[見解]子ども若者はぐくみ局設置と区役所・支所の再編方針について - 見解・声明

TOPICS ICON[見解]子ども若者はぐくみ局設置と区役所・支所の再編方針について

日本共産党京都市会議員団  団長 山中 渡

 京都市は「子どもや若者に関わるあらゆる行政施策を融合し、一層推進していくため」として、『子ども若者はぐくみ局』を設置し、区役所・支所にその窓口「子どもはぐくみ室」を設置するとの方針を打ち出しました。また、子どもはぐくみ室の設置にともない、区役所の福祉事務所と保健センターを統合し「保健福祉センター(仮称)」とし、衛生課等の業務を集約化することも示されています。
 2017年度スタートありきで、11月市会において、事務分掌条例の改定や局創設にかかるシステム改修経費や医療衛生部門設置の補正予算も付されましたが、全市5ヶ所の地区医師会からも今回の再編で公衆衛生向上の機能が低下するのではないか等と危惧の声が出されるなど、市民や関係者から不安の声が出されています。
 今回の局再編は3つの問題があります。第一に、子どもを権利の主体として位置づけていないこと、第二に、地域保健の機能が大きく後退する懸念があること、第三に、健康危機管理業務の集約化で身近な区役所行政を市民から遠ざけ市民サービスを後退させることです。党議員団は市長が、局・区役所・支所の再編方針を撤回し、再検討されることを求めます。

子どもを権利の主体者として位置づけていない
 
 京都市は局再編によって「地域と行政とが一体となり、京都に息づく『子どもを地域や社会の宝として大切に育む生活文化』を『はぐくみ文化』として創造し、発信してまいります」と説明していますが、子ども自身を権利の主体として位置づけるという重要な点が抜け落ちています。行政の責務として重要なのは「子どもの権利を守る責務を果たす」ことです。
 「児童の権利に関する条約」(日本は94年批准・発効)には、すべての子どもに生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利があり、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきこと、子どもの最善の利益を尊重することがうたわれています。しかしながら、現在、社会に格差や貧困が広がるなかにあって、子どもの虐待や権利侵害があとを絶たず、その実態は約6人に1人の子どもが相対的貧困の中で育っていることに見られるように、広範かつ深刻な内容があります。今、これらを捉え、解決策を講じることが、自治体に強く求められています。

地域保健対策の中軸である保健センターの大きな機能後退の懸念
 
 保健センターは地域保健の中軸であり、公衆衛生はもとより、地域住民の健康の保持及び増進を総合的にすすめる責務を負っています。保健福祉センターの設置により、地域保健の機能が弱まることはあってはなりません。しかしながら、健康づくり推進課が集団として担ってきた母子・成人保健、精神保健などが5つの課・部門に分けられることにより、その機能が十分に発揮されるのか極めて不透明です。例えば、乳幼児健診においても重要な役割を果たしている栄養士は保健センターに1人の配置が多くをしめていますが、分けられた課・部門でどのように職務を遂行するのか明らかではありません。現状でも栄養士や保健師等の産休代替えがなかなか見つからないなど、専門職の確保や育成が課題となっています。「業務のスリム化・効率化」も述べつつ、人員配置はプラスマイナスゼロと説明されていますが、体制強化の方向なしに地域保健の充実はありえません。

健康危機管理業務の集約化は身近な区役所を市民から遠ざけ、市民サービスを後退させるもの

 京都市は衛生課業務等の集約化について、違法「民泊」適正化指導、感染症、食中毒など迅速かつ的確に対応する必要がある健康危機管理業務について、「機動的かつ重点的な対応を図るため」全市で1ヶ所の拠点に集約するとしています。
 しかし、現在、「機動的」対応に困難が生じている原因として目を向けなければならないのは、これまでの体制の後退です。衛生課の職員は今年4月18日時点で全市で90人ですが、2010年は101人、保健所だった09年から比較すると、30人の減員となっています。集約化で各行政区窓口が相談に専念できれば人数は減らせるとの説明もされていますが、相談を受けても実際に対応するのは別のところとなれば、市民サービスの後退は明らかです。行政区の特性をふまえ地域密着で行われている日常業務が基礎にあるからこそ、食中毒や感染症などでの適切な対応ができます。今でも、違法民泊対応も追いついていないのが現状です。増大する公衆衛生に関わる対応を、「集約」するのではなく、行政区ごとに充実させることこそ必要です。
 この間、区役所においては、新たな区政創生の「全市一律で行われる業務の所管組織の見直しや業務の統合、集約化、拠点化」方針のもとで区役所の行政機能が後退させられてきました。保健所の保健センター化や子ども手当等業務の保健福祉局への集約化、課税業務の市税事務所への集約化などに続く衛生課業務等の集約化は、身近な区役所をどんどん市民から遠ざけるものであり、市民サービスを後退させるものです。

党市会議員団は提案します―子どもの権利条例を制定し、子どもを権利の主体者として位置づけ、行政の責務を果たすこと
 
 全国では、19政令市のうち5市で子どもの権利に関する条例が制定され、何らかの子どもの権利に関する総合条例を制定した自治体は41自治体(子どもの権利条約総合研究所調査)に広がっています。札幌市では条例に基づき、札幌市子どもの権利救済委員がおかれ、救済委員2人・調査員3人・相談員7人が延べ4162件の相談(2015年度)に対応するなど、権利侵害から子どもを救済する機関が運用されています。東京都世田谷区では、「世田谷区子ども条例」のもと、子どもに寄り添い、子どもの立場に立った問題解決を目指す公正中立で独立性と専門性のある第三者からなる子どもの人権擁護機関を設置。相談、助言支援、個別救済のための申し立て等による関係機関との連携協力のもと問題解決を図っています。
 本市においても、まずは子どもの権利や発達を保障する「子どもの権利条例(仮称)」を制定し、子どもの権利を保障することが必要です。その上で、権利救済機関を設置するなど子どもの権利が十分に守られていない実態を解決し、子どもの主体性と可能性を尊重しながら子どもたちが未来に夢と希望を持って生き生きと育つことのできる環境を築く必要があります。
 党議員団は市長が局・区役所・支所の再編方針を撤回し、子どもの権利条例の制定と権利救済機関を設置し、子どもを権利の主体者として位置づけ、行政の責務を果たすことを求めます。




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