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市会報告

岩橋ちよみ 議員

04年5月28日(金)

イラク占領反対、自衛隊撤退意見書 提案説明 04年5月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、「イラク占領に反対し、自衛隊の撤退を求める意見書」を提案しておりますので、提案理由を説明します。

 今、米英軍によるイラク占領にどのような態度をとるのかが、世界の平和をめぐる最大の問題として問われています。

 第一は、米英軍による戦争、その後の軍事占領の破綻がはっきりしたことです。米ブッシュ政権は、大量破壊兵器を除去する、イラク国民をフセイン政権の圧制から解放する! と戦争を開始し、今日に至るまで軍事占領を続けてきました。

 しかし、結果はどうでしょう。大量破壊兵器はいまだに発見されていません。それどころかイラク国民の抵抗、怒りをよびおこす事態はさらに深刻になっています。占領軍は、事実上イラク国民に銃をむけた、第二のイラク戦争に足をふみいれているからです。イラク中部のファルージャで、700人を超える住民を虐殺した無差別攻撃、フセイン政権と敵対していたサドル師勢力への弾圧、結婚式への空爆と続いています。また明らかになった、米軍兵士によるイラク人に対するおぞましい犯罪、拷問・虐待は、人間の尊厳を傷つける行為であり、捕虜に関するジュネーブ条約に違反するものです。人間社会の原理と規範を確認した国際法、人権宣言を蹂躙する国際犯罪であり、断じてゆるされない蛮行です。戦争が開始されてから、イラク人一万人の尊い命が奪われました。だからこそイラクから、世界中から怒りの声があがっているのです。イラク戦争と占領に協力してきた「有志連合」も、シンガポールやスペインなどが撤退し、ノルウェーやニュージーランドなど次々と撤退を決定する国が広がっているのです。まさに、米英軍による戦争と軍事占領は、憎悪と報復の連鎖を生み、事態を泥沼化する一方で何の大義もないことが明らかになったのではないでしょうか。占領支配の速やかな終結とイラクの主権回復、国連中心の復興を求める声は、国際社会の大勢であり、世界の声です。

 第二は、自衛隊派兵を続ける根拠も大義も崩れていることです。政府は、「人道支援活動」「非戦闘地域」に行くと言って、派兵をすすめてきました。人道に反する虐待をおこなうアメリカを支持して、どうして人道支援といえるでしょうか。陸上自衛隊が派兵されているサマワでは、自衛隊の宿営地をねらった砲撃が相次ぎ、オランダ軍では死者も出てしまい、自衛隊は陣地から一歩も出られない、立てこもらなければならないほどのひどい状態です。これは、イラク全土がすべて戦闘地域であることを証明するものであり、派兵の根拠は崩れたことを示すものです。サマワのアルサマワという新聞が現地で世論調査を行いましたが、「自衛隊が来て、市民の利益になったか」の問いに、51%が「利益になっていない」47%が「撤退してほしい」と答えています。自衛隊の人道支援活動は現地からも歓迎されていないのです。イスラム聖職者協会のクバイシさんは、「日本には憲法があって自衛隊は海外に出てはいけないはずだ」と繰り返しいわれています。自衛隊派兵の根拠も大義も崩れているのです。

 日本政府は、憲法もイラク特措法も、国連憲章の平和のルールも踏みにじり、イラク戦争を支持し、自衛隊を派兵してしまいました。今、世界では、「日本の憲法9条に学ぼう、憲法9条は世界のブランド」という声がひろがっています。2000年の国連ミレニアムフォーラムでは「すべての国が、その憲法において日本国憲法9条に表現されている戦争放棄原則を採択すること」が提案され、アメリカでも「9条の会」がつくられています。憲法9条は世界の宝、日本国民の誇りなのです。今、日本政府に求められているのは、アメリカの無法な戦争や軍事占領に加担し、自衛隊派兵に固執することではなく、この憲法9条を守り、生かし、世界の平和に貢献することではないでしょうか。日本政府が米英軍のイラク占領に反対し、自衛隊をすみやかに撤退させることを強く求めるものです。同僚議員のみなさんの賛同をお願いし、提案説明といたします。