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市会報告

倉林明子 議員

03年11月20日(木)

倉林明子議員代表質問(大要) 03年11月定例市会 本会議代表質問

 11月20日、倉林明子議員は、代表質問にたち、「くらしを守れ」と市政転換を迫りました。以下、代表質問の大要をご紹介します。

 日本共産党の倉林明子です。先の総選挙では、全国で458万人もの有権者のみなさんに「日本共産党」と書いていただきました。こころからお礼を申し上げるとともに、この期待に応え、引き続き国政と地方政治の刷新めざしてがんばる決意です。

財界主導の市政運営をこれからも続けるのか

 それでは、日本共産党市会議員団を代表し、市長ならびに関係理事者に質問します。来年2月の京都市長選挙を前に、京都はこのままでいいのか、市民のくらしをどう守るのか、21世紀の京都はどうあるべきなのかが、正面から問われる時です。2001年に策定された京都市基本計画の冒頭、市長は「私は、こうした激動の時代において安らぎと華やぎに満ちた、世界の中で光り輝く21世紀の京都を市民の皆様とともに築いていくため」と計画実行への決意を述べ、今年6月の全ページがカラーの立派な市政報告書では、計画の進捗状況が示されています。

 はたして、市民のくらしは安らぎに満ちているでしょうか。とんでもないというのが多くの市民の実態ではないでしょうか。年金の切り下げに介護保険料の大幅な値上げで高齢者は悲鳴をあげ、深刻な不況のもとで中小企業の倒産・廃業が相次ぎ、失業率は全国でも最悪で、市民の不安は大きくなっているのが現状ではありませんか。

 はたして、まちは華やいでいるでしょうか。日本建築学会は昨年、「京都の都市景観の再生に関する提言」の中で、京都の景観が重大な危機に瀕していると次のように述べています。「京都では、せっかく戦災を免れたにもかかわらず、極めて残念なことに、第2次世界大戦後、不燃化・道路交通の近代化のために大きく破壊され続けただけでなく、ごく近年では高層マンション・高層ホテル・巨大商業施設・広告・立体駐車場などの建設や自動車交通の増大による変貌が加速している。」と指摘していますがその通りです。華やぎどころか、世界に誇る歴史都市京都の景観破壊が進行する深刻な事態です。こうした京都破壊の進行に最も大きな影響を与えてきたのが財界主導の京都開発に他なりません。過去2回、あなたの選挙母体の責任者は京都財界の代表者でした。あなたは、1期目を総括して、80点と自らを採点し、残り20点は南部開発ができなかったことと発言され、1期目の当選直後に95mの京セラビルが着工されたことは象徴的でした。今なお、南部開発を中心に京都財界の提言が繰り返されていますが、財界主導の市政運営を続けるのかどうか。お答えください。

〈市長〉市長就任以来、パートナーシップを基本とし、福祉向上、教育、地球環境、中小企業対策等、くらしを守る施策に重点を置いてきた。観光客5000万人構想や南部創造のまちづくり、産業振興、都市基盤整備、まちなみ・文化を守るとりくみを推進。市政をめぐる状況は厳しいが147万市民の期待と信頼に応える。

世界に誇る文化観光都市としての値打ちを守る市政へ

 一方、市民の願う京都市の21世紀の姿は、京都市自身が行った市民3万人アンケート調査でも明らかです。京都の持つ都市の現在のイメージは歴史景観の豊かな都市であり、将来は安心して暮らせる都市が一番多い回答です。京都市に求める施策の優先度では高齢者福祉が1位となっています。日本共産党は市民のこうした声や願いを生かした市政へ、市民のくらし優先、京都の良さを守る市政へ、転換すべき方向を提案させていただき、市長の見解を問うものです。

 第1に、世界に誇る文化観光都市としての値打ちを守る市政へ転換することです。京都の魅力は、世界遺産の建造物に留まらず、身近な自然と美しいまちなみ全体にあり、日本人の心のふるさとと愛されるゆえんともなっています。指定された世界遺産だけでなく、京都市のほぼ全体が歴史的環境調整区域とされていることからも、まち全体が持っている魅力を守ることは、京都に課せられた後世に対する責任でもあります。ところが、その値打ちを自ら破壊してきたのが歴代の市政ではなかったでしょうか。西武ホテル、京都ホテル、京都駅ビル、迎賓館などいずれも京都市の規制はずしがなければ建設できなかったものばかりです。94年に世界遺産に指定された後も、京都市の対応はまちなかについては無策に等しく、職住共存地区とされる田の字地域内を中心に高層マンション建設が一気にすすみ、都市景観や住環境を大きく破壊しつつあります。今年4月から田の字地域の一部に、ようやく一定の規制がかかりましたが、あまりにも遅すぎる措置ではなかったでしょうか。高層マンションの建設ラッシュを放置してきた市長、あなたの責任は極めて重大です。あなたも含め、歴代の市長が行ってきた規制緩和による景観破壊の事実を率直にお認めになるべきです。いかがですか。お答えください。

景観破壊と高速道路計画の中止を

 先日、私も代表団の一員として参加させていただいた世界歴史都市会議はカナダのモントリオール市で開催されました。歴史都市であるケベック市、いずれも歴史的建造物のそれぞれがきちんと保存されているだけでなく、人の住まいや店舗として今も活用され、まちなみ全体の美しさが保たれており、多くの観光客でにぎわっていました。世界歴史都市会議では、保存と開発が大きなテーマとなりました。モントリオール市の担当者は美しい旧市街地に延びる高速道路を指さして、「過去の私たちの失敗だ。壊れたものは戻らない」と教訓を語ってくれました。21世紀に京都が国内だけでなく、世界から愛され続けるまちであることに最も逆行するのが、景観破壊と高速道路計画に他ならないと考えます。世界歴史都市会議の会長として、市長の見識が問われる問題ではないでしょうか。そこで市長に質問します。日本建築学会からも指摘されている景観の危機をどう打開するのか、高速道路を世界遺産である市内に建設する考えをやめる意志はないのか、答弁を求めます。

〈市長〉21世紀に世界から愛される都市として景観と調和し活性化を進めるため、保全・再生・創造のまちづくりを進める。「伝統的景観保全に係る防火措置条例」や職住共存地区のルールなど先駆的取組を進めている。国家戦略としての京都創生の提言のとおり、国家的課題であり国民の財産。景観保全・再生に取り組む。

 高速道路は市民生活に必要不可欠のもの。早期完成に取り組む。

構造改革に対決し、中小企業・中小商店の支援を

 第2に、京都経済の立て直しへ、産業政策の転換を求めるものです。まず、政府の規制緩和に対決し、中小企業、中小商店を支援する方向への転換です。小泉構造改革・竹中プランの不良債権処理・規制緩和路線が、深刻な打撃を京都経済にもたらしています。中小企業の相次ぐ倒産、酒屋・米屋・薬屋と「屋」がつくお店が地域から次々と姿を消し、代わりに大阪・東京資本の大型店、チェーン店の開業が相次いでいます。京都市はこの間、京都駅ビルへの「伊勢丹」誘致に始まり、2000年にはさらに大型店の出店を誘致するまちづくり条例と商業集積ガイドプランを決定しました。一貫した大型店の誘導は、中小商店に最も被害をもたらしました。これ以上の大型店はいらないという姿勢にこそ立つべきです。また、先月28日には西陣織工業組合などでつくる京都伝統工芸産地協会が「地場製造業の明日を考える決起大会」を開催していますが、サブタイトルは「貸し渋り貸しはがし全廃」というもので、まさに構造改革に対する抗議の声です。市長は今年2月の本会議で構造改革について「これは京都経済の再生、発展と市民生活の安定を図るうえでも大変重要な意味を持つもの」と答弁されていますが、全く京都経済の実態を無視した発言です。業界からも切実な声があがっています。市長は、中小企業、中小商店に打撃を与える構造改革にはきっぱりと対決し、貸し渋り貸しはがし防止条例の制定をすべきです。見解を伺います。

 また、御議論がありました、市バスの管理の受委託も規制緩和の大きな流れの中で進められ、市民の足を切り捨てることにつながるものであり、撤回を求める立場を表明しておきます。

〈高木副市長〉中小企業の振興こそ活性化の鍵。京都の経済対策すべてが中小企業支援。資金繰り支援の「あんしん借換融資」とともに、貸し渋り防止を徹底している。

まちづくり条例やガイドプランで大型店の誘導・規制など図っている。公共工事は市内中小企業に発注を基本にしている。

地場産業を中心とした既存産業を支える政策へ

 次に、京都の歴史に支えられた地場産業を中心とした既存産業を支える政策への転換です。京都の地場産業は伝承された確かな技術が、新たな技法や産業を生み出し、本物をつくる力となり日本文化を支える支柱となって、全国に情報も技術も発信してきた歴史があります。そして現在も京都がブランドとなる力を持っています。ここを行政が本気で支援することが求められているのではないでしょうか。ところが今、その本物をつくる力が危機的な状況です。和装の中心である着物の生産量は激減の一途をたどり、京都染色協同組合連合会の調査によると、2000年の京友禅京小紋生産量は1971年の6. 5%になりました。関連産業への影響も深刻です。技術や技法の伝承は一日の体験教室でできるものでは決してありません。数百年引き継がれて完成された技を修得し、本物をつくることができるまでの支援を今しなければ、京ものブランドの担い手が壊滅しかねないのが現状です。繰り返し求めてきました金沢市の職人大学校に学び、日本と京都の貴重な技術の後継者づくりに本気で取り組む事、地域経済振興条例の制定を求めるものですがいかがですか。

〈産業観光局長〉「伝統産業後継者育成制度」を今年度抜本的に改善、四条京町屋や東京・京都館での支援、技術者育成のみやこ技塾に取り組んでいる。

高齢者のくらしを支える役割の発揮を

 第3に、市民の命と健康を守ることを市政の最優先の課題とし、市民負担の軽減への転換です。

 まず高齢者のくらしをどう守るのかという点です。高齢者のくらしは、急な階段を降りるように年々悪くなっています。私は、10月になってから、国民年金だけで暮らすご夫婦から「恥ずかしい話だが、おかず代が出なくなった」という声をお聞きしました。「入院して病気は治ったけれど、生活費がなくなった」とのご相談も受けました。初めての年金の引き下げに加えて大幅な介護保険料の値上げが、高齢者の生活設計を大きく狂わせています。確かにサービスは拡充されたものの、特別養護老人ホームはいつになったら入れるのか見通しが立たず、サービスを使うにも費用負担が心配で、使えないとのご意見も多数寄せられています。介護保険制度そのものが、サービス量が増えるほど保険料があがる仕組みになっており、この見直しが求められています。制度発足5年目の見直しとなる介護保険については、導入時大幅に減らした国の財政負担をもとに戻すことと、国の責任で利用料・保険料の減免制度をつくるよう強く求めるべきです。同時に、京都市独自の保険料軽減措置の拡充を求めるものです。政府は、高齢者の命綱である年金を今年は4千億円引き下げ、来年度はさらに8千億円引き下げしようとしていますがとんでもありません。国民に対する約束でもあり、法律でも来年度と期限が定められている基礎年金の国庫負担3分の1から2分の1への引き上げこそ、まず実施すべきです。財源の2兆7千億円は、与党の公明党もかつて主張していたように、大型公共事業の削減で確保すべきではありませんか。市長は、年金受給者の市民のくらしを守る立場から、年金給付の削減はすべきでないと国に求める時ではありませんか。お答えください。

〈保健福祉局長〉介護保険制度については国で見直しの検討がされている。低所得者の負担軽減、被保険者や自治体に過重な負担とならないよう要望している。市独自の保険料軽減は、基準緩和により昨年の約2倍、1800人の適用。

国民健康保険は市民の命と健康を守ることが大前提

 次に国民健康保険についてです。深刻な国保財政の健全化に、国が財政責任を果たすことはいうまでもありません。しかし、十分な財政支援が得られないもとでも、地方自治体の国保運営をしていく上で、市民の命を守り健康を増進する観点を貫くことが大前提です。現状はどうでしょうか。窓口負担の引き上げや、高すぎる国保料が払えない加入者の増大は深刻な受診抑制を引き起こし、医療機関への受診が遅れ重症化がすすみ、給付費の増大という悪循環を招きかねません。早期発見、早期治療は医療の大原則であり、結果として医療費の抑制効果があることは検証ずみです。第1に早期受診を妨げないよう保険料の滞納を理由とした資格証明書や短期証の発行をやめ、正規の国保証の発行をすること、払える水準に国保料の引き下げを求めるものです。第2に早期発見、健康増進の取り組みの抜本的な強化です。10年前と比べて基本健康診査の受診率は16ポイント増えたものの、ガン検診の受診率はのきなみ減少し5割から7割程度となっています。99年度の達成目標から見ても大きな後退です。死亡原因の一位を占めるガンの検診率向上に真剣に取り組むべきです。また、80才になっても自分の歯が20本という8020運動は厚生労働省の調査研究で、体力・運動能力だけでなく、生活の質も良いという結果が出ています。予防活動と一体となった健康増進の取り組みは国保財政の健全化にとっても欠かせないものと考えます。市民の健康を守りながら医療費の給付水準を引き下げる方向こそめざすべきだと考えますが、いかがですか。

〈保健福祉局長〉年金制度の改善充実、現役世代の過重な負担がないよう、次期改革に向け、国庫負担の引き上げ、給付と負担のバランスがとれた安定的運営を要望する。(1)国保料滞納者へはきめ細かい納付相談で、資格証明書・短期証の機械的発行はしていない。96億円の赤字があり、保険料引き下げは困難。(2)安定化計画の一環としてガン検診率向上、健康づくりプラン、1万人を超える人間ドック受診者など取り組んでいる。

子育て支援の強化を

 子育て支援では保育所待機児童の解消を公約に掲げられ、99年の本会議では特例交付金の活用にあたり、「平成13年度に保育所待機児童の解消を」と答弁されていました。ところが99年と比較し、増えた定数は90人に留まっているのに、受入数は2310人も増えています。保育所の規模は変わらないのに、定員外の入所枠を拡大したために、保育所は子どもであふれています。必要な保育所の新増設こそ求められています。同時に、旧同和地区の保育所の欠員や昼間里親が欠員でも保護者にはほとんど紹介されていません。保育所待機児童解消という自らの公約、本会議での答弁について責任ある答弁を求めるものです。お答えください。

〈子育て支援政策監〉保育所の定員割合は高く、入所しやすい。一部地域に待機児があり、新設、定員外入所など取り組んでいる。特定の保育所を希望するなどを除いた実質の待機児は減少。保育需要に応じた受け入れを確保する。昼間里親など福祉事務所やホームページで情報提供を実施。

乳幼児医療助成制度の拡充を

 乳幼児医療費助成の拡充もあなたの公約でした。ようやくこの9月から始まりましたが、外来では拡充された3歳から小学校入学前までの部分は月額8千円を超えるものが対象で、一旦は窓口で全額負担したのちの償還払いとなったために、現在までの申請もごくわずかと聞いています。これでは子育て世代の多くが支援を実感できない括弧つきの拡充だといわざるを得ません。外来こそ小学校入学まで無条件で拡充すべきです。子育てしている保護者にそうだと実感してもらえなくて、どうして子育て支援都市などと言えるでしょうか。

〈保健福祉局長〉受給者証交付は3500人、毎月1000人増加の見込み。

教育改革の中身の転換を

 教育先進都市、日本一の教育という看板の中身はどうでしょうか。市長あなたは、立派な高校を2つ建設し、市立の中高一貫校もオープンをむかえます。1校100億円にも及ぶ学校は、実際すばらしい教育環境です。しかし、その他の、圧倒的多数の子どもたちが学ぶ学校はどうでしょうか。多くの学校では、教室の冷房設備もなく、老朽化した校舎の耐震工事さえやれていない学校も残されています。深刻なのは、不況の影響をまともに受け、子ども達が進路変更や、高校中途退学に追い込まれる例さえ生まれていることです。あなたは、こうした子ども達の受け皿となってきた定時制高校の希望者が増えているにも関わらず、定数削減と廃止を強行してきました。堀川高校の定時制廃止撤回を求めた署名は16万人にも達しました。作り置きした冷蔵食のクックチル給食を、障害を持つ子ども達に真っ先に導入することを決めていますが、中止を求める署名が2万1千人と大きく広がっています。この声はあなたには届いていないのでしょうか。教育環境の改善は全ての児童・生徒、保護者の願いであり、その責任は行政にあります。日本一と言われる教育をごく一握りの児童・生徒にしか受けられないものにしてしまったのが、あなたの教育改革ではなかったでしょうか。一人一人が将来を担う大切な子どもです。全ての子ども達、とりわけ弱い子ども達にこそ重点をおいた教育行政への転換を求めるものです。

〈教育長〉小学校低学年での35人学級実施、総合性・地域性の養護学校再編、育成学級の増設、すべての子どもに確かな学力豊かなこころの教育を地域ぐるみで推進。保護者・市民・全国的にも高い評価を受けている。

国庫補助負担金の廃止・縮減について

 これら、福祉と教育を財政的に支える国庫補助負担金の廃止・見直しが、来年度予算編成方針で打ち出されていることは重大です。政府はこの間、地方自治体に大型公共事業を誘導し、借金財政を押し付けてきました。そして今度は、「三位一体改革」と称して国庫補助負担金の廃止・見直しだといいますが、その実態は、8割程度の税源移譲に留まるもので骨太どころかまさに骨抜きの改革です。削減される補助負担金の多くが、教育・保育の分野であり、市民サービスの低下につながりかねず、民間保育所からも怒りと不安の声が寄せられています。「福祉・教育を後退させない」立場から、国庫補助負担金の廃止・削減にきっぱりと反対の声をあげるべきではありませんか。お答えください。

〈市長〉地方分権は、地方税財源確保で国に過度に依存しない財政確立が不可欠。国から地方への税源移譲、国庫補助負担金の廃止・縮減が必要。「三位一体改革」の着実な実施を強く求める。

同和行政の終結を

 第4は、同和行政をどう終結させるのか、公正・公平な京都市政への転換です。市長は「特別対策としての同和事業は平成13年度で終結する」という公約を掲げて当選されました。この公約を市民は、同和行政の完全終結、特別扱いはもうなくなるものと受けとめたのではないでしょうか。市長は、事業は終結したと繰り返し答弁されてきましたが、一向になくならないというのが市民の実感です。その最たるものは、同和奨学金と自立促進援助金です。所得の状況に関係なく、一律に高校生から大学生まで給付される奨学金は最高月額9万円で現在も続けられています。5年間の経過措置だといいますが、法的な根拠もなく完全に京都市独自の事業として継続しているものです。返済できる人もできない人も返さなくて良いという、返済免除の自立促進援助金は、今後26年間も継続するというもので、一般の奨学金では考えられない特別扱いに他なりません。この問題では住民監査請求が出され監査委員が「運用方法の改善」を求めているものです。改善の方向は、すみやかな終了であり、必要な生徒には既存の奨学金制度の活用をしていただくべきです。また、同和地区にしかない学習センターは、学校の先生による事実上の無料公的学習塾となっています。名称が変わり、一般の地域の子ども達も受け入れるとして、体制まで強化していますが、市内の全ての児童・生徒を対象にしたものでないことは明らかです。同和地区にしかない市立浴場の入浴料金も240円と格安の上、高齢者や障害者には入浴券が配布され、事実上負担なしで利用できる実態もほとんど変わっていません。特定の市民に特別の扱いを継続する事は、市民には到底理解できません。私は、京都市政の根本にある「同和問題解決へ課題が残っている」「同和問題の解決は社会正義の実現だ」という認識が誤りだと考えます。京都市の対応が、市民にやっぱり特別だという意識を広げることになり、結果として同和問題の解決を遅らせるだけです。誤った認識はただちにただすべきではありませんか。指摘しました同和地区、出身者にだけ行っている特別扱いの中止と合わせて市長の答弁を求めます。

〈高木副市長〉市の取組、住民、関係団体の努力で大きな成果を上げた。特別施策としての同和事業は13年度末で終結。教育・啓発など一部課題が残っている。今後も同和問題解決、すなわち社会正義実現に取り組む。

特定団体、市民の特別扱いをやめよ

 特定の団体や市民を特別扱いする行政運営は公正・公平が守れなくなるものです。市長就任以来、職員の不祥事がなかった年はありませんでした。この間、京都市公共事業を巡る談合、市職員の収賄事件が相次いで発生しています。市役所本庁に昨年は5回の家宅捜査が入り、逮捕者や自殺者までだす前代未聞の異常な状況となりました。事態を打開する公正職務執行委員会の象徴的な存在となるはずの中坊公平氏は、自らの不祥事を理由に弁護士をやめ、委員を辞任しています。この委員会が不祥事再発防止には役立たないことを、はかなくも明らかにしています。さらに今年に入ってからも、京都市の外郭団体である京都市水道サービス協会加盟業者の独占的な公共事業の受注の実態や、談合情報が相次いで寄せられる中、道路舗装工事をめぐる談合では、工事が中止に追い込まれるなど京都市の公共事業を巡る癒着の構造の根深さがいよいよ明らかになっています。市長あなたには、この癒着の構造を転換できないことを、自ら証明した8年間ではなかったでしょうか。特定の団体や個人が大切にされる行政運営を知っている市民が、いくらパートナーシップと言われても、実感が持てないのは当然ではありませんか。私は、特定の団体や特別の個人とのいっさいのしがらみや縁のない、改革へ熱意と勇気を持つ人でなければ、京都市のこの体質を大本から転換できないと考えるものです。

市長の政治姿勢について

 消費税増税にきっぱり反対を

 最後に市長の政治姿勢について2点質問します。先の総選挙では、年金の財源を巡り、消費税の増税に対する態度が問われました。そもそも、消費税は低所得者ほど重い負担となる逆進性の強い税制であり、日本のように食料品や生活必需品にまで、全て課税される消費税の徴収方法は先進諸国の中でも容赦ないもので、極めて福祉に逆行する税金だと言わなければなりません。自民党や民主党の主張するように、年金や社会保障の財源を消費税に頼れば、二桁増税の道に突き進むことは明らかです。消費税だのみで国民に負担を求める前にやるべき事があるはずです。先進国でも突出した公共事業費や世界第二位になっている軍事費のムダを徹底して削減し、社会保障の財源を確保すること。税・社会保険料の企業負担割合をヨーロッパ諸国なみに引き上げ、将来の必要な財源は大企業や高額所得者に応分な負担を求めていく税制の原則を貫いた改革を行うべきだと考えます。市長は市民の暮らしに重大な影響を与える消費税の増税にはきっぱり反対すべきですが、いかがですか。

〈河内副市長〉消費税は広く公平に負担、安定的に税を確保するものであり少子長寿化でますます重要。

憲法を守り、イラクへの自衛隊派遣に反対を

 もう一点は憲法についてです。自民党が選挙公約で2005年と期限を明示して改憲を掲げ、民主党も「創憲」として憲法改定を公約としました。いずれも標的に憲法9条があることは明らかです。アメリカのブッシュ政権は、集団的自衛権を認めさせることで、あけすけに自らの戦争に日本の参加・協力を求めています。小泉首相は、戦争状態が広がり泥沼化しつつあるイラクへの自衛隊派遣に固執し、総額5千5百億円を無償の復興支援として出すことを簡単に決めました。費用負担は、イラクのためではなく、アメリカのためだということを国民の多くが気づいています。今こそ、イラクへの自衛隊派遣の中止と憲法9条を守る立場を市民の前に明らかにすべきだと考えますが、いかがですか。

 今度の総選挙ではっきりしたのは、日本の政治地図を塗り替える財界戦略がむき出しになったことです。政治献金の復活を公然と掲げ、財界自らの政策の実行を迫るというやり方は戦後政治でかつてなかったことです。財界は、公明党の助けがなければ政権運営どころか当選も困難になった自民党だのみをやめ、二大保守政党で財界にとっての政治の安定をはかるという野望を隠そうともしていません。日本共産党は財界のこうした国民、市民不在の政治介入には正面から対決し、国民が主人公の政治を取り戻すためにいっそうがんばります。来年2月の市長選挙、市政の転換を願う多くの市民のみなさんと共同して力をつくすことを宣言して私の第一質問とします。

〈高木副市長〉安保理決議に基づき復興支援するもの。爆弾テロなどが起き国で対応を検討中。早期平和復興を願っている。

第二質問

 イラク、憲法問題、消費税の問題いずれも肝心な政治姿勢について市長からの答弁はありませんでした。私は、政治家としての市長の姿勢が問われるものだと考えます。市長、あなたは、景観保全にも取り組んでいることを繰り返し答弁されました。しかし、8年間でいっそうの京都破壊が進行していることは、あなた自慢の御池通り・シンボルロードの突出した45メートルのマンションを見るだけでも明らかです。あなたに三選の出馬要請をされている代表は三度、京都財界の代表です。京都破壊の反省のない方に京都のまちは守れないことを改めて指摘して、私の質問を終わります。