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市会報告

玉本なるみ 議員

04年11月19日(金)

玉本なるみ議員の代表質問と答弁の大要 04年11月定例市会 本会議代表質問

 北区選出の玉本なるみでございます。私は日本共産党市会議員団を代表し、市長ならびに関係理事者に質問いたします。

介護保険見直しについて

 まず始めに、介護保険制度について質問します。

 「家族介護から社会が支える制度へ」「在宅で安心できる介護へ」「サービスが選べる制度に」と導入された介護保険制度は五年目の制度見直しの時期を迎え、ほぼ見直し案が出揃ったと言われています。この間、全国的にも京都市でも施設建設が進み、在宅サービスの量も増え、利用される方々も増えています。しかし制度創設時の目的から見て、現状はあまりにもかけ離れているのではないでしょうか。毎年のように値上げされる保険料に「年金は先細り、保険料は強制天引き、不安になるばかり」との声がたくさん寄せられています。いざサービスを利用しようと思っても選べるどころか、施設は不足し、利用料の負担ができず、利用抑制が起こっています。見直しに当たっては、これらの問題の解決こそが求められています。ところが、政府の方向はさらなる負担増と給付の抑制であり、ますます高齢者を介護から遠ざけるものと言わざるを得ません。以下、幾つかの現状の問題を通じて、質問いたします。

保険料・利用料の負担軽減を国に求めよ

 第一に介護保険料・利用料の負担を軽減することです。高齢者の多い京都市では、政令市の中で二番目に高い保険料となっています。介護保険は国の負担分をそれまでの二分の一から四分の一に減らしたこと、給付が増えれば保険料が上がる仕組みにしたことが、保険料の負担増になっているのです。政府は、さらに保険料の徴収年齢の引き下げや、利用料負担を現在の一割から二割、三割へと引き上げようとしています。施設入所者に対しても利用料に加え、ホテルコストとして部屋代や食費を追加徴収し、十万円を超える負担にしようとしていますがとんでもありません。すでに、個室ユニット型の新型施設では、ホテルコストや食費が徴収されており、生活保護世帯の方は入所できませんし、年金額の少ない人も法人減免制度を適用したとしても、払える額でなく、結果として、入所制限がされた状況になっています。増大する介護ニーズにこたえるため、国庫負担分を二分の一に引き上げること、当面、三〇%に引き上げることを求めるべきです。利用料値上げや新たな利用料負担をせず、国の責任で低所得者の保険料、利用料の減免制度をつくることを今こそ求めるべきです。いかがですか。

〈市長〉被保険者、地方自治体に過重な負担を招かないよう、また低所得者の利用が制限されることがないよう、国の責任での適切な措置が必要。他都市と連携し国に要望している。

 さらに介護保険導入時とられた特別養護老人ホーム入所者に対する激変緩和措置の期限が今年度で切れます。ある施設では年金等の収入以上の利用料がかかる人が六人、国保料、介護保険料などを払うと手もとに一万円しか残らない方が八人で十四人がたちまち困るとのことでした。負担できない方は施設から追い出せというのでしょうか。こうした実態をつかみ、国に対し措置の継続を求めるべきですがいかがですか。あわせて、京都市独自の保険料・利用料の減免制度を拡充すべきです。お答えください。

〈松井副市長〉経過措置はH17年3月で終了。終了後は食費減額、高額介護サービス費支給、法人減免適用で、ひきつづき入所して頂けるよう適切に対応する。保険料減免は15年度大幅に緩和し、適用は前年の倍の2003人。

国に軽度者の介護サービスを削減しないよう求めよ

 第二に要支援や介護度Iの人たちをヘルパーなどの介護保険から排除しようとしている問題です。見直しでは、軽度者に対し「介護保険のサービスが十分効果をあげず、重度化をもたらしている」との意見が紹介され、それを根拠に生活援助を切り捨て、介護予防として筋力トレーニング等に置きかえようとしているものです。あまりにも乱暴で、ヘルパーの介護が果たしている生活支援の効果を無視したものだといわなければなりません。現在、ヘルパーを利用されている方の六〇%以上が軽度者であり、軽度者に最も求められている介護サービスともなっています。膝や腰痛などで、掃除機がかけられず、掃除援助にはいるわけですが、筋力トレーニングをしたらできるようになるわけではありません。病気が治るわけではないのです。さらに週一回のヘルパーの訪問は実質的な援助と共に、精神面での大きな支えともなっています。結局、財政負担を減らすためにサービスを切り捨てるものではないでしょうか。軽度認定者を介護保険から排除すべきではありません。軽度者の介護サービスを削減しないよう国に要望することを強く求めますがいかがですか。

〈松井副市長〉軽度の要介護者には自立、重度化防止へ予防サービスが重要。国で検討されているが、市としては真に必要なサービスは何か検討し、予防・地域密着サービス構築に向け、他都市と連携して要望している。

特養待機者把握のシステムを、必要な施設建設を

 第三に、特別養護老人ホームの待機者の問題です。入所を希望しても入所できない人は、市の調査でも二〇〇二年一月で二,〇三三人でした。当時で「二年三年とまたないと入所できない」と言われていましたが、現在では各施設の申し込み者は数百人以上も登録されていて、その合計は約一万人です。「いったいどのぐらい待てばよいのか全くわからない」と状況は悪化しています。施設が不足していることはあきらかです。本市として、待機者数を常に把握するシステムをつくることと、必要な施設建設を進めるべきです。いかがですかお答えください。

〈折坂保健福祉局長〉プランに基づき、施設建設は着実に推進している。入所指針に基づき真に必要な人が早く入れるよう取り組んでいる。入所希望の高齢者や家族の調査をおこない、次期プランで整備目標量を明らかにする。

ケアマネージャーは不足している

 第四に京都市が緊急に改善すべき問題について質問します。ひとつはケアマネージャーについてです。介護保険制度を利用する時に必要な「介護認定を受けること」と「ケアプランを作成すること」を京都市は民間のケアマネージャーに全面委託しています。今、そのケアマネージャーが不足し、新規の受け付けができない状況にあります。市も深刻に受け止め、七月に緊急の調査をされていますが、実に四分の三の事業所で新規受付ができないという驚くべき結果が出ています。介護認定さえもまともに受けられないことは制度を根底からゆるがすものです。ケアマネージャーがたくさんのケースを抱え、精神的にまいってしまいやめていく方もあります。居宅介護支援事業所が安定した運営と質の向上が全体で確保できる運営・財政面での援助が必要です。京都市自身が認定調査を実施することも含め、一刻も早い対応が必要ですがいかがですか。

〈保健福祉局長〉市内事業所調査の結果、受け入れ可能な事業所を区役所・支所で紹介し対応できている。認定調査を直接実施する考えはない。運営は介護報酬で行うべき。

本市の責任でショートスティの管理調整を

 もうひとつは、ショートスティについてです。在宅で介護を続ける中で、なくてはならないサービスです。しかし、現場では「本当は施設入所希望だけど、入れないので、とにかく少しでも長く預かってほしい」という方も多く、常にベットは満杯状態ですし、全体を調整する機関がないため、各事業所が個別に空きベットを探すため、膨大な仕事量となっています。ショートスティのベットは大幅に足りません。施設建設を急ぐと同時に、利用者のサービス提供を円滑に進められるよう、空いているショートスティベットの管理調整を、介護保険導入前のように京都市が実施すべきではありませんか。いかがですか。

介護保険制度の見直しにあたり、国も京都市も、創設時の目的に立ち返り、憲法二十五条を踏まえた検討と対応が求められることを指摘するものです。

〈保健福祉局長〉ゴールデンウイークなどのピーク時を除き、利用できない事態は生じていない。行政が集中管理をすることは、利用者の選択による契約という制度の趣旨にそぐわない。区での事業者連絡会で情報交換を行っている。

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精神保健・医療・福祉について

地域生活支援センター設置を前倒しですすめよ

 次に精神保健・医療・福祉について質問します。

 現在、統合失調症、うつ病、アルコール依存症など、精神障害者は増加傾向にあります。統合失調症は百人に一人が発病する可能性があるといわれ、うつ病などに至っては十人に一人とも言われています。誰もがなりうる病気として、医療、保健、福祉の充実が求められています。

 京都市においてはH九年にこころの健康増進センターが開設され、保健所との連携や相談事業等一定の前進がありました。しかし、医療・福祉分野、就労問題はいまだに深刻な状況が続いています。H十一年度からH十四年度までの四年間は「京都市こころのふれあいプラン」が取り組まれましたが、施設設置など、ほとんどが五〇%前後の達成率でした。H十五年三月策定の京都市障害者施策推進プランでは、身体、知的、精神の三障害を一緒にしたプランとして仕切り直しがされ、遅れている精神福祉施策が進むことに期待がかかったわけですが、国の施設認可の絞込みもあり、京都市のプランも進んでいないのが現状です。昨年度の国の社会復帰施設の申請に対する認可状況は五割だったという報告を聞いていますが、耳を疑う状況です。国に対しての働きかけは市として積極的に行なうべきです。

 本年九月に厚生労働省は、「精神保健医療福祉の改革ビジョン」を発表しました。『入院治療中心から地域生活中心へ』という方針で、国民の意識の変革や、たち後れた精神保健医療福祉体系の再編と基盤強化を今後十年間で進め、その結果として「受入条件が整えば退院可能な者」(約七万人)を解消していくというものです。しかし、国の施設等の認可に歯止めをかけるやり方では、ベット削減ばかりが先行しないかと心配になります。

 今後、精神障害者の社会復帰と地域生活を支えていく上で、保健所と連携を取り、重要な役割をもつのが地域生活支援センターです。十九年度までに十カ所の設置計画ですが、現在やっと四カ所です。関わる仕事の内容や今後退院促進事業のコーディネーター的役割を果たそうとするならば、行政区に一カ所以上は必要と思います。私はある研修会で寝屋川市の退院促進事業の実績を聞きましたが、一人の方に何度も何度もきめ細かく対応されて、やっと何とか二十年ぶりに退院して、アパートに一人で住めるようになったケースの援助に感銘しました。極めて専門的な援助がいる分野であることも認識しました。退院促進事業を進め、身近な相談所としての役割を持つ地域生活支援センター十箇所の設置は達成年度の一九年度を待たずに早急に進めるべきと考えますがいかがですか。

〈保健福祉局長〉支援センターは相談・助言・福祉サービスの利用援助に重要な施設。現在検討会議で検討中の、条件が整えば退院可能な精神障害者の自立促進をすすめる上で、大きな役割を果たす。プラン目標達成に向け着実に取り組む。

国に対し通院医療費公費負担制度の堅持を求めよ

 在宅ケア-システムの体制として、症状によっては引きこもりがちで、受診行動がなかなかできない方の為に、早期発見、治療の為にも、往診、訪問看護やヘルパー派遣などの体制が急がれます。さらに、通院がしやすい環境作りも必要です。

 そこで、通院の保障となっている通院医療費公費負担制度について質問します。

 病状にもよりますが、就労が困難な方が多い中で、医療費の負担は大変です。精神保健福祉法三十二条の通院医療費公費負担制度は、本人負担五%という制度でH十四年度は一六,五五七人が適応を受けています。制度の継続は切実な願いです。しかし、費用が急増していることに着目し、厚生労働省の改革ビジョンでは、「実態や状況などを分析し、必要な対応を検討し結論をだす。」とあり、関係者や患者・家族から不安の声が広がっています。入院生活から地域生活への施策をすすめていく上でも、重要な通院治療の保障となるものですから、継続することを国へ求めることと、京都市としても堅持の立場を強く求めます。いかがですか。

〈松井副市長〉必要な医療が継続的に確保されるよう実施しているもの。精神障害者施策が入院中心から地域生活中心へと変化する中、必要な通院治療を受ける機会が損なわれることがないよう、国の動向を注視し、必要な要望を行う。

搬送システムの構築を

 家族にとって、急性期や再発の際の不安定な状況で、緊急に受診や入院をする際の搬送の問題は深刻です。救急車は入院の意思が患者さんにあることと緊急性がない限り対応してくれません。パトカーが対応してくれたが、まるで大変な事件のような状況になり、あとあとまで、その地域で暮らしていく上でも辛い思いをしたという切実な声もあります。タクシーなども相当な理解がないと困難です。家族での搬送が困難な場合の搬送システムを作るべきと考えます。精神科救急情報センターが順調に稼動してきている中で搬送面での援助もできるのではないかと考えます。例えば、福祉タクシーなどの取り組みがタクシー業界でもされています。教育研修を受けていただき、依頼があった場合、センターで受付けて派遣するシステムはできるのではないでしょうか。切実な家族の要望にぜひともお答えください。

〈保健福祉局長〉任意入院は、本人の同意に基づいて行われるよう、法に規定されており、その困難性が家族の大きな悩みとなっている。同意がある場合は保健所や精神科救急情報センターで関係機関の協力で対応している。

就労支援を

 次に就労支援、働く場の問題について質問いたします。

 障害者支援策の中で最も遅れているのが、就労支援と言えます。中でも精神障害の分野は最も遅れています。通所授産施設は現在二カ所しかありません。小規模通所授産施設や共同作業所はNPO法人や民間団体の努力で三〇カ所あります。一ヶ月一生懸命に働いても一万円の賃金もでない、時間給百円といわれる現状を打開するべきです。さらに、社会参加をすすめるために、理解ある協力事業所を通して社会生活適応のための訓練を行う事業がありますが、訓練は原則六ヶ月、必要に応じて三年まで更新されます。事業所には一日二千円の委託料がありますが、訓練生には手当てなどありません。そして、三年後、働く場があるかといえば、せっかくの訓練が活かされない状況にあります。京都市として、授産施設の建設をまず、すすめることと社会生活適応訓練への訓練生への手当ての改善などすすめるべきと考えますが、いかがですか。

〈保健福祉局長〉授産施設は、プラン目標達成に向け取り組む。社会適応訓練事業は、事業所数・対象者とも他都市に比べ充実している。雇用ではないため、訓練生への手当は困難。一般就労のステップになるよう内容の充実に努める。

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養護学校におけるクックチル給食について

 次に今年四月から実施の総合性・地域性養護学校におけるクックチル給食について質問します。

 障害を持つ子どもにとって、学校における給食の内容や摂取状況は学校と保護者が共有すべき大事な情報です。とりわけ重度の障害児の保護者にとって、担任はもとより、学校に出かけた際は栄養士や調理師の方と「今日のおかずは食べやすいようだったね」「家ではどうや」などの会話が常にあったそうですが、現在は「給食の様子がわからない。」「先生に聞いても詳細なことは答えてもらえない」と落胆されている方もおられます。

 試食会では「中華の和え物がでてきたが、和え物とは食べる前にあえるからこそ、食材の良さが引き立ちおいしい物なのに二、三日前に和えている状況ではおいしくない」

との感想でした。さらに導入前からクックチルの方式にはそぐわないと言われていた「麺類」も月に一回はメニューにあるようですが、これも麺のおいしさ、食感がなく、五月の時には焼きそばが団子状態で食べられなかったということです。

 さらに再調理をしないハサップ方式で衛生上安全だと説明されていましたが、微妙な子どもの障害に合わせ、食べやすくするために再度ミキサーを回すなどの再調理が必要となっています。

 本来、導入の際に行われる試行期間もなく、やってみなければ細かい点はわからないという状況で食べること事体が命がけの障害をもった子どもがいる養護学校に導入したことは大問題です。

 一刻も早く対策を取る必要があります。以前の通りの自校方式による学校給食にもどすべきと考えますが、いかがですか。

〈門川教育長〉多彩な献立、障害や発達に応じた特別食、アレルギー食、献立の増加や改善など日に日に充実している。児童生徒、保護者、教職員に大変好評。準備から協議を重ね、意見をふまえて取り組んでいる。今後も一層充実させる。

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子どもの医療費助成制度について

 最後に子どもの医療費助成制度について質問します。

 本年十月に報告された「京都市子育て支援に関する市民ニーズ調査」において、子育て環境についての設問で、市・府・国に期待する子育て支援策についてみると、就学前児童の保護者では「乳幼児医療費の軽減や小児医療体制の充実など医療サービスの充実」が四四・四%と最も多い回答でした。私が地域でお聞きする要望の中でも、切実な願いです。この願いはどこに住んでいる親でも当たり前の要望です。京都市においては京都府と同様で、入院は就学前までは無料となり、通院は三歳以上で八千円を超えた費用のみ償還払いされることになりました。しかし、他の政令都市では、もう一歩進んで、名古屋、大阪、さいたま、神戸市など、就学前までに助成枠を広げています。京都府内においても、進んでいなかった南部地域で、城陽市が今年の四月から就学前まで助成拡大をし、広がっています。京都市基本計画第二次推進プランではH十六年度から二十年度まで、ずっと「対象拡充の動向の把握・検討」になっており経費は「0」で検討に要する予算さえ組まれていません。市民ニーズ調査の結果も踏まえ、乳幼児医療費助成制度は、外来も無条件に就学前まで拡充すべきと考えますが、いかかですか。

以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

〈松井副市長〉3才以上の償還は、月平均300件、1件あたり5000円と高額であり、保護者の経済的負担軽減に役立っている。拡充については市の財政状況をふまえ、受診動向を見極める。