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市会報告

ふじい佐富 議員

03年5月28日(水)

ふじい佐富議員代表質問(大要) 03年5月定例市会 本会議代表質問

 日本共産党市会議員団を代表して質問を行います。再び、みなさんのご支援で議会に押し戻していただきました、南区選出のふじい佐富です。よろしくお願いいたします。

京都高速道路建設の凍結・中止を

 桝本市長は二年前の十月三十一日、「財政非常事態宣言」を発表し、「あらゆる事業を見直す」として、二か年の「緊急対策」を打ち出しました。ところが、市民の暮らしと中小企業を応援する予算を削る一方で、大規模公共事業の見直しは行わず、事態をさらに悪化させています。

 その一つ、京都高速道路事業では、計画されている五路線のうち、現在二路線の工事が進められていますが、総事業費はすでに二千億円を超えています。

 京都市は、交通渋滞解消と都市の活性化による経済効果を掲げ、必要不可欠な都市基盤施設であると十数年間、全く同じ答弁を繰り返してきました。しかし、右肩上がりの経済成長と合わせて、自動車交通量も増えるという京都高速道路計画の前提条件はすでに大きく変化しています。

 一方、南部の交通渋滞は生活道路の整備によって解消される方向が見えつつあります。鴨川にかかる新大宮通りの大宮大橋や、新油小路の京都南大橋の一部開通、宇治川にかかる巨椋(おぐら)大橋も開通して、市内から久御山、宇治、城陽など南部へスムーズに移動できるようになりました。新油小路通りは、現在、工事の関係で制限速度は五〇kmになっていますが、その前は六〇kmでした。京都高速道路の制限速度は六〇kmです。予定されている市内区間の通行料金は四五〇円です。さらに第二京阪を使って枚方まで行けば通行料金は千円になります。高架高速道路の下には、平行して無料の一般道路が開通します。高い通行料を払って高速道路を利用する車がどれだけあるのでしょうか?

 また、二〇年間の住民運動が実り、一七一号線に対応する第二久世橋も五年後には完成し、東西のアクセスも改善されます。京都高速道路の久世橋線に直結し、大阪に伸びるはずだった京阪連絡道路の建設の目途もなく、久世橋線、西大路線、堀川線の必要性はまったくありません。京都高速道路は今や必要のない都市基盤施設ではありませんか。

 阪神高速道路公団は、日本道路公団とともに、二年先には民営化される方向が打ち出されました。京都高速道路建設を続けるならば、京都市の財政負担がさらに増えることは確実です。もし着工していない三路線に、国と地方自治体が建設費を全額負担することになる「新直轄方式」が採用されれば、京都市の建設費負担は一挙に二倍に膨れ上がるでしょう。未着工の久世橋線の用地買収に踏み込めば、さらに莫大な税金投入が必要となります。

 新十条通の建設では、工法や完成時期の延長のために、平成十二年九月、事業費が当初の一・三倍に膨張する事態を招きました。その時、採択された「付帯決議」では「完成が一年遅れ、平成十五年度末となることも、誠に遺憾である」と述べ、「市民の信頼回復に努めるべきである」と京都市の責任も厳しく指摘しています。

 ところが、新十条通の完成予定が、さらに一年遅れることが独自の調査で判明しました。阪神高速道路公団は今年二月十四日、国土交通大臣に対し、完成年度を平成十五年度末から平成十六年度末へ延長するよう再度の申請を行い、三月三日に承認を得ています。阪神高速道路公団は、「同日、京都市に対しても、国土交通大臣から通告もされています」と言っていますから、通知されて、現在まで約三ヵ月近くも月日が経っています。このことは、三月十三日付けの「官報」にも記載されています。これがその「官報」です。

 建設費の新たな膨張が懸念されます。なぜ、このような重要な変更を、市民や議会に報告しないのですか。反省を強く求めておきます。

 日本共産党の立場は明確です。無駄な大型公共事業こそ徹底的に見直して、長引く不況で追い詰められている市民生活の応援にこそ税金を使うべきです。油小路線で現在、一本一億円から三億円もする橋脚が、すでに九十三本も建設されています。高すぎる国民健康保険料を一世帯あたり一万円引き下げるのに必要な金額は約二十七億円です。橋脚十五本分。乳幼児医療費を小学校入学前まで、通院を無料にするのに必要な金額は十二億九千万円です。橋脚七本から八本分にあたります。

 京都高速道路計画の未着工の三路線は完全に中止すること。現在工事中の二路線は凍結・中止する決断が求められています。桝本市長の答弁を求めます。

〈野嶋建設局長〉京都高速道路は、幹線街路や生活道路との体系的な道路網を整備することにより、交通渋滞の解消と社会経済活動の活性化を促すものであり、必要不可欠な都市基盤整備。大変厳しい財政状況だが、事業中の新十条通、油小路線は、早期完成に向け全力で取り組む。民営化により、本市の負担が増大など、影響が生まれないよう国へ訴えていく。残る3路線は、国の動向等を見極めながら、事業化に向け取り組む。

高速道路ではなく、公共交通の充実を

 京都市は地球温暖化防止国際会議(COP3)の開催都市となりました。私は二年間、小型の電気自動車で政治活動を行い、環境問題を意識して取り組んでいます。環境問題でも京都市が、先進都市として歩むことは、国際的な責務となっています。「市内高速道路が出来ると環境が良くなる」という京都市の見解は、尼崎公害訴訟や東京大気汚染訴訟の住民勝訴など、一連の自動車公害裁判の判決でも示されたように「非常識・無見識」と市民の批判にさらされています。

 京都市は「都市計画マスタープラン」で「自然豊かで環境負荷の少ない循環型の都市」「歴史や文化を継承し優れた景観を保全・再生・創造する京都のまち」「歩いて楽しい魅力的な京都のまち」と方針を掲げています。

京都市が作成した、京都市地球温暖化対策地域推進計画改定案では、交通関連の重点施策として、バスの充実など公共交通機関の利用促進や、交通需要管理施策(TDM施策)の導入と促進。新型路面電車(LRT)の導入を掲げています。

 京都高速道路事業が、京都市が掲げている「都市計画マスタープラン」にも、これから目指す地球温暖化防止対策にも反していることは明らかです。市内高速道路になぜ固執するのか? 新型路面電車の導入など公共交通の充実をどう具体化していくのか? 桝本市長の答弁を求めます。

〈桝本京都市長〉京都高速道路は、「都市基盤」の骨格を構成するもの。市内の主要な幹線道路とネットワークを形成し、交通渋滞を解消するとともに、自動車排ガス量を低減する等、都市機能の向上と環境改善に大きく寄与する。公共交通体系の充実については、LRTの新しい交通システムについても、平成14年度から調査に着手。本年度には、新しい公共交通の検討路線を抽出し、自動車交通など他の交通手段や沿線住民に与える影響を整理し、需要予測や整備費用、採算性等を検討する予定。今後とも、公共交通優先、歩いて楽しいまちづくりに向けて、総合的な交通政策を推進する。

増大する公共交通網の充実・発展の重要性

 次に市バス問題に関連して質問します。京都市は「バス輸送サービスの充実等公共交通機関の利用促進」を謳いながら、交通局が実際におこなっていることは、路線の切捨て、本数の削減、日本一高い運賃ではありませんか。さらに、公営交通では日本で始めて「管理の受委託」を導入して、運営を民間に丸投げし、さらに全市の二分の一にまで拡大する方向など、全く逆さまの方向を暴走しています。

 市民が利用したくても出来ない状況を作り出している、今の市バスのあり方は京都市の掲げる方針から見ても重大な過ちです。改めて、公共交通機関の柱となっている市バスをどう改善していくのか、桝本市長の答弁を求めます。

〈河内副市長〉市バス・地下鉄のネットワークを維持することが必要。平成15年度から「京都市交通事業ルネッサンスプラン」を実施し、総人件費の削減、「管理の受委託」の拡大などを柱とする経営体質の強化、運賃制度の改善などによる利用促進の取り組みをすすめている。「京都市交通事業審議会」の提言でも、走行環境改善による定時性の確保、路線・ダイヤの見直しなど、市バスの利用促進に向けた方向性が示された。今後とも市民の足を守る。

市バス・地下鉄の乗り継ぎ券・割引券の具体化を

 南区では、市バス路線の切り捨てによって四条河原町や市役所など、市内中心部には乗り換えなしでは行けません。乗り継ぎ券・割引券を求める市民の声は切実です。市バスと市バス。市バスと地下鉄など幅広く活用できることも必要です。二時間なり三時間以内であれば、その間の乗り継ぎは無料するなど、簡単でわかりやすい「乗り継ぎ券」の導入を具体化し、乗客サービスの前進をはかることが市バスの利用者を増やし、公共交通の利用促進につながります。交通事業審議会の提言でも利用促進を図るために「乗り継ぎの大幅な割引」や「システムの改善」などの実施を求めています。乗り継ぎ券の具体化について答弁を求めます。

〈江草公営企業管理者・交通局長〉市バスの乗継運賃を無料とするような制度の実施は、採算性等の問題から極めて困難。しかし、乗継利便性の向上は、既に市バス専用1日乗車券の値下げなどに取り組んできた。更に平成15年度より、バス・地下鉄の乗継割引制度を、トラフィカ京カードで利用いただけるよう取り組みを進めている。「京都市交通事業審議会」の提言では、乗継抵抗の軽減の必要性について指摘されている。今後とも、採算性の確保と利便性の向上に向け検討に努める。

南区などで、小型循環バスの実現を

 高齢化社会を迎え、市バスの利用状況にも大きな変化が生まれています。武蔵野市で導入された百円で乗れる小型循環バス「ムーバス」は、高齢者が一気に歩き続ける距離は平均二百mで、バスの停留所は前後を考えて四百mに設定するなど、市民の要望・意見を集める努力を行い、運営も黒字に転じ話題を呼びました。大阪市交通局が導入した小型循環バス「赤バス」は各行政区にあるJRの駅を基点にして、病院や保育園、商店街や公共施設など生活に密着した路線とし、料金は百円に設定されています。市バスに乗り継ぐときには「乗り継ぎ券」が発行され、その百円の運賃が無料になるというサービスまで行われています。

 このような小型循環バスはすでに全国、多くの自治体で実施されています。南区をはじめ、市内八行政区の「まちづくり基本計画」でも求められている小型循環バスを早急に具体化すべきです。とりわけ、南区での具体化は急務です。明確な答弁を求めます。

〈河内副市長〉コミュニティバスは、近年導入する市町村が増えている。しかし、運営の初期投資や運営費などに多額の経費が必要であるとともに、利用率の低下が自治体の財政負担の増大につながっている等、課題も数多く見受けられる。今後、コミュニティバスの特性や、地元での取組状況を踏まえ、利用対象者の状況、事業主体、採算性など、あり方を多面的に検討する必要があると考える。

キリンビール工場跡地の再開発は、全面的な情報公開で

 次に、南区のキリンビール工場跡地の再開発問題と関連して、京都市が行った都市再生の申請などについて問題点を指摘させていただきます。

 小泉内閣は昨年七月に「都市再生特区構想」を打ち出しました。同年四月に都市再生本部が了承した「都市再生地域指定の基本的考え方」では「土地の流動化を通じて不良債権問題の解消に寄与する」とはっきり述べています。このことを見ても「都市再生特区」の目的の一つが、企業が持つ「遊休地」を活用するために地方自治体の財源も動員しようとしていることは明らかです。京都市は昨年九月に都市再生緊急整備地域の申請を突然行い、新たな大型開発に乗り出そうとしています。しかし、申請に至る経過や再整備について、市民も議会も全く情報がありません。私は周辺の久世高田町で懇談会も開き、訪問もして意見も聞きましたが何も知らされていませんでした。JR東海道線の新駅設置は利便性の向上の視点で取り組めますが、規制の解除は「都市計画マスタープラン」にもなかったもので、住民のためのまちづくりとはかけ離れた問題です。

 私が五年前に明らかにした京都駅南口地下駐車場計画や京都駅南口にある松下興産の再開発のときと同じではありませんか。戦後最悪の長期不況の今、事を拙速に進めるなら、また新たな財政負担を市民に押しつけることになります。市民合意のないまちづくりを進めるこのような方法は間違っています。市民とのパートナーシップを掲げるのなら、市民の声を集める努力をもっとすべきです。まず、全面的な情報公開を行うべきです。強く指摘しておきます。

ヘルパー養成を悪用した事件にたいし、京都市も改善への要望を

 最後に、昨年発生した介護問題を使った詐欺まがいの事件に関連して要望しておきます。介護保険法が施行されて三年。介護保険を支えるマンパワー育成は重要な課題です。この事件は、三つの民間事業者が、介護に情熱を燃やす市民のみなさんの善意と法律の不備を悪用し、ホームヘルパー養成の学校を開設。基準を満たしていないのに生徒を次々と集め、六〇〇名を超える受講者のヘルパー資格が取れなくなり、受講料も戻らないという事件です。

 昨年の五月、私も被害者の相談を受けて「被害者の会」を設立。弁護士の全面的援助を受けて、資格取得に向けて、補講授業の斡旋や補講料の支援を京都府に申し入れ、事業者に対しては「詐欺罪」で刑事告訴も行いました。本日も三時半から、追加の刑事告訴が行われます。

 今年二月十八日、京都弁護士会は「ホームヘルパー養成制度に関する意見書」を出し、法律の不備を厳しく指摘するとともに「受講者に対する支援措置を講ずる」よう求めています。京都市も傍観することは許されません。京都市として、国や京都府に改善や支援の具体化を強く要望するよう求めて私の質問を終わります。

 ご静聴ありがとうございました。