井坂博文 議員
03年12月17日(水)
「小泉内閣による三位一体改革に反対する意見書」討論 03年11月定例市会 閉会本会議討論
小泉内閣の三位一体改革は迷走をかさねている
小泉内閣が進めている地方財政の「三位一体改革」において、政府と自民党・公明党の与党は、来年度の公立保育所への国庫負担金などを一般財源化し、国庫補助負担金を1兆円削減することで合意したと言われています。しかも税財源委譲の中身は、迷走に迷走をかさね、国民と地方自治体にいっそうの不安を広げています。
今回与党が削減で合意した公立保育所の国庫負担金は、保育料値上げや保育水準の切り下げにつながるものであり、保育行政の拡充を求める住民の切実な願いを踏みにじる許しがたい暴挙であります。さらに、来年度実施は見送るものの、生活保護費と児童扶養手当に対する国庫負担率の引き下げは「2005年度から確実に実行する」としています。そもそも国庫負担金は、法律にもとづく国民の権利として、国が一定水準の福祉や教育を国民に保障するためのものです。そのカットや引き下げは国の身勝手きわまりない責任放棄に他なりません。また事態の推移を見れば、今回の削減は小泉首相の「補助金1兆円削減」の指示で割り振られた金額をはじきだすための数字あわせというそしりは免れません。
そして見過ごしてならないことは、政府が国税から地方税に税源移譲する場合においても、徹底して圧縮・リストラすることが前提だと繰り返し主張していることです。つまり、標準的な行政サービスを保障するための地方交付税の機能そのものを廃止・縮減することも「三位一体改革」の大きな目的になっているのであります。
与党の意見書は、「三位一体改革」推進が前提
福祉と教育分野が8割をしめる国庫補助負担金の廃止・縮減を最優先させ、交付税も税源移譲も徹底して圧縮するというのであれば、地方と住民生活の切り捨てというしかありません。地方と住民の立場からみれば、こんな枠組みはとても改革などとよべるものではありません。
したがって、これらの重大な問題点を欠落させたまま、与党三会派が共同提案されている「三位一体改革を求める」あるいは「実行すべきである」という意見書案には到底賛成できるものではありません。これらの与党会派から推薦を受けつつ、桝本市長が三位一体改革推進を前提にして市政運営を続けようとするのであれば、市民からの批判は免れないということもあわせて指摘しておきたいと思います。
「三位一体改革」の名による犠牲転嫁と地方切り捨ては許されない
最後に、わが党議員団の意見書案が明確に述べているように「三位一体改革の名による住民への犠牲転嫁と地方の切り捨てをやめるよう国に求める」ことこそが地方自治体と地方議会に求められている姿勢と立場であります。そのことを強く求めまして私の討論といたします。