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市会報告

宮田えりこ 議員

03年10月 3日(金)

若者の雇用対策の抜本的強化を求める意見書の提案説明 03年9月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は「若者の雇用対策の抜本的強化を求める意見書」を提案していますので提案理由を説明します。

 若者の雇用状況の悪化は日本の未来にとって重大な問題です。一家の家計を支える中高年の失業問題はもちろん深刻ですが、若者の雇用は、日本社会の存続自体を危うくさせる問題をはらんでおり、その打開は緊急焦眉の課題といわざるをえません。

 今議会で、わが党の議員が、深刻な青年の実態を示しながら本市での抜本的対策強化を追求し、市長も「青年を取り巻く環境は、長引く不況の影響で非常に厳しい」と答弁されています。今、大学卒業者の就職率は55%、あの70年代のオイルショックの際にも7割を割る事はなかった数値です。大変な状況です。

 しかも、本年8月の完全失業者が333万人と、雇用情勢が戦後最悪の水準で推移する中、完全失業者の半分は34歳以下の若者となっています。若者の就職状況はきわめて厳しく、まして京都は多くの大学が集積している「大学のまち」であり、事態は一層深刻です。10月1日付けの日経新聞では「総務省が30日発表した近畿の8月の完全失業率は、6.0%と前年同月比1.1ポイント低下、雇用情勢に改善が出始めた。」とのべながら「ただ、24才以下の失業率は10%を超えているものとみられ、依然として雇用状況は厳しい」と報じています。

 その中でも不安定雇用の実態は深刻です。15歳から34歳までのパート、アルバイト、派遣労働者、正社員への就業を希望する失業者など、いわゆる「フリーター」と言われる人々は、1991年の182万人から年々増加し、この10年間に417万人に急増しています。また、34歳以下の正社員数は、1995年と2001年を比較すると、中小企業では、雇用を3万人増加させている一方で、大企業が108万人、公務労働で27万人も減少させています。

 内閣府がこの5月にだした国民生活白書は、転々と仕事の変わる「フリーター」が急増する要因について若者側より「どちらかといえば企業側の要因が大きいと思われる」と分析し、「日本社会の生産性を押し下げる要因になり、日本経済の成長を阻害するおそれがある」と述べています。低賃金と不安定な就労は、若者の自立を妨げ、少子化の原因にもなっています。若いカップルが「給料も低いし、自立も結婚も考えられない。もし結婚したとしても子どもを産まずに子犬を飼うんだ」そう言ってると聞きました。こんな事態を放置することはできません。

 よって政府は「1. 企業に対し、積極的に若者を雇用するよう強く働きかけること。2. 派遣労働者を常用雇用にする労働者派遣事業法上の努力義務を義務規定に強化すること。3. 有給の職業訓練制度、訓練貸付制度を創設すること。4. 奨学金返済の繰り延べや減免制度の導入をはかること」との対策を取るべきです。

 若者の就職難の解決は、21世紀の日本社会にとって無視できない、全世代に関わる重要、かつ緊急の課題です。みなさまの御賛同をお願いし、意見書の提案説明といたします。