきたいと思います。

 次に「京都市住宅改修工事費助成条例案」について説明致します。

 市民に多い「住居の改善をしたい」の声に、その工事費の一部を助成することで、その思いを実行に移していただくこと。その実行が地元建築関連業者や建築職人への仕事を増やし、合わせて、その関連物品の購入など経済波及効果、地域経済の活性化に寄与できる事を第一条で示しています。

 第二条では、住宅本体の修繕や模様替えだけではなく、附属する車庫や塀など住宅機能の維持向上に関連する工事も幅広く助成の対象としています。

 第四条では、改修工事に要する費用の100分の15に相当する金額を助成し、その上限を三十万円としています。これは多くの市民が、この助成制度を機に改修工事を始めていただく呼び水的な役割を果たそうとするところに目的があるからです。

 お手許にお渡ししています資料では、この制度を実施している全国の自治体において、執行額に対する総工事高の実績が、京田辺市での約20倍をはじめ、長浜市の44倍など、経済効果が高いことを紹介させていただいています。

 今日、長引く不況・公共工事の削減・受注競争の激化などで中小建築業者や建築職人の状況は、誠に厳しいものがあります。

 市民の生命・財産を守ることは勿論、仕事おこし、地域経済活性化に向けても、先の条例案と合わせて二つの条例案について、議員諸氏の積極的な議論をしていただいて、条例として実施できます様に願いまして、日本共産党京都市会議員20名を代表しての説明とさせていただきます。