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市会報告

宮田えりこ 議員

04年5月28日(金)

年金改革法案撤回 意見書提案説明 04年5月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党京都市会議員団は「年金法案の撤回を求める意見書」を提案していますので、理由の説明をさせていただきます。

 今国会で審議中の年金改革法案は、保険料を大幅に引き上げ、給付を削減するものであり、国民が安心して老後を迎えることのできる制度とはかけはなれています。そして、『偽り』の宣伝をしておきながら、審議をすり抜けようとする政府の態度は許されないものです。

 政府は、国民年金保険料について、はじめから20000円以上の保険料になることを試算しておきながら、国民には「2017年は16900円になり、これが上限だ」との説明をしてきました。法案は、物価・賃金上昇率をおりこんで保険料を毎年引き上げていく仕組みになっており、いくらの保険料になるか、国会にも国民にも説明できたのにひた隠しにしてきました。

 保険料も連動して上がっていくというのが新たな政府答弁であり、2017年で20860円に、2027年には25680円、2037年には31610円とうなぎのぼりです。保険料を払えない人がますます増え、空洞化が広がるのは明らかではないでしょうか。

 受け取る年金はどうなるのでしょうか。給付水準についても「現役世代収入の50%確保」と説明してきましたが、厚生年金を受け取り始める65歳に限られます。例えば、40年間サラリーマンとして働き、65歳時点で現役世代手取りの59%の受給額が、85歳には43%と給付水準は3分の2になります。現在45歳以下の人が85歳になるときは40.5%まで落ち込むと言う深刻な数字となっています。

 このような年金でどうやって生活をしていけというのでしょうか。「高齢者は消費水準がだんだん下がっていくから、同じ年金をもらえなくて当然だ」というのが小泉総理、坂口厚労相の言い分ですが、実態を無視したひどい話です。高齢になれば医療費や社会保障費の負担が増えていき、今でも生活費を切り詰めているのが実態です。60代後半の消費水準を100とすると75歳以上の人が93。消費水準は年々、高齢になっても格差が縮まっているのが実態です。老後を豊かに過ごすための余裕などどこにもありません。これらのように、保険料でも給付水準でもいずれの説明も偽りであったことが政府自らの答弁で明らかとなってきました。

 今の年金制度で一番の問題点は、保険料を払ってない人が国民年金で1000万人を超えるなど支え手が確保できず制度の空洞化が進み、土台が崩れていることにあります。しかも、年金の制度・しくみを決めることができる国会議員の中で100名を超える未納者が明らかになり、国民の大きな怒りを呼んでいます。

 自民・公明・民主の主張する「一元化」では、「年金制度間の格差をなくすために」といいますが、今の制度の枠組みのまま保険料や年金の額だけをそろえていこうというやり方です。国民年金を厚生年金に合わせれば国民年金の負担は数倍にもなり大変重くなります。多くの中小企業やフリーターの皆さんにとってとうてい払える額ではありません。厚生年金を国民年金に合わせると企業負担がない制度となり、受け取る年金の水準も大幅に下がることになります。年金を貧しくする方向での「一元化」は認められるものではありません。

 「三党合意」によっても、政府案にある保険料の連続引き上げ、年金給付水準の15%カットと言う制度改定の内容には変化もなく、消費税の大増税に道を開くものです。

 「二十五年間も保険料を払っても、受け取るときはいくらだか分からない。制度がころころ変わるし、給付は減るなんてひどすぎる。安心を言うなら、国民が納得できる審議進行と仕組みにすべきだ。」と言うのが国民の思いです。マスコミ各社の世論調査でも6割から7割が「成立させるべきではない」「見送るべきだ」と反対の意思を示し、法案をめぐって、かつてない空前の事態となっています。

 政府与党が説明してきた「保険料の上限は16900円、給付は50%を確保」が崩れた今、白紙に戻し法案を撤回すべきです。

 以上、諸先輩議員の賛同をお願いいたしまして提案の説明とさせていただきます。ありがとうございました。