さとう和夫 議員
04年3月29日(月)
一般会計予算案など予算関連議案に対する討論 04年2月定例市会 閉会本会議討論
私は、日本共産党市会議員団を代表して、2004年度一般会計予算案など予算関連議案について、討論します。
新年度の予算編成にあたり、戦略的予算編成方針がしめされ、局配分枠で絞込み、事務事業の「選択と集中」により重点枠をさだめたとしています。ふるいにかけられて削られたのは、市民生活を下支えする市民サービスです。すなわち、事務事業の評価制度により430項目の事業見直しで補助金・単費援護費などを削り、44の事業を休廃止しました。その結果、約100億円の削減です。
そこで、日本共産党市会議員団は2004年度予算案に反対との態度を表明します。以下、その具体的な理由を述べます。
第一の理由は、長引く不況の中で、市民の暮らしを応援せず、市民サービスを切り捨てる「冷たい予算案」となっているからです。
民間社会福祉施設などに対する単費援護費の一部が8億6千万円も廃止され、民間保育園でいえば221箇所・一箇所当たりにすれば約200万円の削減です。子供たちの暖房費を削る文字どおりの「冷たい仕打ち」です。しかも、母子医療・乳幼児医療などの福祉保健医療事務費などの廃止、小児慢性特定疾患治療研究事業見直し、ちびっ子プールの廃止、子供に人気のある大宮交通公園のゴーカート運営費の縮小など、子供いじめの「てんこ盛り」です。その上、学校運営予算の一律20%カットで、せっかく設置されたクーラーも電気代の節約でつかえるかどうかと心配の声がでるなど学校現場も大変です。また、予算特別委員会の市長総括質疑の中で、与党議員からも「市民スポーツのためにがんばってきた体育振興会の補助金を大幅に切り下げている。今年50周年を迎えるが手荒いお祝いだ。これほど冷たい行政はない」との指摘がでたほどであります。さすがに、この与党議員からの指摘は耳に痛かったと見えて、市長は「財政好転の折には補助金は復活したい」と答弁しました。その場限りのいいのがれでないならば、ちびっこプールの廃止、保育バスの廃止、保育所など民間福祉施設などへの単い費援護の一部廃止、保育所のこどもたちの暖房費用のカットなど必要な市民サービスについても、均しく復活すべきです。
第二の理由は、国が社会保障・社会福祉を後退させてきているときに、追い討ちをかけるように本市独自の福祉施策を後退させているからです。
国が昨年度に続き生活保護基準を0・2%後退させ、かつ老齢加算を三カ年で全廃するとし初年度に半分削ろうというときに、本市は生活保護世帯への夏季・歳末見舞金を全部なくそうというのです。しかも、高齢者いきいき銭湯助成事業の廃止、緊急通報システムの新規申し込みの基本使用料の廃止などなど、これでもか、これでもかというお年寄りいじめのオンパレードであります。
第三の理由は、財政危機といいながら従来型の不要不急の大型公共事業をつづけ、財政破綻の傷口を広げ、取り返しのつかなくなる予算案だからです。
残り3路線整備のメドもないのに新十条通りや油小路線など採算のとれない高速道路建設を進め、ムダな「大型公共事業」と揶揄されるような関西新空港二期工事にも出資しています。きわめつけは一昨年の財政非常事態宣言でスットプさせ、しかも建築リサイクル法などの影響でクリーンセンターのごみ焼却量も減り最終処分地の寿命がのびているにもかかわらず、東部山間部埋立処分地にわざわざ焼却灰の溶融炉を今後総額230億円もかけてつくろうとしています。また、技術的にも未完の廃食用油のバイオ・ディーゼル燃料化事業に闇雲に踏み切ろうとしています。さらに、地下鉄経営健全化出資金については、もともと国が地方自治体の起債を認めるだけで財政負担を負わないところに問題がありますが、このままでは市民負担はますます増えていくものとなります。この結果、本市の市債残高は過去最高の1兆円613億円をこえ、ますます財政再建は遠のいています。第四の理由は、削るべきムダを削らずに、同和のしがらみをひきずる予算案だからです。
同和奨学金や自立促進援助金や市立浴場財団への補助金などを法期限のきれたあとも継続しています。今後の税の投入見込みは、自立促進援助金だけでも51億円にもなることが、予算審議の中で明らかになっています。
第五の理由は、国のすすめるイラクへの自衛隊派兵を容認し、憲法9条の改悪をねらう有事法制に迎合する姿勢に貫かれているからです。国が米軍支援法や国民保護法など有事法制の制定をもちだしてきた時、市民の命と財産を守る地方自治体の役割は重大です。ところが、市民の目の届かないところで有事法制の先取りが進められています。京都府と本市の消防ヘリの「大規模な災害等の発生に伴う航空消防防災活動に関する協定」では、全国で始めて「武力攻撃災害」や「テロ災害」なども想定するものとなっています。まさに、大規模災害に名を借りた既成事実を積み上げ「国家総動員法」の下請けに本市職員や市民をかりだそうとしているのであります。
この間、予算特別委員会の審議を通じて、予算の組み換えなどを求めてきましたが、市民サービスの休廃止に対して「断腸の思いで」との言葉はありました。しかし、痛い思いをしているのは市民であり、とても納得のいく話ではありません。不要不急の大型公共事業を見直し、同和関連予算などを廃止するなどやるべきことをやり、休廃止した必要な市民サービスについては復活する予算に組み換えるべきであります。
次に、国民健康保険事業特別会計については、非課税世帯が過去最高の72%となる中で、所得割料率が増加し課税世帯にますます過酷な保険料となります。単費の繰り入れは、3億4千万円も減額し、一人当たりの繰入額はさらに低下させています。最高限度額未満の課税世帯や介護保険2号被保険者の保険料値上げを含むものであり、反対です。
また、駐車場事業特別会計については、そもそも使用料金収入を大きく見込み、過大な投資を行ったツケであり、反対です。
なお、介護保険事業特別会計については、介護保険の給付費の一定の伸びを見込む予算でもあり、賛成しますが、特別養護老人ホーム等の待機者の解消がいそがれるにもかかわらず、施設整備の不十分さを克服するものとなっていません。さらに、累積赤字は約32億円にもなり、保険料値上げに跳ね返る現行制度の見直しを国に求めるべきです。
また、老人保健特別会計については、賛成しますが、27%も残っている高額医療費の未払い問題は、特別の手立てをとってでも早急に解決するべきです。
また、土地取得特別会計については、古都保存のための土地取得も含まむ必要なものでもあり賛成しますが、高速道路・新十条通りの関連道路である鴨川東岸線の用地買収なども含まれており、これについては執行の停止を求めます。
次に、基金特別会計については、全体として賛成ですが、文化観光資源保護基金に関しては、文化保護財団への補助金が削られことで、基金が人件費にもまわされています。また、美術館基金に関しても、美術館運営費が削られたことで、これまで基金が美術工芸品購入のみに使われていたのに、美術品購入を減らし貯蔵品の修復や常設展などの運営費にも回されています。結局基金の積み立ての本来の目的とはずれて人件費や運営費などに流用せざるをえなくなる、すなわち、地方自治の中身が貧しくなるところが「三位一体の改革」の当然の帰結あることを強く指摘しておきます。
以上をもって、私の討論とします。