玉本なるみ 議員
03年3月14日(金)
被用者保険医療費3割負担の実施凍結を求める意見書について賛成討論 03年2月定例市会 本会議討論
私は、被用者保険医療費3割負担の実施凍結を求める意見書について、賛成の立場で討論いたします。
本年4月の健康保険本人3割負担実施にあたり、今議会に医師会や私立病院協会がその延期を求める請願を出され、本日採択されましたが、国民の切実な声を代弁するものです。
1997年にそれまでの1割負担から2割になった際には、自覚症状がある人のうち13%に受信抑制がおき、その結果、初診から1ヶ月以内で死亡するケースが急増しました。さらに昨年10月から完全実施された高齢者医療の窓口一割負担は深刻な受診・投薬抑制が起こっています。全国保険医団体連合会が昨年11月に1250の医療機関を対象に行った調査によると、6割以上の院所が1割負担導入で外来患者が減ったと報告されています。特に負担が十倍にはね上がった在宅酸素療法については、生死に関わるような治療中断が頻発し、「生きるために絶対必要な酸素を奪うのか」という悲惨な叫びがあがっています。このような実態を目の当たりにしておられる医師の皆さんが、社会保険3割負担増の延期や凍結を求められて、請願を出されたのは、当然です。
国民に負担を押し付ける医療制度の改悪は、医療保険財政の赤字を理由にすすめられてきましたが、その最大の原因は、歴代政府による医療費への国庫負担の削減です。公共事業や大銀行支援のムダを削って、国庫負担率をもとに戻し、世界一高い薬価の見直しを行うことや解雇規制や就労促進で保険料収入を確保するなら、負担の増額なしに医療保険財政を立て直すことは可能です。法案審議の際に与党推薦の参考人である日本医師会常任理事の桜井秀也氏が「銀行を助けるために投入していた公費の何分の一かを導入すればまったく問題はない。いくらでも公費で補う道は残されている」と述べられましたがその通りではないでしょうか。
公明党は、政権入りする前の1998年「新たな医療費の負担増には断じて反対です。そのために、やはり行政改革や公共事業見直しを断行して税金のムダ遣いをなくし、この財源を活用して、高齢社会に対応した医療制度改革を実現する考えです。」と主張していました。公明党は「3割負担にしなければ、将来もっと負担を大きくしなければならなくなる」と言いますが、政府管掌保険は2002年~2004年度にかけて「黒字」が見込まれ、当面破綻しないことは、日医総研の試算でも明らかになっています。さらに公明党は「国民皆保険を守るため」と言いますが、医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会の医療4団体が昨年12月に発表した共同声明は、医療費負担増による受診抑制こそ「国民皆保険制度を根底から崩壊させる」と厳しく糾弾しています。
保険料の総報酬制も、労働実態が厳しい状況の中での保険料の値上げであり、労働者の暮らしを直撃することになります。改革すべきは、国民負担ではなく、世界一高い薬価の見直しと国庫負担を計画的に元にもどすことです。
市民の暮らしと命を守るために、市民の代表である議会が一致をして、意見をあげることを強く求めるものです。
同僚議員のみなさんの賛同をお願いし、討論といたします。