井上けんじ議員の代表質問 - 市会報告

井上けんじ議員の代表質問

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本会議代表質問
井上けんじ議員

 南区選出の井上けんじです。日本共産党市会議員団を代表して市長に質問します。

社会保障の改悪を許さず、市民のくらしの実態に寄り添う行政を

 市民の皆さんから毎日様々なご相談が寄せられます。国民健康保険料は高止まり、固定資産税も高いし、住宅ローンもまだまだ残っている、家賃も大変だ。支払能力以上に負担が大きいのか、負担に見合う収入が追いつかないのか、いや、負担は増え収入は減るというのが現実ではないか。所得階級別世帯割合を見ると、200万円未満が25%、300万円未満が39%、国民年金は平均月52,660円、就学援助の対象は24%、労働者の半分は非正規。これが市民生活の実態です。事業所数は、この10年で6千以上も減少、開業率より廃業率が大きく上回り、負債1千万円以上の倒産は毎年300件前後、商店街はこの10年で7%も減っています。一体こんな時に政府は何をしているのか。何が増税ですか。何が社会保障の改革でしょうか。年金は値下げ、支給開始年齢は遅らせる、協会けんぽの保険料も値上げ、労働者派遣法も公約違反で政府自ら不安定雇用を作り出す、障害者自立支援法も裁判和解を踏みにじって応益負担は残す、保育も行政責任の後退、民主党の前原政調会長は「社会保障はムダの宝庫だ」と言って憚らない。京都ではどうか。介護保険料も後期高齢者医療保険料も値上げ、値上げ、市長も「京(みやこ)プラン」実施計画で、市税軽減措置の見直し、債権回収の推進、福祉施設の在り方や学童う歯対策、緊急通報システムも敬老乗車証も、検討とか見直しとかのオンパレード。政府の一体改悪に輪をかけているではありませんか。しかも、このプランで市長は「市民と行政が危機感と責任を共有し」などと言っておられます。値上げを押しつける市長と押しつけられる市民が一体何の責任を共有すると言うのですか。黙って市の方針に従えということでしょうか。

(保健福祉局長)「社会保障と税の一体改革」は、社会保障制度について、全世代を通じた安心の確保を図るため、安定的な財源を確保し、将来にわたって持続可能な制度を実現していくもので、国会審議の動向を注視しつつ、必要な意見を積極的に述べていく。

 昨年11月市会で、市長は「市民生活は依然として厳しい」と答弁されています。ならば、保険料の引き上げと給付の切り下げ、自立自助・自己責任ばかりが強調されるなど政府の社会保障後退の動きに対する認識はいかがですか。この動きから市民のくらしを守り、京都経済を底上げすることこそが、市政の最大の課題ではないのですか。京プランで市民のくらしは守れますか。まず基本的な認識をお聞かせ下さい。

(市長)「プラン」の実現こそ、市民のくらしを守ることにつながる。持続可能かつ機動的な財政運営をめざし、総人件費の削減など内部努力を徹底し、負担の公平性の確保や、より効率的で効果的な事業手法など、様々な観点から施策・事業の点検をすすめていく。

 病院の入院代が払えなくて困っているというご相談も複数の市民の方から頂いています。医療機関から言えば未収金ですからこちらも大変です。3割負担といっても重篤の場合など月数十万円。支払を一定額に抑える限度額認定証が有効ですが、市長は、この認定証の発行に保険料納付を要件としています。発行されても前月分は対象になりませんから、月末が迫っている場合など、保険料の工面は時間との争いです。月を超えると一日違いで数万円と数十万円の分かれ目にもなるのです。こういうせっぱ詰まった場面を市長は考えられたことはありますか。納付要件を緩和し、市民と医療機関の負担を軽減すべきです。単身者で無保険の場合などもっと大変です。ある病院の話では、支払困難な患者さんが「入院中です」と市に連絡しても、「それは病院と患者の問題だ」との返事だったとのことであります。医療機関との連携を深め、福祉事務所や区役所等へ連絡して頂いて生活保護や国保の担当者が出張し、訪問・面接して手続きを急ぐような仕組みなり体制なりはいかがでしょうか。この点についてお答えください。

(保健福祉局長)入院費等の支払いが困難な患者の方には、福祉事務所と医療機関が連絡を取り合い、対応可能な制度が利用できるよう、親切丁寧な相談を行っている。

 生活保護の場合でも、相談だけで終わった市民がその後どうされておられるのか、申請が原則ですが、その後の様子を聞く電話などいかがでしょうか。国保の保険料納入督促は夜間に電話もしています。福祉事務所や市役所が、市民をお客様と呼んでいるのを聞くことがありますが、どうなのでしょうか。電気・ガス・水道料などの支払い困難世帯について、事業者との連携を強めるよう厚生労働省が言っていますが、現状はいかがですか。市民の基本的人権を守る、セーフティネットを守る、その水準を引き上げる、ボーダーライン層にも手を差し伸べる、市民生活全体の底上げを図るという方向での生活保護行政の充実を求めます。人間裁判と呼ばれた朝日訴訟第一審判決では予算に左右されてはならないと格調高くうたっています。不正受給対策と言うのなら、一方で困った時には適正受給ができますよと呼びかけたらいかがでしょうか。これらについてもお答えください。

(保健福祉局長)生活保護は、「最後のセーフティネット」であり、「必要な人に必要な保護」ができるよう取組んでいる。

 介護保険や高齢者福祉の分野でもみんな民間任せです。長寿プランの市長挨拶では、市が直接高齢者を支えるというより、「地域で支え合う」ことばかりが強調されています。老人担当のケースワーカーの増員等の体制増強も含め、福祉事務所・保健センター等が、もっと高齢者宅や現場へも足を運ぶ、市立の地域包括支援センターをモデル的につくる、公務員のケアマネージャーをもっと養成して困難事例を担当する等々、地域包括支援センターや民間事業者への支援とともに、市自身ももっと直接的に高齢者福祉に関わり、積極的役割と責任を果たすよう求めます。事業所訪問といえば、党議員団は、従来から産業政策の一環として提案していますが、一度高齢者訪問調査も、民間事業者任せにせず、市職員総出でやってみてはいかがでしょう。市自身がもっと高齢者と直接接するべきです。この点についてもお考えをお聞かせ下さい。

(保健福祉局長)市内61箇所に地域包括支援センターを設置し、福祉事務所のケースワーカーとも連携している。今年度からは、センターの職員体制を拡充し、一人暮らしの高齢者の訪問活動等を行っていく。

職員削減方針は撤回し、「公務労働者」の労働条件の改善を

 次に、市職員削減計画の撤回、及び非公務員ながら公務を担っている労働者の労働環境改善を求める立場から質問します。
 市長は今後10年間で1,400人の削減と言われていますが、それで市民の命とくらし、営業を守る仕事に支障は出ませんか。例えば消防局でも80人もの削減計画ですが、文化財が多く細い道も多い、高齢者比率も高い京都を、数字だけで他都市と比較していいのでしょうか。財政危機だからやむなくと言われますが、それならなぜ自慢されるのでしょう。非正規職員へ置き換えたり、事業自体を民間へ振ったりという方向が政策的に目指されているからではありませんか。「民間にできることは民間に」と市長は言われますが、市民の福祉増進という自治体の役割は、憲法上、全体の奉仕者として位置付けられている公務員が必要な各分野に配置されてこそ発揮されていくのではありませんか。削減して市民のくらしは守れるとお考えですか。守るための体制も保障もないと私は考えますが市長はどのようにお考えですか。削減計画は撤回すべきです。お答え下さい。

(星川副市長)年々、数十億円単位で増加している福祉関係予算を確保するため、総人件費の削減など、間断なき行財政改革は、本市の最重要課題として取り組んでいる。
 今後も、組織や業務の徹底した効率化等により、職員数の更なる適正化が必要と考えている。

 一方、市役所でも非正規職員が増えています。現在、市で働く正規職員は交通・水道・教育を除いてざっと約8千人。他方で、非常勤嘱託職員と再任用職員は約1800人・18%、更に派遣社員約50人、加えて昨年4月時点ですが300人余りの繁忙期事務職員がおられます。教育委員会でも約2000人の非正規の教職員がおられます。
 更に、民間の事業所や公の施設の指定管理者、市バスの民間受委託やバス整備、水道の検針、中小企業相談、ゴミ収集、保育所・福祉施設・介護事業所、等々、歴史的な経過や態様の違いはありますが、民間でも広く市民のくらしを支える公共の仕事に携わる労働者がたくさんおられます。広い意味での委託元は市長であります。
 加えて、これら民間の公務労働者の中でも特に派遣や不安定雇用労働者が増えていることが最近の大きな特徴であります。保育所など、雇用への不安な気持ちを抱えながらも、市民のため、子どもたちのために頑張っている労働者の気持ちを市長は考えられたことはありますか。市長の責任で不安定雇用を減らすべきです。市民のための公の仕事だからこそ、身分の確保と一定水準の賃金労働条件の保障が必要です。その保障の水準は、市民への福祉増進の水準でもあります。
 以上あげた三つの各分野について個別具体的に調査検証し、実態を把握して、これら市政を支えている労働者の身分の安定、賃金労働条件の向上に力を尽くすべきであります。お答え下さい。

(星川副市長)市の非常勤嘱託員や臨時的任用職員は、占める割合も増え、できるだけの処遇改善に努めている。民間の事業所については、各々の雇用主の責任において、関係法令等に基づき、適正に対応されるべきもの。

中小企業支援へ、個別産業政策の立案を

 次に、中小企業振興策についてお伺いします。この分野では、2年前に市が委託した調査報告書が底上げや共同化などの提言をまとめておられますが、これをもっと具体化するように求めます。また、産業政策のいっそうの体系化に向け、個別の産業政策の方針立案を求める立場から、以下質問します。
 既に商業活性化プランや新価値創造ビジョン、また、農林業振興や伝統産業政策、観光振興計画等々がありますが、地産地消、地域経済の底上げといった観点から、どういう産業をどういう方向へ応援していくべきなのか、もっと個別産業分野毎の深い分析が、夫々要るのではないでしょうか。私は、既存の各計画に加え、個別産業政策の例として、再生可能エネルギーの産業化と、建築を含む建設産業政策の立案を求めます。
 市長も、関電株主総会へ向け「原発に依存しない電力供給体制を構築すること」と提案されておられます。7月から始まる固定価格買取制度や市民共同発電等、制度や枠組みづくりとともに、発電装置そのものはモノづくりでもありますから、研究・開発・試作・実用化等、ハード部門の供給を地元中小企業支援の絶好の機会として位置付けてはいかがでしょうか。財政支援や技術支援、需要と販路の拡大、関係業界の共同化等々、方法はいろいろ考えられるでしょう。メガソーラーなど大手だけでなく、中小企業にもこの大事業を担ってもらうのだというメッセージの発信が出発点だと思います。すでに、いくつかの自治体やNPOなどでも先進例が生まれています。ぜひ研究し検討されるよう求めます。お答えください。
 もう一例として建設・建築産業を取り上げます。建設業は就業者数では産業分類上6番目に位置し、公共事業との関係が深いこと、下請け重層構造であること、中小零細の割合が高いこと、仕事の成果が地域密着であり、その点で本来的に地元産業であること、まちの耐震化、防災のまちづくり、衣食住の住を担う生活必需品産業であること、等々の特徴が挙げられます。どう位置付け、どういう発展方向を目指すのか、地域経済の振興を図る観点から、産業政策の一環として重視すべき分野だと考えます。国土交通省でも、建設産業の再生と発展のための基本方針が打ち出されています。来るべき公契約条例については、狭義の入札・契約問題に矮小化せず、関連産業の育成、雇用の拡大、市内産業・中小零細事業者を応援する、そういう経済政策の一環として位置付けることが必要だと考えますが、そのためにも、契約の対象でもある建設産業の分析と政策化を求めるものであります。答弁を求めます。

(産業観光局長)再生可能エネルギーの産業化は、省エネルギーに貢献する機器や部材の研究開発を積極的に支援してきた。さらに京都産業育成コンソーシアムの一員として、環境・エネルギー産業の振興に取り組んでいく。
 建設産業は小規模・零細事業者が多く、地域との関連性も高い。金融・経営面の下支えとともに、公共事業の市内企業への優先発注や、木造住宅耐震リフォーム支援制度などにより需要を喚起していく。

自治体のあり方、広域化をめぐる問題について

 最後に、自治体のあり方、特に広域化について質問します。自治体同士の連合や広域化をめざす理由として国の出先機関の移管等が挙げられていますが、そもそもなぜ移管なのかの説明がありません。労働局や労働基準監督署、国道事務所、河川事務所等、市民の身近に存在しています。台風の際にも地元と連携して活躍しました。国民生活を守るという国の責任と役割がなぜ否定されなければならないのですか。多くの市町村からも不安や疑問、批判的な声が出されています。義務付け・枠付けの見直しとも言われますが、別に地方をしばっている訳ではなく、財源も含めて国民生活を支えているのです。先日開催された、出先機関の移管実現・地域の自立をめざすシンポジウムは、関西広域連合主催なのに基調講演は前総務大臣、経団連も共催、会場も経団連会館と、政府と財界の手の平の上での企画でした。国民生活を守る役割を放棄し、財源抜きに地方に押しつけようとする政府の狙いに乗せられているだけではありませんか。広域的な経済活動で交通・物流の基盤整備、国際競争力強化をうたう財界の思惑に沿った動きにもなっています。防災や広域医療・観光等とも言われますが、各自治体間で連携し合っていけばいいだけのことではありませんか。広域災害への対応については、国のリーダーシップ強化の方向で消防組織法が改正されています。なぜ出先機関の移管なのか、自治体間の連携だけではなぜ不十分なのか、これらについて答弁を求めます。
 実は、出先機関の移管や広域連合は関西州への一里塚ではありませんか。分権改革推進委員会勧告は「権限移譲は道州制への道筋をつけるため」、政府の地域主権戦略大綱は「道州制も視野に入れる」、関西経済連合会も「広域連合は道州制への最も有効なステップ」、更に日本経済団体連合会も「道州制で公務員人件費削減、公共投資へ」等々と言っています。2月議会では、副市長が「特別自治市は道州制が前提」と答弁されました。市長も「道州制も議論しながら」と答弁され、更にこの4月20日に設立された「道州制推進知事・指定都市市長連合」、以下首長連合と言いますが、この組織に構成メンバーとして名を連ねておられます。道州制が本命ですか。御手洗前経団連会長は「道州制で空港港湾道路の整備、輸出立国、集めた資金を道州内に効率的に再配分、議会もスリム化」等々と雑誌に書いておられます。
 すでに、本市を含む関西特区は広域連合や道州制の未来を先取りしています。検疫の緩和、輸出入手続きの簡素化、埋立促進、規制改革、税制財政金融上の支援措置、法人税の減税、利子補給、等々、著名大企業の名を挙げ、国際競争力強化を応援するとされています。住民自治や地域経済の視点は全くありません。一連の流れは、大企業の営利活動応援に既存各自治体の組織や財政が利用されていく方向ではありませんか。
 京都市と京都府の将来も心配です。大阪市解体とのことですが影響はありませんか。ある道州制推進論者は、政令指定都市分割と言っておられます。府の場合はもっと現実的です。道州制推進首長連合の設立趣意書は「基礎自治体の在り方や都道府県の存在意義が問われている。答えは都道府県制の廃止、道州制の導入である」と言っています。そこでお聞きします。そうすると京都府は廃止されてしまうのですか。廃止をうたう組織の一員として市長はどうお考えですか。また、この首長連合の構成メンバーになられたということは、市長も道州制推進の立場と理解していいですか。そうでないのなら抜けるべきです。それぞれ具体的にお答え下さい。
 そもそもこれらの議論の出発点となってきたのが地方分権論であり、その特徴は住民自治の欠落と自治体合併、地方交付税大幅減額でありました。交付税減額は、全国の各自治体と本市にとって死活的な問題となっています。今、財政危機だと言われるのなら、大筋として分権論や三位一体に賛成してきた前市長からの市政を、市長はどう振り返っておられますか。今後のためにも総括が必要ではありませんか。地域主権論への無批判的な追随は、交付税の額やあり方にとどまらず、自治体の根本的なあり方にも係わってきます。そもそも範囲も概念も曖昧な地域なるものに主権はありません。関西も地域だと言いたいのでしょうか。憲法に基づいて国民主権・地方自治と言えばいいのです。地域主権論から更に広域連合、道州制への道は、国の責任と役割の後退、財政保障機能の後退、住民自治の後退、大企業応援の仕組み作りへの道ではないでしょうか。
 今、地産地消・循環型と言われています。環境や中小企業・地場産業重視、くらしと経済の底上げがこれからの自治体のあり方ではないのですか。地域では買い物・お風呂・交通・介護等々、難民・弱者等と言われる人たちが一杯です。全国的に孤立死・孤独死も増えています。ちょっと方向が違うのではないでしょうか。自治体の形をあれこれいじれば市民が幸せになれるというのは幻想です。憲法と地方自治にもとづいて市民のくらしに寄り添う自治体の中身を創ること、都市間競争等と言っていないで、各自治体が力を合わせて財政保障と真の自治権拡大を政府に求めていくこと、こういう方向にこそ全力を挙げるべきではないでしょうか。重ねてこのことを求めて、質問を終わります。

(市長)東京一極集中や二重行政の弊害を打破し、国や都道府県から権限と財源を移譲し、地域主権型社会へ転換していかなければならない。そのためには国の出先機関改革をはじめとする地域主権改革を進めていく必要がある。
 現在の地方自治制度を抜本的に見直し、新たな大都市制度、特別自治市制度を創設するとともに、広域的な行政課題等への総合的な対応が可能となる道州制を導入することが望ましいと考えている。
 なお、関西広域連合は、道州とは異なるものであり、そのまま道州に移行するものではない。

 

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