ひぐち英明 議員
03年10月 3日(金)
合併の議論は、合併の是非をふくめた議論を 03年9月定例市会 閉会本会議討論
私は日本共産党議員団を代表して、議第179号「京都市・京北町合併協議会規約の設定及び京都市・京北町合併協議会設置の協議について」の反対討論をおこないます。
反対する第一の理由は、委員会での理事者からの説明で「合併しないという結論はないと思う」との認識が示されるなど、はじめに合併ありきということが強調されている点です。さらには、2005年3月の財政上の特例措置に間に合わせるために、この時期に、法定協議会を設置しようとしている点、これは、新たな巨額の借金を京都市民に負わせるということであります。合併問題研究会の調査報告書の試算によりましても、合併特例債による事業は約200億円です。特例の財政措置を考慮しても、約60億の新たな借金が京都市民にかぶさる可能性が生じます。
第二の理由は、委員会で他党の議員からも指摘されていましたが、京北町民が京都市民になることによって、住民サービスの向上につながるのかどうか、という点です。わが党議員団も京北町を視察し、関係者とも懇談をしてきましたが、人口6.600人の町に、保育所が5つ、小学校が3つ、子どもの医療費が中学を卒業するまで無料、町営バスの運行など、本市よりも高い水準が築かれています。委員会では、住民サービスの水準は京都市に合わせる、と理事者は述べており、結局、水準の引き下げにつながっていきます。
第三の理由は、京北町で集められた「京都市の編入を求める要望書」の本音がどこにあるのかという点です。この署名は、8割の住民から集められたということですが、要望書には「許されるなら町がこのままで続くことが、私たちの願いであります」とあり、決して望んだ京都市編入ではなく、合併の相手をあえて選ぶのなら京都市、との判断です。そして補助金や交付税を削減するぞ、といった国の圧力により「合併しないで今の行政水準は維持できない」という気持が優先した結果です。
そもそも、今回の小泉「構造改革」にもとづく、市町村合併推進の特徴は、「自治体リストラ」をすすめ、中長期的には国の地方への財政支出の大幅な削減をはかりつつ、一方で大型開発をより効率的にすすめる体制づくりを狙っているところにあります。
合併の問題を論議するときには、住民の不安や疑問の声を真剣に検討すること、そのためにも、市町村合併をめぐっての公正で的確な情報や資料が、十分に提供され、拙速な論議を避け、十分な論議をつくすことが必要です。さらに住民の福祉の増進という、自治体本来の使命と仕事を果たすためには、合併をした方がいいのか、それともしない方がいいのか、合併の是非を含めた論議を尽くすことが求められていることを述べまして、私の反対討論とします。