せのお直樹 議員
03年12月17日(水)
クックチル反対請願の不採択に反対する討論 03年11月定例市会 閉会本会議討論
日本共産党市会議員団は、請願第181号と第182号は採択すべきと考えますので、私が代表して不採択に反対する討論を行います。
クックチル導入反対の署名は21000名
二つの請願はいずれも、養護学校給食へのクックチル方式の導入に反対し自校方式での充実と関係教職員・保護者、主治医等の意見の尊重を求めるもので、署名総数は、21.000を超えています。
不採択に反対する一番の理由は、自校方式での給食内容の充実こそ保護者の願いであり、クックチル方式を求めているものではないからです。
クックチル方式導入にあたって、教育委員会は「保護者の皆様の『児童・生徒一人一人のニーズに応える給食を』との強いご要望をふまえ、養護学校独自の献立作成や中・高等部での副食数の増加など、給食水準をいっそう向上させるため」実施すると説明しています。しかし、今日までも、それぞれの学校では栄養士・調理員・担任の先生が連携して、日常的に子どもたちの状況を交流し、一人一人の子どもたちに合った給食を作る努力を積み重ねられてきました。子どもたちが給食調理員とも知りあいになって、話すことができない子どもたちの思いを先生たちがくみとり、硬さや大きさを調節しながら、食べられるようになっていく子どもたち。民間委託されれば、こういう学校教育としての「給食」は台無しになってしまいます。「養護学校独自の献立作成や中・高等部での副食数の増加など、給食水準をいっそう向上させる」というのであれば、今までの教育現場での努力をふまえ発展させる立場から、必要に応じて体制を強化すればよいのではありませんか。その方向こそが、障害のある子どもたちへの血の通った教育と言えるのではありませんか。請願審査の中でも、「自校方式で100%出来ないわけではないが、施設設備の拡充や給食調理員の大幅な増員が必要で、実施は困難。」と答弁されています。安上がりのために子どもたちを犠牲にすることは絶対に認められません。
クックチル方式で給食内容の後退の恐れ
しかも、クックチル方式で給食内容が充実する確たる保障はなく、重大な後退を招く恐れがあります。
請願者のお一人は日本外科学会専門医・日本消化器病学専門医・医学博士で、医師の専門分野の中でも、「食べる」という分野の専門家であり、呉竹養護学校に通う重度の肢体不自由児の父親として、子どもの様子や実態を毎日つぶさに見てこられた方です。請願趣旨の中でクックチル試食会の内容に触れて「呉竹養護学校で行われたクックチル給食試食会の初期食の出来具合からすべての形態の嚥下障害=噛んで飲み下す事ができない障害という意味です。嚥下障害には適応しないことが判明したために、同試食会場で教育委員会の担当課長に各学校での自校調理による障害に見合った再調理(硬さ、とろみ加減等)が必要な旨を医学的見地から申し上げたが、『再調整はしない』と回答をいただきました。これは、一人一人のニーズに合わせた給食は出来ない事を自らお認めになられ、京都市教育委員会のパンフレットの内容と矛盾することとなりました。」と書かれています。再調整できないということは、鼻中栄養での対応に切り替えなければならない子どもが出てくるということです。鼻中栄養とは、細いチューブを鼻から入れて食物を摂るもので、痰が溜まりやすくなり、肺炎も起こしやすくなる上、大きな苦痛を伴うものです。鼻中栄養への切り替えは子どもの発達上、重大な後退を強いることを意味します。
教育委員会はさまざまな疑問に答えていない
また、クックチルの開発研究者であった調理関係者が「天ぷらや、麺類などはクックチル方式ではできない。アレルギー食品除去など細かな対応は現場の体制上も不可能。」と証言しています。この点についても教育委員会は「給食研究プロジェクトをたちあげ、2回の試食会をやった。『おいしい』との保護者の声をいただいている。」とくり返すばかりです。試食会で業者がまずいものを出すでしょうか。そもそもクックチルで作れないものは試食会で出されるはずもありません。にもかかわらず委員会質疑で、理事者は「今までの献立で作れないものはない」と強弁するなど、様々な疑問に対して何らまともに応えていません。
私は委員会で、クックチル調理の専門家や医学の専門家を委員会に招いて意見を聞く機会を設けるべきだと主張しましたが、与党会派の反対でそれも実現しませんでした。
様々な疑問を残したままクックチルを強行することは絶対にゆるせません。本請願は、採択されるべきものであることをあらためて強調し、討論を終わります。