ひぐち英明議員の代表質問 - 市会報告

ひぐち英明議員の代表質問

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本会議代表質問
ひぐち英明議員

 左京区選出の樋口英明です。日本共産党京都市会議員団を代表して質問いたします。

「アベノミクス」の危険な暴走許さず、賃上げ・雇用の安定で景気回復を

 はじめに、京都経済の活性化についてお聞きします。マスコミの4月下旬の世論調査では、「アベノミクスで景気回復を実感できない」と答えた人は81.9%にのぼり、さらに今後についても、「所得が増えると思わない」と答えた人が7割となっています。株式市場は活況を呈していると言われていますが、それも海外の投機筋が主導しているマネーゲームというのが現状ですから、国民全体では、景気回復の実感はなく、今後も期待できないと感じていることが示されています。
 本市の1月から3月期の中小企業経営実態調査の報告を見ても、景況感はほんのわずか上昇したものの、依然として低迷している状況を脱していません。報告ではさらに、需要増加が一部にとどまっていること、円安基調による原材料の仕入れ価格上昇の懸念が強まっていることなどが指摘されています。

 地元の商店で様子をお聞きすると、あるお米屋さんは「得意先の旅館などでも、ここ最近で注文が増えているという状況はない。出ていくほうばかり多くなる」と話されていましたし、ガソリンスタンドでは「仕入れ値が高くなっても、それを全部売値に転嫁できないから、利益率は下がるばかり」と嘆いていました。市民生活を見ても、新聞に入る折り込み広告を毎日チェックしながら、5円、10円をいかに節約するかということで日々を過ごしている方が多いというのが実態です。
 こうしたもとで、安倍政権は、来年に消費税を8%に、再来年には10%に引き上げようとしています。消費税増税だけでも13兆5千億円、その他の増税や社会保険料の値上げなどを合わせれば、20兆円もの負担を国民に押し付けようというのですから、とんでもありません。1997年の消費税の増税によって、景気が大きく後退し、京都市の税収が落ち込んだという事実も、繰り返し指摘しているところであり、市民生活、中小業者、京都市の税収のどれをとってもマイナスばかりの消費税の増税は行うべきでないと、国に対して声を上げるべきと考えますがいかがですか。

(財政担当局長)今回の消費税率の引き上げは、社会保障制度の安定財源確保と財政健全化を目指すもの。
 消費税率の引上げは、本年秋に、国において経済状況等を総合的に勘案して判断される。低所得者や中小業者への影響を最小限にとどめる対応策を十分に講じたうえで実施されると考えている。

 また、電気代やガス代などが値上げされた上に、本市が保育料や水道料、各種施設の利用料値上げを決めたことは、市民生活や中小業者の厳しさに拍車をかけることになり、本当に許せません。
 水道料金の値上げについては、老朽管対策をその理由に挙げていますが、破たんしているムダな大型事業の焼却灰溶融施設をやめる、あるいは、国の「元気臨時交付金」を活用するなど、老朽管対策の繰り入れを行なおうという努力がなされていません。さらに、国への補助制度改善の要望すら行わなくなるなど、料金値上げを回避するための手立てがとられていないことも、まったく納得できるものではありません。そもそも老朽管対策を料金値上げでまかなうという考え方は全国的にも例がありませんし、また、水道会計は5年連続、下水道会計も2年連続で黒字であること、市民への説明をまともに行わず、公聴会すら拒否したことなど、どの点から見ても、値上げは容認できるものではありません。市長が市民生活と中小業者の厳しい実態に真正面から向き合うのであれば、10月からの水道料金の値上げは中止すべきと考えますがいかがですか。

(上下水道局長)今回の料金改定は、社会状況の変化に対応し、上下水道サービスを将来にわたって安定的に提供するため、32年ぶりに大幅な制度の見直しを行い、+3.7%とした。2月市会において、十分な審議をいただき、議決されたもの。市民の皆さまに引き続き周知を行い、円滑に責任をもって実施していく。

 さて、長引く不況の原因が、働く人の賃金の低下にあることは広く共通の認識になっています。ところがアベノミクスでは、賃金を引き上げる具体的な方策が示されていません。実際、輸出大企業であるトヨタは円安による莫大な営業利益をあげており、今年度末には過去最高益を達成する勢いと言われていますが、工場の海外移転は今後も続けるとしています。つまり、利益を従業員や国内に還元するつもりがないということです。これでは、輸出大企業は大儲けする一方で、国内の景気や雇用はいっそう冷え込むことになります。さらにアベノミクスは、「成長戦略」などと言って、労働法制の「規制緩和」と雇用のルールの弱体化で、派遣労働の拡大とともに、賃金を下げる方向まで示していますから、不況がますます深刻になります。
 本市では、2月議会で、働く人の所得を増やすことが景気回復につながるとの答弁がなされ、その後、労働局長、京都府知事、京都市長の連名で、経営団体に賃上げなどの要請に行かれたことは、評価するものです。しかし、多額の内部留保を抱える大企業がこの要請にこたえようとしていません。例えば、京セラは内部留保を1兆5千億円もためており、そのわずか0.2%を取り崩すだけで、従業員に毎月1万円の賃上げを行うことができます。任天堂の内部留保は1兆4千億円で、0.03%の取り崩しで、月1万円の賃上げが可能です。こうした、京都を代表する大企業が率先して賃上げを行うよう、国・府・市が緊密に連携して働きかけを繰り返し行うべきと考えますがいかがですか。

(産業観光局長)国の経済対策を実効あるものにするためにも、安心して働き続けられる労働環境の実現が重要である。京都の経済団体に対して、積極的な雇用の確保と、給与等の就労条件の改善を要請したが、具体的には、各企業それぞれの業績に応じて決定されるもの。景気動向等に注視しながら、国・府・市の連携のもと、時宜をとらえて、必要な対応をしていく。

 さて、「元気臨時交付金」が国から交付されますが、この交付金は、地域経済の活性化と雇用創出を目的としています。本市でも、今年度の予算編成の際に第一の重点政策として「京都経済の再生と雇用の創出」を掲げており、今、まさにこの目的に沿った施策の実施が求められています。
 そう考えた時に、全国的に緊急経済対策として採用され、大きな成果を挙げている事業に、「住宅リフォーム助成制度」があります。これは、市民が住宅をリフォームする際に、市内業者に発注することを条件に工事代金の5%や10%を自治体が助成するという制度です。全国的には昨年度の場合、政令市を含めた495の自治体が取り入れています。この制度は、自治体が組んだ予算の15倍程度の工事額が市内業者に直接発注されているのが通例ですから、本市で10億円程度の予算を組むとすると、市内事業者に150億円規模の仕事が発注されることになります。これは、直接発注される工事額であり、経済波及効果はさらに大きなものとなります。地域経済の活性化と雇用の創出という点で、他都市ですでに実績が証明されているこの制度を、本市でも創設すべきと考えますがいかがですか。

(都市計画局長)昨年度、「まちの匠の知恵を活かした京都型耐震リフォーム支援事業」を創設するなど、耐震予算を10倍にし、市内中小業者の仕事起こしにも大きな成果を上げている。一般的な住宅リフォーム助成よりも、耐震、バリアフリー助成など政策上の重要度、緊急度や経済効果が高い事業を、優先的、重点的に取り組んでいく。

 国からの交付金が増えたことで、本市でも公共事業が増えていますが、これを地域経済の活性化につなげるという点では、公契約条例の制定が、その実効性の確保に大きな効果を発揮します。昨年度から「公契約基本条例」を検討中ということですが、わが党が繰り返し求めてきたところであり、一刻も早い制定を求めるものです。
 同時に、下請も含めた地元発注と、何次下請であろうと、現場で働く労働者の賃金を確保するための取組を、いっそう強めていかなければなりません。6月から、下請契約と、資材・原材料の購入契約の際には、市内中小企業を選定するよう努めなければならないことが、工事請負契約約款と入札公告に明記されることになりました。これも、我が党がかねてから求めてきた内容であり、評価するものです。今度は、この方針にもとづいた指導を本気で行うかどうかが問われています。というのも、本市では、公共工事の元請の市内発注率は、件数で数えると9割、下請を含めても8割を地元に発注しているとしていますが、金額で見るとそうはなっていません。数十億円規模の工事の場合は、地元への発注率が極端に下がるという実態がありますから、こうした工事においても、下請も含めて地元業者への発注がされるよう、指導を強めるべきと考えますがいかがですか。
 また、公共事業における労働者の賃金の計算をする際の基準になる設計労務単価が、10年以上右肩下がりでしたが、今年は大きく引き上げられました。この内容が現場労働者に反映されなければなりません。本市でも施工体系台帳に契約金額が記入されており、現場での賃金・単価の実態をつかむことが可能なのですから、公共事業の現場で働く労働者に、適正な賃金が確保されるよう、指導を強めるべきと考えますが、いかがですか。

(財政担当局長)公契約基本条例の制定に向け、本年度は、事業者へのアンケート調査や学識経験者からの意見聴取等を行い検討を深めていく。
 市内中小企業の受注機会の拡大について、6月から契約約款等において、下請及び資材等の購入には市内中小企業を選定する努力義務を明記する。また、公共工事設計労務単価については、今月から新単価での積算を開始するとともに、4月以降の契約工事についても、新単価で積算した契約金額に変更できる特例措置を講じる。

農業・中小企業破壊のTPP交渉参加に反対せよ

 次にTPPが本市に与える影響についてお聞きします。右京区京北で農業をしている方々からお話をお聞きしました。「今でも米の価格は30年前と比べると、大きく下落し、一俵あたり14,000円ほど。TPPに参加したら、3,000円くらいの米が入ってくると言われている。こんな金額では、苗を買って、荒起こしをして、代掻きをしたらそれで終わり。その後の、田植えや稲刈り、籾摺りなどの農作業は全部農家の持ち出しになってしまう。今でもぎりぎりの状態でがんばっているというのが実態だが、それでも耕作放棄地が増えているのが現状。さらに安くなるのなら、生産意欲をなくし、コメづくりそのものをやめてしまう。そうなれば耕作放棄地ばかり増え、集落としての体をなさなくなる」と話されていました。集落そのものが消滅していくという危機感を持ってのお話でしたが、水の供給源である山が荒れ放題になることを意味していますから、都市部にも深刻な影響を及ぼします。
 TPPは農産物への影響にとどまるものでなく、また、関税だけの話でもありません。あらゆるモノやサービスの取引、投資、労働、自治体の調達、食品、医療、建築安全など、多岐にわたる問題を抱えています。中小業者の生活を支える共済や信用金庫などの地域金融機関さえも攻撃の対象となっています。さらに、アメリカの多国籍企業が自由に日本の公共事業や物品・サービス調達に参入できるよう求めていますから、本市が取り組んでいる地元中小企業の受注機会の拡大の施策が、アメリカ企業の障害だ、と言われることも想定されます。つまり、TPPは市長の目指している公契約基本条例とも真正面から対立する協定です。
 市内の農産物への深刻な影響、そのことによる地域の崩壊だけでなく、本市の地域経済の活性化にも逆行するTPPへの参加問題で、国の動向を注視しているだけではまったく不十分です。国に対して、断固中止すべきと強く要望する必要があると考えますがいかがですか。

(産業観光局長)首相の交渉参加表演説においても、食の安全・安心の確保や農業の多面的機能の保全の観点から、豊かな農業や農村を国益として守り抜く方針が表明されている。
 本市では、京都の強みを生かした「京の旬野菜」の推奨、京大との連携による京唐菜や京ラフランなど新京野菜の導入、農業の6次産業化、学校給食による地産地消、酒造会社との連携による酒米作りなど特色ある農業を展開してきた。付加価値の高い米や野菜の生産体制を確立するとともに、こうした取り組みへの一層の支援を国に求めていく。

待機児童の解消へ、認可保育所を増やし、保育環境の整備を

 次に保育環境の整備についてお聞きします。本年4月から、新たな保育事業ということで、グループ型小規模保育事業と保育所型家庭的保育事業が2か所ずつ、合計4か所で始まりました。その内、マンションの一室で行っているのが3か所です。待機児童解消のための「緊急の措置」との答弁が繰り返されていますが、「一時的」と言わないところに、大きな問題があります。
 保育体制についてですが、子ども5人に対して保育者が2人ということになっています。グループ型小規模保育事業の場合、定員15人ということで、6人の保育者となるわけですが、朝7時半から夕方6時までの保育を保育者のローテーションで対応しますから、実際に保育に入っている人数はもっと少ない人数になります。そこで、現場の方からは、「調理師とまでは言わないけれど、せめて離乳食の対応する保育者をもう一人追加して欲しい」との切実な要望をお聞きしています。委託料が少ないために、十分な保育体制が取れていないことが示されています。
 保育環境についてですが、園庭がないことも問題ですが、「お昼寝用の布団のラックは譲り受けたもので、職員が塗装しなおして使っている」「食器を入れる棚がない」「理事長が私費を持ち出して子ども用のイスを買った」など、施設整備費200万円ではまったく足りていません。保育環境の整備は本市の責任で保障するのが当たり前ではないでしょうか。
 昼間里親と同じ保育単価ということが言われていますが、昼間里親の単価がそもそも低すぎます。自宅を開放し、自宅の庭や保育室以外の部屋も兼用しながら、まさに里親さんの献身的な努力によって保育が行われています。せめて、保育士を確保できるだけの委託料、常勤で働ける人を雇えるだけの委託料の確保を、といった要望が繰り返し昼間里親さんから出されています。
 「子育て環境日本一」といった話を市長がよくされていますが、その言葉と保育現場の実態は大きく違っていると言わざるを得ません。保育園や昼間里親は、子どもの生活の場、子どもの発達を保障する場、という-観点にしっかりと立って、昼間里親さんの委託料などを抜本的に増やすこと、さらに、今回はじめた新たな保育事業も抜本的な改善が必要と考えますがいかがですか。また、新たな保育事業はあくまでも「一時的」と位置付けて、待機児童の解消は認可保育所を増やすことで対応すべきと考えますがいかがですか。
 国が2015年に実施を予定している「子ども子育て新システム」は、認可保育所を増やす方向でなく、保育の公的責任をより少なくし、安上がりな保育で対応するという方向が示されています。新システムが施行される前から、国が認定子ども園や家庭的保育事業を行っていることは、安上がりの保育を先取りしていることであり、京都市もその国の方向に沿った保育施策を取り入れています。保育環境を認可保育園よりも低い方向で設定することは、子どもの発達の視点から言えば、絶対に間違っており、今の保育基準の引き上げこそ求められています。待機児童の解消を新システムの方向で行うことは決して容認できないことを指摘しておきます。

(門川市長)待機児童の生じている地域では、緊急的な対応として、今年度から賃貸物件を活用したグループ型小規模保育事業及び保育所実施型家庭的保育事業について、面積や人員配置に関する国基準を踏まえ、本市独自に運営費を充実させて実施している。昼間里親についても、段階的に運営費を増額してきている。
 今後も国の動向も踏まえ、認可保育所の整備をはじめ、様々な手法を活用し、保育の充実、待機児童解消への取り組みを積極的に進めていく。

左京区・市原の防災対策を早急に

  最後に、地元左京区の問題についてお聞きします。左京区市原は、人口5,300人ほどで住宅地に山が迫っている地域です。京都市の防災マップ水災害編でも、被害の恐れのある急傾斜地とされている箇所や土砂災害の危険が指摘されている箇所もあり、対策が求められています。昨年7月の豪雨の際には、山からの水で、道路が水没をする、土砂で道がふさがれる、農業用水路が埋まってしまう、住宅が浸水するなど、被害が多数発生しました。水害が繰り返されていた箇所や、昨年初めて被害が出た箇所など、状況は様々ですが、全体としては、周囲の山に整備の手が入らないまま、荒れてしまっていることに大きな原因があると考えられます。
 本市でも、林業振興という点での、間伐や、林道・作業道への補助の仕組みがあります。しかし、市原のように、多くの市民が住んでいて、なおかつ山がすぐ近くにあるような地域は、従来の補助制度では対応できていないのが現状であり、防災の観点からの山の保全対策として、特別な手立てを講じる必要があると考えますがいかがですか。
 さらに、この付近は国有林もありますし、土砂災害防止用のえん堤は京都府の事業でもあります。市民の安全を守るためにも、本市として国や府にもしっかりと働きかけていただきたいと考えますがいかがですか。
 また、頼光橋付近では、本市が行った道路改良工事直後の2004年の大雨で道路が冠水し、付近の住宅が床下浸水するという被害がありました。道路改良がされる前は浸水被害が起きていなかった場所です。その後、何度も同様の被害が繰り返され、昨年7月の豪雨の際にもやはり浸水被害が発生しました。一時避難的な対策としての仮設水路がやっとつくられたことは承知していますが、あまりにも対応が遅すぎます。一刻も早く根本的な改善を図るべきと考えますがいかがですか。
 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(塚本副市長)森林は、美しい景観の創出、豊かな水を育み、災害からまちを守るなど、市民生活にとってかけがえのない貴重な財産である。これまでも、ナラ枯れ対策などに取り組んできたが、今後もより一層森林整備の推進に努めていく。
  国有林や府の事業など、国や府に対して、あらゆる機会を通じて働きかけていく。
 頼光橋付近の抜本的な対策として、今年度早期に新たな雨水管きょの整備工事に着手する。今後とも、関係局の施策を融合し、防災対策に努めていく。

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