せのお直樹 議員
04年5月19日(水)
せのお直樹議員の代表質問(大要) 04年5月定例市会 本会議代表質問
年金問題について
日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。
最初に、市民の暮らしに直結する、国会で審議中の年金問題です。
現在の水準でも年金生活をされている市民の実態は極めて厳しいものです。ある市営住宅にお住まいの92歳と65歳の高齢者親子の世帯は、お二人の年金で月12万円の収入です。身内が亡くなった際、葬式代が出せずに借金し月々の返済が2万円。残るお金は月10万円です。家賃や共益費、光熱水費などを差し引いた分で、ぎりぎりに切りつめながら生活をされています。これが市民の実態です。1,250名が回答された年金者組合京都支部のアンケートでも、「現在の年金額にあとどのくらい増やしてほしいか」との問いに対し、「5万円以上」を望む人が全体の63%に及んでいます。年金だけで暮らしていく事がいかに困難であるかを示すものです。
政府の年金法案は、年金保険料の引き上げと給付水準の引き下げを、国会の審議ぬきで毎年自動的に行えるようにするものです。これは、国民の暮らしを支えるべき公的年金制度を根本から変質させるものです。
厚生年金では、14年間にわたって保険料が引き上げられ、これに伴う負担増は平均で毎年1万円。国民年金でも毎年3,360円上がり続けます。政府は当初、国民年金保険料は2017年度で「固定」される、と説明していました。ところが、先だっての国会で小泉首相は、「物価や賃金が上昇すれば保険料は上がっていく」と答弁し、坂口厚生労働大臣も、「名目賃金上昇率が2・1%の場合、2017年度で月額20,860円、27年度で25,680円、37年度で31,600円になる」と答え、保険料アップが天井知らずであることを認めました。
また法案は、現在の給付の水準を実質で15%もカットするというものです。政府のいう「モデル世帯」でも、厚生年金で月額4万円の削減です。政府は、現役労働者の平均所得の「50パーセント」の給付水準を確保するとのべていますが、ほとんどは3割から4割台になってしまいます。しかも、政府のいうモデル世帯でさえ、「現在六十五歳の場合には受給開始十年後に51.3%、二十年後に43.2%になる」などと坂口厚生労働大臣は答弁し、すべての世代にわたって50%を切ることを認めました。国民年金の平均受給額は、わずか4,6000円です。この水準をさらに15%もカットすれば、高齢者の生活に深刻な被害をあたえることは目にみえています。これでは、憲法二五条で定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」、生存権を侵害することになります。いったいどこが100年安心の年金なのでしょうか。
「保険料は将来固定する」「給付は50%を確保」という政府案のたった二つのうたい文句が二つとも崩れたわけです。こういった欠陥法案は廃案とし、最初から出直すべきであることは当然です。世論調査でも6、7割が今国会での成立に反対しています。
政府案の重大な問題点に何の変更も加えない三党合意を行った民主党の態度も厳しく問われます。三党合意による「修正」案には、「社会保障制度全般について、税、保険料の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行い」とあります。すでに、自民党、公明党の与党は税制「改正」大綱で、2007年度を目途に「年金、医療、介護等の社会保障給付全般に要する費用の見通し等をふまえつつ、消費税を含む抜本的税制改革を実現する」としており、民主党の年金案は、2007年から3%程度の年金目的消費税を創設することを盛り込んでいます。三党による「修正」は、これら与党案と民主党案に沿ったものであり、年金のみならず、医療、介護を含む社会保障全体の財源として消費税大増税に道を開く危険性をはらむものです。
日本共産党は、消費税に頼らない財源を示し、全額国庫の負担による一定額の最低保障額を設定してそれぞれの掛け金に応じて給付を上乗せし、安定的な年金財源を確保しながら引き上げをはかって国民の生存権を保障する水準をめざすという提案をしています。
最低保障年金に必要な財源は、道路特定財源の一般財源化と公共事業費、軍事費などの歳出の見直しとともに、大企業向け優遇減税をあらためるなど、歳入面での税制の民主的改革でまかなうこと、大企業が年金をはじめ社会保障にその力量にふさわしい応分の負担をして社会的責任を果たすこと、巨額の年金積立金を計画的に活用すること、雇用と所得をまもる政策への転換をはかり、不安定雇用の急増に歯止めをかけ、年金の安定した支え手をふやすこと、将来に安心のもてる年金制度を確立するためにも、少子化対策に本格的にとりくむことを提案しています。
市長は、年金改悪の市民への影響をどう認識されていますか。市民の暮らしに責任を持つ立場から、今回の重大な年金改悪に明確に反対の意思を表明し、「健康で文化的な最低限度の生活」ができる給付水準の確保を強く国に求めるべきですがいかがですか。答弁を求めます。
〈松井副市長〉不安感や不信感のない安定した制度となることが最も重要。これまでから免除基準の緩和等、制度の改善・拡充を求めてきた。基礎年金に係わる国庫負担率の引き上げ、わかりやすさ等、制度の充実について要望し、市民の年金受給権の確保に努める。
イラク問題 直ちに自衛隊の撤退を
次に、市民の命、くらしの根幹に関わる平和の問題です。
イラクでの日本人拘束事件は、そもそもイラク戦争とはいかなるものであったのか、日本の自衛隊派遣がどういう意味を持っていたのかを改めて国民に問いました。
アメリカとイギリス軍がイラク戦争を開始してから、一年以上たちます。戦争開始の最大の「大義」とした「大量破壊兵器」はいまだに発見できないどころか、アメリカのイラク調査団長は「もともと存在しなかった」と証言しました。ファルージャではアメリカ軍によって女性、子ども、老人など600人以上の罪のない人々が無差別に殺害されています。拘束されたイラク人への非人道的な虐待・拷問事件が発覚し、それへの報復としてアメリカの民間人が虐殺されました。大義のない無法な占領支配がイラク情勢をいっそう泥沼化させ、復興の妨げとなっている事は明らかです。世界を欺いた無法な戦争をすすめた責任が、いま世界中できびしく問われています。アメリカに同調していた諸国も、スペインはすでに軍隊の撤退を開始し、その後も続々と撤退を表明しています。
小泉政権が、イラク問題でとった態度は、自主性のかけらもない、異常なアメリカ追随の連続でした。自衛隊のイラク派兵は、侵略戦争と占領支配への合流・加担であり、憲法の禁止する武力の行使・交戦権の行使にあたるとともに、国連憲章がさだめた平和のルールにも正面から挑戦する暴挙です。
今、イラクは全土が戦争状態にあります。航空自衛隊が武装米兵の輸送を行うなど、自衛隊が米軍の作戦を支援し、占領支配の一翼を担っていることは明白です。しかも、自衛隊派兵によって、イラクで活動する日本のNGOやボランティアの人々の人道支援活動を困難にしています。今や、自衛隊派兵を続ける根拠はどこにもありません。政府・与党は日本人の人質事件に関し、自らの責任を転嫁するために「自己責任論」を展開しました。公明党の冬柴幹事長などは、救出関連の支出について「かかった経費を請求してもいい」とまで発言しました。国民保護という政府の責任を棚上げし、自衛隊派兵でイラクに危険な状況を招いた責任もすりかえて、人道支援についた被害者を「国益を損なう」と責め立てるのは、「国策」に消極的な人を「非国民」と村八分にした戦前と全く同じ発想です。今、政府与党の自己責任こそ問われるべきではないでしょうか。
桝本市長は、今年2月の市長選挙のマニフェストに「世界歴史都市連盟からの平和メッセージの発信」をかかげ、予算市会の総括質疑で「10月に韓国のキョンジュ市で行われる歴史都市連盟で世界に向けた平和メッセージを発信したい」と答弁されました。しかし、イラクの現状は「10月の理事会で」などと悠長な事を言っている事態ではありません。
また、イラク復興の障害となっているアメリカ軍の占領支配とそれに加担する自衛隊の派兵を認めながら、平和のメッセージを発信することなどできません。
市長は速やかに、自衛隊撤退を政府に求める態度を表明するべきです。そして、一刻も早く、歴史都市連盟会長として加盟都市にイラク復興への共同をすすめる働きかけをすべきです。明確な答弁を求めます。
〈高木副市長〉医療支援や給水活動、公共施設の復旧・整備など人道復興支援活動が、現地の市民の期待と支持のもとで着実におこなわれている。イラク国民の努力と国際支援があいまって、復興が早期かつ平和裡に実現することを願う。
10月に韓国・慶州市で開催される世界都市連盟の理事会で、平和のメッセージをお諮りし、その決定にもとづいて発信する。
有事法制に反対し、その先取りは、やめよ
アメリカが国連憲章を踏みにじり、大義なきイラク戦争を引き起こしているもとで、日本がその米軍支援のための有事法制づくりを進めることは、イラク戦争に反対し、国際社会の平和のルールの確立を求める世界の流れに逆行するものです。
小泉内閣は、昨年の国会で、日本が攻められた時への備えだといって武力攻撃事態法を成立させました。しかし、その核心は、アメリカが日本の領域外で引き起こす戦争に日本を本格的に参戦させる体制づくりにほかなりません。日本が武力攻撃を受けていない、日本有事に至るはるか以前の段階、武力攻撃予測事態から、自衛隊をはじめ地方自治体、民間まで、官民挙げて戦争遂行中の米軍に対し支援を行うというのが武力攻撃事態法の基本的な枠組みです。
国会で審議中の有事関連七法案・三条約は、この武力攻撃事態法の枠組みに沿って米軍支援や国民総動員の体制を具体化するものであり、極めて重大です。
法案のひとつである国民保護法案は、住民の避難・誘導、避難住民の救援を定めていますが、住民の避難とは言え、実際は、米軍、自衛隊の作戦行動を最優先する仕組みのもとで、作戦地域から邪魔になる住民を排除するために、避難させようというものです。政府が住民に避難を指示し、これに知事や市町村長が従わなければ、首相みずからその措置をとることができるとしています。まさに地方自治の根幹を踏みにじるものであり、市長と地方議会のとるべき態度が今ほど問われているときはありません。
しかも、重大なことは、都道府県と市町村に、自衛官、警察官が加わる国民保護協議会を設置し、国民動員の計画をつくり、訓練を行い、国民の啓発を行うとしていることです。これは、ふだんから戦争体制に国民を組み込むシステムづくりといえます。
本市では今年度より危機管理監が置かれ、京都府は危機管理室の参事に自衛官を配置するとし、府と本市の消防ヘリの「大規模な災害等の発生に伴う航空消防防災活動に関する協定」では、全国ではじめて「武力攻撃災害」や「テロ災害」なども想定するものとなっています。これら一連の動きは、有事法制の先取りとの謗りを免れません。
市長は平和を願う市民の声にこたえて有事法制にきっぱりと反対し、先取りするような動きは改めるべきです。答弁を求めます。
〈高木副市長〉有事法制は武力攻撃事態への対処について基本的な事項を定め、平和および国民の安全を確保することが目的。本市としては市民の生命、身体、財産を守るという大切な役割を果たしていきたい。
〈毛利副市長〉自然災害や大規模事故だけでなく、サーズやテロなど様々な危機事象から市民を守ることが本市の最も基本的な責務。
不要不急の事業は中止し、必要な市民サービスを
次に、本市財政運営について質問します。
政府は「三位一体改革」の名の下に、補助金1兆円の削減とともに、地方交付税を1兆2,000億円、臨時財政対策債を1兆7,000億円削減するなど、国から地方への財政支出を、総計で4兆円近くも減らしました。
そもそも、小泉内閣の「三位一体改革」は、地方への補助金削減ができるならば、その中身はなんでもいいという、極めて無責任なものです。例えば、一兆円の補助金削減の方法も、各省庁別の枠を決めて割り当てるというやり方です。その結果、厚生労働省は削減のノルマ消化のために、当初、生活保護費の国庫負担率の引き下げをおこなおうとし、これには地方団体から「憲法25条の生存権保障をきりすて、国の責任を放棄するものだ」とのごうごうたる批判が寄せられました。この批判のもとで、今度はそのしわ寄せ先を保育分野に押し付けました。この一つを見ただけでも、小泉内閣の「三位一体論」には何の理念もなく、補助金が削減できるならば、中身はなんでもいいということを、示しています。
その結果、本市では地方交付税など125億円もカットされ、それを口実に「財源不足」と称して、100億円もの福祉・教育・サービス切り捨ての予算が組まれました。事務事業の評価制度により430項目の事業見直しで補助金・単費援護費などを削り、44の事業が休廃止されました。民間社会福祉施設などに対する単費援護費の一部8億6千万円の廃止、母子医療・乳幼児医療などの福祉保健医療事務費などの廃止、小児慢性特定疾患治療研究事業見直し、ちびっ子プールの廃止、子どもたちに人気のある大宮交通公園のゴーカート運営費の縮小、そして、学校運営予算は一律20%カットです。その結果、トイレットペーパーの費用をPTA負担にする学校、トイレの清掃費用を減らすために1週間に1回の業者の清掃を2週間に1回に減らした学校、減らした分を管理職などで作業をする事にした学校、中には、掃除しなくてすむように一部のトイレを使用禁止にした学校まで出ています。以前から、保健室では子どもが捻挫したときの湿布薬すらまともに買えず、養護教員が職員会議で、持ち帰りのケーキなどについている小さな保冷剤を学校に持ってきてもらうよう職員に頼んでいるといった話もありました。元々足りない上に、さらなるカットです。福祉面では、生活保護世帯への夏季・歳末見舞金の廃止、高齢者いきいき銭湯助成事業の廃止、緊急通報システムの新規申し込みの基本使用料の廃止など、お年寄りいじめの極みです。
ところが一方で、従来型の不要不急の大型公共事業は続けられています。その典型が今年度予算化された焼却灰の溶融炉施設です。総額230億円。これは一昨年の財政非常事態宣言で一旦スットプされたものです。その後、京都市の財政は好転したのでしょうか。好転どころか、税収は減り、国の交付金も減らされ、借金は増える一方です。教育、福祉、市民サービスを切り捨てながら何故このようなものが、今必要なのでしょうか。市は「クリーンセンター・清掃工場で燃やされた灰を溶融炉施設で処理すれば体積が減るから、最終処分場が長く使えるようになる」と説明していますが、建築リサイクル法などの影響でクリーンセンターのごみ焼却量は減っています。また、現在、本市で行われている分別収集は、カン、ビン、ペットボトルと一部金属類だけで、しかもリサイクル効率の悪い混合収集になっていますが、これを紙類、プラスチック類などにも拡大し、事業系ゴミについても規制をすすめて市全体で分別収集を徹底すれば、ゴミの量は大幅に減り、リサイクルもすすみます。そうすれば、最終処分地の寿命は延びます。溶融炉施設は全国的にも水蒸気爆発などの事故も多発しており、安全性についても疑問視されています。230億円もかけて建設する必要性はどこにもありません。
もう一つの重大な問題は、同和施策の継続です。同和奨学金や自立促進援助金、市立浴場財団への補助金は相変わらず継続されています。奨学金の返済を免除するための自立促進援助金だけでも、今後の税金の投入見込みは51億円にもなります。
市長は、今年度予算をつくる際、「戦略的予算編成方針」のもと市の事業を局配分枠で絞込み、「選択と集中」により重点枠を定めた言いますが、結局ふるいにかけられて削られたのは、市民生活を下支えする市民サービスではありませんか。そして今度は「新京都市都市経営戦略」の名による、さらなる市民サービスの切り捨てです。この「経営戦略」のサブスローガンには「経営感覚とスピード感のある市政運営をめざして」と書かれていますが、市長としてもっとも大切な感覚は「市民感覚」ではありませんか。不要不急の溶融炉施設はやめて、教育や福祉、市民サービスでカットした予算を復活させ充実させる方向に転換する事こそ、市民の立場に立った市政運営ではありませんか。「スピード感のある市政」というなら、すでに法律の期限も切れている同和地域の特別扱いをすぐにやめる事こそ求められるのではありませんか。答弁を求めます。
また、予算特別委員会の市長総括質疑の中で、体育振興会の補助金カットに関して市長は「財政好転の折には補助金は復活したい」と答弁されました。その場限りのいいのがれでないならば、ちびっこプールの廃止、保育バスの廃止、保育所など民間福祉施設などへの単費援護の一部廃止、保育所のこどもたちの暖房費用のカットなど必要な市民サービスについても、均しく復活すべきですがいかがですか。
〈桝本市長〉事務事業評価により捻出した100億円の財源を、政策重点化方針に基づく6分野を中心に重点配分。桝本マニフェストでの政策をはじめ156項目の新規政策に着手した。うち4割・62項目が教育・福祉分野。市民サービスのさらなる向上を図ることができたと自負している。今後とも重点化枠への配分のあり方を検討し、政策の充実に努める。溶融炉は最小の経費で最小の効果と自負している。同和対策事業は13年度末をもってすでに終結した。
政府の「三位一体改革」に反対を
今年度予算は、政府の「三位一体の改革」による地方財政の圧迫が、市長の政治姿勢とも相まって、住民サービス切り捨てに直結している事がありありと示されています。
政府は、「三位一体改革」なるものを、地方自治体からの税源移譲の要求を逆手にとって、進めようとしています。しかし、今年度の予算を見る限り、「税源移譲」は、まったく「絵に描いた餅」になっていると言わざるを得ません。所得譲与税や税源移譲特例予定交付金は、臨時的な措置だとされていますが、いったい、国庫補助負担金、交付税の削減に見合う、税源移譲が期待できるのか。平成18年度までに、国庫補助負担金と交付税の削減に見合う税源移譲ができるのかどうか、全く明らかにされていません。財務大臣は自民党の京都選出の議員ですが、いったい地方自治体の現状をどう考えているのか、憤りを覚えざるを得ません。
自治体が、その本来の責務を担うために必要な、税財源の移譲を、国の責任で行うこと、同時に、自治体の財政再建により、自治体としての自主性を、文字通り確立し、住民が主人公の地方政治をつくることこそ、真の改革です。
市長は、「三位一体改革」の地方切り捨ての本質をしっかりと見定め、撤回を求めるべきです。そして、保育、教育でのカットした補助金の復活など地方支援の強化を国に求めるべきです。答弁を求めます。
〈桝本市長〉三位一体改革は、国の財政再建が優先されたことは否めない。しかし基幹税における税源移譲の道筋が示された大きな成果もある。国庫補助負担金の改革については、地方の自由度拡大と税源委譲につながるないようとするなど、地方の実情を十分に踏まえた三位一体改革とすることが不可欠。
障害者への福祉サービスへの支援、制度改善を国に求めよ
次に障害者福祉について質問します。
障害者への福祉サービスの基本が措置制度から支援費制度になって1年が経過しました。支援費制度について厚生労働省は、本人のニーズに着目した制度であり、自己決定や選択を尊重し権利擁護が加味された制度であると説明していました。しかし、実際にはサービス不足から選択の幅は広がらず、逆に利用制限すら設けられ、そのうえ、施設運営と職員負担を大きくするものとなっています。
ある障害児の児童デイサービス施設では、支援費制度導入前と同じ4人の職員体制で、2倍の子どもたち40名を受け止めなくてはならなくなりました。重複障害の子どもたちもたくさんいて、「以前はひとりひとりの子どもたちにあった対応ができていたが、今はまったく余裕がない。夜9時までの仕事が普通になっており、職員の中で病人が続出している。」とのことでした。ここは、市からの単費支援もある施設ですが、それでもこんな状態です。単費支援のない施設では、ほとんどボランティアでされているような状態です。また、ガイドヘルパーの派遣についても、支援費の単価が極めて低くて職員体制が維持できず、存続すら困難になっています。利用時間の制限が厳しくなって必要なサービスが受けられない、従来無料だった方が有料になってサービスが受けたくても受けられないケースも出ているとの事でした。これらは、支援費の額が全く実情に合わず、市からの支援も不十分である事を証明するものです。
市長は、このような厳しい実情を把握しておられますか。施設の実態を十分に調査し、すべての障害者が必要なサービスが受けられ、施設運営が安心して行えるよう市として万全の支援をすべきですがいかがですか。
発足して1年の支援費制度についてはその問題点を把握し、改善をすすめるのが本来の国のなすべき方向であるにもかかわらず、国が突如言い出したのが介護保険との統合です。
統合が急浮上してきた背景には、支援費制度開始に伴って100億円以上もの予算不足が生じたことがあります。介護保険に統合すれば、今後、財政が安定して確保できるというのが厚生労働省言い分ですが、ねらいは、支援費サービスを介護保険料で充当し、国の障害者施策への経費を減らす事、そして、現在40歳以上から徴収されている介護保険料を、障害者施策を合流させる事によって20歳から徴収できるようにする事です。これらは、小泉内閣のすすめる福祉分野での構造改革路線、福祉リストラの一環といえます。
介護保険への合流は、利用者への一律1割負担の導入をはじめ、認定の在り方、サービス制限など様々な問題を抱えるものです。財政削減まずありきの「統合」は絶対に認められません。
市長は、障害者・家族に負担増と犠牲を押しつける「統合」はしないよう国に求めるべきです。また、支援費制度について、単価のアップや施設の充実など十分なサービス提供ができるように制度の改善を求めるべきです。答弁を求めます。
〈折坂保健福祉局長〉水準維持、向上や運営安定化を図るため、必要に応じて独自の支援をおこなっている。今後も障害者施策推進プランにもとづき、サービス提供の充実に努める。国の動向を注視し、現行のサービスや利用者負担の水準等が後退することのないよう、他都市とも連携しながら、必要に応じて国に要望する。
西京区上里学区に児童館・学童建設を
最後に、地元問題で質問します。
西京区上里学区に児童館・学童保育所を建設するための設計費が昨年度予算に計上されました。地元保護者らが「上里学区に児童館・学童保育所をつくる会」を結成し、7,000名もの署名を集められ、自治連合会も市に要望し、4年がかりの運動で実を結んだものでした。ところが、建設予定地になっている土地の国から市への移管手続きが遅れたとのことで、昨年度末の補正予算で設計費が削られてしまいました。「来年4月のオープンを心待ちにしていたのに」と地元住民の落胆は極めて大きなものです。
一刻も早く、予算を復活し、住民の期待に応えるべきです。答弁を求めます。
また、児童館・学童保育所のない学区への設置をすすめ、すべての希望者が入所できる条件をつくるように強く求めて、質問を終わります。
〈浅野子育て支援政策監〉児童館設置の必要性は認識しており、関係機関と連携しつつ、用地の確保等についてとりくみをつづけているところ。
第2質問
市長は答弁のなかで、「市民サービスは向上を図った。自負している」とおっしゃいました。私は自らの耳を疑いました。私が質問した内容を十分に聞いておられたんでしょうか。民間社会福祉施設、保育園などにたいする援護がずいぶん減らされて現場は大変混乱をしております。教育現場の混乱ぶりも今後、月日がすすむにつれて大変大きな問題として、さらに具体的に出てくるでありましょう。わたくしは先ほどの質問の中で、市長に必要なのは経営感覚以上に市民感覚であると指摘をしましたが、この言葉を改めて申し上げておきたいというふうに思います。同和行政の問題につきましては、市長は平成13年度で終結をしたと言われました。しかし、一点だけ申し上げておきますが、奨学金を免除するための自立促進援助金は今後の予算執行見込みが52億円、そして今後20年間以上つづくということを認識をされながら今のような答弁をされたのでしょうか。そういったまやかしは通用しないと指摘をしておきます。平和の問題やあるいは年金問題、障害者の施策の問題につきましても「国の動向をみる」とか国の、政府の国会での答弁をそのまま丸写しをした答弁をするような主体性のなさで、私は市民の命、くらしを守ることはできないと思います。主体性をもって今後とも答弁をされるような努力を重ねて指摘をし、質問を終わります。