ふじい佐富 議員
03年12月17日(水)
2002年度決算についての反対討論 03年11月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は、2002年度各決算のうち、報第12号:一般会計決算、報第14号:国民健康保険会計決算、報第15号:介護保険会計決算、報第16号:老人保健会計決算、及び、報第22号:駐車場会計決算については認定せず。その他の各決算については認定するとの態度を表明しています。私は議員団を代表して、認定しない理由を述べ、討論を行います。
財政危機に効果的な手だて打てず、市債の残高は1兆375億円
認定をしない第一の理由は、財源不足と京都財政の危機に一層の拍車をかけながら、それには全く無反省で効果的な手立ても打たず、相変わらず無駄遣いを進めた決算だからです。
2002年度は、前年度に比べて過去最大の135億円という市税収入が落ち込んだ年です。中でも市民税法人分が106億円。政令指定都市の中でも最大の落ち込みです。給与所得と中小企業の厳しい経営実態にもかかわらず、本市はこの年度で法人市民税
軽減制度の廃止を強行。さらに、市職員の給与カットもこの年度から実施しています。その一方で「有利な起債」の名のもと、市債発行を続け、発行残高は1兆375億円に達し、公債費比率は年々上昇。18.6%となってしまいました。2002年度、2003年度の2年間の限定措置として緊急対策が実行されましたが、好転するどころか財源不足は雪だるま式に増加しています。高速道路建設最優先の一方、生活道路維持・改良費をバッサリ削減
市長総括質疑で指摘したように、過去8年間の道路関連の決算は、桝本市長の投資的経費、税金の使い方がいかにゆがんだものなのかを示すものです。8年前、市長就任と同時に桝本市長は、高速道路関連の事業費を田邊市長時代の最終年度と比較して3.86倍にまで一気に膨張させ、その後も2倍以上の高水準を維持し続けています。片や2002年度、市民生活に欠かせない道路維持補修費は76.5%。道路改良費は67.4%にまで下落させています。財政非常事態宣言という事態から出発すれば、京都高速道路建設こそ事業を凍結するか、縮小する選択をなぜ取らなかったのか。このような税金投入を行い、京都市財政を悪化させた桝本市長の責任は極めて重大です。
桝本市長は、リストラと市民生活切捨ての行政改革を強行し、さらにゆがみを広げています。給与カットされた市職員がサービス残業までさせられている問題に対し、市長は「サービス残業は好ましくないが、自発的ながんばりに期待せざるを得ない」と驚くべき答弁を行いました。サービス残業が違法行為であることを厳しく指摘した結果、「サービス残業がないように精力的に取り組む」と修正をされましたが、未払いの残業代は直ちに支払う。今後は一切行わせない。京都市丸抱えの違法行為はただちにやめるよう厳しく指摘しておきます。
京都経済の落ち込みに歯止めをかけられず
第2には、伝統地場産業と中小企業への支援策が後手となり、京都経済の落ち込みに歯止めがかけられなかったことです。
長引く不況や大型店の影響で地域商店街の閉店が相次いでおり、個人の努力はとっくに超えた状況です。事業所数の減少率は、政令市のなかで最悪。従業員数の減少でも北九州市についでワースト2位という有様です。
その一方で大型店は急増し、2002年には売り場面積のシェアは44.6%に達しています。島津五条の大型施設、さらにキリンビール工場跡地には90mのビルを6本も建てるという超大型の開発事業が完成すれば、5割を突破するのは確実です。桝本市長が、大型店や大企業には大変思いやりのある市政であることがはっきり示されています。
わが党が実態調査を行い、92年2月に提案。その後も団体や業者の方の要求運動と職員の方の努力が大きな力になって実現した「あんしん借り換え融資制度」は中小企業の再生、下ざさえという重要な意義を持って迎えられました。更なる期間の延長と充実を求めるものであります。さらに、「貸し渋り・貸し剥がし防止条例」など、中小企業支援の抜本的対策が必要であり、強く求めておきます。
断ちきれない同和行政の闇と、談合・市職員の不祥事
第3に同和行政の闇としがらみを断ち切れていないことです。
同和補助金の不正支出問題では、部落解放同盟は8. 000万円を返還しました。唯一返還していないのが久世の大築町自治会です。延滞金を含めれば1.400万円にもなります。その町内会長は、京都市体育振興会連合会・会長、京都市民生児童委員連盟・会長という要職を務め、京都市基本構想審議会・委員も努めた人物です。道義的責任が強く問われています。期限を定め、裁判も辞さない毅然とした対応を求めます。
本市では職員の不祥事の中で、公務外非行といわれる問題が続いています。覚せい剤などの薬物使用事件は明らかに闇の世界とつながっている証拠です。公務外非行での懲戒免職は2002年度の5人を含め、桝本市長の在任中に合計27人。処分数は一向に減っていません。厳正な処分と規律の確立が急務です。きっぱりと根絶すること。「同和奨学金」「自立促進援助金」制度の廃止。「企画推進委員会」への参加もきっぱりとやめることを求めておきます。
また、舗装道路工事をめぐる入札談合が発覚。厳しい財政状況のおり、談合により市民の税金がムダに使われることは許されません。その後の経過でも明らかなように、道路舗装関連のみならず、その他の発注でも引き続き、談合が行われている可能性が極めて高いのです。この構造的体質こそが問題ではありませんか。
競争と採算性を教育に持ち込み、福祉切りすてる冷たい市政
第4に、競争と採算性を教育に持ち込み、生活保護など福祉を切り捨てる、冷たい市政が行われていることです。
老朽校舎問題では、「本市が政令都市のなかでもっとも多く残っている」とのわが党の指摘に対し、「必ずしも老朽化が悪いわけではない」と開き直りの答弁がありました。雨漏れなど急を要する改修や、耐震対策など最低限の教育環境と地域防災拠点としての役割に留意した取り組みは急務です。特定の学校には多額の税金を投入しておきながら、このようなことが改善されないことは問題です。
生活保護に関する問題では、今年3月に行われた生活保護関係全国係長会議で「生活保護開始時の病状調査を行う場合には、原則どおり保護申請を受理したのちに、検診命令などを実施されたい」と指摘され、申請前の検診命令を乱用している本市の実態が明らかになりました。「今年度以内に見直しを行う」との答弁ですが、一刻も早く是正されるよう求めておきます。
国保会計への繰り入れは、全国最低水準
国民健康保険決算については、資格証明書・短期保険証の世帯が2.550世帯と急増している事実は重大な問題です。不況と雇用状況の悪化で、国民健康保険料の払えない人が増えることは当然の結果ではないでしょうか。そもそも、国の負担率が45%から38. 5%に減らされたことが国保料値上げの背景にあります。併せて、京都市自身の努力の不足も問題となってきたところです。一人当たりの繰入額が13の政令都市中、下から3番目。京都市の17. 783円に対し、名古屋、札幌は約4万円も繰り入れていることからもあきらかなように、とても認定はできません。
介護保険決算については、利用料の減免制度が不充分で、利用料が払えないため、サービスの利用が出来ないという実態が依然として改善されていません。国の責任と改善を求める努力とともに、実態を直視し、最低限必要な人への対応を実施するよう併せて求めておきます。
自衛隊のイラク派兵に反対しない市長の態度
イラクへの自衛隊派兵について、桝本市長は「国際社会の一員としては重大」と派遣容認の発言をされました。世界歴史都市連盟の会長を努める京都市長として、その一員であるイラクのバクダット市の平和と市民への連帯のメッセージを送ることは当然のことではありませんか。自衛隊のイラク派兵に反対を表明できず、京都市民の生命を守る立場を示せない市長の態度は問題です。
日本共産党は広範な市民の皆さんとご一緒に、平和と暮らし・営業を守る新しい市長をつくるために全力を尽くす決意を述べて、討論を終わらせていただきます。ありがとうございました。