北山ただお 議員
04年5月28日(金)
市市税条例改正案 反対討論 04年5月定例市会 閉会本会議討論
議第67号市税条例の一部改正につきまして、日本共産党市会議員団は反対する、報第1号については承認しない、との態度を表明していますので、私は、日本共産党市会議員団を代表いたしまして、その理由を申し述べます。
この市税条例一部改正条例は、国におきましての地方税法「改正」に伴うものでありますが、これは自民党と公明党による税制改正大綱で「地方分権の推進を支える税制」として提起されました。しかし、その実態は、「三位一体改革」の名のもとで、国から地方への財政支出が大幅に削減され、その穴埋めに地方自治体と住民に負担を押し付ける内容となっています。
条例改正に反対する理由の第一は、老年者控除の廃止や、生計同一の妻に対する非課税措置の廃止など市民への大増税を押し付けるものだからです。老年者控除は、65歳以上で所得1千万円以下の方に適用され、控除額は48万円ですが、この控除で影響を受ける方は全国では400万人、市内では約49000人で9億7千6百万円の増税です。平年度に換算しますと、その負担増は全国で、道府県民税で330億円、市町村民税で673億円、合計1003億円の負担増となります。
その上国税において公的年金等控除で、65歳以上の方への上乗せ分が廃止されましたからその影響がさらに大きくなります。この負担額は全国で416億円で、老年者控除と合計しますと1416億円もの負担増となります。市内では4億24百万円ですから、これも合計すると14億円の負担増です。
さらに、生計を同一とする妻に対する住民税均等割り非課税措置が廃止されました。これは納税者の妻はどれだけ所得があっても均等割りは非課税とされてきたものであります。廃止により新規に課税対象となる女性の見込み数は約820万人で、全国では約540億円、京都市でも1億19百万円もの負担増となるのです。統計で、女性の賃金は69%が240万円以下となっていますから、非課税措置の廃止は、住民負担の引き上げとなります。住民税の引き上げは、国民健康保険料や介護保険料、保育量などの負担がさらに増大することになるのです。
このように、今回の改正は、個人住民税に狙いを定めた庶民増税であり、長い不況に苦しむ住民の暮らしをさらに困難にするものといわざるを得ません。
反対する第二の理由は、土地等の長期譲渡所得の課税の特例、すなわち税率の引き下げなど土地税制の緩和が行われ、民間不動産会社など大規模土地所有者の負担軽減を図るものだからです。さらに、新に、ゼネコンなど民間事業者による都市再開発事業に、いわゆる都市再生という名のもとに新たな装いを凝らした手厚い税制優遇措置をとっています。また、担税力のある大企業に対して特例措置を温存、延長をしており容認できません。
冒頭にも述べましたが、小泉内閣が「三位一体の改革」といっても、結局地方自治体への税財源委譲はまともに行われませんでした。今年度国からの補助金削減は1兆円にもなり、各自治体がいっせいに悲鳴と怒りの声をあげていることはご承知のとおりです。
財務省の審議会である「財政制度等審議会」が5月17日に「平成17年度予算編成の基本的な考え方について」と題する建議を提出しています。これは予算編成の基本方針となる「骨太の方針・第4弾」の原案となるもので、今朝の新聞で紹介されていますが、そこではますます地方自治体と住民への負担増大を押し付ける内容となっています。たとえば、「地方財政」の項目では「地方分権に向けた地方公共団体の自助努力を促すための工夫が求められる」「H17年度の地方財政計画の各歳出項目を引き続き見直し、地方財政計画の規模を厳しく抑制することが重要」と、財政支出抑制を強調しています。
骨太第4弾では、税源委譲額は明言しない、とされていますから、これでは来年以降の地方自治体予算は組みようがない、という怒りの声が大きくなるのも当然です。5月25日、全国知事会や全国市議会議長会などの地方6団体は「地方財政危機突破に関する緊急決議」を採択して国への「本格的な税源委譲」を訴えています。
つまり、国からは補助金削減をどんどん押し付けられながら、来年度以降もさらに拡大をしようとしている、税源委譲はまともにしない、老年者控除の廃止や生計を同一にする妻の均等割り非課税の廃止など国民いじめ、弱いものいじめの悪政はどんどん進めていくというのでは、市民は納得できないのであります。地方自治体と市民生活に重大な影響を及ぼす条例改正には断じて反対することを申し上げて討論といたします。