03年3月14日(金)
国保、介護保険、老人保健、3特別会計の各反対討論 03年2月定例市会 本会議討論
日本共産党市会議員団は、今回提案されております国民健康保険事業特別会計、介護保険事業特別会計、老人保健特別会計の各予算案、ならびに保険料値上げとなる条例改正案に反対を表明しておりますので討論をおこないます。
国民健康保険については、市長は今回は「保険料据え置き」と説明されていますが、40才から64才の介護保険2号被保険者の保険料が国の法改正によって限度額が1万円引き上げとなります。
つぎに介護保険ですが、今回の事業計画見直しで基準保険料(第三段階)で月額2958円から3866円と908円もの引き上げとなります。
長引く不況による失業や廃業、あるいは不安定雇用が市民生活に大きな陰を落としている中でのこうした新たな負担増はとうてい容認できるものではありません。
まず、国民健康保険事業についてですが、国保料は負担の限界に達しており、加入している市民にとっては大きな負担となっています。いうまでもなく国保は高齢者、個人事業者など、雇用保険や健保組合に入っていない市民にとって命と健康をまもる土台です。
しかるに、小泉政権は相次ぐ医療保険制度の改悪を強行し、国民に大きな負担と痛みを押しつけています。昨年4月の診療報酬改定による患者負担増、10月の老人医療定率負担に続き、サラリーマンの健康保険3割負担がこの4月から迫っています。
昨年4月の診療報酬改定では、人工透析患者の食費が自己負担にされましたが、人工透析患者の食事は減塩食などの特別メニューで治療食です。だからこそ保険適用とされていたのですが、厚生労働大臣は一方的に自己負担を押しつけ、その結果毎月十数回の透析をしている患者の食事費用の負担が1万円を超えることになりました。
その結果「透析回数を減らした」という人もあり、まさに「生命に関わる問題」です。
10月から老人医療が1割または2割の定率負担となり、老人医療で在宅酸素療法を受けている患者の負担が大幅に増えて1万円を超える事態となりました。その結果、在宅酸素を取りやめたという事例が京都府南部で10月だけで104件もでたと報告されています。まさに「金の切れ目が命の切れ目」ということになりました。
その上、10月から改悪された老人医療では限度額12000円(非課税世帯は8000円)以上は払い戻しとなりますが、対象となる患者への通知などの事務作業が大幅に遅れ、いまだに手続きがされていません。
先日も「10月分から毎月5万円を払い続けてきたが未だに返してもらえない。もう限界です」と電話をかけてこられた方がありました。現場職員はシステム開発など準備作業で悪戦苦闘の毎日と聞きますが、「7月に法律をきめて10月から実施というのは無茶。だれがこんな改悪を決めたのか」と自民・公明の改悪強行に怒りの声があがっています。
こうした相次ぐ医療保険制度の改悪に対し、日本医師会・歯科医師会・薬剤師会・看護協会など現場で医療を支える4団体は昨年の12月「健保本人3割自己負担の実施凍結、高齢者の自己負担軽減」などの共同声明を発表、今議会にも京都府医師会などから請願が出され、先ほど議決されました。
国保をめぐっては、保険料滞納者にたいするきびしい制裁措置の発動もひどいものです。短期保険証や資格証明書の発行の急増は目に余るものがあります。市民の命と健康を支える自治体としての責任を果たすことが今ほど求められている時はありません。
保険料の軽減、引き下げにしても、京都市の独自努力は全国政令指定都市のなかでもっとも遅れをとっているのが実態です。平成12年度の国保会計決算では、赤字補填のための一般会計からの繰り入れは103億9500万円で、この中には保険料の法定減免分が国からの保険基盤安定等繰入れの44億700万円が含まれていますから、その分を引くと保険料軽減のための独自努力は59億8700万円、加入者一人あたり1万4867円ですが、平成13年度決算の数字でも政令市のなかで最低レベルです。
札幌市の4万5543円と比較すると一人あたり3万円もの格差がありますが、来年度予算ではこの繰り入れが10億円も減額になっています。これでも「保険料負担軽減のための繰り入れは限界」というのでしょうか。
次に介護保険事業ですが、介護保険の根本的欠陥は、利用サービス量が増えていくことと保険料や利用料の負担増が連動する仕組みとなっていることです。こういった仕組みをつくったのは国の負担を1/2から1/4に軽くするためでした。
今回の保険料引き上げで京都市の介護保険料は全国政令指定都市のなかで広島市についで高い額となります。
介護保険料が異常な高額になっているのは沖縄県の市町村に集中しているということですが、5000円を超える保険料になるのは、若人がいなくなって介護保険をつかう高齢者が多いことが理由です。
まともな所得保障のない高齢者の肩にこんな保険料がのしかかって介護保険が維持できるわけがありません。すでに介護保険は破綻が始まっているといわなければなりません。
介護保険料引き上げをしないで介護サービスの充実をするためには、給付に要する費用や介護報酬と保険料・利用料が直接に連動するしくみを根本から見直し、国が責任をはたすことが決定的に重要です。
当面、国の責任において調整交付金5%を国負担25%の枠外にすれば、値上げは回避することができるではありませんか。
介護保険と同様、特別会計で運営されている国保には減免制度があり、その財源は国が負担する保険基盤安定繰り入れと京都市の一般会計からの繰入れです。
この保険基盤安定の国庫負担は、昭和63年の国保法改正により暫定的に導入され、平成2年の国保法の改正により恒久化されました。
国保制度は、構造的に保険料負担能力の低い低所得者の加入割合が高く、保険料負担が相対的に重いものとなっていることから、低所得者に対する保険料軽減相当額を国、都道府県、市町村が公費で補填するために導入されたものです。
日本共産党市会議員団は国にたいして介護に要する費用負担の責任をはたすことを求めるとともに、京都市としての一般会計からの繰入れなど独自努力を求めています。
国による枠組みが固定されていることを理由に、保険料引き上げをそのまま市民にかぶせることは容認できるものではありません。
介護保険事業につきましては、京都市内で2033人の特別養護老人ホームの待機者があり、1000人もの申し込みがある施設もあるとききます。入所施設の増設をいそぐとともに、グループホームやデイサービスセンターの増設も必要です。ホームヘルパーやケアマネージャーの待遇や介護報酬の改善も求められています。
以上、国民健康保険事業、介護保険事業、老人保健にたいする日本共産党市会議員団の基本的見解を述べましたが、市民の目線にたって根本的見直しをもとめ、反対討論といたします。