せのお直樹 議員
03年5月29日(木)
「京都市証明書等手数料条例の一部を改正する条例の制定について」の反対討論 03年5月定例市会 閉会本会議討論
住基カードの交付ではなく、住基ネットからの離脱を
日本共産党議員団を代表して「京都市証明書等手数料条例の一部を改正する条例の制定について」の反対討論を行います。
本議案は、住民基本台帳ネットワークシステムの第二次稼働として、8月25日からICカードが交付できるようにするため、その手数料を決めようとするものです。
昨年の8月5日、「住民基本台帳ネットワーク」がスタートしましたが、6自治体、4百万人が参加しないという異常な出発となり、その後も、東京都中野区が離脱して個人データの更新をとりやめました。昨日は、「長野県本人確認情報保護審議会」が住基ネットからの離脱を求める報告案をまとめたとされています。東京では114名の弁護士が、国と東京都を相手どって、ネットワークの差し止めと損害賠償の訴訟を起こしています。本市での通知受け取り拒否も、4月末で3808通、審査請求は303件にのぼっています。
これら反対の大きな声があがるのは、「住基ネット」が、個人のプライバシーを国家が管理し、いつ、どこに漏れるかもしれないという基本的人権にも関わる大きな問題をもっているからです。
この間、個人情報に関わる重大な問題が相次ぎました。
防衛庁が、自衛官募集の適齢者名簿を自治体に提供させていた問題。親の職業、本籍、健康など特別重要な情報まで提供させ、警察の応募者の思想・信条を含めて調査させていた事件。犯歴を含む警察の個人情報がサラ金大手に流され、逆にサラ金の個人情報が警察に提供されていた事件は、警察とサラ金大手との癒着と個人情報流出の驚くべき実態を示しました。
「住基ネット」稼働の前提とされていた個人情報保護法が、自民・公明など政府与党の賛成多数で成立しました。しかし、その内容は、官庁に国民の個人情報を不当に取得させない規定もなく、集めた情報を目的外に利用することも「相当な理由」があればできるとし、国民の思想・信条や健康、犯罪歴などの情報を原則禁止する規定もありません。自己情報コントロール権も明確にしておらず、結局は個人の権利より官庁や企業の都合を優先しており、「個人情報保護」とは名ばかりです。
今でも、知らないうちに官庁や企業が膨大な個人情報を集積し、それが使い回しされ、プライバシーが侵害される事態が広がっています。
「住基ネット」の情報は、今は、住所、氏名、生年月日、性別の4情報と11桁のコード番号だけですが、システムを構築した当事者であり、「住基ネット」を管理する「地方自治情報センター」の理事も「小さく始め段階的に大きくする」と将来の利用拡大を言明しています。
将来的には、11桁の番号一つで、すべての国民の生まれ育ちや行動の詳細までが、一枚の薄っぺらいICカードに入力されて、国家によって管理されるようになります。
本市では、「万が一個人情報の流出のおそれがある場合には、接続を切断するなど、個人情報保護に万全を期す。」としていますが、その情報が漏れない保障は技術的にもまったくありません。
本市は住基ネットに反対し、一刻も早く離脱すべきであり、本格稼働をすすめる本議案には反対です。 以上で、私の討論を終わります。