03年3月14日(金)
2003年度予算案に対する反対討論 03年2月定例市会 本会議討論
私は、2003年度一般会計予算案など、予算関連議案9件には反対の立場を表明し、その他の案件には賛成の立場を表明いたしておりますので、日本共産党市会議員団を代表いたしまして、討論を行います。
今回提案されております、H15年度一般会計予算案は前年度に比べまして、0.4%減で、4年連続のマイナスです。これは10年前と同じ規模の予算案となっています。
予算案の大きな特徴として、730億円の財源不足を補うため、前年度に比べ18.2%増の847億円の市債を発行しますので、市債残高は実に1兆357億円となります。市民一人当たりにして70万円の借金を背負うことになり、昨年度より1万5千円も増加しています。借金返済と利子払いである公債費は、953億円で歳出にしめる割合は14.7%と過去最高で、いっそうの財政硬直化を進めるものです。
そこで、本予算案に対し5点の理由で反対いたします。
第一の理由は、深刻な財政危機を口実に、財政不足を生んだ真の要因にメスを入れず市民と市職員に痛みと我慢を押しつけるものになっていることです。
小泉構造改革は、不況の加速に加え、医療改悪で耐えられない「痛み」を国民に押しつけています。住民の暮らしを応援すべき市長は、市民に痛みを強いる小泉構造改革にたいして、本会議で「京都経済の再生・発展と、市民生活の安定をはかるためにも重要な意味を持つ」と答弁されました。まさに自治体本来の姿を投げ捨てた、本末転倒の姿ではありませんか。また、市民と市職員にガマンをしいる「財政非常事態宣言」にもとづく、緊急対策についても、市長は、「何をなすべきかと新しい方策を打ち出す」と、緊急対策をやめるとはおっしゃらずに、新たな負担増を予告するような答弁をされました。
第二の理由は、福祉・教育最重点、使用料・手数料の値上げは見送るといいながら、今回の予算案では介護保険料などの大幅な値上げが提案されていることです。
国保と介護保険については、別途同僚の山本議員が討論をおこないますが、ただ、介護保険料については市民の批判をおそれて当初値上げ額の僅か「65円」の引き下げをしましたが、それでも他都市にはない30%以上の値上げであり、市民の怒りが大きいのも当然です。また国保料の値下げについて、副市長は「現在いくら考えても出来ない」と声を荒立てておっしゃいました。また、新設の養護学校の給食は民営化するなど、住民の声が届きにくくなり、本来の自治体のあるべき姿に逆行するものといわなければなりません。
第三の理由は、中小企業・伝統産業対策は、過去最悪の失業・倒産の事態に応えるものではなく、あんしん借換融資や、独自の雇用拡大が一部盛り込まれたものの本格的な対策がみられないことです。
わが党は中小企業支援のあり方として、一つは借換融資に代表されるように、現状のもとでの中小業者の金融を中心とした支援とともに、実態調査の実施を急ぎ、産業支援の具体化を求めてきました。それは、テクノシティ構想にもとづく産業支援のみにとどまらず、現実の事業展開に苦しんでおられる業者への支援を求めたものでありますが、答弁は「今の状況には対応できないが、10年さきには、相乗効果をもたらすもの」と、京都経済はかってない危機に追い込まれているのに、のんびりした大変消極的なものでした。
今、京都経済を支える中小企業を見捨てて活力が生まれるはずがありません。必要なことは支援窓口の強化であり、苦情や問題解決のコーディネーターの役割を十分に果たすことではないでしょうか。そのためにも実態調査を急ぐ必要があります。
第四の理由は、最大の無駄使いであり、計画の破綻が明らかな、市内高速道路建設には、出資金だけで今年度予算より8億円も増やして、18億円計上し、PFI手法や呼び込み型の新たな開発計画ももりこまれていることです。
財政危機の主な原因は、地下鉄東西線の工事費の大膨張や、二条駅周辺開発、御池地下街・地下駐車場、京阪三条駅前周辺整備計画などの五大プロジェクト、市内高速道路計画などで借金を膨らまして、大型プロジェクトを進めてきた失政の結果です。しかも、二条駅周辺開発の行き詰まりや、地下鉄醍醐駅・パセオダイゴローからの平和堂の撤退など、その破綻は誰の目にも明らかです。
財政危機の原因がこれだけはっきりしているのに、見直すどころか、「都市再生」の名の下に大企業本位の「呼び込み型」開発をねらっています。また、高速道路や迎賓館建設計画も引き続き推し進めています。
第五の理由は、公共事業をめぐる贈収賄で逮捕者や自殺者まで生んだ昨年の教訓がどのように生かされたのか、予算上は明らかにされていません。
一連の事件で、「外圧の公表」など全容を社会的に明確にして社会の力で、解決を図ることではないでしょうか。そのためにも京都市は毅然として対応することです。
同和補助金の不正支出について、中間報告がしめされましたが、市長を中心とした重大な組織責任について、解明はほとんどなされていません。解放同盟の責任の追及も放棄し、逆にパートナーシップを強調するなど不正支出事件の認識にまったく欠けたものです。市協レベルの補助金についても正確に報告するべきです。また、保健所分室については、「早急に改善を指示する」としましたが、同和奨学金、自立促進援助金については、継続するなど、市会決議に反する事態が続いています。ただちに改めることを求めておきます。
住基ネットについて、カード発行は二次稼動の8月25日で、「市独自利用は現在は予定ない」との答弁ですが、個人情報が漏れる危険性がきわめて大きく、中止すべきです。
以上述べましたように、本予算案は、自治体本来の役割を投げ捨て、ムダな大型開発に多額の税金を使いながら福祉やくらしを切り捨てるものです。この逆立ちした税金の使い方を改め、住民の暮らしを応援する「自治体らしい自治体」の予算に組み替えることを要求いたします。
予算案組み替えの五つの基本点を申し上げます。
- 大型開発、大型公共事業の徹底した見直しと思い切った凍結。
- 公共事業の内容を生活密着型に転換する
- 暮らしと福祉を応援する財政出動で京都経済を元気にする
- 市職員の合意と納得による効率的な行財政運営
- 一切のムダと浪費へメスをいれる
以上五点です。
なお、土地取得特別会計予算案は、古都保存のための土地の取得も含まれておりますので必要なものであり、賛成いたしますが、高速道路関連の鴨川鴨東線の用地買収等も含まれており、これについては執行停止を求めます。
今予算案には、市民のねばり強い運動と日本共産党の議会での提案が実って、乳幼児医療費助成制度の入院は就学前まで拡充、35人学級の実施、あんしん借換融資制度など貴重な成果が盛り込まれています。
日本共産党市会議員団はこれらの成果を踏まえ、介護保険料の値上げ中止、国保料の値下げを正面からもとめ、大型公共事業、不要不急の事業の見直し、不況・雇用対策、市民の暮らし・中小企業応援の施策の充実をめざし、引き続いてがんばってまいります。
最後に一言。
1947年、昭和22年京都市会にはじめて日本共産党の一議席が誕生しました。それは今は亡き、安井信雄先生でした。赤ひげ先生のようなお医者さんで「お金がなくて医療にかかれない人がないように」と自ら京都市会議員になられたのです。私はその先生の議席を引き継がせていただき28年間、力一杯頑張ることができましたこと、感謝の思いで一杯です。心から御礼申し上げまして、議会最後の討論とさせていただきます。ありがとうございました。