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市会報告

山本正志 議員

04年3月 4日(木)

山本正志議員の代表質問(大要) 04年2月定例市会 本会議代表質問

市長選挙結果と今後の課題

 私は日本共産党市会議員団を代表して市長ならびに関係理事者に質問をいたします。

 私はまず今回の市長選挙で市政の転換をめざし、広原盛明候補とともに京都から平和・住民自治・京都再生のためにご奮闘いただいた皆さんやご支持をいただいた多くの市民のみなさん、そして田中康夫長野県知事をはじめ全国から熱いエールを送っていただいた皆さんに心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 今回の市長選挙で市民の審判をうけて、この先4年間市政を担当されることになった桝本市長には、広原盛明候補に寄せられた40%の支持票、そして選挙に参加しなかった有権者の60%を超える市民の声をも謙虚にうけとめ、今後の市政運営にあたっていただくことをまず最初に求めておきたいと思います。

 選挙直前の1月24日のある新聞の報道記事では、「京都市では「倫理観」に欠けた職員による不祥事が後を絶たない。平成10年度から14年度までの5年間で、市職員の懲戒処分者の数は544人。年平均108人という処分者数は、他の政令市と比較してもトップクラスにある。懲戒処分だけでなく、職員が警察に逮捕された事例もある。▽勤務時間中に覚せい剤購入▽スナック経営者から百万円を脅し取る▽出会い系サイトで知り合った女子高生に買春行為-など一例だけでもこの通りだ。昨年七月には同和団体への補助金約6200万円の不正支出をめぐり桝本市長以下、幹部職員57人の処分者を出した不祥事があり、ここでも一部との癒着が問題となり、職員倫理保持条例の理念は守られなかった」ときびしい評価が下されています。

 選挙後の新聞の投書でも「低い投票率は、政治的無関心というより、批判の部分が多いのではないでしょうか。その理由は国政では対立している政党が地方では相乗りし、有権者の選択を狭めてしまっている」と、本質をみぬいた指摘がされています。

 さて、開票の結果、左京区では広原候補の得票が桝本候補の得票を上回りましたが、これは何よりもイラクへ自衛隊が派兵されるというさ中におこなわれた選挙で、平和を願う多くの市民、とりわけ宗教者の方々の勇気ある意思表示に対して有権者がこたえたものであると確信をしております。

 さらに桝本市政8年の実績に対して「このままの市政をあと4年間も続けていいのか」という点でも、左京区民の多くの方々がきびしい評価を下したということでもあります。「もう黙ってはいられない」という市民の声の一部をご紹介いたします。

 ☆十三年前、突然市原の住民は、清掃工場建設問題に直面した。「真剣にゴミ分別、減量に取り組めば新規清掃工場はいらなくなる」と心をこめて訴えたが、市は聞く耳持たずであった。今になって現市長は既存のクリーンセンター廃止を言い出している。それが可能なら住民の反対を警察力で抑え強行着工する必要、524億円もの巨費を投じて日量700tの巨大清掃工場を建設する必要は何処にあったのか。腹の底から憤りを感じている」。 市原住民の声であります。

 ☆部落解放同盟の温泉旅行への補助金がすべてニセの書類で不正に支出されていたとは!

 しかも解放同盟支部長の多くは現職の市職員である。中には事実が明るみに出た後、調査も処分もされないで退職金まで受け取って退職している者もいるという。現市長の責任は重大である」。

 同和行政の実態を知る人の声であります。

 きびしい暮しと経済状況の下におかれ、さらに年金の改悪をはじめ国民にたいして痛みを押し付ける小泉政治の下で、市民の信託にこたえる市政が今ほど求められている時はありません。日本共産党市会議員団は今後とも市民とともに京都市政転換、国政の転換を目指して努力を尽くすことを表明いたします。

鳥インフルエンザウイルス感染問題での適切な対応を

 質問に入る前に、現在大きな問題となっております丹波町の養鶏場にける高病原性鳥インフルエンザウイルス感染の問題について、要望をいたしておきます。この問題では発生元となった養鶏業者の対応の遅れなどもあり、一部鶏肉が市場に出回るなど深刻な影響が生じています。さらに昨日、二次感染が発見され、事態は一層深刻なものになっています。

 わが党議員団は先日市長に要請をいたしました。原因究明はもとより、深刻な事態におかれている鶏肉・鶏卵の流通業界に対しては、国の責任による対策強化が強く求められています。したがってこの事件で影響を受けた多くの養鶏農家への支援・救済措置や食鳥関係業界など、流通関係者の救済対策が緊急に必要であり、市長において適切な対応を講じるよう求めておきます。

児童虐待の対策強化を

 質問に入ります。児童虐待の問題は、大阪の岸和田市で中学3年生を虐待していた親が逮捕され、悲惨な実態が明るみに出ましたが、この問題は憂慮すべき社会問題となっています。

 H13年度から児童虐待防止法によって新たな段階の取り組みになりましたが、市内の相談件数も激増しており、児童相談所の役割も大きなものとなっています。

 一昨年おこなわれた「京都子どもネットワークシンポジウム」で、この分野での第一人者の才村純先生がお話をされ、「虐待通告があって、児童相談所が乗り出してこどもを保護する。ここまでは取り組みが進んだ。ところが親子分離の後のケアの部分がほとんど手がつけられていない」と指摘されています。

 現場の話を聞くと、子どもを引き離すことはできても、原因者の親への支援をどうするかという問題は大変な様子です。児童相談所は市内に1ヵ所しかない、しかも夜に行かないと会えない親もいて、抵抗する親も多いとききます。最後には「そちらに任せる」と突き放す親もいるそうです。

 先日京都市児童相談所で実態をお聞きしてきましたが、京都市のスタッフは他の政令指定都市との比較では少ないとはいえませんが、これで十分とはいえないことは明らかです。実態にみあった体制となっているのでしょうか。

 昨年11月、全国児童相談研究会が発表した「児童虐待対策の抜本的な充実をもとめる見解」では重要な課題についての指摘がされています。

・虐待された子どもが生活する児童福祉施設の状況も最低基準が旧来のままであり、そこでの子どもたちの生活は、虐待によるさまざまな症状も加わって困難さを増している。

・立入調査や職権による一時保護の際の問題も「援助という限界のため警察官はドアの外で待機するしかない。子どもを保護しようとした児童相談所職員が暴行を受けた」といった事例もある。

・家族の再統合をめざす取り組みも、指導に従わないため家庭復帰の見通しがたたない事例が多い。

 など事態の深刻さをうったえています。

 150万人近くの人口の京都市に児童福祉センターがたった1ヵ所では実態にそぐわない、新たに設置して欲しいというのは児童虐待防止法ができるはるか以前からの関係者の強い要望でした。ところが伏見区にできたのは障害をもっているこどもたちを対象とした療育センターでした。

 神戸市の場合、各区役所に子育て支援室を設置して児童虐待に対応できるように専門職員の配置がされており、養護施設に委託する形で2ヶ所の児童家庭支援センターを設置、24時間対応をしてます。京都市の場合も南部、西部地域にはぜひとも相談機能をそなえた窓口が必要でありますが、いかがお考えですか。

 養護施設は虐待を受け、家庭復帰できないこどもたちの重要な受け皿です。心に傷をもった乳児から高校生までのこどもたちが入所しており、そうしたこどもたちの家庭復帰と自立を補償するためには、現状の職員配置基準では余りにも不十分です。国の責任において充実することが求められています。特別養護老人ホームや障害者施設は計画を立ててすすめていますが、養護施設の計画については審議会への諮問も推進計画もきいたことがありません。市長はどのようにお考えでしょうか。

〈松井副市長〉児童相談所の機能だけでは十分でなく、保育所や児童館など市民の通報、対応には保健所や福祉事務所、子ども支援センターと児童相談所などの連携で取り組む。相談所の複数化は考えていない。養護施設も需要を一定満たしている。

特別支援教育と養護学校

 次に、特別支援教育と養護学校問題で質問いたします。

 昨年3月に文部科学省の「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の答申「今後の特別支援教育の在り方について」が出されました。これを見ると今後、養護学校のあり方、障害児学級のあり方とともに、養護育成教育の対象児童生徒の範囲も大きく変えられようとしているのがわかります。

 また、この4月から京都市の養護学校は新規養護学校の開設とあわせて地域制・総合制に移行いたしますので、大きく変わることになります。クックチル方式での給食の民間委託が養護学校から導入されることになりましたが、わが党はこれには反対を表明して改善を求めてきました。

 地域制となり通学バスの路線や通学時間も改善されることになりますが、先日も東・呉竹・北の3つの養護学校を訪問し、新制度にむけての準備やご苦労についてお聞きしてまいりました。

 文部科学省の目指す特別支援教育の基本点は「従来の特殊教育の対象の障害だけでなく、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の教育的ニーズを把握して、適切な教育や指導を通じて必要な支援を行う」としてこれまでの養護育成教育の対象範囲の大幅な拡大を提起しています。

 それにあわせた制度改革として「特殊学級や通級による指導の制度を、通常の学級に在籍した上での必要な時間のみ『特別支援教室(仮称)』の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化するため」の具体的な検討に入ると提起されています。

 そこで質問をいたします。

 第1は、養護学校の再編とあわせて、あらたに養護学校の機能として特別支援部が設置され「広く地域における特別支援教育を支えるセンター機能」として「主に対外的な連携や助言・支援、巡回相談に取り組み」とありますが、校務分担では100人の教員数の場合、15人が支援部配属となり、「この組織は機動性が必要なため通常は授業には入らない」とされています。

 養護学校では「登校時や給食指導など必要な時には全員で指導にあたることはこれまでと変わらない」と校長先生の説明を聞きましたが、「対外的な連携や、助言・支援、巡回相談」は余裕の時間で手をつければいいという課題ではありません。

 文部科学省の方針では「近年の厳しい財政事情等を踏まえ、既存の人的・物的資源の配分について見直しを行いつつ、新たな体制・システムの構築を図る」とされており、国としての新たな教職員の配置は考慮されていません。

 これでどうやって今までの養護学校での教育の水準を落とさず、さらに充実をすることが出来るのでしょうか。教育委員会の独自措置としての支援部15%の定数をあらたに加配できるのでしょうか。予算案を見る限りかぎり新たな増員はないようですが、お答え下さい。

 第2は、現在の障害児学級の存続の問題です。

 「1人でも障害児がいれば教室の設置を」というこどもたちと保護者の願いに答えて障害児学級は現在200を超える小・中学校に設置されていますが、文部科学省の方針では「現在の制度を、通常の学級に在籍した上での必要な時間のみ『特別支援教室(仮称)』の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化する」方向が出されています。

 現在の制度では障害の程度に応じて養護学校、障害児学級、あるいは「聞こえの教室」など通級教育も制度化されており、もちろん保護者の方の希望もあり、普通学級を選択することもふくめて現場での柔軟な対応がされていることはご承知のとおりであります。

 しかし、今回の国の方針は、受け皿としての障害児学級をなくすると言うことでありますから見過ごすことは出来ません。

 この問題について、全国特珠学級設置校長協会も、「これまでの特殊学級で行ってきた教育が軽視されている。交流教育については、今回の学習指導要領にも積極的に交流を推進すべきことが盛り込まれたが、この教育を行ってきたことが固定式の特殊学級の設置意義を低めるものである、とするのは矛盾であり容認しがたい」との意見を上げています。この点について関係者の不安にどうお答えになるのでしょうか。

 第3は、障害児学級の今後の課題と教員配置についてであります。

 文部科学省の調査研究協力者会議答申では、従来の養護育成教育の対象の障害児だけでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の見込み数6. 3%というのは、現在の障害児教育が対象としてきた在籍数の約4倍であります。

 昨年11月に出された京都市特別支援教育専門家会議の提言では「LD等教育支援体制の整備について(試案)」が示され、小・中学校であらたな課題に取り組むことが提案されていますが、これに必要とされる人員は学校現場に新たに配置されるのでしょうか。この点でも充分な体制上の強化を強く求めるものですがお答え下さい。

 第4に、新設の北養護学校も含めて、地域制・総合制で改善のための予算措置も取られていると思われますがいくつかの課題について求めておきます。

 呉竹養護学校の重度の肢体不自由児たちも、東・西養護学校の発達遅滞のこどもたちも今回の措置で地域ごとに4校に分かれて通学することになります。4月からはそれぞれの学校にあたらしい仲間が入ってくるわけですが、特に新設の北養護学校は教職員もこどもたちも全員が新しい顔合わせとなります。新しい先生や仲間との生活には普通学級のこどもたち以上に細かい配慮とともに十分な準備が必要です。すでに事前の交流学習も2月・3月におこなわれているとお聞きいたしましたが、この点についてお答え下さい。

 呉竹養護学校においてはこれまでも医療的ケア・救急救命行為の必要とされるこどもたちへの対応が取られてきました。またH11年に出された「養護育成教育の今後のあり方について」の文書のなかで教育委員会自身も「再編後における養護教諭の要請や、看護婦の常駐など、これまで以上の取り組みと体制整備が必要」と記述されています。

 これらを踏まえ、今回それぞれ4校に看護士の配置は当然のことですがどのようにされるのか、お答えください。

 また肢体不自由児にたいする教育面だけでなく、リハビリ機能も現場では必要とされていますが、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)の配置か、または専門研修を受けた教員の配置がもとめられていると思うのですがどのようにお考えでしょうか。

 私はLD、ADHD、高機能自閉症を含めて障害のある児童生徒の問題について、研究者の意見をお聞きしてきました。LD(学習障害)は教育上の課題として、教育現場で対応できるのでありますが、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、アスペルガー症候群を含めて高機能自閉症は脳機能障害の診断も必要であり、この診断は精神科の医師でなければできません。ところが、医療的診断の窓口は教育委員会にはなくて児童相談所の診療科しかありません。しかし、児童相談所では6ヶ月待ちという状況とお聞きしています。ADHDや高機能障害の子どもたちへの個別支援教育の必要性が強調されるのですが、医療的診断などについてはまったく不十分な現状であり充実の方向が示されていません。国に対して十分な体制の保障を求めるとともに市独自の対策が必要であることも申し添えておきます。

〈門川教育長〉(1)H15年度から支援部を設置し、相談・支援件数は約1000件にのぼっている。各校に養護育成教育等支援・総合センターを開設する。教員1人1人の役割を明確にし課題に応じたチームなど多様な指導が可能な体制を整える。新たに増員することなく指導の充実をはかる。(2)現在の育成学級における指導形態がすべて廃止されるものではない。PTA、学校関係者、専門家等によるプロジェクトを設置し指導体制を検討する。(3)教員の専門性を高める研修、校内委員会の設置などすすめる。精神科医師や専門家、巡回相談員等で構成する学校サポートチームを設置する。(4)17回の体験交流学習を実施した。北養護学校も準備に万全を期す。(5)4校に看護師を配置する。スーパーバイザーの認定を受けた専門資格を有する教員を計画的に養成する。教員の専門研修など充実につとめる。

職員のサービス残業の根絶を

 次に職員の異常な超過勤務についておたずねいたします。2000年11月に市職労が超過勤務の実態をつかむために、本庁舎北側の出口で調査を行いました。水曜日のノー残業デーは、夜12時以降の退庁者が男性45名、女性5名、翌9日は男性43名、女性5名となった。調査を踏まえて出されたビラでは、「当局は出勤時間の調査はするが退勤時間の調査はしない」、「超過勤務はやめてもらいたい。未払い賃金を払え」と書かれています。

 翌2001年4月6日、厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」という通知を出しました。ここで「現状を見ると、労働時間の把握に係る自己申告制の不適正な運用に伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど、使用者が労働時間の把握を適切にしていない」云々とあります。「通知」にもとづいた適正な把握がはたしておこなわれているのでしょうか。

 桝本市長は昨年12月市会で「残業命令は、所属長が予算の範囲でやっているところ。指摘のサービス残業は好ましくないが、自発的ながんばりに期待せざるを得ない」と答弁しましたが、労働法規にかかわってトップの認識が根本から問われる問題です。

 この間、国会でも「サービス残業は労働に対する対価としての賃金の泥棒であり不法行為」との論議を受けて、民間企業における摘発と是正が進められてきました。たとえば、昨年7月にはサラ金最大手「武富士」が過去2年間のサービス残業代、約35億円を支払っています。中部電力は、全従業員の調査でサービス残業の未払い総額は65億円と計算されています。京都府下での統計によりますと2001年4月からの約2年半で22の企業で1億1400万円、全国では253億円が支払われています。

 京都市役所ではいくらが支払われたのでしょうか。もはや「所属長が実態を適正に把握している。しかし詳しいことはわからない」といった言い逃れは許されません。

 たとえば一昨年10月の老人医療改悪で、1割負担と高額医療費の償還払い制度が実施されましたが、この業務の現場職員の残業・超勤の実態は大変な情況でした。現場からの生々しい告発もされていますが、組合民生支部の未払いの残業代を支給するようにとの申し入れにどのように対処されたのでしょうか。

 市長は「職員削減は3年間で1,100人、1期目から2,346人の実績をあげた。今後1000人職員を減らす」とますもとマニフェストで強調していますが、現在の不払い労働・サービス残業を根本的に解消できないままで職員にさらなる犠牲をおしつけるのですか、これでは職員の信頼は得られるはずがありません。

 厚生労働省通達にもとづいてきっぱりと「賃金未払いは責任をもって解決する」と言えるのでしょうか、お答え下さい。

〈松井副市長〉職員の健康管理上も非常に重要な問題と認識している。具体的な取組の強化をはかってきた。所属長に対する研修・指導をつよめるとともに、職員団体との具体的な協議の場を設けるなど取り組んでいる。

高速道路計画の中止・凍結を

 次に高速道路計画も今回選挙で大きな問題として議論になりました。

新十条通と油小路線は工事が現在進行中ですが、堀川線、西大路線、久世橋線は未着工です。堀川線と西大路線は地下高速道路となり工事費は激増が見込まれますが、阪神高速道路公団も京都市もこの三路線の予算額は発表していません。

 問題の1つは、高速道路建設にかかわる負担の急増が、結果として市民生活にかかわる道路予算などを圧迫しているという現実です。

もともと桝本市長は4年前の選挙でも「高速道路は阪神道路公団が借金をしてつくり、通行料金で返していくので市の負担は90億円程度」といってきました。

 しかし、国・府・市の出資金比率(出資率)が、京都高速道路が都市計画決定された前の年1992年の3. 79%から1999年には25%に6. 6倍に膨れ上がっています。その上に、高速道路と接続する関連道路の整備は、高速道路を乗り降りするためのランプの工事費も阪神道路公団の負担から「採算性が成り立たなくなる」ことを理由に大半を京都市に押しつけてきました。すでに明らかになっているだけでも、二路線分の一般道路及びランプ整備の事業費などをふくめ262億円が京都市の負担となっています。今後の負担増もふくめ90億円どころではありません。

 12月決算委員会でわが党議員は「桝本市長になってから高速道路予算が優先され、市民生活に必要な道路維持補修費はH9年度をピークに下がり続け、H13年度は77. 3%、H14年度は76. 5%にまで下落している。道路改良に対する事業費は、H11年度をピークに下がり続けて、H13年度は76. 8%、H14年度は67. 4%にまで下落している」と指摘いたしました。

 これに対して、副市長は「主要幹線街路費でみると18路線を完了。JR山陰線、近鉄の連続立体交差事業も完了して、次の事業まで端境期になっているから事業費が減ったように見える」という珍答弁をいたしました。

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 そこで私は今回、土木事務所所管の生活道路補修の決算額をしらべて見ました。パネルを見ていただくとわかりますが、桝本市長就任前のH7年度10億3200万円がH13年度ではなんと4億7700万円と半分以下にまで削減されているのが実態です。「でこぼこ道路がいつまでたってもきれいな舗装にならない。いつまで待てばいいのか」といった市民の苦情や、現場土木事務所からの「工事をしなければならない箇所はあるが、予算が下りてこない」といった声も無理からぬことであります。市民生活関連道路を後回しにしてきた事実を「端境期」といった言い逃れでごまかすことはもはやできません。予算配分の見直しと高速道路偏重のやり方をやめるべきではありませんか。事実にもとづいてお答えください。

 2つめの問題は、はたして市内高速道路未着工の3路線は完成できるのか、という深刻な先行きの話です。

 堀川線と西大路線は地下高速道路となる計画ですが、この2路線は久世橋線の完成がなければ用をなしません。

 久世橋線の計画では、中央部に往復4斜線の高架高速道路が走り、現在の一般市道はその両側を新たに14m拡幅する工事となります。この新たな一般市道拡幅は用地買収をともないますが、対象となる家屋・工場・商店などの件数は250件を下らない数となります。一部補助はありますが、すべて京都市の事業となります。

まだ買収にはとりかかっていませんが、着手したとしてもいつになったら用地買収が完了するのか、目途が立つはずもありません。先行買収された土地は完成まで金利を払い続けることになります。

 私は油小路・九条=十条間の道路拡幅事業についての数字を見て驚きました。用地買収は総件数129件、金額にして約90億円、年数にして土地開発公社による先行買収を含めれば31年を要しています。この事業は僅か延長650mの工事でしたが、久世橋線は延長3. 1kmで250件を超えます。年数も金額も油小路・九条=十条間の比ではありません。選挙中に桝本市長が「やがて三路線開通で市内交通事情は大きく変わる」といった演説は実態を知らない夢物語でしかありません。

 おまけに、久世橋線が西進して府下から大阪市内へと連結されなければ用を成さないことはこれまでも指摘されてきましたが、現在高速道路公団のあり方と今後の建設計画、巨額の借金の償還をめぐってますます不透明な見通しとなってきていることは市長もご承知のことであります。この点については油小路線もおなじことで南進を目指してはいるが「はたして大阪市内の第二京阪と京阪連絡道は実現するのであろうか」といった深刻な問題を抱えています。途中で行き止まりの高速道路など役に立ちません。

 「事実上京都市の財政は破綻している」と市長も発言されていますが、この際、現在工事中の2路線を含め、未着工の3路線についてもきっぱりと凍結・中止の決断をすべき時ではありませんか。お答え下さい。あくまで推進というなら久世橋線も含め完成の目途がいつごろになるのか、この場で明らかに出来ますか。

〈桝本市長〉道路網の整備は、活力みなぎるまちづくりに必要不可欠。京都高速道路は市内の交通渋滞の解消をはかり、京都の発展につながる。新十条通、油小路線に全力で取り組む。3路線も事業課に向けて取組を推進する。

予算案について

 最後に、今議会に提案された予算案についての問題です。財政非常事態の下で、その上に小泉内閣の進める三位一体構造改革推進による地方自治体への犠牲転化もあり、編成には大変な苦労があったと説明されていますが、この予算案には見過ごすことのできない大きな問題があり、この点を指摘をせざるを得ません。

 まず、私が気付いたのは、予算案にある右京中央図書館整備計画です。現在の中央図書館をわずかに上回る3000平方メートルで新中央図書館構想の基本部分の先行実施、となっていますが、お聞きいたしますと本格的中央図書館建設は立ち消えとなったとのことです。

 H10年12月の中央図書館基本構想審議会の中間答申で掲げられた面積15000~20000平方メートル、蔵書150万~200万冊、自習室・学習室の設置、など市民の期待が一夜にして葬り去られています。

 たとえば、大阪市中央図書館の34500平方メートル、330万冊などと比べて、あまりにもお粗末な現状にある京都市中央図書館の新規建設構想が発表され、予定地も小学校跡地と決められていながら、計画の全面放棄は単なる財政危機だけでは説明できません。この問題についての市長選挙中の説明もありませんでした。市民への約束の放棄であり、失望を禁じえません。

 次に、予算案とともに発表された事務事業評価結果一覧をみて驚いたのですが、この中には市民生活にかかわる多くの課題について、A:充実 B:継続実施 C:見直し の3段階で評価が下され今後の方向が示されています。

 この中でC:見直し=廃止・縮小・切捨ての項目が目立つのですが、ちびっこプールの廃止、保育バスの廃止、身体障害者通所授産施設や知的障害者施への運営費補助の切り下げ、老人福祉施設と保育所、障害者福祉施設などへの単費援護の一部廃止、このなかには保育所のこどもたちの採暖費(暖房の費用ですが)のカットまで盛り込まれています。これこそ冷たい市政であります。生活保護世帯への夏季歳末見舞金の廃止、家族介護慰労金の廃止、老人クラブ補助金の切り下げ、デイ銭湯補助の廃止、高齢者と重度身体障害者の緊急通報システム補助の電話基本料補助の廃止、サマーナイトコンサート廃止、ふれあいコンサートの有料化、オペラ公演廃止、大宮交通公園ゴーカートの運営日の削減、など相当数にのぼります。スポーツ団体に対する補助をみても体育振興会補助金の大幅な切り下げをはじめ多くの項目が目に付きます。また教育委員会予算では学校現場での予算削減は目に余るものがあります。PTAに対して学校運営にかかわる寄付の増額などもささやかれており、これでは行政責任の放棄ではありませんか。

 これらのあげれば切りのないほどの行政責任の撤退・切り下げは、選挙が終わって突如として予算案とともに提示されたものであり、議会だけでなく関係団体などにしてもまさに「寝耳に大水」であります。すでに老人ホームや保育所など年間予算を組み終えており、今になって補助金を打ちきられても、到底予算を組み替えることなど出来ません。

 先日もある課長に「補助金切り下げについて関係団体に対しては十分な説明をしてきたのですか」とお尋ねしたところ「詳しい連絡は予算が議決されてからになるが、現在でもきびしいお叱りをうけて納得してもらえない」といっていました。この責任はあげて桝本市長にあります。

 あなたは選挙戦を通じて「福祉は後退させない」と言い続けてきました。私は「ますもとマニフェスト」を10回も20回も読んだのですが、これほどの福祉切捨てはどこにも書かれてありません。

 今回の予算案が可決されれば、行政の現場では「議会がお決めになったことだから」といって市民に説明をします。

 市長、あなたのいう「市民とのパートナーシップ」の精神はどこに生かされているのですか。まさに「問答無用」のやり方ではありませんか。

「きびしい財政事情だから」と言いますが、先ほど指摘した高速道路建設への税金投入だけでなく、今回の予算案にも不要不急の事業が盛り込まれています。

 市長は230億円もかけて山科音羽のもりエコランド、東部山間埋立地に清掃工場での焼却灰の熔融炉を建設すると言いますが、市原の東北部工場の実験プラントで底に穴が開くという事故をおこしたのが熔融炉施設ではありませんか。しかも地元の賛成もありません。焼却灰だけでなく重金属なども含めて安全性は十分と説明してきたのが東部山間埋立地ではなかったでしょうか。焼き固めて体積を減量しなくても、この最終処分場は元々、15年の有効期限が、ゴミが減ったことによって「今後30年は大丈夫」と環境局も言っているではありませんか。必要のない施設建設をやめれば予算のやりくりは多少はできるはずです。

 「福祉は後退させない」と言いながら「あなたほど福祉を切り捨てた市長はいない」、このことを指摘して、私の第一質問を終わります。

第二質問

 市長から答弁をいただきましたが、やはり高速道路計画などの見直しはありませんでした。事務事業評価で打ち出された補助金切捨てなど福祉と市民生活にかかわる大幅な切り下げは見過ごすことはできません。

 ますもとマニフェストだけでなく27日の本会議での予算説明でもこれほどの痛みをともなう市民犠牲の実態については触れられませんでした。市長、これで市民にたいする説明責任がはたせたといえるのですか。お答えください。

 関連予算案については予算委員会での徹底審議をつくすとともに、市民の立場に立って組み替え、修正を求めるものであります。ありがとうございました。

〈河内副市長〉市民サービスの急激な低下、負担増は極力さける、考え得る限りの財政対策を講じた。1308事業を丹念に評価し、説明もしている。関係者には理解を得る努力を尽くさなければならない。評価結果すべてを公開しており、説明責任を果たすうえで画期的なことと自負している。