2018年度京都市予算案等についての討論 - 市会報告

2018年度京都市予算案等についての討論

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終了本会議討論
井上けんじ議員
 日本共産党市会議員団は、議第1号2018年度京都市予算案及び議第3号・4号・16号について反対、議第14号・15号・17号には賛成をしておりますので、私は、議員団を代表し、以上の各議案について、それぞれ賛否の理由を述べ、討論します。
 予算案提案にあたり、財政危機が強調されています。そこで市長は、だから京プランだ、人員削減だ、行財政改革だと言われています。確かに国との関係で、地方財政全体が危機なのはその通りでしょう。そこでまず第一に、財政危機克服に向け、一つには国との関係、二つには市自身の問題について考えます。
 一つ目の国との関係では、「国も財政が大変」などと言っておられる限り、危機打開の展望は見えてきません。国の財政について、歳入面では、大企業の法人税に対する租税特別措置は、利益を利益と見なさない課税ベースの縮小、税率自体の引き下げ、加えて税額控除等々、二重三重の至れり尽くせりの出血大サービスです。更に証券優遇税制、輸出大企業への消費税還付金等々の抜本的改善が必要です。歳出面では、せめて専守防衛を超えた攻撃型軍備の削減や、談合まみれのリニア新幹線など大型事業の中止、政党助成金の廃止、在日米軍への思いやり予算の撤廃、等々で大幅な国民向け地方向けの財源が生まれます。地方交付税は、全国交付団体の総必要額に対し限られた原資の範囲内でやりくりする仕組みですから、必要額に応じて原資自体の拡大が必要です。交付税の本来の性格を歪め額も減らそうとするトップランナー方式に、本市が迎合しているのは論外です。臨時財政対策債は交付税で措置されるとは言っても、むしろ措置されるからこそ、実質的な交付税が減らされるばかりではありませんか。資本金10億円以上の大企業の内部留保金も400兆円を超えると言われており、その国民的活用も、経済財政の大きな課題になっています。
 更に、国への働きかけは、本市独自の歳入改善の為にも必要です。大企業への過度な減税をやめれば、その法人税に応じて法人市民税も増えますし、また法人市民税の一部国税化はやめ、全額、市町村の収入へと戻すよう政府に求めるべきです。個人市民税所得割は、集め方の民主的改善と絶対額増額の為にも、フラットをやめて累進制を復活させ且つ強化することが必要です。地方税法の改正を国に求めることが必要です。
 そこで二つ目には市自身の問題です。財政危機について、国の責任だけで済ます訳にはいきません。具体的には、市予算案の中のムダ遣いについてでありますが、これについては、先程、北山議員から述べられた通りであります。二点だけ補足します。リニアや北陸新幹線の誘致は、今後の莫大な負担への危惧が払拭しきれません。在来線への影響や、また大深度地下となるのかどうか、ルートによっては立退きや地下水への影響など、懸案事項が多過ぎます。リニアはストロー現象により東京一極集中を加速するだけです。来年度では予算化されていませんが、堀川通り地下バイパストンネル計画は、これまたムダの典型です。それよりも市長は、すでに高速道路三路線の廃止と、前の前の選挙の時にも、その後の議会でも、再三明言されているわけですから、堀川バイパスとは別の話であります。公約違反、議会答弁違反と言わなければなりません。
 第二に、予算編成の前提となる来年度の基本方針についてであります。民間にできることは民間にと市長は言われます。しかし民間にできることと言った場合、その範囲は市長の恣意的な判断で、際限がありません。学校跡地の大企業ホテル等への転用、公けの施設の内部への民間商業施設の誘致、そして市民窓口業務の民間化等、「民間にできること」の範囲がどんどん広げられています。人員削減にしてもそうですが、以前は財政危機だからやむなくという言い方もされていたように思いますが、最近は、財政の問題というよりも、むしろ民間大企業に営業の機会を提供すること自体が積極的な方針となっています。八条市営住宅でのPFI然り、違法民泊調査や民泊届出の受付、市立病院でのSPCの業務拡大、等々、市民の暮らしと権利に直結する分野にも、営利企業をどんどん誘致・委託しています。貴重な公有地の定期借地契約や切り売り、賑わい施設化も、都市計画の規制緩和と併せて進められています。賑わうのは大企業だけで、むしろ近隣商店街等への悪影響は明白であります。今後も、大型事業と都市計画の規制緩和とが相まって、ムダづかいと住環境への悪影響、まちこわしが強く危惧されるところであります。政府の未来投資戦略との方針には「公共施設等の運営に民間の経営原理を本格的に活用する」と書かれています。こんな方針に付き合えば、「住民の福祉の増進」という自治体の根本的な役割が後退縮小し、ますます自治体が自治体でなくなるとも言える事態が進むばかりではありませんか。
 第三に、ムダ遣いと自治体の在り方の変質とも言うべき動きの一方で、使用料手数料等の引き上げや必要な予算の減額等も大きな特徴になっています。これも北山議員との重複は避け、重点についてだけ述べます。生活保護費は大幅減ですが、漏給があることは事実ですし、スティグマの克服や否定的なイメージの払拭、要件に適えば誰でもが権利として受けることができることの広報が必要です。困った時には気軽にご相談をという姿勢が必要ですし、また何よりも受給要件を緩和して対象を広げる方向での制度改正が目指されなければなりません。同時に正規雇用の拡大、最低賃金の底上げ、雇用保険や年金の改善等、国民生活全体の底上げ策が必要です。住民の生活に日々接している自治体として、政府の保護費引き下げの動きには批判の声を挙げるべきではありませんか。再来年度からとされていますが美術館の観覧料使用料値上げも大問題であります。文化芸術やスポーツへの、参加や鑑賞は基本的人権の一環であり、住民誰にでもその機会や場が保障されるとともにその為の費用の低廉化が目指されるべきであります。政府の「未来投資戦略」や文化庁の「文化経済戦略」では「経済活性化の起爆剤としての文化芸術、文化芸術資源の活用による経済波及効果の拡大、稼ぐ文化への展開を推進」等々と書かれています。局別質疑では「国と軌を一にした取組」との答弁ですが、こんな低俗な文化論に、我が京都市が付き合うべきではありません。ゴミ袋代の手数料収入の使途を、本来のゴミ収集業務以外の事業にまで広げることは自治法違反の疑義があり、このことは基金を経由するからといって免れるものではありません。
 第四に、市民生活を支える施設と職員体制の問題についてです。市立学校の統廃合や小中一貫校については、今一度、これまでの経過を振り返り、その功罪についての総括が要ると考えます。特に廃校後の学校施設の跡地利用の問題については前述の通りであります。リハビリCとこころの健康増進C、児童福祉Cの合築一体化は、そもそも障害の種別も特性も異なり、まして児童福祉センターは児童施設でしかもその対象は障害児だけではありません。施設の性格が全く別でありますから、最初から一体化はムリがあるのです。障害者や子どもたち、家族や親の願いから出た話では全くなくて、専ら施設統廃合と、例によって跡地の活用が先にありきの計画でしかありません。計画は撤回すべきであります。一方、地域によっては文化施設や学童保育所・児童館の新設が必要であり、強く求めるものです。消防局の各施設の統廃合や職員削減は、消防力・救急対応力の低下が危惧されます。消防団器具庫は公の施設に準ずるもので、災害の場合の拠点ですから、その耐震化費用は公費で持つべきであります。
 市政や教育の第一線を担っていただいている職員・教職員の長時間過密労働の負担軽減は喫緊の課題であります。167人もの職員が時間外労働月100時間を超えている、終電どころか翌朝の始発で帰宅するなど、最早尋常ではないとの域すら超えています。一日8時間労働で全体の仕事が回るように人員を確保すべきです。労働省の告示では、時間外労働は、月45時間が限度、2ヶ月でも81時間までとされており、抽象的な決意でなく、この告示を基準に市のルールを定めて厳格に守るべきであります。その為にも職員削減方針の撤回が必要です。
 第五に、経済産業政策については個別に反対理由を述べます。予算書の産業観光局の頁には冒頭から「市外から稼ぐ力」と書かれています。そもそも自治体の公式文書で「稼ぐ」などという表現自体、京都の品格に係わると私は思います。政府は文化ですら稼ぐと言っていますが、受け売りではなく自治体の自主性が必要です。市内産品は、勿論、海外展開を目指すこともその通りですが、同時に、生産やサービスは市民の需要に応え、市民の消費生活を豊かにするという方向で供給されること、市民の購買力を高め、市民に買ってもらって営業活動も活発になる、このことがもっと重視されなければならないと考えます。この点で、市外から稼ぐとの方針と経済の域内循環との方針は、その順序が間違っています。小規模企業振興法では、自治体の責務も謳われているにも係わらず、その具体化は見えてきません。京都市の経済統計資料でも、事業所一般の業種別とか指定都市比較とかがほとんどで、事業所の規模別データが極めて少なく、これでは中小零細企業独自の分析や大手との比較はできません。横浜市が創っているような中小企業取組状況報告書のようなものを、京都でも作成すべきです。
 その他、子育て支援等市民の要求と市が目指すべき課題については北山議員の指摘の通りであります。原発については、市長の言われる中長期的になくしていく、できる限り早期に、というのがいつのことなのかさっぱり分かりません。バックキャスティングと言われていますが、環境でも人間の成長でも、まず目標と期限を設定し、そこに向かって接近していく手法は、とりあえず日々一歩ずつ積み上げていく方式よりも、有効だと言われています。若狭湾沿岸原発群の同時事故の場合の避難計画の立案は緊急の課題であります。
 以上、1号議案に賛成できない理由であります。

 次に、議題3号・4号、14号~17号についてであります。
 議第3号国民健康保険事業特別会計については、黒字分の半分とはいえ保険料を値下げされたこと、減免基準を少しですが緩和されたことについては評価しておりますが、ではなぜ半分ではなく全額を値下げに充てられないのか等の疑問は残ります。しかしより根本的に賛成できない理由は、都道府県化であり、当面は激変緩和措置が採られているとはいえ、その措置が終われば、やがて保険料引き上げに繫がる危惧は払拭できません。医療提供体制への規制権限を持つ都道府県に、医療給付費や保険料等に関する権限も併せ持たせることによって、全体として公費負担をコントロールしていく、給付費を減らしていくことが、都道府県化の狙いであるといわれています。実際、政府関係者からは、一般会計繰入はやめていく少なくしていく、各市町村の減免制度など見直していく、これからは被保険者同士の助け合いとともに、市町村同士の助け合い、等々の発言が聞こえてきます。府が本市並の繰入をするならまだしも、都道府県化したからと言って国保の構造問題が解決するわけでも何でもありません。今必要なのは、保険者や運営者をいじることではなく、国負担割合を抜本的に改善することであります。それ抜きには、結局、被保険者・患者と地方自治体にしわ寄せが及ぶだけで何の解決にもならないどころか、前述の通り、心配の種が増えるのが実際のところでしょう。以上が賛成できない理由です。
 議第4号介護保険については、保険料引き上げの予算案となっています。そもそも給付費が増えれば保険料等に自動的にハネ返るリンク制自体が問題です。保育料でも国民健康保険料でも、元々は人件費等は別として、必要経費を保護者や被保険者に負担させる考え方でしたが、それでは余りにもムリがあり、また元々の公的な責任と役割からその修正が図られてきました。然るに介護保険では、国も本市も、現行負担区分に機械的に固執し、全く柔軟性がありません。利用料も所得によって2割、3割への値上げ、総合事業化による保険給付はずし等々、値上げや改悪は保険料だけに留まりません。自治事務でありながら、全く国言いなりの姿勢に終始し、国の改悪をそのままストレートに市民に押しつけておられることが反対の理由です。
 議第14・15号、水道事業・下水道事業特別会計については、鉛製給水管の助成制度の拡充、解消への取組や、老朽管の取替、耐震化等、計画的に進められており、賛成します。但し、上下水道局本庁舎の移転については、南北の拠点づくりとのことですが、経過からいってこれはとってつけた理由であることは明白です。京都駅前では、規制緩和と開発ラッシュですが、本庁舎までをも丸ごとこういう流れに差し出そうというのは、民間の土地・建物の売買や賃貸等の流動化や緩和を制度として応援するのとは質的に異なり、また跡地ではなく現役の公用財産の提供という意味でも、一から見直すべきです。
 議第16号自動車運送事業特別会計には反対、議第17号高速鉄道事業特別会計には賛成です。
 市バスについては、バス待ち環境の改善や乗り継ぎ割引率の拡充、均一区間拡大への姿勢などについては評価しております。しかし、若年嘱託制度や管理の受委託など、その人たちなくしては一台のバスも走らせることができない労働者に、結局は、程度の差はあれ、不安定な身分と低賃金を強いているわけですから、この点はやはり賛成できません。今般、和解が成立した案件について、当事者とそのご家族の皆様方には、心よりご冥福をお祈りしお悔やみを申し上げます。最大の教訓は、委託先も含めた労働者の労働時間短縮をはじめ労働条件の改善ですから、この立場からの今後の取組を期待し、また若年嘱託と受委託についても見直されるよう求めるものであります。地下鉄については、ダイヤの充実や安全対策、バリアフリー化の進展・強化、ホーム柵全駅設置への決意、バスバスと合わせてバス地下の乗り継ぎ割引率の拡充などが賛成の理由です。
 最後に、水道交通全体に係わりますが、来年10月実施予定の消費税10%への増税の水道料金や使用料、バス地下鉄運賃への上乗せはすべきではありません。元々消費税は売上げと仕入れ額の差に税率を掛けて計算するもので、消費者への転嫁の法的根拠はありません。このことは、昨秋の決算議会でも確認済みであります。政府に、公営企業は非課税とするよう働きかけるとともに、市独自でも転嫁は避けるべきであり、来年度、転嫁・増税の準備はすべきでないことを求めます。
 以上、討論とします。ご静聴有り難うございました。

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