トップ > 市会報告 > 2004年 > 04年11月定例市会 >

市会報告

ふじい佐富 議員

04年11月19日(金)

ふじい佐富議員の代表質問と答弁の大要 04年11月定例市会 本会議代表質問

 おはようございます。南区選出のふじい佐富です。日本共産党市会議員団を代表して、市長並びに関係理事者に質問をいたします。

破たんが明らかになった京都高速道路計画は撤回を

京都高速道路建設費は大幅な市民負担となるのは明確

 まず、第一に京都高速道路について質問をいたします。

 来年秋に民営化される阪神高速道路公団の概算要求で、第一に、出資金率を現在の一・四倍、三十五%まで引き上げる。第二に、一部区間を京都市の工事へと押し付ける。その結果、京都市の財政負担が大幅に増えることを、九月定例議会でわが党の佐藤和夫議員が明らかにしました。

 私は、その時の理事者の答弁に耳を疑いました。阪神公団・民営化にともなう動向や分析も行わず、京都市の財政状況の検討もなく、従来と全く同じ答弁だったからです。

 私は十月二十日、国土交通省・有料道路課や公団民営化準備室を。十一月九日には、阪神高速道路公団本社や大阪府を訪ね、詳しく状況を聞いてきました。

 国の担当者は「民営化に向けて、従来のルールは変わる。経済情勢にともない、自動車交通量も減少傾向にあり、阪神公団が民営化後四十五年で工事費の借金を返すことは難しい。出資金率の値上げと同時に、これからの高速道路建設は地方にお願いをしたい。地方自治体が行えば、街路建設となり四十五%の財政負担がともないます。」とのこと。

 また、すでに一部区間の事業区分の見直しを進めている大阪については「阪神高速の大和川線の一部区間は、大阪府が街路建設事業で行うことで合意をした。淀川左岸線は、大阪市と協議を重ねている」とのことでした。

 阪神公団では、担当者いわく「民営化後、このままでは建設費がまかなえない。予測交通量の見直しを行い、四兆七千億円の借金返済を前提に、抜本的な精査を行っている。大阪や神戸とネットワークでつながっていない京都は、京都高速道路利用者の通行料金だけで、返済しなければならず、非常に厳しい。」と訴えています。

 油小路線の予測交通量を聞くと「すべての路線が完成して、ネットワークが出来た時を前提にした数値であって、見直し作業を行っている。」とのこと。

 未着工の久世橋線・西大路線・堀川線の三路線については「今でも厳しいのに、新たに阪神公団が事業主体で行うのはむずかしい」と重大な発言もされています。

 大阪府の担当者は「去年十二月、国から阪神高速大和川線、全長一〇・八kmのうち、四・三kmを大阪府の街路建設でと言われた。国の提案では、大阪府の財政負担は、新たに約五百億円も増える。致し方なく街路建設事業として受け入れる判断をしたが、何とかさらに負担を減らせないかと、引き続き協議を重ねている」とのことでした。

 大阪市ではどうなのか。淀川左岸線の残事業費九百六十億円のうち、当初の負担は六十億円。それが三百八十億円と六・三倍に膨れ上がる。計画されている事業も計算すると当初負担の三百十二億円が二千億円へと、桁違いに負担が増えるとのことです。

 京都市で建設されている新十条通と油小路線の総事業費は二千三億円。どの区間が京都市の街路建設事業になるにしても、その建設費の四十五%は負担しなければなりません。未着工の三路線は総事業費二千九百億円。しかも、久世橋通を今の倍以上の五十メートルに拡幅する用地買収費は別に必要と言う超大型の事業です。今の財政事情で毎年、数百億円の建設費や用地買収費を新たに捻出することなど出来るはずがありません。

 さらに、完成後の維持管理費はどうなるのか。その事業区間は有料道路ではありません。完成した後も、毎年、一般街路とは比較にならない負担が強いられます。

 また、油小路線と第二京阪道路を結ぶ九百メートルの洛南連絡道路区間について、国の考えを確かめると、「国の直轄事業で行う。総事業費は百億円強。地方自治体には三分の一の負担金が生じる。年度末には収めていただく」とのことです。有無も言わせず、年度末に数十億円を国に納めなければなりません。したがって、油小路線や未着工の三路線の建設を、洛南連絡道路と同じように「国の直轄事業で」とお願いしても、毎年の負担金払いで財政は必ず破綻します。

 阪神公団は、これまでも、ランプ工事費や用地買収費などを、京都市に肩代わりさせてきました。来年秋の公団民営化の時点でも、供用開始の目途がない京都高速道路の場合、国や阪神公団が、大阪以上に厳しい事業区分の見直しを求めることも考えられます。

 建設局に聞くと「大阪市や神戸市とも連携を取って、国に要望を繰り返しているところ」と言っていますが、国も阪神公団も、ここまで明確な方針を持って、公団民営化の作業を進めている最終段階で、いくら協議を重ねても、その姿は「哀れな三都物語」でしかありません。

 京都市が、この間の経緯を市民に明らかにせず、京都高速道路建設費の大幅な負担の増大を、市民に負わせることになるなら、市長の責任は極めて重大です。桝本市長。財政面からどうなのか? 説明責任が問われる問題です。答弁を求めます。

 次に、このパネルをご覧ください。

 阪神高速道路の総延長は九九年度の二二一・二キロから、今では二三三・八キロへと延長されていますが、一日平均交通量はこのグラフに示したように、九八年の九十五万台をピークに二〇〇二年度には八十八万台へと減少を続けています。ちなみに、九五年度の落ち込みは阪神・淡路大震災による影響です。

 九三年、京都高速道路が都市計画決定された時の説明で、自動車交通量は二十年間で一・一六倍に増えるとしていましたが、実際はこのとおり下っています。

また、京都市は自動車の保有台数も、増え続けると予測していましたが、このパネルをご覧ください。

 京都市の統計資料によれば、九三年が四十五万台です。その後、九七年度の四十八万台をピークに毎年減り続け、二〇〇二年度末には四十五万台にまで下がっています。

 これらの数字が示すように、建設促進の「錦の御旗」にしていた、予測交通量や保有台数の数値的根拠はすでになくなっています。この二点の事実だけでも、高速道路事業の中止が迫られる問題ではありませんか。

環境面でも、京都高速道路計画はその建設根拠を失っている

 では、環境面ではどうなのか。

 谷田吾郎医師が代表をつとめる「京都の空気をはかる会」が、健康被害の原因のひとつと言われている二酸化窒素の市内全域の濃度測定を毎年六月に実施してきました。すでに七回も行われています。

 谷田先生によると「今年の特徴は第一に『とても汚い』地域が北は北大路通、西は葛野大路へと拡大している。第二に『とても汚い』交差点が盆地の都心部、五条通と七条通、大宮通と堀川通に集中している。国の環境基準を越える交差点が前年度の一ヶ所から、一気に二十二ケ所に拡大。特に今年、オープンしたダイヤモンドシティー・ハナ付近の西大路五条交差点では、国の環境基準の二倍。〇・一二PPMに達していた。」とのことでした。

 京都府保険医協会・環境対策委員の山本昭郎医師は「必要なのは自動車の交通量を減らすこと。新たに大量の自動車を呼び込み、環境を悪化させる京都高速道路計画は中止すべき」と訴えられています。

 一方、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素の排出量の問題では、運輸部門の九四%が自動車というデータからも、自動車の総量規制・交通需要管理施策の重要性は、環境面でも明らかです。一九九〇年度比で十%削減目標を掲げる京都市は「京都市環境審議会」答申で、「強力な対策を講じない限り、目標の十%削減どころか十八%増加する」と厳しい指摘を受けています。

 この数年の異常気象で、地球温暖化に対する関心も高まっています。地球温暖化防止京都会議で採択された「京都議定書」はロシアの承認によって、来年度に発効されることが確実になりました。この時期に、地球温暖化対策条例を制定することは、大いに評価できるものですが、問題はその中身です。文字通り十%削減を実現できる実効ある条例にしなければなりません。

 一方で「歩くまち・公共交通優先」と言いながら、自動車依存の高速道路を市内に引き込むという政策の矛盾を真摯に受止め、早急に改める決断が迫られています。

 財政面でも、交通量の将来予測でも、環境面でも、京都高速道路計画はその建設根拠を失い、破綻しているではありませんか。四面楚歌、八方ふさがりというのが実態ではありませんか。

 新十条通と油小路線はその工事を凍結する。残る三路線、久世橋線、堀川線、西大路線の計画中止を表明する時です。桝本市長の決断を求めます。

〈桝本市長〉京都高速道路は、阪神都市圏を結ぶ道路ネットワークを形成することはもとより、社会経済活動の活性化に資する必要不可欠な都市基盤施設。更に、本事業の整備により市内の慢性的な交通渋滞の緩和や定時走行の確保による交通の円滑化が図れることで、二酸化炭素等の排出が抑制され、環境保全に大いに寄与するもの。

阪神公団は、民営化後45年で債務を償還するという枠組みの中で、採算性を確保するため、事業区分の見直しや出資率の嵩上げみについて、協議・調整を求めてきている。本市としては、公団に更なるコスト縮減等の自助努力を求めるとともに、公的支援が必要な場合には、他の地方公共団体と連携し、地方の財政負担が軽減されるよう国に強く働きかけていく。 現在事業中の新十条通及び油小路線については、公団と連携し、早期完成をめざし不退転の決意で取り組む。残る3路線は、今後、道路公団4公団の民営化に向けた国の動向や社会経済情勢といった様々な要因を検討する中で、事業化に向けた取組を推進していく。

新型路面電車・コミュニティバス--いまこそ実現を

 次に、LRT・新型路面電車や小型循環バスの導入について質問をいたします。

 私は、今年十月二十二日から三日間、路面電車運行百周年を迎える高知市で行われた「第七回全国路面電車サミット」に参加してきました。北は北海道・札幌から南は九州・鹿児島まで、路面電車を走らせている全国の事業者や支援者が参加されています。新たに路面電車を運行する富山ライトレールの参加も眼を引きました。

 LRTの導入も、日本で始めて運行した熊本市交通局をはじめ、広島電鉄、岡山電気軌道、地元の土佐電気鉄道など、二〇〇三年度末で十都市、九十六両がすでに導入されています。

 国土交通省の担当官が、その普及の必要性と、改善された補助制度の説明を行っていました。来年度は、国土交通省の各局が連携して、総合的な支援を行えるよう財政面も、体制も整えていきたいとのことでした。

 サミットのまとめで、東京大学名誉教授の森地茂先生は「私たちのまちをどうして行くのか。具体化する時代に入った。特に京都でLRTを走らせたら良いな」との発言もありました。

 国会では、「LRT促進議員連盟」が共産党から自民党まで、超党派で結成されています。京都でも、今出川通にLRTを導入しようと言う市民の活発な動き、さらに、私も欠かさず参加している「次世代都市交通導入フォーラム」という形で民間レベルでも、活発な議論が展開されています。私も「京都LRT市民の会」の事務局の一人として、実現の一翼をになう運動を行っています。

 京都では、来年度、LRT導入検討報告書が発表されます。日本で最初に路面電車を走らせた京都だからこそ、古くて新しい京都のまちの象徴として、LRTが大きな注目を受けることは確実です。次の段階として、LRT導入に向けて、具体的なタイムスケジュールを示す時ではないでしょうか。答弁を求めます。

〈大島都市計画局長〉LRT等の新しい公共交通システムは、国内においても注目されている。しかし、専用軌道を確保するための自動車交通の制限、事業主体の問題、需要量や採算性の確保の問題等、解決すべき課題が数多くある。平成15年度から、7つの路線を設定し、自動車交通など他の交通手段や沿線住民に与える影響などの検討をすすめている。検討結果は、平成17年度に広く市民に示し、幅広い議論を行っていきたい。

生活に密着した小型循環バス導入を

 もうひとつの課題として、全国に広がる小型循環バスの導入も重要な施策です。大阪市交通局が導入した小型循環バス「赤バス」は運賃百円の気楽さと、市バスへの乗り継ぎの無料化など、大阪市民から好評を得ています。

 京都市でも、各行政区の基本計画で、十一行政区中、八行政区で小型循環バスの必要性を謳っています。「京都のバス事業を考える会」でも、生活路線として周辺部の赤字路線をどう運用していくのか。様々な想定をして実験を実施するとの方向が出されました。特に私の住む南区南西部は、市バスが唯一の公共交通機関で他に変わるものがありません。文字通りの生活路線です。買い物や病院通いなど、生活に密着した小型循環バスの要望の強い地域です。具体的な作業に入る時です。検討内容も含め、導入に向けた具体的な答弁を求めます。

〈毛利副市長〉醍醐のコミュニティバスは地域のために地域で運行するという先駆的な取組であると評価している。しかし、一般に他都市では、課題が数多く見うけられる。そのため、コミュニティバスの運行は、利用対象者、事業主体、採算性、支援のあり方などを検討する必要がある。

「京都のバス事業を考える会」では、市バスとタクシーとの連携モデルなど、生活支援路線の効率的で効果的な確保策についてご議論いただいているところ。

キリンビール跡地開発計画は白紙に戻せ

交通問題

 最後に、キリンビール工場跡地の開発問題について質問いたします。第一の問題は、住民への重大な影響や不安の声にどう答えるのか。という問題です。

 その一つに交通問題があります。超大型の商業施設につながる道路は、東西に走る久世北茶屋線しか存在しません。計画に示された駐車場台数の合計は六千三百二十台。内、商業施設用だけでも四千七百八十台という規模です。他の大型店の駐車場台数の比較をすれば、ジャスコ洛南店が一千七百五十五台。ダイヤモンドシティー・ハナが1千六百九十台。キリンビールの計画は実に三倍近い台数になっています。すべての比較では三・七倍です。京都府下最大の駐車場を建設しようとするものです。今でも交通渋滞で困っている地域です。京都府警本部からも厳しく指摘をされていると聞いています。取り返しのつかない事態を招くことは、間違いありません。

商店街への影響

 二つ目には、向日市の商業施設面積の二倍にも達する八万平方メートルの物品売り場面積が示す巨大な商業施設の経済的影響です。各地域の商店街はどうなるのか? にぎわいを取り戻そうと大変な努力をされている京都中心街の四条通や河原町通の商店街はどうなるのですか。

 九月に行われた京都府議会でも与党の議員から「周辺市町における商店の経営や雇用への影響が懸念される」と質問が出るほどです。「地域活性化の起爆剤」と言いますが、その爆風で周辺が吹き飛ばされることは確実です。しかし、商業影響調査さえ行われていません。

景観破壊と環境破壊

 三つ目は、高さ九十メートルのビルが四本、高さ九十メートルの観覧車の設置による景観破壊と環境破壊です。大阪方面から京都を訪れる人たちが、最初に眼にするのが、巨大な観覧車とビル群ということになります。京都らしい景観と言えるでしょうか? 京都市は「観覧車の建設を止めて欲しい」との要望さえしておらず、景観を守る姿勢は全く見られません。情けない限りです。

 また、九十メートルのビル群によって引き起こされるビル風の影響も心配の声が、多数出されています。キリンビール側から示された内容を報告するだけ。京都市自ら検証もしていないと言うのですから、お粗末の一言です。堺市の高層ビルによる、風害影響裁判で住民が勝訴した事例をどう受け止めているのですか。以上、これだけの市民の声がありながら、強引に進めようというのですか? 答弁を求めます。

秘密裏に練られた計画はいったん白紙に

 最後に、周辺住民に留まらず、京都市全体に多大な影響を及ぼす超大型開発なのに、キリンビール社と行政が秘密裏に進めてきた、一企業にのみ便宜を図った計画だと言うことです。京都市は、都市計画審議会の場で、審議委員の厳しい議論に対し「工場が閉鎖されてこの七年間。キリンビール社をはじめとして、行政も含めてどれだけの議論があったか、ということをご理解頂いていない」と力説されました。結局「七年間も市民に隠れて具体化してきた」と言っているだけではありませんか。市長の言う「パートナーシップ」の相手は市民でなく、大企業のキリンビール社だったということではありませんか。

 市民不在で七年間も秘密裏に練られた計画は一旦白紙に戻し、もう一度仕切りなおして、計画を立て直すことが求められています。答弁を求めます。

  以上、私の第一質問を終わります。

〈毛利副市長〉キリンビール工場跡地は、飛躍的に向上する交通利便性を活かした新たな拠点を形成する地区として位置づけている。キリンビール社の開発構想は京都市のまちづくりの方針に沿ったもの。交通処理は大きな課題。久世北茶屋線から円滑に地区内や敷地内に車が入れるような交差点処理や施設配置の検討を求め、京都府警はじめ関係機関とも協議していく。今後、大店立地法に基づく届けが提出されたら、地域住民の声を聞きながら適正に対応する。高層建築物による影響については、日影規制、環境、景観に配慮した計画になるよう指導していく。今後京都府、向日市とも連携しながら、にぎわいとうるおいのまちづくりの実現に向け取組む。

第2質問

 高速道路問題について、市長から答弁をいただきました。

 市長、この資料は、大阪府が、今年三月の議会に提出した、街路建設とした場合の説明文書です。基本的考え方と、1案から4案までの財政負担の事例も示されています。

 行政の最低限の責任として、事実を明らかにすることが求められています。桝本市長、あなたの答弁はその説明責任を果たしていません。

 重ねて、凍結・中止を求めておきます。

 以上、同僚議員とともに、引き続き、決算委員会の場で議論を展開することを表明して、質問を終わります。