西野さち子 議員
04年5月28日(金)
国民健康保険事業特別会計/老人保健特別会計補正予算 賛成討論 04年5月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は、議第64号 京都市国民健康保険事業特別会計補正予算案、議第65号 京都市老人保健特別会計補正予算案について、繰り上げ充用は必要な会計処理上の手続きとして賛成をいたします。しかし、わが党は一貫してこのような国保会計の赤字の先送りだけでは根本問題は改善しないという事を主張してきました。毎年恒例のように繰上げ充用が繰り返されますが、国保財政は改善されるどころか悪化していると予算委員会の中でも問題点が論議されました。
まず国民健康保険についてですが、第一には、国の責任が重大だということです。政府は、1984年に国の負担を実質、医療費の45%から38.5%に引き下げました。この国庫負担を元に戻す事で国保財政を建て直し、高すぎて払えない人が増えている保険料を引き下げる事こそ必要です。「高齢化で医療費が高騰し財政が大変だ」とか、「相互扶助の制度だから保険料を払わなければ保険証を取り上げる」と政府は言いますが、他の国と比べますと、医療・健康費用の家計支出に占める割合は、EU8ヶ国の平均が3.3%で日本が11.1%、と3倍以上になっていますし、フランスでは、医療費の全額を一旦払いますが、ほぼ全額が払い戻されます。財政の厳しい中でも、国民の負担を少なくする努力がされているのです。国保財政を立て直す為にも、国に対して国保への国庫負担を元に戻すように強く求めるべきです。第二には本市の責任として、一般会計からの繰入金の問題です。予算委員会でも、保険料負担が中間所得者層だけでなく、低所得者層にも重くなっていることが指摘されました。介護保険料込みで、2人世帯で所得がゼロでも年額3万4,521円。300万円なら56万4,620円と保険料が所得の2割にもなっていますし、今年度は更に所得割の率が上がっていますから、中間所得者層の人は負担がさらに増えています。保険料が払えなければ保険証は取り上げられます。それどころか差し押えまで行われています。H16年3月の時点で短期証・資格証明書・未更新をあわせると2万2,973件にもなり、年々増加しています。保険証の無い人が医療にかかる事は、非常に制約されます。今年になってからでも保険証が無いために手遅れになり命を落とされた人や自殺者など伏見区で2人の犠牲者が出ています。憲法25条で生存権の保障が謳われているのですから国民皆保険というのなら、これ以上の犠牲者を出さない為にも、誰にでも必要な医療が受けられるようにすべきではないでしょうか。本市は、他の政令市と比べても加入者の所得はきわめて低く、高齢化率も高いわけですから、年々減っている一人あたりの任意の繰入額を思い切って増やし、保険料の減免・減額の拡充を行うこととあわせて、高すぎる保険料を引き下げるべきです。
次に老人保健についてです。繰り上げ充用の理由として、支払い基金などからの交付金が法定負担額を下回ったためと説明されています。H16年度で2億円全額追加交付されるということですから、この点については問題はありません。しかし、一部負担金の未償還問題で、今年10月にも時効になる人が出ます。予算委員会では直近で未申請が2万2000件1億2000万円に上ることが明らかになりました。老人福祉員によるお知らせや、返還される金額を具体的に知らせることなど、更なる対策が急いで必要です。
以上のほか、高額医療費の委任払い制度をきめ細かく市民に周知することや、在宅酸素療法患者の医療費負担を内部疾患3級障害の人まで無料にすることが必要だということを強く指摘して、私の討論といたします。