赤阪 仁 議員
03年11月21日(金)
赤阪仁議員代表質問(大要) 03年11月定例市会 本会議代表質問
11月21日、赤阪仁議員は、代表質問にたち、現場の声を紹介し、教育子育ての拡充をもとめました。以下、代表質問の大要をご紹介します。
市民の切実な教育要求について
日本共産党の赤阪仁です。日本共産党議員団を代表して、市長ならびに関係理事者に質問いたします。
私は1975年高知から京都の民主教育にあこがれてやってきました。私は教師として京都市内二十一年間、四つの小学校勤務しました。「子どもが恋人に会うような気持ちで行ける学校を作ってください」と当時の蜷川虎三京都府知事が教育研究集会で語った言葉を座右の銘にして、地域の人々と共に学校作りを進めてきました。その後、京都の教育は知事も市長も替わり、憲法・教育基本法にもとづく、民主教育の理念を投げ出し、文部科学省いいなり、管理と競争主義の先進を走る教育として全国でも有名になりました。その結果はどうでしょう。
今年のある荒れた小学校6年生の教室のことです。「けんかしてる子、ランドセル投げる子、消火バケツなげる子、先生は汗だくで力ずくで受け止めています。頭が下がる思いだ」「負け犬になるな、もっといけ、もっといけとはやし立てる子ら。先生が優しいからと思ったが、先生は精一杯やっている。ようこんな状態で毎日先生来たはると思った」と保護者が参観したときの声です。子どもは日記に「いまのクラスの様子はあかんと思う。人のいやがることをする、命令する。でも、自分ががんばることは、うるさくてもがんばって勉強すること。‥心の叫びです」と書きました。今も、子ども、保護者、学校・地域が一体となった、努力が続けられ、憲法教育基本法のめざす民主教育、人間の育つ学校再生が求められています。教育現場の実態と毎日起こる少年事件は、未来を担う子どもの成長と発達を保障する教育問題を、21世紀、民主的な日本社会を築いていく上での重要課題として提起をしています。この解決には、思想信条を超えた、国民的な対話と運動で、解決方向を探り、現状打開のための努力が必要です。
自民党政治のもとでの国民生活、労働、教育などのさまざまな分野で、ゆがみや矛盾、困難の蓄積があります。たとえば大企業のリストラ競争のもとでの雇用破壊や長時間労働は、家族の団らんや、コミュニケーションを破壊しています。「勝ち組、負け組」といった弱肉強食の競争至上主義の風潮がつくられ、他人を思いやるゆとりが奪われ、国民の精神生活にも殺伐とした雰囲気が持ち込まれています。若者の深刻な雇用危機は、青年の社会参加を奪い、就職・結婚・子育てなど、将来の希望を閉ざす重大な問題を引き起こしています。これらの民主的打開のために力を尽くすことが私たち大人の課題です。この悪政のもとで京都市政が住民の福祉向上という、地方自治体の本来の役割を果たすことが、今ほど強く求められている時はありません。
以下、市民の切実な要求に対する答弁を求めます。
不況の下、就学援助制度の拡充を
第一に、今日の深刻な不況のもとで、子どもたちの「教育を受ける権利」の保障をどう進めるのかおたずねします。
最近の総務省の労働力調査では9月の近畿の失業率は全国平均5・1%を上回り6. 8%、「失業率は高い水準、雇用情勢は依然厳しい」と指摘されています。親の収入が減るなど経済的な理由から、授業料の減免制度の適用を受ける生徒が、市立高校でも9月末現在で19. 9%、5人に一人の生徒、約一四〇〇人が授業料全額免除制度を活用しています。まさに、不況の深刻さを示しています。市内高校生の4割以上を占める私立高校でも事態は深刻です。「大学に進学したいけど、親が失業では仕方がない。本音を言うと親は悲しむので、勉強嫌いやからと言うてるんや」と、進路相談で担任の先生に子どもが語ったそうです。勉強したいのに、進学をあきらめざるをえない子どもの心を思うと心が痛みます。私学の授業料は年平均、約七〇万円、公立でも約十五万円、不況で、生活費が減る中、教育費負担の家計に占める割合は大きくなっています。さらに個人経営の倒産が急増し、零細業者の厳しさが続き、生活困難ななか、小・中学校の就学援助制度の活用者も毎年増え、今年は昨年度より1%増の十六・九%一万六千七百八十二人となっています。生活困難による給食費未払い児童も増えていると聞きます。子どもたちに教育費の心配をさせることがないよう、就学援助制度のいっそうの拡充をすべきです。いかがですか。
〈門川教育長〉就学援助は予算額を毎年確保。高校授業料の減免は14年度から全額免除対象者を拡大した。独自の施策は困難。国・府に要望する。
同和奨学金、自立促進援助金など同和特別施策をやめよ
また、同和施策の継続である、同和奨学金と、返還免除のための自立促進援助金制度という特別扱いは、直ちに廃止し、府の奨学金制度だけに任せず、他都市の例にもあるように京都市独自の一般奨学金制度を創設して、子どもの進路保障のための支援を進めるべきではないでしょうか。
〈高木副市長〉同和問題を解決していく上で、残された課題の一つ。平成14年~18年までの5年間経過措置を設けている。新たな奨学金制度の創設は考えていない。
高校定時制の定数の確保を
さらに、夜間定時制高校は、働きながら学ぶ労働者の学習の場だけにとどまらず、こんにち中学校時代、登校拒否であった子どもなど様々な困難をもつ子どもたちが、少人数の学級集団のなかで、先生方や、仲間との人間的なふれあいを通じて、自らの生き方を発見し、学び、成長する喜びを体得するなど、青年期の生きる力を育ててきました。
ところが、京都市は、97年多くの市民の反対の声を無視して、堀川高校定時制を廃止。さらに今年4月西京高校定時制は、全日制の中高一貫教育の開校を前に、240名の定員を60名に大幅に減らしました。今年は京都市全体で、定時制高校の入学定員は100名も減らされ、府立の朱雀高校の通信制は、1800名を超すマンモス校になり、教室に入れない子どもが出ている始末です。京都市は、「定時制の代わりに全日制で定員を増やしているから、進路保障は大丈夫」といい分けをしてきましたが、今年四月に、普通科で1000名を超える高校不合格者が出たのはどういうことでしょうか。
「十五の春は泣かせない」。子どもの進路を、しっかり保障するため、高校進学希望者の落ちこぼしをすることがないよう、高校定時制の定数復活と、全日制の募集人員確保で、受け皿を拡大すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〈教育長〉定時制希望者は例年募集定員の1割程度。本来的には全日制を希望しており4年続けて収容率をひきあげた。
市長公約30人学級の実現を
第二に、すべての子どもを大切にする教育条件の整備について質問いたします。
今年四月、京都市独自で、「30人学級をめざしつつ、35人学級を小学校1年生から対象に実施」し、全市で四十の学級が増えました。一学級あたりの子どもの定員が減ったところでは、子どもの指導が改善・充実されたと、大変喜ばれています。二年生も継続されると聞きますが、その後の学年はどうなりますか。京都府とも十分協議して30人学級をめざしつつ、その後の学年でも、京都市独自でも35人学級の維持・拡大を強く求めます。
学校五日制の実施以後、学習指導要領の改訂に伴い、保護者の多くから、「学力保障はできるのか」、先生方からも「残してわからない子に教える時間がない」との悲鳴が聞こえています。
中教審教育課程専門委員の方は「文部科学省は、完全五日制には反対、2年前の新学指導要領は完全五日制にむけて作られたのではないから、学校は大変」と、発言しています。
山形県をはじめ全国の、一人ひとりにゆきとどいた教育のとりくみや、三十人学級の実現による「学力向上の実績と生き生き学ぶ活動経験」にまなび、早期に京都市でも、30人学級に改善すべきです。特に、30人学級の実現は、前回の京都市長選挙での市長のかかげた公約でもあります。公約実現の市長の積極的攻勢的年次計画をお示し下さい。
〈教育長〉来年度は2年生に拡大する。基本的に国・府の権限に属する制度。今後も強く要望していく。
養護学校給食の民間委託導入の見直しを
第三に現在の子どもたちの発達と命に関わる養護学校給食の問題についておうかがいします。
9月議会において、教育長は「子どもたちの障害に応じて、栄養や品数などきめ細かい給食の要望に応え、最善の方法として、安全で多様な調理が可能な最新のクックチルを導入する。」と発言しました。しかし、この方法が導入されている、病院給食の実態を調査しますと、クックチル方式のメリットである、「大量生産と作り置き」を生かした、一部の副食作成に導入されているのが実態でした。とりわけ、個人の病状に応じた、キザミ食、流動食などの特別食の作成は、クックチル方式ではできないので、病院内で当日、調理していると聞きました。教育委員会は、「安全衛生上、学校では、包丁などで手を加えない」とし、「通常調理」との組み合わせも考えていないと、いいます。それでは、嚥下(えんげ)食を必要とする子どもの特別食はつくれないのではありませんか。
また、「現在の給食以上の献立の多様な食事内容」と言いますが、開発研究者であった調理関係者が「天ぷらや、麺類」などはクックチル方式ではできないと言っています。いま「大量一括生産のクックチル方式万能論」を信じて強行実施すれば大変なことになります。一人ひとりの子どもたちの命にかかわるアレルギー食品除去など、できるのでしょうか? 病気を抱えた子どもたちの多い養護学校では、当日の子どもの健康状態に対応する給食が必要です。「予備食で対応する」と当局は言いますが、特別食の調理など、当日学校で調理できないのに、命に関わる食の安全確保が、クックチル方式だけでどうしてできるのですか。当日、給食が食べられないという、不測の事態も予想されるではありませんか。
そもそも、学校給食は、教育の一環です。それだけに、なぜ、生きること、医療につながる子どもたちが通う、養護学校から、職員手作りの自校方式を切り捨てるのですか。財政難を理由に、経費削減めざす、冷たい仕打ちと言われても仕方がありません。
クックチル方式での全面導入を見直し、現行制度の維持を基本に、子どもと保護者への要望にこたえる学校給食の改善の取り組みを求めます。〈教育長〉試食会は大変好評だった。特別食やアレルギー対策は可能。保護者・教職員が参画するプロジェクトでの意見をふまえ、一層充実に努める。
児童館・学童保育所の建設を
第四に、子育て支援について質問します。不況の中、働きにでる子育て真っ最中の保護者は多く、学童保育所への入所希望者が多いため、2年生以上の待機児童数が増えています。
さらに、この十月に学童保育利用料が満額徴収になったため、ある学童保育所では、一割の退所者を生み出しています。不況で生活の糧を求めて働く市民のくらしと子育て応援というならば、利用料徴収はやめ、無料に戻すこと、子ども達の豊かな放課後の保障となる学童保育所、児童館の百二十カ所建設を前倒しをし、入所希望児童が入れるよう増設すべきです。いかがですか。
また、私の校区の、美豆小学校では、すでに、宇治川対岸の際目地区に児童館と学童保育所はあります。しかし、学校から学童保育所まで約三〇分。淀大橋を渡って大型車両の通行が多い第二外環を横断し通所しなければならないのです。さらに校区の端のリバーサイドマンション住民の児童は、再び学校を通過し、帰りは約四十五分以上かかります。不審者の多い通学路でもあり、子どもの安全上、通わせられないと言う事態がおきています。大塚小学校、常磐野小学校のように、学校の敷地内利用の児童館、学童保育所であれば交通安全上も安心して預けられるのにとの声も多く出されており、地域の実情にあった児童館・学童保育所の設置を求めます。
〈浅野子育て支援政策監〉現在101館まで設置。待機児童は67名。美豆小学校には桃の里児童館をすでに設置している。
伏見区における市バスの充実について
第五に、地元伏見区の遅れた生活環境、基盤整備の充実について質問します。
一昨年4月、「生活橋、羽束師仮橋を残してほしい」、という一万七千筆の署名を無視し、京都市長は、羽束師仮橋を強行撤去しました。その影響は、桂川周辺の住民に及んでいます。新羽束師橋建設に伴う、地元との約束であった、側道など、関連道路の整備もいまだに実現していません。そのため市バス古川町バス停と志水口バス停は撤去されたまま、いまだ「陸の孤島」状態となっています。久我・羽束師地域は、中心部に東西南北の基幹道路がないのと、桂川の橋が少ないため、朝・夕、桂川を渡るのに、久我橋を含め、大変な交通渋滞です。家の前の道が車であふれ、車で仕事に出るのに、自宅から出られないため、引っ越しを余儀なくされた、という住民もでています。狭い道路からあふれた車は、住宅街と通学路を通行するため、通学の子どもたちが危険にさらされています。「市バスに乗る人が少ないから赤字になる」とバス路線の切り捨てが、住民の責任のように交通局はいいますが、この地域は毎日のように家が建ち、新しい住民が増えている人口急増地域です。ところが、交通渋滞で市バスの定時運行がたもてないので、当てにできず、「乗りたくても乗れない」のが現状です。羽束師菱川町・久我西出町では、「回送バスを空で走らせるより、乗客を乗せてほしい、」との声も広がっています。阪急バスまで、バス本数を減らした今日、市民の足を守る、公共交通としての市バスの役割がますます重要になっています。
交通渋滞の解消と併せ、市民の足を守る市バスと、乙訓地域の主要なJR・阪急などの鉄道駅との乗り継ぎを促進し、公共交通の改善を図るべきではありませんか。
〈河内副市長〉平成13年3月に竹田駅からJR長岡京駅への市バス路線を新設した。羽束師地区のバス路線の運行に必要となる関連道路整備について、用地買収交渉を進めている。
第2久世橋の早期完成を
業者任せの「つなぎ開発」を横行させたために、側溝のない道路、迷路のような行き止まり道路、公園、下水道などが未整備地域も、いまだ残されています。生活基盤整備は京都市の責任です。市と住民が協議し、市民のくらしの環境、基盤整備の遅れを取り戻すべきです。
名神高速道路の側道になる、羽束師・墨染め線の小枝橋西側への橋を架けることによる、道路延長など、くらしと道路の基盤整備計画をつくって実施すること、当面、大至急、第二久世橋の早期完成をもとめます。いかがですか。
〈市長〉第二久世橋の早期完成について、そのネットワーク化はより大きな効果を発揮する。平成19年度の完成を目指しとりくんでいる。南西部地域の都市計画決定済みの路線についても検討していきたい。
大岩街道周辺地域の環境対策について
最後に、深草大岩街道周辺地域を中心とする環境問題についてお伺いします。昨年十月、住民725人の連名による告発で、京都府警は産廃業者を逮捕、起訴、今年7月10日の京都地裁で有罪判決がおりました。この業者は、焼却灰を土と混ぜて、不法に投棄する、一日、4. 8トンの焼却量を守らないなどの違法操業を続けていました。住民によって摘発され、ついに、炉は残しながら、業者は8月1日に業を廃止しました。
今回の事件も教訓にして、住民運動をすすめてきた環境団体、自治連合会など住民組織との話し合いを大切にし、監視対策のあり方も相談し、改善をすすめるべきです。京都市は環境対策として大気汚染、土壌汚染のチェックをしているとのことです。「環境汚染がないから住民の健康調査をやられていない」とのことです。付近の住民が求めるように、長期にわたる野焼き、焼却炉に加え、名神高速道路のすぐ横に位置するという住宅地であり、全国どこにも例のない複合汚染被害にも該当する地域です。住民の福祉向上が目的の京都市は直ちに環境調査と同時に、周辺住民への健康調査を行うべきです。
〈上原環境局長〉平成8年から大気の測定を実施。平成10年からダイオキシン類の測定を行っている。いずれも環境基準を大幅に下回っており健康調査は必要ない。
深草地域の自然環境再生を
また、本市が平成十一年「大岩街道周辺地域の将来構想」素案を発表して以来、いわゆる野焼きの沈静化は見られましたが、平成十三年の地元の方々との協議を最後に中断している状態と聞きます。現在、大岩街道周辺地域は、稼働中の焼却炉は一基に減ったものの、産業廃棄物を焼却した灰とゴミの山でできた、「岡田山」は依然として存在し、京都市は、岡田山の周囲への環境調査も、ゴミの撤去も検討されていないと聞きます。市街化調整区域ということで建築制限がされていますが、該当地域には、違法建築物が一五五軒、六百数筆、三百二十人の土地所有者と借地の混在が見られ、その整理調査も必要な状態と聞きます。
今議会で「産業廃棄物の不適正な処理を防止するための条例」制定めざす、この時期に、深草地域の自然環境を再生させる将来構想の具体化を年次計画をつくって取り組むことを求めて、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
〈高木副市長〉現地監視などでほぼ解消に。京都市の条例も活用して進める将来構想についても検討する。