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市会報告

宮田えりこ 議員

04年9月14日(火)

宮田えりこ議員の代表質問と答弁の大要 04年9月定例市会 本会議代表質問

国民健康保険について

国保料の値下げを

 山科区選出の宮田えりこです。市会議員となり1年半が経ちました。まず、さまざまな形で支えてくださっているたくさんの皆さんに心から御礼を申し上げます。

 私は絵をかいたり、ものをつくることが大好きで、美術や造形の活動に取り組んできました。その活動を通じ、このような時間が、人にとってとても大切な時間であること、心を豊かにし、人との交流も広がることを実感してきました。しかしそのような時間をもつ生活などどこの話かという生活実態が京都でも本当に広がっています。

 そんな時間を大切にできる市政を実現するため、日本共産党市会議員団を代表して質問をいたします。

 まず、国民健康保険について質問いたします。この6月、区役所の窓口は連日200人300人を超える市民が殺到し、大混乱となりました。国民健康保険料の算定方法が変わり、所得割が市・府民税額の六六九パーセント、約7倍に引き上げられたため、市・府民税を払っている世帯では、所得が変わらなくても保険料が大幅に上がりました。こんなに上がっては払っていけない、なんとか減免に適応しないかと切実な相談が私達日本共産党にもたくさん寄せられました。現在、京都市の国保加入世帯のうち、非課税世帯は7割にものぼり、保険料は市民の支払能力を超え、生活に重くのしかかっているのです。

 国民健康保険制度はもともと財政基盤が脆弱であり、国と,保険者である自治体の充分な財政負担なしには維持できない制度です。

 しかし、京都市が行っている一般会計からの繰入金は平成14年度決算で、市民一人あたり1万8000円弱、同じ政令市である名古屋市では市民一人あたり4万円の繰入を行い、減免制度は全部で8種類となっており、例えば、75歳以上の世帯で市民・県民税額が5万円以下の市民に対しては、申請のいらない職権減免を実施するなど市独自の減免制度を実施しています。

 京都市でも非課税世帯の多さや市民の生活実態を考えれば、何をすべきかははっきりしています。国へは、市町村国保に対する抜本的な財政負担を求め、保険者である京都市は繰入金や減免制度の充実で市民の負担を軽減するべきです。

 京都市で、できないはずはありません。高齢世帯に対する減免や、一定以上の所得割に対する職権減免など、国が定めずとも実施できる「条例減免」の充実を提案します。

 現在進める財政再建の名の下に、繰り入れを削減するようなことがあってはなりません。減免制度充実による一般会計からの思いきった繰り入れ金の確保で、負担能力を大きく超えた高すぎる国民健康保険料を値下げし、市民がいつでも安心して医療にかかれる権利を守るべきです。市長の決意をお聞かせ下さい。

〈保健福祉局長〉非常にきびしい財政状況にあって、今年度146億円の繰入を確保した。国保会計は100億円を超える累積赤字を抱えており、減免の拡充や保険料引き下げは、困難。国へは、補助金増額や、制度の抜本改革の早期実現を要望する。

短期証、資格証明書発行をただちにやめよ

 もうひとつ深刻な問題は、期間限定である短期保険証や窓口で10割負担になる資格証明書の発行の多さです。山科区では今年の3月時点で短期保険証が2299件、

 資格証明書が397件の発行となっており、併せて加入世帯の10.69%、1割を超えています。なぜこんなに多いのでしょうか。

 京都市は、いつも「納付している被保険者との公平性を保つため」「丁寧な納付相談にのっており機械的な発行はしていない」と言われます。しかし,負担能力を超えた保険料を課し、払わなければ正規の保険証を取り上げ、医療を受けることができなくなるという状況は制度として明らかにゆがんでいます。

 あるお話をお聞きしました。高尿酸血しょうなどで通院治療中の方が、日雇い労働のため収入が安定せず、国民健康保険料を滞納していたため資格証明証が送られてきた。医療費を一時的にとはいえ窓口で10割を負担するなど考えられず、3年間治療を中断していたというのです。3年後、どうしようもなく体調が悪くなり病院に駆け込まれましたが、現在も医療費が払えず借金をして治療を続けているという現状です。「機械的な発行はしていない」といいますが、治療中の国保加入者にまで容赦なく資格証明書を発行し受診の中断が発生しているではありませんか。

 今年8月の新聞報道では、全国保険医団体連合会の調査で受診抑制の実態が告発されています。資格証明書が発行されている世帯の受診率は正規の保険証交付世帯と比べると20分の1から100分の1と極端に低くなっているというのです。そして「今、すべきことは保険料の算定見直し、減額措置の拡大、国庫負担の引き上げなどで資格書を廃止すべきだ」と主張していました。

京都市における資格証明書での受診状況はさらに深刻です。平成14年度、市立病院での受診はゼロ、市内全体でも年間255件、資格証明書の発行が14年度末で3,685件ですから受診率は6、9%。正規の保険証での受診率831%と比べれば、「120分の1」と。放置できない受診抑制の実態があります。

 受診が遅れれば、病状は重傷化し、市民の医療負担も増え、保険からの医療給付費も増大します。社会保障制度としての信頼も薄れ制度が空洞化し、ますます保険料収入が減っていくという悪循環を解決することはできません。

 市民の命を守るべき自治体として、早期受診を妨げないよう保険料の滞納を理由とした資格証明書や短期証の発行を直ちにやめ、正規の国保証を発行することを求めます。いかがですかお答え下さい。

<保健福祉局長>滞納者にはできる限り接触を図り、きめ細かな納付相談・指導を行っている。特別な理由なく滞納すれば、交付はやむを得ない。

京都市の環境行政、ゴミ減量の取り組みについて

分別収集の徹底を

 次に、京都市の環境行政、ごみ減量の取り組みについて質問いたします。

 昨年12月、京都市は新たに「京都市循環型社会推進基本計画」を策定し、平成27年を目標年度として、ごみの総排出量を

 85万8,257トンから6.4%削減すること、再生利用率・リサイクル率を平成12年度の11%から27%へ、焼却や直接埋め立てによる処理処分量を25%削減し、最終処分量を69%削減するとしています。

 実効性ある具体策と着実な目標達成が求められます。そして京都で生活すれば環境意識が高まる、廃棄物の抱えている問題が見えてくるような処理方法と情報公開を進めねばなりません。

 まず分別収集の徹底についておたずねします。市外から引っ越されてくる方々が口をそろえてこう言われます。「地元で資源回収されていたものが京都では「燃えるごみ」。出すのに大変抵抗がある」と言われるのです。ある学生さんは「出せないからどんどん下宿に溜まっていく」とまで言っていました。企業からも同様の声が出ています。「会社で分別を進めても、京都市では分別がされていないため、社員の意識にギャップがある」。これは、28分別に取り組む京都の企業からの声です。

 京都市では、缶・ビン・ペットボトルが混合回収され、再資源化率は70%台に留まっています。また家庭の定期収集ごみに混じる資源は紙・プラスチックなど56. 6%、最終処分場に埋め立てられる焼却灰のうち空き缶などの金属類が容量の20%も含まれるなど、貴重な資源が燃やされ埋め立てられています。なんともったいないことでしょうか。

 「地域の回収活動をしっかりサポート」と始められる、市の新しい制度である「コミュニティ回収制度」は、町内会などで行われる回収活動を、業者の紹介、台車やコンテナの提供などで支援するものですが、現在の回収実施状況の把握、町内会への申し入れなど具体化がないままで、家庭ごみに混じる資源をどう減らしていくのかも具体的に見えてきません。

 また、「その他プラッチック製容器包装」の分別回収ですが、5年間モデル実施に取り組み、10月からようやく全世帯の10%に拡大することが決められましたが全市で取り組まれるまでにいったい何年かかるのでしょうか。

 私は、京都市の遅れた再資源化をすすめるために、まず、缶・ビン・ペットボトルの混合収集をやめ、無駄なくリサイクルされるために別々に回収すること。分別の周知徹底を行う取り組みを行政区単位で具体化すること。家庭ごみに多く混入する古紙など資源の回収率をどう引き上げるのか、年次目標を持つことが必要だと考えますが、いかがですか。お答えください。

〈環境局長〉発生抑制・再使用の上流対策に重点。分別・リサイクルは「計画」で数値目標を掲げ、ライフスタイルの変化とニーズに応えるため、混合収集を維持、小型金属の収集、新たにプラスチック製容器包装も拡大。多品目を対象にきめ細かな「コミュニティ回収」をスタート、市民の自主的な活動を支援する。

再利用の可能な容器・リターナブル容器の利用促進に重点を

 次に再利用・リターナブル促進についてお聞きいたします。今注目されるのはリサイクルよりもよりエネルギー消費や環境への負荷が少ない再利用の取り組みです。リサイクルの取り組みは重要であるものの、一旦原料にしてから再び製品とするための工程では、たくさんのエネルギーも消費し有害な物質も生まれるからです。

 例えば、びんを割らずに再び使用すると、ビール瓶であれば20回以上使用され、二酸化炭素の発生を四分の一に減らすことができます。今年度ようやく、党議員団も強く要望していました生きビンの回収、つまりリターナブル回収が全市8ヶ所、お酒や飲料用を中心に全部で76種が実施されることとなりました。しかし周知が徹底されず資源回収に回っているのではないでしょうか。

 生きビンのすべてが回収されれば、ごみ減量とエネルギー消費を減らす大きな効果となります。

酒屋さんなど、すでに再利用のルートはできているのですから、市民への理解と協力を求める取り組みが必要です。10年で

 200ヶ所という目標を前倒しし、回収箇所を思い切って全市に拡大すること、生きびんなど再利用可能な容器の利用促進にアイデアも出し、もっと取り組みの重点を置くべきだと考えますがいかがですか。お答えください。

〈環境局長〉商業店舗などでリターナブルびん回収を開始、身近な回収拠点拡大に努めている。酒販店などの回収と相乗効果を計り、全市的な拠点拡大に努め、普及啓発を通じて再利用のとりくみを強力に推進する。

事業系ゴミの減量の具体化を

 やや減量傾向にある家庭ごみに比べ、増加傾向にあるのが事業系ごみのうち業者収集ごみです。対策が不十分であることは市の循環型社会推進基本計画でも指摘されています。業者収集ごみの組成をみると、紙類、プラスチック類など合計72. 6%が資源です。資源が「燃えるもの」「燃えないもの」という区別だけで焼却され埋め立てられています。

 京都市は事業系ごみの減量のため、大規模事業所を対象に減量計画書の提出を義務づけていますが、家庭ごみ減量の計画よりさらに実態把握や年次計画などあいまいであり、具体化が必要です。把握体制の不十分さや、減量に必要な情報が事業者に十分浸透していないところに大きな課題があると京都市も認識しているのですから、指導管理体制を充実させていく必要があります。あわせてお答えください。

〈環境局長〉大規模事業者に対し、減量計画書の提出を義務づけ、立ち入り調査を精力的に実施している。事業系ごみはH14年度から減少し、大規模事業所の再生利用率も向上。一般廃棄物全体の削減目標達成に向け、事業系ごみのより効果的な施策を推進する。

廃棄物・ごみ処理の新たな施設計画の凍結を

 次に廃棄物・ごみ処理の施設計画についてお聞きします。

 京都市には、いま焼却施設であるクリーンセンターが5工場、再資源化施設が建設中も含め3ヶ所あります。クリーンセンターはごみ減量の実績を踏まえ4工場体制にするとのことですが、他の施設建設が目白押しです。先日7億5千万円の建設費をかけて完成した使用済みてんぷら油などを精製しパッカー車などの燃料をつくるための廃食用油燃料化施設に続き、山科のエコランド音羽の杜には総事業費230億円、年間経費18億円の灰溶融炉の建設、さらに立て替えされることになった南部クリーンセンター敷地内に、生ゴミを発酵させてガスエネルギーを回収するバイオガス燃料化施設やごみに混入する資源を分別するための選別資源化施設をあわせて約240億円で整備する計画が明らかにされました。

 市長は1工場減らすことをマニフェストにかかげ、財政的な節約効果を強調されていましたが、これではその効果など完全に吹き飛んでしまうではありませんか。このような新たな施設建設計画は一旦凍結し、市民意識を高めるためにも資源回収や再利用の取り組みこそ強めごみ減量に取り組むべきです。答弁を求めます。

〈市長〉溶融炉は一日も早く建設すべき必要不可欠な施設と確信。バイオガス化施設、廃食用油燃料化施設など、資源回収と再利用のきわめて有効なとりくみであり、ごみ減量とともに、より効果的・効率的な施設整備を積極的に推進する。

JR山科駅周辺の移動円滑化構想と疎水へつながる通路北側の改善を

 次に地元山科の問題でお聞きいたします。

 山科では、区内各地に残る史跡・自然・祭・伝承などの地域資源を歩いてめぐる8つのコースを紹介する「ホップステップマップ」という山科散策地図帳が作成され、地域資源の豊かな山科のまちを紹介しています。「おだやかな時間の流れを感じる・山科疏水みち」と題して1番目に紹介される疎水へは山科駅から歩いてたくさんの方が訪れる場所です。山科駅は、京都の東の玄関口であり、JR,京阪、地下鉄が集まる、1日の乗降客が10万人と京都駅に次いで利用者が多い駅です。国の「交通バリアフリー法」や京都市の「交通バリアフリー全体構想」にもとづいて「山科地区交通バリアフリー移動円滑化基本構想」が昨年10月策定されました。

 駅構内には住民の長年の願いであったエスカレーターやエレベーター設置という大工事が進められ、駅周辺ではバスの乗降や停留所の改善、周辺一キロ圏内の公共施設や大学へつながる道路での段差の解消や歩行者優先の整備が進められています。JR山科駅では、改札が南側あるため、駅の北側へ行くには、いったん改札を出て幅の狭い自由通路と呼ばれるトンネルのようなところを通り抜けねばなりません。特に通路の北側部分には高低差を解消するための階段とスロープがあるのですが、なんと勾配が15度で、市の基準も大きく上回っています。手押しの車椅子では上がれない、スロープを下りると自然と駆け足のようになりますから転倒したことがあるなど改善が急がれています。

 用地的には「未整備」との事ですが、北側には疎水沿いに4キロ続く東山自然緑地帯があり、区外からもたくさんの方が訪れる山科の貴重な観光名所です。この自由通路は、洛東高校もありたくさんの高校生も通ります。

 「山科地区交通バリアフリー移動円滑化基本構想策定連絡会議」で募集された市民意見では108件の要望が寄せられました。その中で多数の方が、この自由通路の改善など駅北側からJR山科駅へのアクセスの改善をもとめる要望を寄せられ、山科地区バリアフリー構想の中にも改善の要望が多いことが文章で触れられることとなりました。

 しかし、今回の構想では、北側改札口の設置も、自由通路の改善の具体策も盛り込まれず、住民の方はがっかりしています。

 多くの市民の要望に応じて、早急に改善される決意をお聞かせください。

〈都市計画局長〉山科地区交通バリアフリー基本構想は、策定の検討組織に、高齢者・障害者をはじめ多くの市民が参画し、昨年10月に策定。バリアフリー化を着実に推進している。要望の点は、基本構想策定の課程で検討を重ねたが、大規模な改築・周辺整備が必要なほか、移転困難な支障物件があり、きわめて困難。

山科区の浸水防止対策について

 次に浸水対策についてお尋ねします。この夏、7月26日、8月7日と市内で集中豪雨が発生し、浸水の被害数は全市で317戸にもおよびました。山科での降雨量は7月26日が1時間にバケツをひっくり返したような雨と表現される50ミリという降雨が、そしてわずか10日後の8月7日にはさらに強い62.5ミリいう、いわゆる滝のような雨が降り、両日で把握できているだけでも182戸の床上床下浸水の被害でした。

 西野小学校前では膝上まで道路冠水しました。床下浸水がひどく床下収納庫が水没し、乾物などがぷかぷか浮くような被害のあったお宅では、消防のポンプ車で排水処置が行われました。このお宅は、両日ともこのようなひどい浸水被害だったのですが、7月26日の浸水後は、保健所から消毒液をお届けし私も散布をお手伝いさせていただきました。数年前も浸水被害にあっておられましたが、このような消防や保健所での対応があることをご存じありませんでした。近年、都市部での集中豪雨多発の要因として、地球温暖化や都市化により気候が熱帯化してきているという指摘がされています。

 災害に対して開発や土地用途の変更時に、影響を事前にチェックする防災アセスの導入や、常に災害発生を想定し対応マニュアルを周知するなど早急の課題です。

 特に急がれるのは、被害の大きかった河川の改修です。畳や布団は水没し、雨が降るたびに「気が気でない」と表に何人も出てこられている竹田川では改修が待たれています。

 京都市の河川改修は、平成12年度には31億円あったものが、今年度は14億円と大幅に減らされています。これではいつ行われるのかとかきわめて不安です。予算を増額し、必要な河川改修に早急に取り組むことを強く求めます。以上で私の質問を終わらせて頂きます。ありがとうございました。

〈毛利副市長〉治水事業基本計画に基づいて河川改修を積極的にすすめており、浸水被害の軽減に一定の効果を上げた。頻発する都市型浸水被害をふまえた、重点的な河川改修実施、下水道事業との連携による効果的な治水対策の推進、流域全体を視野に入れた総合的な治水対策に取り組む。