ひぐち英明議員の代表質問 - 市会報告

ひぐち英明議員の代表質問

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本会議代表質問
ひぐち英明議員
 左京区選出のひぐち英明です。日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。
自治体のあり方を変質させ、地方を切り捨てる「地方創生」総合戦略
 
 はじめに、国の「地方創生」戦略と京都市政とのかかわりについてお聞きします。
 歴代自民党政権は、大企業の経済成長最優先で農林漁業や中小企業、地方経済を衰退させるとともに、庶民増税と社会保障の削減、非正規雇用の拡大などで国民生活の困難と人口減少に拍車をかけてきました。安倍政権は、これまでの政治を見直すことなく、消費税増税と社会保障削減を中心とした財政再建、そして、法人税減税の加速など、大企業の経済成長最優先の戦略をいっそう推進してきています。これを地方で進めるのが、「地方創生」戦略です。その特徴は、公共施設などの集約化や、拠点都市・コンパクトシティへの集約化、企業拠点の誘致競争など、選択と集中、特定企業の成長を進めることが中心となっています。
 国の路線と同じ方向で打ち出されているのが、本市における「京都創生」総合戦略や「エコ・コンパクトな都市構造」などの路線です。これらの特徴点について、3点に渡ってお聞きします。
京都駅周辺の規制緩和による呼び込み型拠点開発構想は撤回せよ
 
 1点目は、京都駅周辺の規制緩和による、呼び込み型の拠点開発の構想についてです。本市は、京都駅南側の12ヘクタールだった「都市再生緊急整備地域」を、この2年間で、駅北側、梅小路公園、中央卸売市場、リサーチパーク周辺まで含む162ヘクタールへと、13.5倍の面積に拡大しました。「都市再生緊急整備地域」では、特別な金融支援や税制特例が受けられるだけでなく、既存の都市計画上の様々な規制をなくし、その地域に進出しようという大手企業が、高さ規制や容積率や用途地区などを自由に提案できるようになります。本来、都市計画というまちづくりの根本にかかわる部分は、そこに住む住民の願いを実現するために、公の責任で提案するべきものです。住民の関与を強める改善であれば話は分かりますが、それとは逆に、利益を追求する大手企業が都市計画の提案をできるようにしたこと、しかもその地域をこれだけの規模で拡大させたことは、本市が、まちづくりの根本部分を、大企業の手にゆだねる大転換を行ったということにほかなりません。これは自治体のあり方の変質とも言うべきものです。
 京都駅周辺には、すでにデパートや大型家電量販店、大型ショッピングモールなどが進出していますが、京都経済は一向に回復していません。それどころか、地元商店や中小業者はかえって厳しさを増しています。この事実を見るならば、大手資本呼び込み型の拠点開発では、地域経済が再生しないことは明らかです。
 今回の拠点開発構想は、自治体のあり方を変質させるものであり、破たん済みの呼び込み型開発をいっそう大規模に進めるものと考えますが、いかがですか。さらに、高さ規制の緩和についても、企業から提案することが可能となりますから、新景観政策を投げ捨てることになると思いますが、いかがですか。お答えください。

(市長)京都駅周辺の都市再生緊急整備地域には、民間活力を適切に誘導し、事業所や商業施設等の集積を図る地域として、まちづくりをすすめてきた。道路や広場等の整備を合わせて行う開発事業に限り、その事業者から用途や容積率、高さ規制の緩和も提案することができる。その場合においても新景観政策の基本的な考え方は当然踏襲される。都市計画審議会や景観審査会等において厳格な審査を経ることで、景観にも配慮された都市開発が進められる。
学校跡地活用は、民間活用ではなく、住民の自治活動支援の方向で
 
 2点目は、学校跡地活用の問題です。こちらも企業 呼び込みのために、方針を大転換してきています。
 本市は1990年代から急速に学校統廃合をすすめ、この間に小中学校数が 51も減らされていますが、今後もさらに統廃合をすすめる方針です。番組小学校は、京都の町衆の寄付でつくられた地域の財産であり、市民が誇りにしてきた学校ですが、2年後にはわずか4校だけになるという事態となっています。
 住民の自治活動や地域コミュニティ、防災活動の拠点として重要な役割を果たしてきた小学校は、跡地になっても同様の役割を果たしてきており、敷地内には消防分団の詰所、自治会館などが設置され、災害時の避難所にもなっています。さらに、区民運動会や夏祭り、その他の様々な行事や会合が学校跡地においても行われています。京都市は従来、学校跡地利用にあたっては、"地域住民の意見を尊重すること""活用は原則市の事業とし、営利目的の活用はしないこと"としてきました。ところが、2011年に「民間事業についても対象とする」という方針を決めて以降、「資産有効活用基本方針」、「学校跡地活用に係る事業者登録制度」などをつくり、"学校跡地を最大で60年貸与する""活用方法も民間事業者から募集する"という仕組みを採用しました。すでに、東山区の元清水小学校跡地は「ホテルまたはブライダル」事業で活用する方針を決め、民間事業者の選定作業に入っています。
 これらの方針は、学校という住民の自治活動および防災の拠点を、大型商業施設やホテルなど、民間事業者の儲けの場所へと変質させる大転換だという認識、及び、住民の自治活動を支援するという行政本来のあり方を投げ捨てるものだという認識が市長にありますか。お答えください。

(市長)他都市では財源確保のため、学校跡地を売却する例も多い。本市では地域によって創設された学校の歴史と、自治活動等の拠点としての役割、機能を維持しつつ、地域の意向も踏まえて活用することとしている。基本的な考え方は、公益的団体・民間事業者にも活用対象を広げた平成23年度策定の「学校跡地活用の今後の進め方の方針」においても変わっていない。
本年6月の「事業者登録制度」によって、早い段階から、跡地活用に関する情報を地域の皆様にお知らせし、これまで以上に主体的に参加できる仕組みを導入した。活用方法を民間事業に広げたことをもって、住民の自治活動支援を投げ捨てることにはならない。
いつまでも住み続けられる地域づくりを
  
 3点目は、地域の再生の問題です。「京都創生」総合戦略では「『この区・この地域でずっと暮らしたい、学びたい、働きたい、子どもを生み・育てたい』という思いが、全ての区・地域で高まることを目指すまちづくりを進めます」と書かれていますが、この方針とは全く違うことが行われようとしています。
 まず、国がどのように考えているかというと、内閣参事官が「地方創生では、地域は補助金に頼らず、自立を目指す必要がある」「自分で外から資金調達できる地域をつくること」と述べています。お金は出さない、自分たちで調達できる範囲で勝手にやってくれと言わんばかりの話です。これでは、市内周辺部や山間地の集落の多くが成り立たなくなってしまいます。本市でも国の方針に沿って、「居住の集約」について「検討して行く」という方針を示していることは、「住み続けられる地域づくり」と逆行するものであり、断じて許すことはできません。
 私の地元、左京区北部山間地域のみなさんは、住み続けられる地域づくりに向けて様々な努力を重ねてきています。2003年に別所・花背・広河原・久多・百井の5つの地域の自治会のみなさんが集まって、「北部まちづくり委員会」が立ち上げられ、食料品などの購入問題、公共交通の問題、道路の改修、簡易水道の整備、携帯電話のアンテナ整備など、様々な課題の解決に向けて取り組みを行ってきました。花背峠のトンネル化の要望は40年も前からの地域の悲願ですが、昨年9月議会においてトンネル化を求める請願が議会でも全会一致で採択されました。最近では、高速通信網整備や山林の保全対策、子育て支援など、過疎対策を、行政に一緒に、しかも真剣に考えて欲しい、との思いを強くされています。様々な課題の対策を総合的に検討するためにも、本庁に新設された北部山間振興部長をさらに発展させ、該当する区役所に中山間地振興対策、あるいは過疎対策としての担当部署を設置するなど、地域のみなさんの切実な思いに応えることが必要と考えますがいかがですか。

(藤田副市長)本年4月、北部山間地域振興を担当する部長と係長を新設するとともに、9月には、従来の京北地域活性化企画本部を「北部山間振興本部」に発展的に拡充した。移住定住の促進、子育て・教育環境の充実、就業支援などの施策の事業化や北部山間地域全体への拡大、施策の融合に向けた検討を全庁横断的にすすめていく。
 また、議会で請願が採択された花背峠のトンネル化の早期実現に向けた真剣な取り組みを進めることを求めますがいかがですか。

(建設局長)花背峠トンネル化は、地域住民の皆様の要望とともに、昨年10月、市会請願が採択された。しかし60~80億円程度の巨額の事業費や技術的に克服すべき課題も多く、直ちに事業化することは困難。地域ごとに要望を聞き、道路も日常管理に取り組みながら、当面は部分的な道路改良や法面の防災対策について優先順位をつけて取り組んでいく。
地域循環型で、京都経済の再生を 
 次に京都経済の再生についてお聞きします。
 安倍政権がこの間進めてきたアベノミクスは、「大企業がもうかれば、その恩恵がいずれ庶民に回ってくる」というものです。現実はどうだったでしょうか。大企業は史上最高益を2年連続であげ、その内部留保は約300兆円にまで膨れ上がり、所得が10億円を超える富裕層はこの1年間で2.2倍に急増しました。一方、働く人の実質賃金は2年2カ月に渡ってマイナスが続き、年収が200万円以下の「働く貧困層」と言われる方々は史上最高の1,120万人にまで及んでいます。結局、アベノミクスが、格差と貧困を拡大しただけだったことはすでに明らかです。
 京都経済はどうでしょうか。過去5年間で、倒産・廃業による事業所の減少数は、7,640にも及び、減少率は政令市でワースト2位であり、全国的に見ても大きな落ち込みを示しています。
本市が7月に発表した市内中小企業の景況調査を見ても、4月から6月期で、昨年と比べて景気が「悪くなった」と答えた方は「良くなった」と答えた方を4.5ポイントも上回るという結果となっています。消費税が増税された昨年よりも中小企業が深刻な状況に追い込まれていることがわかります。
 中小零細業者の実態について、話をお聞きしました。飲食店に食料品を収めている小売店では、「昨年の消費税増税で飲食店の取引量が少なくなったまま、現在も厳しい状態が続いている」と言われていました。観光地の土産物屋さんは、「外国人観光客は極端に増えているが、安いものしか買わず儲けにならない」と言い、旅行業者さんによると「大型バスで京都の有名観光地をまわり、大阪で爆買いをして帰る」とのことでした。最近廃業した魚屋さんは、廃業のきっかけとなったのが、地下水をくみ上げるポンプが故障したことでした。厳しい経営状況から、わずかなきっかけが廃業につながるというのが中小例零細業者の実態です。
 そこでまずお聞きしますが、中小零細業者の厳しい状況が、今なお改善していない、あるいはいっそう厳しくなっているという実態について、市長はどのように認識していますか。お答えください。
中小企業も市民の暮らしも深刻さを増している時だからこそ、暮らしに最も身近な地方自治体の果たす役割はますます大きくなっています。
 昨年6月、国においてに成立した小規模企業振興基本法は、「成長発展」する企業にだけ光を当てるのではなく、「事業の持続的発展」に努力をしている従業員5人以下の企業も重要だと位置づけているところに大きな意義があります。ところが本市では、この具体化がまともに行われていません。
 例えば、本市が経済のけん引役と位置付けている観光の分野では、最近はMICE誘致と富裕層観光ばかりが強調されています。その中で外国人宿泊客を現在の183万人から300万人まで増やす目標を設定し、市外資本のホテル誘致を積極的に進めており、市内には外資系ホテルをはじめ、市外資本のホテルが次々と進出しています。その一方で、これまで京都観光を支えてきた従業員4人以下の小規模旅館はこの20年で半分の121にまで激減しています。観光客が増えても、その儲けが市外企業に吸収されるだけでは、地元の中小零細業者は疲弊するばかりで、京都経済の活性化にはつながりません。"外資系ホテルを含めて地元の雇用を多くつくりだしている"と言っていますが、その75%が非正規雇用という実態は市長も「厳しい状況」と認めている通りです。
 これらの事実を直視するならば、市外企業の呼び込みという観光政策を改め、地元業者に利益が還元されることを中心に据えた政策へと転換を図るべきと考えますがいかがですか。
 国の小規模企業振興基本法を具体化する取り組みとして、参考になるのが、2010年に中小企業振興基本条例を創設した横浜市の取り組みです。横浜市では、副市長を会長とした「中小企業振興推進会議」を設置し、全局、全区役所から各本部長が委員及び幹事として参加し、中小企業振興対策の全庁的な推進体制がつくられています。そして、取り組みがどれだけ進んでいるのかを年次ごとに「取り組み状況報告書」として提出し、それが全常任委員会に報告されています。「報告書」には、様々な取り組みが紹介されていますが、例えば、全局、全行政区の工事・物品・委託の市内企業への発注率が掲載されており、各部署の担当者がそれを常に意識するという仕組みがつくられています。
 こうした先進事例に学び、小規模企業振興基本法に対応した「中小企業振興基本条例」を本市でもつくり、全庁挙げた施策の推進体制をつくるべきと考えますがいかがですか。加えて条例には、金融機関、大型店などの大企業に、京都ブランドの持続及び発展も踏まえた、地域貢献に積極的に取り組むことを求め、その貢献度を公表するなどして、海外や東京の本社に利益を吸い上げられるのではなく、地域でお金を循環させる仕組みをつくることが必要であると考えますがいかがですか。 

(塚本副市長)本市経済は、全体として回復基調にあるものの、中小企業は依然として厳しい環境下にある。市内事業所の99%を占める中小企業を京都の宝ととらえ、成長と下支えを柱に、中小企業融資制度の貸付利率の引下げや、伝統産業従事者への設備改修補助制度の創設・充実、更に下請負者も市内中小企業者とすることを努力義務とする公契約基本条例を提案した。観光客の増加を、宿泊業、飲食業、伝統産業や商店街、農林業などの活性化と地域雇用の創出に結びつけ、地域活力の維持発展に繋がるよう戦略的に取り組んでいる。
 また、地域経済を再生させるための具体的な施策として、わが党は繰り返し住宅リフォーム助成制度や商店リフォーム助成制度の創設を求めてきました。住宅リフォーム助成制度は、市民が住宅のリフォーム工事をする際に、市内業者に発注することを条件に工事代金の5%や10%を自治体が助成するという制度で、全国でも政令市を含む多数の自治体が取り入れています。自治体が組んだ予算の15倍程度の工事額が市内業者に直接発注されており、経済波及効果はさらに大きなものとなっています。地域内循環型の経済をつくる上でも、経済波及効果が大きいという点でも、こうした制度を本市でも創設するべきと考えますがいかがですか。 

(塚本副市長)住宅や商店のリフォームについても、耐震化・省エネ化、市内産木材の活用など、政策上、重要度・緊急度が高いものへ、重点的に助成してきた。大企業や金融機関においても、雇用や税収への寄与、中小業者への金融支援はもとより、まちの美化活動や京都マラソンなど本市の事業への協賛など、地域に貢献していただいている。中小企業振興基本条例については、新たな産業戦略ビジョンを策定中であり、引き続き検討していく。
雇用の改善について
  
 次に経済の再生にとっても欠かすことができない、雇用の改善についてお聞きします。大企業は史上空前の儲けをあげる一方で、「働く貧困層」と呼ばれる方々が極端に増えたのは、労働法制の度重なる改悪の中で、非正規雇用が増えたためです。このことが、景気回復の大きな足かせとなっています。今年4月から6月期のGDP・国内総生産が1.2%のマイナスになりました。一番の要因は、賃金が増えないもとで物価だけが上がり、GDPの約6割を占める個人消費が低迷しているところにあります。その根底には、法人税減税など大企業重視の成長戦略を優先し、家計の底上げを後回しにしてきたアベノミクスの構造的な問題があると、新聞各紙でも指摘されています。
 わが党は、大企業の内部留保の一部を活用して、賃金を引き上げて家計を応援すること、また、中小企業に対しては、税・社会保険料の減免などの支援を拡充し、最低賃金の抜本的な引き上げを図るべきだと求めてきました。この方向でこそ、消費を回復させ、景気回復へとつなげるという経済の好循環をつくりだすことができます。ところが、政府は「生涯派遣」「正社員ゼロ」を進める労働者派遣法の改悪を強行し、さらに「残業代ゼロ」法案などの雇用破壊を狙っています。これでは、景気回復の道はさらに遠のきます。これらの法改悪は撤回するべきだと、国に対してしっかりと求めるべきではありませんか。お答えください。
 京都市はどうかと言えば、この10年で企業所得は倍増していますが、雇用者報酬は12.5%も落ち込んでいます。京都の大手企業10社の内部留保は、この1年間だけでも4,300億円以上増えて、約6兆3,800億円にもなっていますが、その利益が労働者に還元されていません。賃金を押し下げる一番の原因となっている非正規労働者の割合は、政令市ワースト1位という惨憺たる状況です。雇用改善のために行政として特別な手立てをとる必要があります。まずは、廃止した雇用担当部長を復活させ、雇用対策を積極的に取り組む体制をつくるべきと考えますがいかがですか。 

(産業観光局長)わが国の景気は全体として回復基調にあり、府内の有効求人倍率も、平成26年4月から16箇月連続で1倍を超えるなど、雇用情勢は改善が続いている。他方、本市では、学生アルバイトが多く、宿泊・飲食サービス業の従事者の割合が高いため、非正規雇用が多い。今年度、産業戦略部長の下に、産業政策と雇用対策を一元化し、産業振興を通じた雇用創出に取り組んでいる。また行政、経済団体、労働界のオール京都で、平成26年度からの4年間で正規雇用3万人創出や安定雇用戦略を推進する。国に対して、就労環境改善や正規雇用対策、未来を担う人材育成への支援等を要請した。
 また、自治体が直接行える賃上げの施策として、労働者の賃金の最低限度額を定める賃金条項を設定した、公契約条例を制定する自治体が次々と生まれています。国が3年連続で公共事業設計労務単価を引き上げたのも、ダンピング受注の横行が賃下げを引き起こし、後継者不足・技術継承の困難さを招いているという認識にもとづいて、公共事業の現場での賃上げを図る必要があるという、政策的な判断をしたからにほかなりません。国のこの方針にもとづき、本市でも、公契約の現場で働く労働者の賃上げを実現させることが必要と考えますがいかがですか。 

(財政担当局長)市会には、市内中小企業の受注機会の増大、公契約に従事する労働者の適正な労働環境の確保、公契約の適正な履行等の確保、社会的課題の解決等を総合的に目指す公契約基本条例の制定を提案している。賃金規定については、導入した自治体がごく一部にとどまり、また反対意見も多く、中小企業の負担が過度になること等も考慮する必要があるため導入していない。工事請負など一定の公契約の受注者に労働法令の遵守状況の報告を義務付けする等、公契約に従事する労働者の労働環境の向上に努めていく。
市営保育所の民間移管はやめ、公的責任をはたせ
  
 次に、市営保育所についてお聞きします。京都市は、もともと公立保育所の数が他都市と比べても極端に少ない自治体でしたが、2012年に25の市営保育所のうち5つの保育所を、昨年10月にはさらに6つの市営保育所の廃止・民間移管方針を決定しました。この中には私の地元・左京区の修学院保育所と錦林保育所も含まれています。
 本市がこの方針を決めた理由は、市営保育所が"民間に比べてコストが高い"というものです。しかし、その大きな要因は人件費ですから、人件費を低水準にそろえて行くという方針にほかなりません。
 これまで市営保育所は、様々な先進的な役割を果たしてきました。障害児の職員加配を厚くしていたため、民間保育園と比べて、障害児の受け入れ割合は3倍となっており、困難事例の受け入れ先となってきました。このほかにも、地域子育て支援拠点事業における専任保育士の配置、他の公的機関との連携、民間園への様々な援助など、市営保育所だからこそ担うことができた役割がたくさんあります。この大事な市営保育所をわずか14カ所にしてしまうということは、本市の保育・子育て支援の役割を大きく後退させることにほかなりません。
 修学院保育所の保護者の声を紹介します。重度の食物アレルギーのある子どものお母さんは、「近くの保育所を回りましたが、民間園では断られました。市営保育所の所長さんが、"一人でよく頑張ってこられましたね。これからは保育所と一緒に子育てしていきましょうね"と言ってくださいました。日々、除去食と、重度のアトピーでぎりぎりまで追い詰められていた私はその言葉に救われ、涙が出ました」と言われています。こうした対応ができたのも障害児の職員加配が厚かったことが大きな要因です。この他にも、「なぜ質の高い保育をしている市営保育所を減らさなければならないのか。そして、保護者が本当に安心して預けることのできる市営保育所をどうして民間に移さなければならないのか、全く理解できません」と言う声、「"子育て環境日本一"などと言いながらコスト削減を理由に市営保育所を廃止することは許せない」という声など、切実な思いと怒りが次々と寄せられています。
 新たな6つの保育所の民間移管方針についての市民意見募集では、99パーセントの方が民間移管に反対、あるいは慎重意見となっていましたし、この方針を見直し、市営保育所の存続を求める署名がわずか10日ほどで14,000筆も集められ、市に提出されました。こうした市民の声に市長は真摯に応え、民間移管はやめるべきと考えますがいかがですか。 

(子育て支援政策監)民間にできることは民間に、昨年10月に改定した「市営保育所の今後のあり方に関する基本方針」に基づき、平成29年度から31年度までの3年間に6箇所の民間移管に取り組むこととしている。民間移管に当たっては、保護者・移管先法人・京都市からなる三者協議会を設置し、移管後の運営等について、保護者の意見を尊重しながら、課題等の解消に努めている。
マイナンバー制度の実施を中止せよ
  
 最後に、マイナンバー制度についてお聞きします。この制度は、国内に住民票を持つ人全員に番号を付け、各自の納税、保健料納付、医療機関での受診・治療、介護・保育サービスの利用などの情報をデータベース化して、国が一元管理するというものです。この10月から本市が住民への番号通知をはじめ、来年1月から運用が開始されようとしています。
 これまでは、制度ごとに管理されていた情報が、共通番号でひとつに結ばれることになりますから、個人番号が流出すれば、さまざまな個人情報が芋づる式に流出し、プライバシーを侵害される危険性が高まります。同様の制度を導入しているアメリカや韓国では、個人情報の大量流出・不正使用が大問題になり、制度見直しの議論が起こっています。日本でも、日本年金機構から125万件の個人情報が流出する事件が起き大問題となっています。こうした情報漏えいを100%防ぐ方法はなく、情報が一つに集積されればされるほど、攻撃される危険性が高まります。
こうした危険性について、市長はどのように認識されているのでしょうか。まず、この点についてお答えください。
 来年1月以降、事業所は従業員の源泉徴収票などに個人番号を記載しなければならず、個人番号の厳格な管理が求められます。そのためのコストが中小零細業者に重くのしかかっている点も重大です。東京商工リサーチの6月・7月の調査によると、マイナンバー制度への対応ができた企業は、わずか2.8%にとどまっているのが実態です。また、この制度の導入にあたっての税金支出は、国全体で3,400億円を超える巨額の支出であり、本市だけでも16億円となっています。
そもそもこの制度は、日本経団連・財界のかねてからの提言の通りに、社会保障の給付を削減し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことを目的につくられたものであり、国民の利益とは相反するものです。
 市民の個人情報を守り、情報漏えいの危険性を回避するためにも、また、事業者や市民に対する多大な負担の押し付けをやめさせるためにも、マイナンバー制度の実施は中止するよう、国に対して求めるべきと考えますがいかがですか。以上で、私の第一質問といたします。             

(塚本副市長)マイナンバー制度は、国民の利便性の向上と行政の効率化、公平・公正な社会を実現するための重要な社会基盤である。本制度の運用にあたっては、個人情報の保護は極めて重要であり、なりすましを防止する厳格な本人確認やシステムへの不正侵入の遮断、情報のアクセス制限など、国において強固な対策が講じられており、本市においても個人情報の保護に万全を期していく。
 また、「市民しんぶん」なども活用した周知を行い、行政手続の簡素化やオンライン化など、市民のみなさんにメリットを実感いただける取組をすすめていく。民間事業者の方に対しても、負担の軽減につながる国と合同による説明会の開催、さらには経済団体と連携し、経済相談窓口での支援を行っている。
第二質問 
 
 呼び込み型の拠点開発が京都経済の再生にはつながらないと指摘したのに対して、民間活力を適切に活用していく主旨の答弁がありました。このことは、現在の大企業の空前の儲けが、中小零細業者と労働者の犠牲の上に確保されているという実態に、市長がまったく目を向けようとしていない姿勢が端的にあらわれています。
 大手企業を呼び込むために、都市計画の提案も民間にお任せ、学校跡地の利用の提案も民間にお任せ、という方針は、公の責任の後退というだけではなく、自治体のあり方を変質させるものであると、改めて指摘しておきます。
 小規模企業振興基本法では、小規模企業を地域経済と住民生活に貢献する国家の財産と位置付け、"自治体は小規模企業振興のための施策の策定と、実施を責務とする"としています。本市が、この責務をしっかりと果たし、地域循環型の経済をつくるために力を尽くす自治体へと転換する必要があることを述べて、私の質問といたします。ご清聴ありがとうございました。

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開催議会別目次

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