河合ようこ 議員
04年10月 8日(金)
2003年度公営企業決算についての討論 04年9月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は、報第6号「京都市自動車運送事業特別会計決算」は認定しない。その他の公営企業決算に対しては、認定する、との態度を表明しています。私は、日本共産党市会議員団を代表して、その理由について申し述べます。
自動車運送事業(市バス)決算を認定しない:「管理の受委託」を一層進めるもの
自動車運送事業決算を認定しない理由の第一は、事業の全体がルネッサンスプラン、「管理の受委託」を一層進めるものだからです。十一年ぶりの黒字決算は、民間委託による職員削減など職員と市民への負担おしつけの結果です。人件費の削減と残された職員への厳しい労働強化を指摘し、乗客増対策など積極的な営業政策に転換するように求めましたが、市長は「全国一ともいえる企業改革を4次にわたって行った成果」だと現場へのしわ寄せを容認する答弁でした。また、4月以降55人の欠員がありながら補充もせず常勤運転手による「公休出勤」での対応は、採算性もなく、営業所は事務で混乱していることを指摘し、改善を求めましたが、「職場には迷惑をかけているが、公休出勤は民間では当たり前。「管理の受委託」計画を完了するまでは欠員補充はしない。受委託を前倒しですすめる」との答弁でした。そして実際、6号、8号、75号の各系統の「受委託」が前倒しされていることも明らかになりました。現場へのしわ寄せに無反省で、一路民間委託を進めるやり方は、バス事業の安全性・信頼性を損なうものであり、認めることはできません。MKの「受委託」への参入の動きの中で、「『京都のバス事業を考える会』がMKに有利な条件設定の場となってはならない」と指摘し、副市長から「特定の会社に有利ということがあってはならない」との答弁がありました。この姿勢を堅持されるよう求めておきます。
乗客をふやす積極的なとりくみを
認定しない理由の第二は、市民の足を守り、より利用しやすい市バスにする立場での、乗客をふやす積極的なとりくみが不十分だからです。ノンステップバスに対応した道路・バス停のバリアフリー化については「他局や警察とも連携し、改善を進める」との管理者の前向きな答弁がありましたが、「周辺部において運行する民間バスに敬老乗車証の適用と小型循環バスの運行を」との求めに対し、局審議では「採算がとれないので無理」との一点張りの答弁でした。また、醍醐コミュニテイバスに関して、副市長は「画期的なとりくみではあるが、行政は関係機関との連絡調整で支援するのみ」とのこれまでの姿勢を継続する答弁でした。市長からは「敬老乗車証は市バスでない住民の自主的なバスにまで手を伸ばすのは難しい。残念なこと」と答弁がありましたが、本会議答弁と比べて後退したものであり、問題であります。
全体としては、市民の切実な願いに応えるものにはなっていません。より便利で乗りやすく、市民の生活になくてはならない公営交通としての役割が発揮されるとりくみこそが求められていることを指摘しておきます。
高速鉄道事業については、地下鉄東西線六地蔵延伸工事の建設費で100億円の縮減を実現し十一月には開業、経常損益で66億円の改善がされました。さらに乗客の安全・利便性向上の点から地下鉄の地震対策が万全に行われるよう求めるとともに、来年度の地下鉄運賃改定はすべきでないことを求めておきます。
上下水道料金の福祉減免制度を
次に、水道事業、公共下水道事業について述べます。
工事入札での透明性拡大の努力がされ一定の改善がされました。しかし、生活困窮者への給水停止とりやめや福祉減免制度創設について、局は「機械的な停水はしていない」「料金収入が落ち込んでいるので停水処分している」という答弁で、副市長も「財政が厳しく制度の見直しを進めているときに新たな補助制度はできかねる」と、冷たい答弁でした。上下水道とも福祉減免制度がないのは政令市では京都市だけです。市民の生活実態をつかみ、いのちと暮らしを守る姿勢で関係局と協議し、減免制度を創設すべきです。また、鉛管取り替えは耐震性向上の点からも重要であり、早急に進めること、市独自の助成制度の創設と国の助成をとの働きかけを求めます。下水道貯留管整備については、今年のような浸水被害に対して、下水管の合流式の改善や雨水貯留施設の多面的な整備など「水共生プラン」による総合的治水対策が緊急に求められています。その上で、大型雨水幹線整備の見直しなど現在のマスタープランの見直しを求めます。下水道整備は緊急重要課題であり、整備促進のためにも汚水資本費補助金は全面復活すべきです。
必要な医療を市民に提供するためにも、職員体制の確保と改善を最優先で
次に、市立病院事業について、いくつかの点を指摘します。
まず、京都市医療施設審議会から出された「市立病院のありかた」についての答申の内容、「安心・安全の医療の追及」「政策医療を担い、地域の病院・診療所・医院との連携をすすめ、地域の拠点病院としての役割を担う」という積極面を生かすように求めます。しかし、独立採算の強要になり公的病院の使命に逆行する「地方公営企業法全部適用」は行うべきではありません。また決算は黒字でしたが、それには救急患者を積極的に受け入れたという面はありつつも財政非常事態宣言の緊急対策により削減された任意の補助金5億円の影響で発生した給与費と経費の大幅削減が要因でもあります。その中で、医師の32時間連続勤務という労働基準法違反、月8回以内という夜勤協定に反した看護師の深夜勤務などが常態化しています。副市長からも「体制の悪化は現実」「医師の32時間勤務は重大な問題であり、病院に是正を指示する」と現状を認めざるを得ない答弁がありました。この10月から医療事故防止のためにリスクマネージャー3名が配置されたところですが、自治体病院として、市民から信頼され、必要な医療を市民に提供するためにも、職員体制の確保と改善は最優先で行われるべきです。最後に、同和補助金の問題です。書類調査で15年度も14年度と同様に部落解放研究京都市集会へ上下水道局、交通局から50万円ずつ支出されていたことが明らかになりました。同和行政の終結は市長の公約であり、市長は「強い姿勢で見直したい」と答弁されました。ただちに廃止するよう強く求めておきます。
公営企業には、「住民の福祉の増進」という重要な使命があります。何よりも市民のくらし・福祉・いのちを守る立場で全庁あげた積極的なとりくみをすすめ、その役割を果たすことを求めて討論といたします。