「眺望景観創生条例の一部改正」に対する反対討論  - 市会報告

「眺望景観創生条例の一部改正」に対する反対討論 

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終了本会議討論
やまね智史議員
 日本共産党京都市会議員団は、議第48号「眺望景観創生条例の一部改正」に反対の態度を表明しておりますので、以下、その理由を述べます。
 今回の条例改正には「参道や門前等における眺望景観を『境内地周辺の眺め』として定義付ける」ことや、保全地域だけでなく「視点場から眺めることができる対象物の所有者にも眺望景観の維持保全について努力義務を規定する」など、京都の景観保全のために評価できる点も含まれます。しかし、最大の論点は、「住民参加と情報公開をいかに確保するか」という点であり、予算特別委員会質疑やまちづくり委員会での請願・陳情審査を通じて、今回創設される「事前協議(景観デザインレビュー)制度」には重大な問題点があることが浮き彫りになりました。
 まず「住民参加」についてですが、2012年「世界遺産条約採択40周年記念」の「最終会合」で発表された「京都ビジョン」では、「世界遺産と地域社会との関係は、条約の中心的位置を占める」「世界遺産条約の履行において、地域社会と先住民を含むコミュニティが重要な役割を果たしていることを何度でも強調する」「コミュニティは、(中略)遺産の管理と保存活動に、全面的に参画すべきである」などと強調されています。昨年7月5日の市長会見でも、「地域の意見を聞かずに建てた場合、しっくりこないという事例がある」「住民の皆様の意向に沿ってその土地にふさわしいと思われるような建物、施設ができていくことが大事」と述べられ、市会でも都市計画局が「世界遺産の保全にのぞむ立場」は、「ユネスコに書いている通り」「市民参加は重要」と答弁してきました。京都市主催のシンポジウム等でも「市民参加の大切さ」がくり返し強調されています。
ところが、今回提案されている「景観デザインレビュー制度」の中では、幅広い住民が自由に意見表明を行うことのできる説明会や公聴会の開催は考えられていません。唯一、事業者と直接協議できるのが「地域景観づくり協議会」ですが、現在、地域景観づくり協議会は10地域にしかなく、協議会がない市内の多くの地域では、地域住民と事業者との協議は行われないことになります。これではかえって市民の景観づくりへの主体的参加を狭めることにならざるをえません。
 次に「情報公開」の問題です。これも昨年7月5日の市長会見で、「市民の皆様、事業者の皆様一人一人に、主体的に考えていただき取り組んでいく。その取組をしっかり支援する京都市でありたい」と語られています。「歴史的景観保全のための具体的施策」のなかでは、「市民と事業者、寺社等との協働による景観づくり」がうたわれています。であるなら、事前協議の段階で、速やかに事前協議の申し出があったこと、及びその内容(少なくともその概要)について、市民に情報公開がなされる必要があります。
 ところが、今回の制度では、事前協議に関する図書の閲覧について、「許認可等の申請手続きが完了した後に行う」とされており、市民に対する情報公開が制限されることは重大です。圧倒的多数の住民は、事業内容・概要はおろか、事前協議の内容についても知らされず、意見表明もできず、全ての手続きが終わった後、結果だけを知らされることになり、「景観保全のチェック」の過程から住民が排除されています。これで市長が言う「地域ぐるみで景観を守る」ことになるのでしょうか。
 さらに、「全ての手続きに要する日数は原則として45日以内」としていること、都市計画局答弁で「(市民の意見表明について)個別の計画に対して市民それぞれの意見を聞くのが今回の趣旨ではない」「(早い段階の情報公開について)事業者の競争上、活動上の利益を害する恐れ」としていることは、まさに地域住民でなく、開発事業者の側に立つものだと言わなければなりません。
 世界遺産下鴨神社のバッファゾーンでのマンション建設や世界遺産二条城のコアゾーンにおける大型バス駐車場建設で問われたのは何だったでしょうか。これらの問題では、「世界遺産を壊すことは許されない」「景観に悪い影響を与える」「地域住民の声が反映されていない」と、周辺住民や市民から厳しい批判の声が出されてきました。にもかかわらず、京都市の認識は、下鴨神社について「結果としていい景観ができた」、二条城については「今の枠内でベストの選択をされた」というものであり、京都の景観保全、世界遺産保全に力を尽くしてきた地域住民、市民との間には大きなズレが生まれています。そういうもとで、住民が参加できない仕組みがつくられれば、結果として、再び同じ問題がくり返される、さらなる景観破壊が進む危険性を指摘しないわけにはいきません。
 今の京都市の歴史的景観は、民衆・町衆・市民の暮らしの中で守り、受け継がれてきたものではないでしょうか。京都市が、市民・事業者・寺社等との協働で景観をつくるというのであれば、住民が意見表明をすることのできる説明会や公聴会、早い段階での情報公開を保障する規定を条例に盛り込むべきであります。世界遺産保全のために「地域住民」「コミュニティ」の役割を強調した「京都ビジョン」を発表したこの地で、住民参加が保障されないなどあってはなりません。市民と協力して景観保全に取り組むべきであることをあらためて申し述べて、私の討論と致します。ありがとうございました。

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