「住宅宿泊事業条例(民泊条例)」と「旅館業条例」改正の修正案の提案説明 - 市会報告

「住宅宿泊事業条例(民泊条例)」と「旅館業条例」改正の修正案の提案説明

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本会議討論
井上けんじ議員
 市長から提案されている議第169号と議第170号について、日本共産党市会議員団は、これらに対する修正案を提案しておりますので、私は、議員団を代表し、主な項目に絞ってその趣旨について説明させて頂きます。

 まず議第169号「住宅宿泊事業の適正な運営確保等に関する条例」についてであります。

 大きな論点の一つは、制限できる区域と期間について、どのように設定するかという問題です。市長提案条例案では僅かに住専地域だけですし、しかも二ヶ月間の営業を認めています。我党修正案は、住専と、特に防災上の観点から細街路沿いは通年制限とし、旅館業法で挙げられている学校・福祉施設等周辺も曜日を定めて制限する、及び、近隣住民の承諾を証する文書の提出を求めるとの提案であります。市長提案が住専地域に限った理由として、「住居専用地域以外では、旅館業法に基づき宿泊施設の営業を通年で認めているため」と言っておられますが、これは理由になっていません。別の法律である住宅宿泊事業法自体が「生活環境悪化防止の為、条例で区域を定めて期間を制限できる」と言ってるわけですから、住専地域に限定せず、合理的な根拠をもって区域と期間を決めればいいわけであります。「届出」だけで開業ができ、また市の旅館業法条例には謳われている「帳場の設置義務」も書かれていない、より緩い新法施設だからこそ、防災上、あるいは教育や福祉の観点から制限区域を設けて規制するのは、何ら問題はなくむしろ法律の趣旨に適っています。区域について、国のガイドラインでさえ文教施設等が勘案事項だと例示されています。2ヶ月、営業可能としたのは、「『年中制限は適切でない』との国の見解を踏まえ」と市長は説明されましたが、「国の法律の解釈権は自治体にある」「国会が決めた法律以外、国の官僚の見解に従う義務はない」と、著名な学者も言っておられる通り、国の見解は踏まえなければならないものではありません。市長案は、全体として法律を狭く解釈していると言わざるを得ません。
 二つ目の論点は、面接の例外規定を設けて「駆け付け」るのか、それとも常駐を義務化するかどうかであります。先日の東山区の火災の最大の教訓は、事業者または管理者の常駐が必要だということです。そもそも住宅なら家人が居て当然ですし、不在の時に委託するなら管理業者が居るのが当然です。市は、常駐しなくてもよい根拠として、「法第11条では、「『事業者不在の場合、管理業者に委託』と、不在も念頭に置いた規定である」と答弁されています。しかしこれは、不在の場合に管理業者に委託と言っているだけで、管理業者については不在とも存在とも触れておりません。むしろ不在はよくないから委託せよと言っているとも読めないでしょうか。不在を念頭に置いているとしても、存在は否定していませんし、まして、自治体において常駐義務を謳ってはいけないとは、どこにも書かれていません。許可を得なければならない旅館業ですら帳場の設置=少なくとも客の入る時出る時の営業者の配置が求められているのに、届出だけで開業できる施設に誰も居ないというのは、現行「民泊」周辺の地域住民の不安に、まさに輪を掛けるものであります。そもそも誰も居ないのにどうして「おもてなし」ができるんでしょうか。
 第三に、マンションについては、規約、または区分所有者で構成する団体の決議によって、積極的に事業を認めるとの意思を示した書類の提出を要件としました。法律と、その施行規則で、届出書に添付すべき書類として「禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」と書かれていますが、これでは、仮に管理組合の総会が成立せず禁止するとの決議が挙がらなかった場合、事業が可能だとの解釈の余地が生まれます。我党の修正案では、認めるとの意思表示がない限り事業はできないと、この点を明確にしました。

 その他、市民の責務の削除や、宿泊者と市民の安全という場合の順序を入れ替えるべきこと等を提案していますが、詳細は資料をご覧頂きたいと存じます。

 次に、議第170号「旅館業法に基づく条例」の一部改正案についてであります。何点か、基本的には、議第169号と同じ立場からの修正案とともに、特に補強的な修正提案として、「宿泊者の滞在中の営業者の常駐」を謳っています。市長案では、「本人確認人数確認」が謳われ、玄関帳場等での面接が明記されたことは一歩前進ですが、これではチェックインの時だけで、あとは不在でも構わないと解釈できてしまいます。現状から言って不十分だと思います。近隣周辺住民の安心の為に、24時間とまでは言わないにしても、客滞在中の常駐が必要だと考えます。

 さて、今回の条例制定に至る経過について簡単に振り返って締めくくりたいと思います。現状は、①そもそもの無許可営業、②許可を得ながら実際の営業場面では許可要件欠落させたままの状態、③合法であっても周辺住民への悪影響が及んでいる事例、等々が大きな社会問題になっています。本来なら、これらの現状改善に向け、国や市が規制強化や運用是正等、その為の体制補強も含めて対処しなければならないにもかかわらず、現状追認、事実上の現状放任で、むしろ逆に、この状態を合法化するために、規制が緩和され、昨年「住宅宿泊事業法」として具体化されました。そして本市では、「法律の限界に挑戦」等と言いながら、「法制度の整備が図られた」との評価の元に、基本的には、政府の流れに合流しておられます。もっと限界に挑戦している他自治体の例を挙げても「制限区域や期間が広く長ければいいという考えはない」と理事者が答弁されています。限界に挑戦ではなくて、最初から自粛しているだけではありませんか。
 地方分権の議論以来、地方自治法でも自治体の自主性自立性、法律解釈権の拡大が謳われています。法律の本文でさえ自主的な解釈をすべきであって、まして、いわゆる通達類には従う義務はありません。住宅宿泊事業法は自治事務ではありませんか。

 要するに、最大の争点は、法の限界という壁の高さにあるのではなくて、宿泊施設誘致拡充方針と市民の願いとの調和であり、両方大事だとの言い方で、実際は市民の願いを後回しにしていいのかどうかということであります。市長自らは提案を撤回したり修正したりされませんから、かくなる上は、議会自身が、団体意思を決定する機関として、市民の信託にどう応えるのか、その姿勢が問われています。修正案はあくまでも提案であります。全面的にご賛同を頂きたいのは当然ですが、私としては歩み寄りもあり得ると考えています。対市長だけでなく、議員間での討議がもっと活発になるように願って提案とさせていただききます。

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