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市会報告

くらた共子 議員

03年5月28日(水)

くらた共子議員代表質問(大要) 03年5月定例市会 本会議代表質問

 上京区より選出されましたわたくし、くらた共子でございます。

 わたくしは、訪問看護ステーションの所長として在宅医療・介護の現場ではたらき、市民のみなさんのくらしに係わらせていただいてきた経験を生かし、福祉の向上に全力をあげる決意です。

 日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。

医療制度改悪による市民の悲痛な声を聞け

 まず、医療費負担の問題についてお聞きします。

 今度の医療制度の改定により、市民が必要な医療を受けられているか、把握されているでしょうか。在宅酸素療法を必要とする患者の負担が、高齢者の窓口での1割負担の導入で、これまで1回850円から1万円以上へと跳ね上がり、お金が払えないからと酸素の契約を中止している事態が続いています。これは大問題です。わたくしは、在宅で酸素を吸入しながら療養されているたくさんの患者さんのくらしをみてきました。市長、酸素を吸入しなければ、居間からトイレまで移動できない。排泄することもできない。…という苦しみがどれほどのものか真剣に考えてください。

 市民の健康の保持増進に責任を持つ自治体として、一刻も早く患者の実態を掌握し、障害者医療助成制度の対象に在宅酸素を必要とする呼吸器障害者を含めるべきです。すでに、神戸市や名古屋市など六つの政令市が実施しています。京都市でも制度の拡充を実施すべきです。いかがですか。

〈保健福祉局長〉制度の対象を3級の身体障害者手帳の所持者に拡充することは、厳しい財政状況の下、困難。支給が遅れ、市民の皆様に迷惑をおかけしいる。10月分から順次支給を行っている。福祉事務所に嘱託員を配置するなど体制の強化を図ったところで、事務処理短縮に取り組む。貸付は、社会福祉協議会の貸付制度の周知に努める。

高すぎる国民健康保険料の負担を下げよ

 次に高齢者の窓口負担の上限額を超えた医療費の返還についてお聞きします。4月にやっと昨年10月分、5月に11月分の償還手続きがとられたところだと聞いております。区役所の担当部署では手作業での膨大な請求データーのチェックに追われていると伺います。医療の現場では、「償還されるお金が戻るまで、病院に行けない…。」と訴える患者さんがおられます。償還業務がすみやかにすすめられるよう、適切な人員の配置を求めるとともに、こんな制度の改定をすすめた自民党・公明党の責任を厳しく指摘するものです。高齢者の医療費負担を無理にひきあげる、こんな制度はやめさせるべきです。このことを国にはっきりと求めるべきではありませんか。

 高齢者にとっては、1割負担の導入で、1回あたりの医療費が2倍から3倍にもはねあがりたいへんです。このうえ上限額の1月1万2千円以上の医療費が、どれだけの負担であるか、はかりしれません。せめて、無利子の貸付金の充実や、北海道、夕張市が実施している窓口負担の免除をおこなうなど、緊急な対応が必要です。市民の願いに応えるために、すぐに実施すべきです。いかがですか。

 この4月からはサラリーマン健康保険3割負担が導入されました。長引く不況のもとでの医療費負担増は、病気の早期発見・早期治療という医療の基本を歪め、受診抑制が重症化をもたらし、医療費を増やす結果となることは明らかです。税金の使い方を見直し、国が削ってきた医療保険への国庫負担割合を80年レベルまで計画的に戻すこと、日本の高い薬価を欧米並みに引き下げ、1兆5千億円の医療費を削減すること、このことをはっきりと国に対してもとめるべきです。

 次に、国保の問題について質問します。高すぎる国民健康保険料の問題は極めて深刻です。国保加入者は、不況の中で営業が大変な中小業者や所得の少ないお年寄りなどです。商売を営んでおられる方からは、「親子4人家族で、年間の所得が300万円しかないのに、年間60万円の国保料は高すぎる。なんとかならないか…。」の声が多く寄せられています。保険料をなんとか納めておられる市民も本当に大変です。保険料を滞納せざるを得ない市民に対する資格証明書は、今年度で3千685件、短期証の発行は1万4千552件となっています。資格証明書の発行は、窓口での十割負担を求めるものです。保険料を払えないひとが、どうして医療費の十割を払えるでしょうか。市民の命綱である国保証のとりあげは断じて許されません。資格証明書と短期証の発行はやめるべきです。

 市長、未曾有の不況下にあるいまだからこそ、市民が安心して払える国保料にすることが必要ではありませんか。1世帯あたり1万円の値下げは27億円の財源でできるはずです。ことは、市民の命にかかわる重要問題です。決断するべきです。いかがですか。

〈市長〉厳しい財政状況の下であるが、市民生活への影響を最小限に抑えるため、繰入の増額で医療分保険料を前年と同程度にした。国保財政は90億円を超える累積赤字があり、保険料引き下げは困難。

〈保健福祉局長〉減免の活用など納付相談を行っている。資格証明書、短期証の機械的発行はしていない。特別な理由もなく保険料を滞納している方には発行はやむを得ない。

介護保険料を値下げ、サービスの充実を

 次に介護保険料について質問します。介護保険料がこの4月より、30パーセント値上がり、介護の現場はたいへんです。ねたきりの妻を在宅で介護する、ある西陣の手織り職人の方は、介護保険の利用料を払うために、借金をしています。そこに、保険料の大幅値上げで、妻のために必要なサービスも利用できず、疲れ果てこころをこめた介護もできないと訴えておられます。現場のケアマネジャーも「4月からの保険料の値上げの通知があり、利用者よりなぜこんなに値あがっているのか? と問いただされる。」「利用者の保険料の値上げに対する緊張感がつよく、これまで、利用してきた必要なサービスを手控える状況がある。」と問題視しています。介護の果たす役割は、人間らしく生きることを支えることです。誰もがいつかは年をとり、介護を必要とするときが来ます。すべてのひとが必要とする介護の保障に「サービスが欲しければ金を払え。」という態度で、いつまでも対応できるものでしょうか。国に対し、国の負担分を現在の4分の1から2分の1へ抜本的な引き上げを求めること。同時に、値上げした保険料を元にもどすこと、京都市が一般会計からの繰り入れを行い、低所得者を対象とする減額制度と免除制度の拡充をおこなうべきではありませんか。これについての市長の答弁をもとめます。

〈松井副市長〉保険料の軽減のために一般会計から繰入を行うことは、制度の根幹をゆるがすものであり、実施する考えはない。4月より、独自の減額制度の基準を大幅に緩和した。国に対しては、被保険者や自治体に過重な負担とならないようかねてから要望を行っている。

 つぎに、介護現場の実態について報告します。常に見守りと食事の世話から排泄の世話まで介護を必要とする高齢のお母さんと暮らしている娘さんの状況です。この娘さんは、精神障害がありお母さんへの充分な介護をおこなうことができません。また精神障害のため他人との付き合いが難しく、お母さんへのヘルパー派遣などが困難な状況です。このような方々の在宅介護を支援することは、介護保険だけでは対応できません。私自身も、訪問看護師として、また介護支援専門員として、こうした処遇困難な方々に向かい合ってまいりました。そのなかで、多くの高齢者・障害者が「できるならば、住みなれた家で最後を迎えたい。」とお考えであることを肌身に感じてきました。幾重もの困難を抱えている方々を支えていくためには、行政の保健師やケースワーカーも含めた地域ネットワークによる行政支援が必要です。いま、京都市が介護保険を含む地域にあるサービスと住民を結びつけ、問題解決に主体的に取り組むことが求められているのです。

 京都市では、基幹型在宅介護支援センターの取り組みが始められていますが、早急に全市を視野に入れた設置を図るべきです。いつまでに行うのか、お答え下さい。また、適切な人材を配置して、地域福祉の向上をはかる拠点としての役割が担えるものにすることを求めます。いかがですか。

〈松井副市長〉基幹型在宅介護支援センターは、83カ所の地域型支援センターの連携や、閉じこもり等の高齢者を支える取り組み、ケアマネージャーへの支援等、介護保険の円滑な運営をはかっていくため、福祉事務所に設置。今年度3区で実施、実施状況をふまえ来年度以降順次開設していく。

 つぎに、ヘルパーサービス事業所では、特例措置として3パーセントに減額されていた利用料が、この7月度より6パーセントに上がることで、ますます経済的理由によるサービスの手控えがすすむことが懸念されています。このような状況のもとで、介護保険料を大幅に値上げした京都市の責任は重大です。特例措置を受けていない方々もふくめ、必要なサービスが受けられるよう、利用料の減額制度を設けるべきです。いかがですか。

〈保健福祉局長〉利用料の軽減は、国の基準に従って適切に実施している。社会福祉法人の実施する減免については、拡大した保険料軽減の基準にあわせて適用する。

 ケアマネジャーの現場では、緊急ショートステイを受け入れる施設数とともに、ベッド数が少なく利用者や介護者の要望に応えられない状況がつづいています。また依然として、「希望してもいつ入所できるかわからない…。」と市民に不安を与えている特別養護老人ホームの問題ですが、待機者の実態はその後どうなっているのでしょうか。待機しておられるお年寄りの状態は、日に日に深刻な状況となっているのです。市は、その実態をしっかりと把握し対処すべきです。

 さらに、「それぞれのケアマネジャーが、ショートステイの空き状況を問い合わせ、サービス確保に奔走する状況をなんとかできないか。」の声があがっています。緊急ショートは、介護者の急病など、在宅介護を支えるための受け皿であり、早急に拡充されなければなりません。京都市では、この6月、下京区に新たなセンターが開設されることとなりましたが、緊急ショートステイ用のベッドはわずか10床と聞いています。利用者の安心できる制度にするためにも、通常のショートステイと合わせ、緊急ショートステイの整備を図ること。京都市が、責任をもってショートステイ・緊急ショートステイの情報管理と調整業務をおこなうことを求めます。いかがですか。

〈保健福祉局長〉年々利用者は増加しているが、現在4施設40床の利用率は50%台、新たに10床を菊浜に確保、指摘のような心配は生じない。情報提供は各区のサービス事業者連絡会等で情報交換を行っていくとともに、社会福祉・医療事業団の情報ネットワークシステム活用を奨励する。

京都の自然と遺跡を守るべき

 つぎに、迎賓館建設がすすめられている御苑の自然環境について質問します。周辺住民の会からも市長に要望が出されていますが、これまでに明らかとなっているものだけでも、約3億2千万円かけて、500本近い木が移植され、その中の数十本が枯れ、生垣も数百メートルが枯れています。枯れて撤去された樹木の中には、樹齢100年以上の大木もあります。エノキの大木4本を3千700万円かけて移植し、そのうち1本はすでに枯れて撤去されており、他にも枯れているものが認められています。また、絶滅が心配されていたタシロランは、一時急減し、保護監視員の努力で700本台に回復、その後、400本の発生が確認されていますが、工事の進行に伴う影響が心配されます。市長は、この自然破壊の実態をどう認識しておられますか、お答えください。閣議で決定された事業とはいえ、誘致した京都市は府との調整を図り、市民が心痛めている御苑の自然破壊の実態調査をおこない、対処するべきではないでしょうか。先日の報道によれば、京都迎賓館は、国が運営することが明らかになりました。そのうえであらためて、国がその責任を果たすよう求めるべきです。いかがですか。

〈総合企画局長〉迎賓館建設に伴う御苑の環境調査は、国でH6年から科学的に行われ、直接的影響はないとの結果。必要最低限の樹木が移植され、十分な管理のもと中高木では9割が根付いている。タシロランも異常気象等でいったん減少したが今年はやや増加。今後、広い庭園を備えた迎賓館の整備で御苑全体の緑は増えていく。

 つぎに、平成2年12月に、京都市議会において全会一致で請願採択された、聚楽第の遺跡「梅雨の井」保全に関連して要望します。当持、秀吉ゆかりの聚楽第跡、秀吉が茶の湯につかったとされる井戸「梅雨の井」周辺で地上げと神社の破壊の問題が起こり、住民が保全を訴えました。この運動のひろがりのなかで、遺跡「梅雨の井」に関心をもたれる多くの方々が全国各地より訪れるようになっていました。この梅雨の井の遺構について、元京都府埋蔵文化センター理事長・福山敏男氏は、「聚楽第研究の大切な手がかりとなる。復元は可能。」と指摘し、また当持、国際日本文化センター教授・村井康彦氏は、「聚楽第の当時を伝える聚楽第図屏風にも描かれている貴重な遺構。梅雨の井を守ることは大変意義がある。」と指摘されていました。

 今回、平成14年12月に、京都地方裁判所での競売入札において梅雨の井周辺の土地一帯が売却されました。そこで、周辺住民は新地権者との間において、法的手続きに基づいた話合いを行なおうとしましたが、新地権者が弁護士を通じた話合いを拒否し、今日まで、さまざまな住民への嫌がらせをおこなっています。さて、問題は新地権者による嫌がらせのひとつに、「梅雨の井」の周辺に鉄線で柵をし、なかには、建築廃材を放置するなど、史跡を訪ねてくる観光客なども近づけない状況となっていることです。更に、これまで、住民の手で手入れがされていた「梅雨の井」周囲の雑草もひけず、異常な状況となっています。請願が採択された経緯を踏まえ、保全の立場に立った京都市の対応を求め、わたくしの質問をおわります。

第2質問

 ただ今、緊急ショートステイについての答弁をいただきました。しかし、回転率としては50%という御答弁でしたが、その実態を知って頂くことが重要だと考えています。いま、通常のショートステイのベッドが圧倒的に足りないという実態、そしてたとえば緊急ショートを申し込まれる利用者に、重度の痴呆があった場合、たとえば4床実質空いていたとしても、その方のために1室まるまる使わなければならないという事態があるんです。今、ただ単に40床の緊急ショ-トステイのベッドがどう回転しているか、それだけではなく、こうした緊急な介護をようする現場の実態をよく見て頂きたい。このことを強く求めまして、わたくしの質問を終わらせて頂きます。